製薬会社MR、治験コーディネーター…病院以外に看護師活躍の場が拡大中

病院以外にも広がる看護師の職場

病院以外にも広がる看護師の職場

 

看護師の職場と言えば病院と誰でもすぐ思い浮かぶでしょう。就業している看護師も病院で働く看護師も人数は増えていますが、実は病院で働く看護師の割合は年々低下しているのです。

 

病院で働く看護師の割合は2010年には71.6%でした。診療所や訪問看護ステーションで働く看護師も増えていますからその看護師も合わせると約9割近くが医療分野で働く看護師ですが、それ以外の場でも看護師が求められる場があります。

 

その分野が社会福祉の分野製薬会社などの一般企業なのです。

 

社会福祉分野では、介護老人保健施設、介護老人福祉施設、居宅介護支援事業所、保育所・乳児院、社会福祉施設などがあります。利用者の医療的処置や体調管理の役割を担っており、介護分野では看護師資格に加えて介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を取得して在宅ケアの事業所などで活躍している人もいます。

 

また、保健師の資格を持っている場合に多いのが保健所や市町村、学校の保健室の保健の先生でしょう。保健室で働くには養護教諭の免許が必要にな場合が多く、社会福祉分野では看護師の資格にプラスして資格を取得しなければならない場合が多くあります。

 

他には製薬会社などでMRや治験コーディネーターとして、または医療系出版社などの一般企業で働く看護師もいます。


一般企業の中で働きはじめた看護師

一般企業の中で働きはじめた看護師

 

医療機関の求人に比べれば、圧倒的に少ないのですが、近年人気の高いのが、一般企業の求人です。中でも多いのは、薬剤の開発にかかわる仕事で、製薬会社で治験を監督する臨床開発モニター(CRA)、あるいは、薬剤の開発業務受託機関で被験者との間で実際に治験を進めていくコーディネーター(CRC)という職種です。

 

CRAの場合は大学卒や薬剤師の資格を持っていることが応募の条件である場合が多いですが、CRCの場合は、基本的には必要とされる資格はありません。

 

ただし、病院やクリニック、医師とのコミュニケーションの勝手がわかっており、カルテが読める看護師の需要は高く、看護師資格を応募の条件としている会社が多いでしょう。需要が高いというよりは、その条件を満たしてうまく立ち回り仕事ができるのが看護師の場合が多く、他の資格を持って就職した場合の定着率が低いのが実情だからでしょう。

 

CRAの場合は開発者側に立って仕事をするため、被験者である患者と接することはなく、治験の進み具合や適格性に問題がないかなど書類での仕事が主になります。全国にある担当施設を行き来するハードな仕事です。

 

CRCの場合は、治験実施者の医師の補助を行うため、医師から被験者候補へ説明された治験について細かな説明をしたり、スケジュール管理、被験者の体調の聞き取りなど、治験専属の看護師のような内容の仕事と書類の整備などを行なっていきます。企業から派遣されて仕事を行うCRCは医療行為が行えませんから、派遣先の看護スタッフと連携して必要な診察や検査、検体採取を行ってもらえるよう業務調整していきます。

 

CRCについて言えば、被験者と話す時間や関わりがあり、さらに派遣先の看護スタッフとの調整などが必要になるため、看護師のスキルが十分に発揮できると言えるでしょう。

 

また、医療機器メーカーでは、フィールドナース(クリニカルコーディネーター)という職種を募集していることがあります。医療機関や学会の場で医療機器のデモンストレーションをしたり、使用する医療機関への納品時にトレーニングをし、市販後のサポートをする仕事です。

 

このクリニカルコーディネーターの場合注意が必要な点があります。募集先により異なりますが、大学卒の経歴や大学病院などの基幹病院の経験が3?5年求められることも多く、PCスキルもビジネススキルが求められることが少なくありません。また、正職員ではなく契約社員の契約であることも少なくなく、求人情報はしっかりと確認が必要です。

 

