患者との信頼関係を築く3つの方法

第4回:患者さんと上手く信頼関係を築く3つの方法

患者との信頼関係を築く3つの方法

 

■ 記事作成日 2016/5/24 ■ 最終更新日 2017/12/6

 

患者が自分の意思で医師を選ぶ時代に、大切なスキル

患者との信頼関係を築く3つの方法

 

元看護師のライター紅花子です。
このコラムでは、私の約10年の看護師経験の中で感じた“医師として活躍するために必要な素質”について考えてみたいと思います。
第5回目の今回は、患者さんと上手く信頼関係を築く3つの方法を考えてみたいと思います。

 

患者さんとの信頼関係はなぜ必要なのか

 

かつて医師という職業は、「お医者様」であり、患者さんは絶対的な信用を寄せる存在だったかもしれません。高齢者の方の中には、まだこういった考えが強く根付いている方たちもいます。医師の言うことは絶対であり、仮に何かしらの問題が起きていても、それを医師の側が話さなければ、患者さんには分からない時代があったことは事実です

 

しかし現代はどうでしょうか。

 

世の中は様々な情報であふれ、患者さん自身もさまざまなことを知っています。医師の話といえども、場合によっては「信頼されない」こともあります。

 

また、医療は日々進歩しているため、一人の医師が話すことが絶対とはいえなくなりました。医療機関によっても「出来る治療」に違いがありますから、患者さんにとって最善だと思える治療を、患者さん側でも選択できる時代に変わってきたのです。セカンドオピニオンはその象徴かもしれません。

 

簡単な言葉でいえば「患者が自分の意思で、信頼できる医師を選ぶ」のが、現在の医療の姿といえるでしょう。

 

世の中の人は、相手とのコミュニケーションで何を重視しているのか

 

ここで、ちょっと面白い調査結果をお示しします。

 

文化庁が毎年行っている「国語に関する世論調査」という調査があります。これは毎年少しずつ質問の内容が変わりますので、経時的変化をみることは難しいのですが、むしろその時々の状況を反映したものになっています。

 

平成24年に行われた調査では、「人とのコミュニケーションにおいて、重視することは?」という質問がなされ、次のような結果となりました。

 

患者との信頼関係を築く3つの方法

 

このデータは、平成25年3月に、全国16歳以上の男女3,523人(有効回収数2,153人、有効回収率61.1%)に対して行われた面談調査による結果です。「相手との人間関係を作り上げながら伝え合うことを重視する」と答えた人は65%で、圧倒的に多かったことが分かります。年齢別では、次のような結果となりました。

 

  • 10代 : 62.2%
  • 20代 : 72.6%
  • 30代 : 71.5%
  • 40代 : 69.1%
  • 50代 : 65.0%
  • 60代~: 60.6%

 

このように、年代が若くなるほどこの傾向は強くなることが分かります。もっとも多い20代では、およそ1.4人に1人、もっとも少ない60歳以上でもおよそ1.7人に1人が「相手との人間関係」を重視していることがわかります。

 

患者さんと医師との信頼関係を考える

 

医師として働く皆さんが、もっとも多くの患者さんとコミュニケーションをとる場所は、外来診察室ではないでしょうか。

 

いわゆる「リピーター」となっている患者さんとの間には、かなりの「信頼関係」が出来ていると考えて良いでしょう。特に慢性疾患を抱える患者さんは、医師との信頼関係が崩れると受診に来てくれなくなりますから、治療を中断してしまうかもしれません。

 

こういう患者さんは、これまでに築いてきた信頼関係を崩さないコミュニケーションが必要です

 

では、初めて診察する患者さんはどうでしょうか。

 

患者さんが、自分の症状を隠さずに話してくれるか、これまでの経過を面倒がらずに話してくれるか、これらが今後の治療方針を決めるポイントにもなります。もちろん、治療方針の決定には客観的な検査データも必要です。

 

しかし、患者さんからどこまで正確な話を聞きだせるかで、医師のコミュニケーションスキルは決まってきます。高ければより正確な診断・治療につながる可能性が高くなりますよね。

 

相手と信頼関係を築くために、してはいけない3つのこと

 

患者さんと良い信頼関係を築くことは必要ですが、たとえば外来診察のごく短時間の間で、これを完璧にこなすことは、非常に難しいと思います。

 

そこで、ごく短時間でも相手からの信頼を得る「相手が話しているときにしてはいけない3つのこと」をお伝えします。難しくはありません。たったの3つです。

 

  1. 患者さんが話している間はしゃべらない
  2. 相手の話を奪わない
  3. 話しを聴いている最中に「違う」と言わない

 

「医師 対 患者」という構図の中では、かなり気をつけないと難しいと感じるかもしれませんが、一般的はこれが当たり前のことであり、「この人ともっと話をしたい」と思わせるカギにもなります。

 

例えば患者さんが、すごくゆっくりとぼそぼそ話すような人でも、とりあえずは最後まで話を聞くだけで、患者さんは「この先生は信頼できる」と考えるでしょう。

 

話を途中で遮ったり、「それは違う」と否定されれば、患者さんは萎縮してしまい、伝えるべきことを伝えられなくなってしまいます。信頼関係を築くことはかなり難しくなるでしょう。

 

短い診察時間の中では、イライラしてしまうこともあるかもしれません。しかし、初診で上手く信頼関係が築ければ、その患者さんはいずれリピーターとして、まじめに受診してくれるのではないでしょうか。

 

いかがでしょうか。

 

今回は、一般の人が「相手とのコミュニケーションで重視すること」という視点で、医師 対 患者さんのコミュニケーションを考えてみました。

 

もちろん「治療方針が患者さんの意向と合っていること」も、信頼関係を築く条件ではありますが、初診のときに患者さんの心をグッとつかむ会話術は、医師にとって一番必要なコミュニケーションスキルかもしれません。

 

この記事をかいた人


紅 花子

正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在は当研究所所属ライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

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