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第29回:保健医療計画からみる熊本県の姿

熊本県の医師転職事情と未来~保健医療計画と地域医療から読む

 

■ 記事作成日 2017/7/26 ■ 最終更新日 2017/12/5

 

保健医療計画からみる熊本県の医師転職事情

 

元看護師のライター紅花子です。

 

「保健医療計画からみる都道府県の姿」というこのコラム、前回は福井県について取り上げましたが、今回は九州地方に位置する熊本県の医療情勢を熊本県の第7次保健医療計画を基に見ていきます。

 

熊本県の現状を分析

 

熊本県は九州の中央に位置する県で、東西143㎞、南北127㎞、総面積7,404.66k ㎡となり、全国で15番目に広い土地を持つ県となります。

 

九州地方では鹿児島、宮崎に続く3番目。山や海に囲まれた自然あふれる地域であり、熊本を代表する活火山の阿蘇山はそのカルデラが世界一の大きさを誇っています。

 

県内には大きな川が4本流れていますが、その中でも菊池川の上流にある菊池渓谷、白川上流の白川水源は、環境省の全国名水百選の1つとなっており、さらに球磨川は日本三急流の1つとなっています。

 

また2016年4月14日には熊本県地震に見舞われ、熊本城が崩壊するなど甚大な被害を受け、現在は復興に向けて前進している県でもあります。

 

豊かな自然に恵まれた熊本県では、この豊かな自然を活かし、魚介類、農産物と様々な特産物があり、辛子蓮根や馬刺しといった有名な特産物の他、クルマエビ、ひじき、フグ、トマトや晩白柚などがあります。

 

熊本県の平成27年の総人口は1,787 ,000人、全国で23番目に人口の多いエリアです。しかし人口の推移でみると、平成17年より徐々に減少を続け、今後もさらにこの傾向が続くと予測されています。

 

年齢別に人口をみてみると、国勢調査の結果では平成26年の年少人口は13.7%、生産年齢人口は58.3%、老年人口は28.0%でした。年少人口の減少と、老年人口増加の傾向にあります。

 

図1 熊本県 人口の推移

 

また、この3区分別の人口については、地域間でのばらつきが出ています。

 

高齢化率は平成26年時点で28.1%、全国で18番目に高齢化率が高いエリアです。平成52年には高齢化率は36.4%にまで上昇することが予測されており、今後も少子高齢化は加速していくことが予測されています。

 

図2 熊本県 高齢化率と人口増加率の推移

 

熊本県の人口動態は

 

次に熊本県の人口動態に関するデータをいくつか見ていきたいと思います。

 

平成27年の出生率は人口千対で8.8、全国平均の8.0を大きく上回る結果になりました。また、合計特殊出生率は1.60であり、その年の全国平均値である1.46を上回っています。
年少人口が減少傾向である一方で、出生に関わる全てのデータが全国平均を上回っていることから、少子化は全国的に見て緩やかであることが予想されます。

 

続いて死亡に関するデータを見ていきます。

 

平成27年の死亡者数は20,692人で、人口千対では11.6となり、全国平均の10.3を上回る結果となっています。熊本県の死亡数、死亡率は、今後の高齢化に伴い、さらに上昇してくることが予測されます。

 

また、その死因を見てみると悪性新生物が最も多く、続いて心疾患、肺炎、脳血管疾患という順になっておりどの疾患も全国平均と比較して高い割合で推移しています。

 

熊本県の医療状況はどうなっているのか

 

次に熊本県の受療率を見ていきます。

 

平成26年度の入院受療率は、全国平均が人口10万対1,038に対して、熊本県は1,782で全国平均を上回っており、全国で4番目に受療率が高い地域です。特に65歳以上の受療率が高く、今後の高齢化に伴い、さらに受療率は高まることが予想されます。

 

図3 入院および外来受療率の全国比較

 

外来受療率は全国平均が人口10万対5,696に対し、熊本県は6,440と、こちらも全国平均を上回る高い値となりました。

 

疾病分類別受信状況を見てみると、消化器系の疾患が19.3%、循環器系の疾患が18.3%、呼吸器系の疾患が9.6%となります。しかし、有病の状況を見てみると高血圧が最も高いことから、今後循環器系の疾患が上昇していくことが予測されます。