また、雇用条件がクリニカルコーディネーターとしてのデモンストレーションや市販後サポートだけの場合と、それにプラスして営業業身をこなさなければならない場合があるのです。営業がプラスされたならばもちろん営業成績により給与や賞与が変わってくるでしょうし、営業ノルマがあるかもしれません。

 

営業を含めてクリニカルコーディネーターをしたい方、営業成績で自分の仕事の評価ができる場合もありますが、営業職は避けたい方はクリニカルコーディネーターとして就職する前に確認が必要でしょう。

 

また、病院勤務とは違い、企業勤務の場合には会社の損益により人員削減などもあるでしょうから、クリニカルコーディネーターとして就業しても、その後営業職も兼ねなければならない事態も起こり得ます。

 

企業で働く看護師はいずれも病院に出入りするので、看護師としての経験が生かせます。ただし、病院のスタッフではないため病院勤務とは勝手が違い戸惑うこともたくさんあることでしょう。あくまでよその施設にお邪魔して仕事をさせていただくという形になりますから、失礼があった場合には出入り禁止などという事態もあり得るのです。

 

デスクワークも多く、デスクワークに苦痛を感じる方には向かない仕事かもしれません。病院やクリニックに出入りはしますが、実際の患者と面会するのはCRC以外は限られるでしょうから、間接的に患者の治療に関わるという形になります。患者さんとふれあうことにやりがいを感じる方には物足りなさを感じる人もいるかもしれません。

 

もう1つ、病院やクリニックの患者を対象としない企業で働く看護師もいます。企業の医務室や連携先の診療所及び保険管理室などで働く産業看護師です。保健師が多く就業していることから、産業保健師と言われたりもしますが、実際には看護師資格さえあれば募集できるところがほとんどでしょう。

 

診療所で診療補助や応急処置などの看護業務、医務室や保険管理室では従業員の健康チェックのほか、健康診断の管理などに携わります。メタボ健診と特定保健指導が導入されて以後は、保健師のほうがやや有利な傾向があります。

 

従業員数が50人を超える場合には、衛生管理者を置くよう国から義務付けられているため、衛生管理者の資格を持っている方がより大きな企業へ就職しやすくなります。衛生管理者には第1種と第2種があり、いずれも試験を受けて取得しなければなりません。第一種衛生管理者の資格を持っていれば、危険な薬品などを扱う工場を保有している会社での仕事も可能ですが、第2種ではそういった企業で衛生管理者として仕事をすることはできません。

 

また、資格取得には労働衛生の業務についていた経験が必要になるため、資格取得をするためにも衛生管理者の資格がなくとも産業看護師として仕事をした経験が必要になりますので、よりスキルアップしたい方向けです。

 

衛生管理者の資格保有が必須でない限りは看護師資格さえあれば就業できるところが多いですので、狭き門ではありますが、こういった産業看護師として働くことも1つの働き方としてあります。

 

また、近年健康関連でも医療相談を受けるコールセンター業務が立ち上がっています。より多くの対象から予想できない電話で、目に見えない状況の相談に応じるわけですからとても大変かもしれませんが、そういったコールセンターの仕事などもあります。

 

企業勤務は、基本的には夜勤や交代勤務がなく休日は休めるので、時間に追われるストレスは軽減されやすいかもしれません。ワーク・ライフ・バランスを重視する場合は、病院よりも働きやすい職場である可能性は高いでしょう。企業の規模にもよりますが、給与も病院と遜色なく、昇給制度がきちんとしていることも多いようです。

 

この他、病院経営のコンサルタントとして就職したり、看護職の人材派遣などの会社などを起業する人もいるようです。また、仕事ではありませんが、国際協力事業団(JICA)の募集するボランティアとして、数年間、国際貢献に従事する道を選ぶ人もなかにはいます。

 

このように、看護師の仕事は多方面へ展開できる可能性のある仕事になってきていると言えるでしょう。今や病院やクリニックだけが活躍の場ではなくなったのです。


企業勤務看護師の様々なメリットとデメリット

企業勤務看護師の様々なメリットとデメリット

 

