埼玉県の医師転職事情と未来No.2〜保健医療計画と地域医療から読む

第3回:保健医療計画からみる埼玉県の地域医療 その2

埼玉県の医師転職事情と未来No.2〜保健医療計画と地域医療から読む

■ 記事作成日 2016/5/28 ■ 最終更新日 2017/7/26


筆者プロフィール

名前:紅 花子(べに はなこ) 
性別:女
PR:正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在はフリーライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

埼玉県の保健医療計画(前回からの続き)

埼玉県の医師転職事情と未来No.2〜保健医療計画と地域医療から読む

 

元看護師のフリーライター紅花子です。

 

新コラムとして「保健医療計画からみる都道府県の姿」がスタートしましたが、1つの都道府県の姿を、2回に分けてお伝えしています。今回は、引き続き埼玉県の医療事情についてみていきたいと思います。

 

埼玉県の保健医療圏はどうなっているか

 

埼玉県は、一次医療圏は各市町村、三次医療圏は埼玉県全域となっています。二次医療圏については、全域を10の地域に分けており、その中には「副次圏」のある地域があります。

 

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図1 埼玉県の二次医療圏マップ

 

このうち、副次圏が設定されているのは、以下の医療圏です。

 

  • 東部保健医療圏:東部(北)保健医療圏、東部(南)保健医療圏
  • 川越比企保健医療圏:川越比企(北)保健医療圏、川越比企(南)保健医療圏
  • 利根保健医療圏:利根(北)保健医療圏、利根(南)保健医療圏
  • 北部保健医療圏:北部(東)保健医療圏、北部(西)保健医療圏

 

埼玉県の中心部は、県央保健医療圏とさいたま保健医療圏のエリアになりますが、これらの地域は、1つずつの保健医療圏の範囲が狭くなっており、例えばさいたま保健医療圏は、さいたま市のみで構成されています。

 

埼玉県内の病床数の現在とこれから

 

ではここで、埼玉県内の各保険医療圏における、既存病少数と基準病少数の差をみてみましょう。

 

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図2 埼玉県内の二次保健医療圏別 既存病少数と基準病少数の差

 

既存病床数とは、この「保健医療計画」を制定した時点での病床数であり、それに対する基準病床数は、数年後(この「保健医療計画」を実施している間)に調整したい病床数です。

 

二次医療圏ごとの基準病床数は、その地域の現在の人口や将来の人口推計などを元に、全国共通の方法で計算されます。つまり、

 

  • 既存病床数が多い地域:現在の人口が多い
  • 基準病床数が増える(減る)地域:将来、人口が増える(減る)と予測されている

 

ということになります。

 

上記 図2のうち、各保健医療圏名の近くに、既存病床数、基準病少数の数を表したグラフがあります。その右側にある矢印には、おおよそこの5年間(平成25年度〜平成29年度)のうちにどれだけの病床数の変化があると予測されるのかを明記しています。

 

  • 矢印が赤い地域:病床数の減少が見込まれる
  • 矢印が青い地域:病床数の増加が見込まれる  

 

となります。

 

こうしてみると、埼玉県では10の保健医療圏のうち、3つの地域では増床の方向にあるようですが、7つの地域で減床の対策が図られることになります。

 

ためしに、これまでの約20年間で、病床数がどのように変化してきたのかを見てみましょう。

 

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図3 埼玉県内の病床数の推移(平成8年から平成26年まで)

 

埼玉県内の病床数は、平成20年頃を境として、緩やかな減少傾向にあります。

 

人口10万対病床数でみると、ピークとなったのは平成17年です。埼玉県はわずかではありますが、人口増加率がまだプラスを示している県ですので、病床数の変化と実際の人口の変化との間には、多少のずれがあるのかもしれません。

 

埼玉県内にはどのような機能を持つ医療機関があるのか

 

埼玉県の「保健医療計画」の資料では、具体的な医療機関名が明らかになっていない部分もありますが、埼玉県内には、おおよそ以下のような特定機能を持つ医療機関があるようです。

 

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図4 埼玉県内の特定の医療機能を有する病院数

 

中には、救急救命センターや地域医療支援病院の無い医療圏もあります。もっとも充実しているのは「さいたま保健医療圏」でしょうか。この医療圏内には「さいたま副都心」といわれるエリアがありますし、合併により複数の市が1つにまとまった地域ですので、人口も多く、今後は病床数がもっとも多いエリアになると推測されます。

 

埼玉県内 医師数の推移と今後の確保対策

 

次に、埼玉県内の医師数の推移を見てみましょう。

 

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図5 埼玉県内 医師数の推移

 

人口10万対医師数は、平成22年の時点で全国平均の230.4人に対し、埼玉県は148.6人であり、全国で47位という状況でした。しかし医師の実数は、緩やかですが増加傾向にあり、平成12年と比較したときの伸び率は全国平均の14.3%よりも大きいのだそうです。

 

それでもやはり、医師不足を解消できるまでには至っておらず、埼玉県では以下のような対策を掲げています(一部抜粋)。

 

  • 産科・小児科・救急などを担当する医師の確保促進
  • 開業医の支援による病院勤務医の負担軽減
  • 女性医師に対する就業支援策の推進
  • 医師等の充足状況の調査・分析
  • 就業を希望する医師等の情報や医療機関の求人情報の提供
  • 医師等に対するキャリア形成の支援
  • 本県出身医学生への支援
  • 臨床研修医などの医師の誘導・定着策の推進
  • 臨床研修医の採用実績 目標値 1,500人(平成24年度〜平成28年度累計)

 

これらの対策がどこまで現実的になるかは未知数ですが、埼玉県は「人口10万人対医師数の全国最下位からの脱出」を対策として掲げていますので、医師の確保対策には尽力されているのだと思います。

 

 

いかがでしょうか。

 

今回は2回にわたり、「保健医療計画からみる埼玉県の姿」を考えてみました。埼玉県は全国でも数少ない、人口増加率がプラスになる県です。その一方で、事実上の医師不足がなかなか解消されない地域でもあります。

 

今後の埼玉県がどう変わっていくのか、経過をみていきたいと思います。

 

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2017/7/26

 

参考資料
厚生労働省 医療計画
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/

 

埼玉県地域保健医療計画
http://www.pref.saitama.lg.jp/a0701/iryou-keikaku/documents/2612.pdf

 

データ参照元

 

統計局 平成26年医療施設(静態・動態)調査 下巻 年次 2014年
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001141081

 

同上 平成25年医療施設(動態)調査 下巻 年次
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001126654

 

同上 平成23年医療施設(動態)調査 下巻 年次
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001102729

 

同上 平成20年医療施設(動態)調査 下巻 年次
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001060675

 

同上 平成17年医療施設(動態)調査 下巻 年次
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001060675

 

同上 平成14年医療施設(動態)調査 下巻 年次 2013年
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001048369

 

同上 平成11年医療施設(動態)調査 下巻 年次 2013年
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001048408

 

同上 平成8年医療施設(動態)調査 下巻 年次 2013年
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001048434

 

この記事をかいた人


紅 花子

正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在はフリーライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

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