茨城県の地域医療と保健医療計画

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茨城県の地域医療と保健医療計画  

第13回:保健医療計画からみる茨城県の姿

茨城県の地域医療と保健医療計画

■ 記事作成日 2016/10/23 ■ 最終更新日 2016/10/23


筆者プロフィール

名前:紅 花子(べに はなこ) 
性別:女
PR:正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在はフリーライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

茨城県の保健医療計画

茨城県の地域医療と保健医療計画

元看護師のフリーライター紅花子です。「保健医療計画からみる都道府県の姿」というこのコラム、前回は栃木県について取り上げました。今回は栃木県のお隣の県である茨城県についてお伝えします。なにかと比較対象とされやすい栃木県と茨城県。ここでも、栃木県と茨城県を比較しつつ医療の現状をお伝えしていきます。

 

茨城県の現状を分析

 

茨城県の人口は平成27年現在、2,918,000人となり、全国で11番目に人口の多い都道府県となり、北関東の中でも1番人口が多い都道府県となります。

 

茨城県の地域医療と保健医療計画

 

茨城県の面積は平成22年の時点で6,095,72?で全国第24位ですが、可住地面積は3,981,73?で全国第4位となります。人口密度も全国12位と、全国的に見ると国土も人口も上位に名を連ねているのが茨城県です(尚、お隣の栃木県は、面積は全国20位、人口密度は全国22位)。

 

茨城県は太平洋に面していることから、アジやイワシなどの漁業が盛んです。さらに、比較的平地が多く、耕地(農業用の土地)が多いため、農業が盛んな地域でもあります。中でも、メロン、くり、れんこん、白菜やナス、ピーマンなど、収穫量日本一を誇るものがたくさんあります。

 

茨城県の人口は、水戸とその周辺が最も多く、次に、埼玉県や千葉県と隣接する取手、竜ケ崎の地域が多くなります。茨城県も他の都道府県と同様に高齢化人口の増加が続いています。

 

茨城県の地域医療と保健医療計画

 

茨城県の高齢化人口は増加しており、平成35年頃には、高齢化人口が30%を超え、平成50年頃には50%を超えるものと予測されています。栃木県とほぼ同じくらいの時期ですね。

 

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図2 茨城県の高齢化率と人口増加率の推移

 

特に、単身独居の高齢者が増加していることが特徴であり、直近の5年間で32.7%も増加しています。今後もさらに増え続けると予測されています。

 

また、茨城県は交通網が非常に発達しています。県内を網羅する鉄道の他、東京と茨木を結ぶつくばエクスプレスが陸路として活躍しているほか、茨城港や茨城空港もあり、陸、海、空の交通基盤を整え、国内外でのネットワークを強めています。

 

茨城県の人口動態は?

 

それでは次に、茨木県の人口動態に関するデータを見ていきます。

 

茨城県の出生数は平成19年を境に減少傾向となっており、平成23年では23,219人と過去最低数となっています。人口千対の出生率は8.0であり全国平均の8.3よりもやや低くなります。

 

続いて死亡率を見ていきます。平成23年の死亡数は29,910人、平成17年頃より、ゆるやかな増加傾向が続いています。死亡率は10.2で全国平均の9.9よりやや上回っているというところでしょうか。

 

死因別状況を見てみると、昭和60年以降より一貫して悪性新生物が第一位となっています。以後、脳血管疾患、心疾患、肺炎と続いていきます。

 

平成23年の人口10万対で見た死亡状況別率では悪性新生物が27.2%、心疾患が16.2%、脳血管疾患11.6%、肺炎11.0%でした。茨城県の特徴的な面を上げるとすれば、糖尿病による死亡が10位以内にランクインしているところでしょうか。

 

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図3 茨城県 主要死因別死亡数の割合(平成23年 全国との比較)

 

死亡別状況率を見ると、栃木県と茨城県では大差がありません。しかし、茨城県の乳児死亡率、周産期死亡率はかつてよりも減少し、全国平均とほぼ同等となっています。

 

栃木県と同様、茨城県もひと昔前までは、周産期死亡率、乳児死亡率が全国平均よりも高い地域でしたが、衛生状態の改善や、周産期医療、新生児医療の充実により、現在では全国平均を少しした回るくらいで推移しているようです。

 

茨城県の医療状況はどうなっているか?