活躍の場が広くなった看護師ですが、そのメリットとデメリットはしっかり把握しておきましょう。

 

まずメリットですが、1番は活躍の場が広がったことで就業先が病院やクリニック、高齢者施設などの既存の医療や福祉の場に限らず、選択肢が広がったことでしょう。看護師資格の他に、保健師や衛生管理者の資格が必要な場合もありますが、その資格がなくとも十分に企業で働くことが可能です。

 

就業先の選択肢が広がったことでワーク・ライフ・バランスも既存の看護師モデルとは違った形を選択できるようになります。収入や休日のあり方もまた変わってくるでしょう。社会が多様化するにあたり看護師資格の活かし方も多様化してきています。これからもっと多様な働き方が生まれるかもしれません。

 

一方デメリットですが、病院やクリニックでは少ないケースですが、一般企業に勤めていれば景気に左右されます。収入が不安定になる可能性を頭の隅に入れておきましょう。クリニカルコーディネーターの場合は前述した通り営業職も兼ねていれば、営業成績に左右されるでしょうし、企業全体の収益によって賞与がなくなったり給与が安定しないのが、一般企業で務める場合にはあり得ます。

 

特に事業がまだ軌道に乗っておらず、これから売り出し中の会社では注意が必要でしょう。
一般企業に勤めている場合、一般サラリーマンと同じように企業の収益と進退が絡んできます。

 

また、一般企業でなくても不安定な勤め先もあります。障害福祉サービスおよび訪問看護の事業所がその筆頭かもしれません。昨今小規模の事業所の乱立と経営破綻による閉鎖が問題になっています。小規模の事業所が多くありますが、小規模ほど仕事がなく、規模が大きくなるほど人手不足なのが現状です。

 

経営破綻となれば、利用者にとっては日々の生活に欠かせない日常の支援が急になくなってしまう事態になるのですから大問題ですが、それと同時に職を失う職員もいるわけです。
あなたがそこに就業していたらと考えるといかに大変なことかがわかるでしょう。また、従業員ならばまた新たに職を探せば良いわけですが、経営者ならばどうでしょう?借金を背負って全て初めからやり直さなければならなくなるわけですから気が遠くなる話ですね。

 

しかし、現実にそのような事態が多発しているわけです。事業を自ら起こしたいと考えている方は充分に計画を練って実行に移さなければなりません。

 

自ら起こした会社だけが破綻するかというとそうでもなく、一般企業に勤めていれば、経営破綻や経営譲渡、吸収合併などによって地位が安定しないと考えて良いでしょう。大きな会社であっても外資企業に買収される場合もありますし、勤めている会社から身売りする場合もあります。

 

その際、もしかしたら従業員の削減や早期退職の奨励などがあるかもしれません。退職せずに済んだとしても、新たな会社の社則に変わり、それに従って業務の仕方も変更になるかもしれませんし、待遇も変わってしまう可能性は十分にあります。

 

大きな規模の病院でも同じようなことが言えます。何か不正なことが行われて補助金が打ち切りになり経営が傾くなんていうニュースもありますね。中小規模の病院がグループを作り運営しているところもありますし、クリニックでも開院時間を伸ばしたり新規患者の受け入れや既存の患者の定着など、企業と同じく経営努力されているところはたくさんあります。

 

大きな規模の病院での勤務経験しかなければあまり経営について触れる機会は少ないかもしれませんが、中小規模の病院や一般企業では、経営や営業を意識して働かなければなりません。

 

看護師として漫然と働くだけでは、患者の受診機会や医療の提供機会を逃してしまいかねない利益の問題。病院やクリニックの経営コンサルタントとして働く方はそのような場面に遭遇したことのある看護師かもしれません。

 

病院も経営破綻する時代です。
就業先は広い視野でたくさんの情報を得て、いかに自分にあった仕事につくか考える良い機会になるでしょう。

 

 

この記事をかいた人


紅 花子

正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在はフリーライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

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