 

熊本県の保健医療圏はどうなっているか

 

熊本県の医療圏は、他の県と同様に医療法に則って一次医療圏、二次医療圏、三次医療圏にそれぞれ分かれています。

 

熊本県では二次医療圏として県庁所在地を含み人口も最も多い熊本医療圏、その他として宇城医療圏、有明医療圏、鹿本医療圏、菊池医療圏、阿蘇医療圏、上益城医療圏、八代医療圏、芦北医療圏、球麿医療圏、天草医療圏と、細かく分かれており、合計で11の医療圏があります。

 

図4 熊本県 二次医療圏と三次医療圏

 

医療圏ごとの患者の流入や流出の状況を見ると、11の医療圏のうち8医療圏が、熊本医療圏を第一の患者流出先として挙げています。特に上益城医療圏では、患者の49.3%が熊本医療圏に流出しており、熊本医療圏にある医療機関に、医療機能を依存している現状が伺えます。

 

また、熊本県は福岡県、大分県、鹿児島県、宮崎県と接していることから、それぞれの県境の地域では、県を超えて患者が流入、流出している傾向にあります。特に有明圏域では県外への患者の流出が19.2%、芦北圏域では逆に県外からの流入が 10.2%となっており、県内だけでなく県外への患者の流入、流出も盛んな地域となっています。


熊本県の病床数とこれから

熊本城

 

熊本県内の既存病床数と基準病床数について見ていきます。

 

熊本県は全ての医療圏で、既存病床数が基準病床数を上回っています。一般病床では約6,000床、精神病床単独でも約1,400床、既存病床数が基準病床数を上回っているという状況です。

 

図5 熊本県 既存病床数と基準病床数との違い

 

精神分野の入院受療率の高い熊本県では、精神病床が過剰であるにもかかわらず、地域によっては未だ精神病床が足りないと考えている地域もあります。

 

また、一般病床では過剰となる病床数が多いほど流入率が高く、過剰となる病床数が少ないほど流出率が高くなります。今後は高齢化が進むにつれ、病床利用率はさらに高まることが予測されますが、高齢化率の高い地域ほど病床数が少ない、という状況のようです。

 

これらのことから、今後も患者の流入、流出における格差は、引き続き起こりうるものと考えられます。

 

尚、熊本県の病床数は、1996年以降、減少傾向が続いています。少子化は比較的緩やかに進行していますが、全体的な人口減少は今後も継続するとみられており、県全体での病床数の推移にも関係しそうです。

 

図6 熊本県 病床数の推移

 

熊本県内にはどのような機能を持つ医療機関があるか

 

熊本県では三次救急として3つの医療機関がありますが、全て熊本医療圏内にあります。また、二次救急も夜間は輪番制をとることで救急医療体制を整備していますが、医師の不足により輪番制をとることのできない医療圏も見られており、医療圏間での医療機能の偏りが顕著であるといえそうです。

 

一方で熊本県では、ドクターヘリと県の防災ヘリ2台を所有しており、県民のアンケートでも約7割の住民が現在の救急医療体制に満足していることから、医療圏間での偏りはありながらも、住民への救急医療体制は整っているとも考えられます。

 

図7 熊本県 特定の機能を有する病院数

 

また、熊本県では人工透析率の割合が、全国で最も高くなっています。特に、糖尿病や高血圧などの生活習慣病から、腎機能の悪化につながっている人が増えており、幼少期から生涯にわたる健康づくりが求められています。

 

こういった背景からか、熊本県では自県の状況を分析した結果として、未成年者に対する健康指標などを挙げており、現状と目標値を比較しています。いくつかをピックアップしてみました。

 

図8 熊本県 未成年者に対する健康指標1

 

図9 熊本県 未成年者に対する健康指標2

 

熊本県では保健医療計画の項目の一つとして「子どもの頃からの生涯を通じた健康づくり」を掲げています。もちろん、他の都道府県でも検討はされている事柄だと思いますが、細かいデータが出ているのは珍しいのかもしれません。

 

もう一つ、熊本県で注目したいのが在宅医療です。現在、在宅医療と連携できる診療所と病院が全国平均を上回っているものの、そのほとんどが熊本医療圏内に集中しており、地域較差がみられています。

