医師にとっての“コミュニケーション能力”を考える

第2回:医師にとっての“コミュニケーション能力”を考える

医師にとっての“コミュニケーション能力”を考える

■ 記事作成日 2016/2/24 ■ 最終更新日 2016/2/24


筆者プロフィール

名前:紅 花子(べに はなこ) 
性別:女
PR:正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在はフリーライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

「コミュ力」の高い医師、低い医師

医師にとっての“コミュニケーション能力”を考える

 

元看護師のフリーライター元看護師のフリーライター紅花子です。このコラムでは、私の約10年の看護師経験の中で感じた“医師として活躍するために必要な素質”について考えてみたいと思います。第2回目の今回は、「コミュニケーション能力」の有無による、“デキる医師と微妙な医師”の違いについて考えてみます。

 

 

“コミュニケーション能力”とはそもそも何なのか

 

ここ数年、子どもたちの「コミュニケーション能力が不足している」などといわれ、社会問題化しています。こういった子どもたちが、そのまま大人になって社会に出たとき、どのような軋轢が生じるのでしょうか。

 

文部科学省では、2010年ごろから「子どもたちのコミュニケーション能力をどう養うか」という検討を行っています。その1つとして、「コミュニケーション教育推進会議」というものがあります。この会議で使用されている資料には、以下のような記述があります

 

コミュニケーション能力を、いろいろな価値観や背景をもつ人々による集団において、相互関係を深め、共感しながら、人間関係やチームワークを形成し、正解のない課題や経験したことのない問題について、対話をして情報を共有し、自ら深く考え、相互に考えを伝え、深め合いつつ、合意形成・課題解決する能力と捉え、多文化共生時代の 21 世紀においては、このコミュニケーション能力を育むことが極めて重要である。

 

現代は、「知識基盤社会の時代」であるといわれています。その一方で、少子化や地域社会の崩壊により、自分の家族や気が合う人とならコミュニケーションをとることができても、それ以外の人とは上手く合意形成や課題解決が出来ない子どもたちが、増えているそうです。その結果、本来であれば「自然と身に着く」と考えられていた能力を、敢えて教育の場で、習得させなくてはならなくなってきたのです。

 

 

子どもの世界から大人の世界へ

 

前述の文部科学省の資料には、「最近の学生相談の内容」というデータがあります。これによると、およそ8割の大学では、学生から「対人関係(家族、友人、 知人、異性関係)」に関する相談が寄せられているそうです。ここには「医学部は除く」とはありませんので、医学部の中でもこういった悩みを抱えた学生は、多いのだと思います。

 

現在の子どもたちから社会人になる前の世代では、自分ではうまくコミュニケーションをとっているつもりでも、実際は自分の思いを一方的に伝えているにすぎない、というケースが多くなっているといわれています。

 

これはどのような職種でもいえることですが、自分ひとりでできることには、限界があります。ましてや医療者であれば、コミュニケーションをとるべき相手は多種多様です。

 

経済産業省の「社会人基礎力に関する研究会」においては、職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力を、考え抜く力(シンキング)、チームで働く力(チームワーク)、前に踏み出す力(アクション)の三つの能力から成る「社会人基礎力」として定義しているそうです。

 

こういったこともあえて定義し、教育していかなくてはならない時代になっている、ということなのです。

 

 

コミュニケーション能力の違いにみる医師の素質?

 

ある2人の医師をみてみましょう。

 

A医師:普段の口調はややぶっきらぼうだが、患者さんの話は最後まで聞き、「それで、あなたはどうしたいのか」を、患者さんとともに考える。看護師や他のコメディカルへは、言葉は少ないながらも、的確な指示を出す。

 

B医師:普段の口調はとてもなめらかで、相手の話も一見すればよく聞いているように見える。しかし、患者さんの言葉を途中で遮って、「○○さん、それはね…」と、話始めることがある。

 

看護師や他のコメディカルともよく話をしているが、「それで私は結局、何をすればよいのですか?」と聞き直されることが、しばしばある。

 

この2人の医師の場合、どちらがよりコミュニケーション能力が高いのかは、もうお分かりですよね。B医師は前述の「自分ではうまくコミュニケーションをとっているつもりでも、実際は自分の思いを一方的に伝えているにすぎない」の典型です。

 

一方のA医師は、確かに発する言葉は少ないかもしれません。丁寧な言葉遣いではないかもしれません。しかし、相手が望んでいることを真摯に受け止め、相手とともに、相手の言葉を使い、解決策を探そうとする姿勢をもっています。

 

私自身、一緒に働く医師の中には、B医師のような医師も確かにいました。しかしA医師タイプの医師の方が、患者さんからの信頼が厚く、後輩医師やコメディカルからも、慕われている方が多かったと思います。

 

次回は、この「コミュニケーション能力」が不足していたために起こった、ちょっとした出来事を振り返ってみたいと思います。

 

 

参考資料

 

文部科学省 コミュニケーション教育推進会議
子どものたちのコミュニケーション能力を育むために〜「話し合う・創る・表現する」ワークショップへの取組〜の審議経過報告のとりまとめ
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/08/__icsFiles/afieldfile/2011/08/30/1310607_2.pdf

 

経済産業省 社会人基礎力
http://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/

 

この記事をかいた人


紅 花子

正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在はフリーライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

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