 

次に茨城県の受療率を見ていきます。

 

平成23年の茨城県の受療者数を見ると、総数80,089人、入院受療者数は27,158人、外来受療者数は52,931人となっています。

 

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図4 入院及び外来受療率の全国の比較(平成26年患者調査より)

 

外来、入院共に一般病院が圧倒的に多いという結果となりました

 

受療率は80歳以上が最も高く、その中でも特に女性の受療率が高いことが、特徴といえます。また、最初にかかる医療施設として、6割が診療所を挙げておりその理由が、通いやすい位置にあるということが挙がっていました。尚、外来受療率がもっとも高かったのは、県南地域(33.7%)でした。

 

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図5 茨城県 二次医療圏と人の流れ

 

茨城県では県の施策として、中小病院や診療所などのような小規模医療機関は、各地域に点在するよう働きかけているのですが、中核病院は県央及び県南の都市部に集中させているということも、この受療率の上昇につながっているものと考えられます。

 

茨城県の保健医療圏はどうなっているか

 

茨城県の保健医療圏も他の都道府県同様の仕組みとなっていますが、特徴としてはどのようなものがあるのでしょうか。

 

茨城県では44の市町村を9の二次医療圏に分けています。このうち、水戸保健医療圏、取手・竜ケ崎保健医療圏の人口が圧倒的に多く、第三次、第二次に該当する救急医療圏もこの地域に集中している傾向にあります。

 

茨城県では平成の大合併により、83あった市町村が、現在では約半分の44となっています。この時、合併の煽りをほとんど受けなかった地域があります。取手・竜ケ崎保健医療圏です。

 

そのため、医療資源などの変動は他の医療圏よりも少なく、市町村が継続した医療を展開することができていたと思われます。このことから、中核病院や各機能を持った病院が満遍なく点在し、安定した医療を提供できているのではないかと推測されます。

 

お隣の栃木県同様、高齢化が進んでいる茨城県。

 

茨城県の施策として、中小病院や診療所など小規模な医療機関を点在させるということを挙げていましたが、果たしてその施策通りに事を進めることができているのでしょうか。

 

ここからは医療の機能面を詳しくみていきたいと思います。


茨城県の病床数とこれから

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水戸光圀公像(水戸市)

 

茨城県内の基準病床数と既存病床数について見ていきましょう。

 

各都道府県の医療圏、その中に整備するべき病床数は、都道府県が管理しています。原則として、既存病床数が基準病床数を上回っている地域は、病床過剰地域とされ、都道府県による保健医療計画が更新されるたびに、再編統合等の対象とされます。

 

茨城県では、平成25年時点での既存病床数は、県全体を通して、基準病床数を大幅に上回っています。

 

茨城県の地域医療と保健医療計画

図7 二次保健医療圏ごとの病床数の比較

 

特に水戸医療圏は、既存病床数が5,160床と、基準病床数のおよそ1.5倍あります。つまり、水戸医療圏では現在、大幅な病床数減少に向けての対策が取れらていると考えられます。

 

基本的に、二次保健医療圏を設定する条件としては、受療率の高さや、中核病院があることなどが挙げられます。

 

茨城県の場合、県庁所在地である水戸市では、中心都市であるがゆえに、小児や周産期といった様々な分野の医療施設が集中した結果、病床数が多くなってしまったのかもしれません。では、茨城県のこれまでの病床数の推移をみてみましょう。

 

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図8 茨城県 病床数の推移

 

茨城県では、平成8年以降、病床数の減少傾向が続いています。しかし平成14年に一度、病床数が増えたことがありました。この年度の区切りで見ると分かりにくいのですが、実は平成11年から平成13年にかけて、療養病床が大きく増えたようです。

 

その中には、一般病床からの転換もあったと思いますが、その後も平成20年頃までは増加を続けていますので、需要の高さがうかがえるのではないでしょうか。

 

また、茨城県は他の県と比較し、感染症病床、精神病床が基準病床数を大幅に上回っていることも、特徴といえます。特に感染症病床に関しては、お隣の栃木県や、他の都道府県よりも割合が多いようです。

 

そもそも、療養病床という区分は、他の病床よりも後からできたものですし、多くの都道府県で、精神病床が療養病床を上回ってはいます。しかし、例えばお隣の栃木県がおよそ1.25倍、同じく埼玉県がおよそ1.2倍に対し、茨城県は1.28倍です。

 

やはり、他よりも多い印象を受けます。

 

受療率でみても、精神疾患による受療率が、比較的高い印象です。しかし、精神病床については、既存病床数が基準病床数を上回ってはいるものの、病床利用率を見て見ると、精神病床も感染症病床も全国平均と比較すると圧倒的に低くなっており、「病床はあるが、有効的な利用がされていない」という現状のようです。

 

このことから今後はこの辺も含めた再編成が予測されるところです。

 

茨城県内にはどのような機能を持つ医療機関があるのか

 

では、茨城県内の医療機能の分布を見てみましょう。

 

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図9 保健医療圏ごとの特定の医療機能を有する病院数の比較

 