 

特に高齢化率が高く在宅医療が必要とされる圏域に、在宅療養を支援する医療機関が少ないことが特徴です。また、24時間診療体制についても医師が負担を感じている割合が高く、患者の急変対応が難しいという問題もあります。

 

その一方で、熊本県には在宅医療のスペシャリストのナースが多いという特徴があります。

 

  • 緩和ケアの認定看護師
  • 全国平均:100万人あたり10.1人
  • 熊本県:100万人あたり12.7人
  • がん性疼痛の認定看護師
  • 全国平均:100万人あたり4.4人
  • 熊本県:100万人あたり4.9人

 

など、高い水準を維持しています。そのため、訪問看護とうまく連携をとっていくことで、質の高い在宅医療を提供していくことができるものと考えられ、今後の展開が注目されています。

 

熊本県内の医師数と今後の確保対策

 

厚生労働省の調査によると、平成24年現在の熊本県の医師数は人口10万人当たり266人を超えており、全国平均である人口10万人当たり230.4 人を大きく超える結果となっています。

 

図10 熊本県 医師数の推移

 

しかし医療圏別で見てみると、熊本医療圏、芦北医療圏以外の地域では医師数は全国平均以下となっており、無医地区も年々増加傾向となっています。つまり、地域ごとの医師数の偏在が見られており、もっとも多い熊本医療圏と、もっとも少ない阿蘇医療圏の間には、3倍以上の開きがあります。

 

図11 熊本県 医師数の推移

 

また、小児科、産科、産婦人科の医師数は、改善傾向ではありますが依然として絶対数が少ないこと、内科と外科の医師数が減少傾向となっていることから、診療科の偏在を是正する必要も課題として挙がります。

 

これらのことを踏まえ、熊本県の医師確保対策としては、初期研修医の確保、自治医科大学卒業生の県内定着率の向上を挙げています。特に、初期研修医のマッチング率、応募者数は非常に多く、毎年定員を超過するため、定員枠を広げて医師確保をしていくことが挙がっています。

 

また、女性医師の従事者数も多くなっていることから、女性が働きやすい環境を整えることも挙げており、院内保育の設置なども具体的に明示しています。

 

まとめ

阿蘇の道

 

医療圏の設定は他の都道府県よりも細かい一方で地域の医療面での偏在が著明となっている熊本県。地域によって医師数の偏在が顕著であることから、医療圏によっては医師の負担が増えてしまい、やりたくてもできていない医療の分野が多くあることが現状となっています。

 

熊本県では特に

 

  • 医師数の少ない圏域に就職する意思のある医師
  • 外科、産婦人科、産科、小児科での就業を希望する医師
  • 在宅医療を24時間体制で請け負うことの可能な医師

 

などの需要が高いことが考えられます。

 

女性医師に対しては、明確な施策を打ち出していますので、女性医師が働きやすい環境を積極的に整えている地域であるといえそうです。一方で、医師が過剰な地域での就職を希望している医師は、少し厳しい現状が待っているかもしれません。

 

 

参考資料

 

第6次熊本県保健医療計画
http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_4487.html

 

第6次地域保健医療計画(熊本県内全11二次保健医療圏)
http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_4486.html

 

平成27年国勢調査
http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/kekka/pdf/gaiyou.pdf

 

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」都道府県別に見た推計結果の概要
http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson13/2gaiyo_hyo/gaiyo.asp

 

平成 27 年 人口動態統計月報年計(概数)の概況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai15/dl/gaikyou27.pdf

 

厚生労働省 平成26年患者調査の状況 受療率
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/14/dl/02.pdf

 

第1節 高齢化の状況 内閣府
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2016/html/gaiyou/s1_1.html

 

熊本県保健医療計画 
http://www.pref.kumamoto.jp/common/UploadFileOutput.ashx?c_id=3&id=4487&sub_id=1&flid=1&dan_id=1

 

熊本地域保健医療計画
http://www.pref.kumamoto.jp/common/UploadFileOutput.ashx?c_id=3&id=4486&sub_id=2&flid=22923

 

この記事をかいた人


紅 花子

正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在は当研究所所属ライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

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