茨城県では、各保健医療圏それぞれの医療機関に対し、求められる医療の機能と、今後の課題を提示しています。

 

高度急性期の機能は人口が多い水戸保健医療圏で力を入れている一方、救急医療に携われる医師数が少なく、平成22年12末現在で4,954人、人口10万対医師数は全国第46位と低位であり(47位は埼玉県)、この状況が大きな課題となっています。

 

さらに茨城県では、医療機関を点在させることを目標としているものの、地理的な条件などによって保健医療サービスの利用が困難な無医地区となっている地区が存在します。

 

そういった地区に対しても一般地域との保健医療格差を縮めるために、へき地保健利用対策の整備には積極的に取り組んでいるようです。

 

茨城県でも高齢化が今後もさらに進むことが予想されており、在宅医療を稼働していくことが、課題となっている一方、この保健医療計画が出された平成25年の時点では、まだ具体的な案が見出されておらず、訪問看護の従事者も全国平均と比較しても圧倒的に低いことから在宅療養を進めていくことが今後の大きな課題となるのではないでしょうか。

 

茨城県内の医師数と今後の確保対策

 

茨城県内の医師数の推移を見てみると、平成22年12月31日現在で,4,954人でした。人口10万人対では166.8人、全国平均230.4人を大きく下回っています。前述した救急医が不足している状況と同様、深刻な医師不足となる地域かもしれません。

 

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図10 茨城県 医師数の推移

 

特に、病床数は少ないものの、交通の便が良く、医師の養成施設のあるつくば保健医療圏での医師数が圧倒的に多く、地域により医師数に大きな差があることも特徴的です。

 

これを受けて茨城県では、県内外の大学と連携し、医師の養成・確保を行い、地域偏在を無くしていくとともに、救急医療を始めとする診療科偏在の解消を対策として挙げています。

 

また、茨城県も東日本大震災の影響を多分に受けており、この震災により、医師の県外流出、就業自体が相次いだという背景もあります。そのため、魅力ある就業環境などの整備促進も対策の1つとして挙がっています。

 

さらに、女性医師も働きやすい環境を整えていくことや、医師の養成・確保のための規制緩和等に係る要望活動を行い、財政支援などを受けていくことも視野に入れています。

 

茨城県の地域医療対策の今後に注目

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鹿島神宮

 

お隣栃木県と類似した悩みを持つ一方で、可住地域が広大であることが、医療へも影響していると思われる茨城県。震災の二次災害を受けながらも、医師数の確保、医療の充実を掲げている茨城県に、今後も注目していきたいと思います。

 

参考資料

 

水戸市保健所 http://www.pref.ibaraki.jp/soshiki/hokenfukushi/mitoho/index.html
厚生労働省 国勢調査http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/kekka/pdf/gaiyou.pdf
茨城県 市町村の合併 http://www.pref.ibaraki.jp/somu/shichoson/gyosei/index.html
茨城県保健医療圏 https://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/koso/iji/koso/health-med-plan/

 

総務省統計局 人口推計(平成25年10月1日現在)結果の要約
http://www.stat.go.jp/data/jinsui/2014np/

 

厚生労働省 受療率
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/14/dl/02.pdf

 

厚生労働省 医療計画
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/

 

国立社会保障・人口問題研究所 地域医療計画
http://www.ipss.go.jp/syoushika/bunken/sakuin/kikan/..%5C..%5Cdata%5Cpdf%5C00330406.pdf

 

 

データ参照元

 

統計局 平成26年医療施設(静態・動態)調査 下巻 年次 2014年
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001141081

 

同上 平成25年医療施設(動態)調査 下巻 年次
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001126654

 

同上 平成23年医療施設(動態)調査 下巻 年次
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001102729

 

同上 平成20年医療施設(動態)調査 下巻 年次
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001060675

 

同上 平成17年医療施設(動態)調査 下巻 年次
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001060675

 

同上 平成14年医療施設(動態)調査 下巻 年次
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001048369

 

同上 平成11年医療施設(動態)調査 下巻 年次
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001048408

 

同上 平成8年医療施設(動態)調査 下巻 年次
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001048434

 

平成12年 医師・歯科医師・薬剤師調査
医師数
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/00/tou05.html
人口10万対医師数
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/00/tou06.html

 

平成16年 医師・歯科医師・薬剤師調査
医師数
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/04/tou12.html
人口10万対医師数
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/04/tou13.html

 

平成20年
医師数
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/08/dl/toukei02.pdf P1
人口10万対医師数
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/08/dl/toukei02.pdf

 

平成24年
医師数
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/12/dl/toukeihyo.pdf P19
人口10万対医師数
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/12/dl/toukeihyo.pdf P21

 

(文責・元看護師歴10年ライター 紅花子)

 

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