【医療経営士】3級のテキストより 生命倫理 医療倫理

第9回:【医療経営士】3級のテキストより 生命倫理 医療倫理

【医療経営士】3級のテキストより 生命倫理 医療倫理

■ 記事作成日 2017/1/31 ■ 最終更新日 2017/1/31


筆者プロフィール

名前:紅 花子(べに はなこ) 
性別:女
PR:正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在はフリーライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

医療経営士3級のテキストより 生命倫理 医療倫理

 

元看護師のフリーライター、紅花子です。当コラム、第\目となる今回は、医療経営士3級用のテキストの8冊目、「医療倫理と生命倫理」についてみていきます。

 

今回ターゲットとなっているのは、“倫理”という言葉。これは、医療者であれば誰もが根底に持つべき考え方かもしれません。

 

“倫理”とは何か

 

“倫理”という言葉からは、何を想像するでしょうか。国語辞典などには「人として守り行うべき道であり、善悪・正邪の判断において、普遍的な規準となるもの」などのように書かれていることが多いでしょう。

 

このままでは漠然としていますが、人として社会生活を送る上での決まり事であり、より多くの人が良いか悪いかでいえば“良い”、正しいか邪かでいえば“正”と考える事柄、と考えると分かりやすいでしょうか。

 

さて、今回のテキストでは、この“倫理”にさらに一歩踏み込んで、“生命倫理”と“医療倫理”について触れています。

 

いずれの考え方も、これという決定打があるものではなく、より多くの人が「多分、こちらの方が正しい」と考えるもののようです。しかし、いずれの考え方も、日常的に患者さんやそのご家族に接している医療者であるかどうかで、少し違ってくるのかもしれません。

 

特に、医療経営士という資格は、元々医療者でなくても、取得することが出来ます。全体的にみて、医師や看護師などの医療者の方が、合格率は高くなるのかもしれませんが、それ以外の職種に就いている人にとっては、この“生命倫理”や“医療倫理”は、理解しにくい分野なのかもしれません。

 

医療者に求められる“倫理の原則”は、次のようになります。

 

 

“生命倫理”と“医療倫理”

 

“生命倫理”という言葉は、ある意味造語です。1970年代初め頃に、アメリカで生まれた“Bio(生命)”と“Ethics”を合わせた言葉が語源となっているようです。

 

“バイオエシックス”という言葉の定義は、1978年に発刊された「生命倫理百科事典」までさかのぼります。

 

それ以降、この事典は数回の改定を重ね、現在(第3版)では「学際研究において、様々な倫理学的方法論を導入して行われる、生命科学と医療についての倫理的な洞察・判断・行為・制作を含む倫理的次元に関する体系的研究」となっているようです。

 

医学の進歩により、この数十年間の間には、先端医療(臓器移植や生殖医療など)が発展し、これらに対して社会がどう向き合うか、という観点での考え方まで、広がってきたためかもしれません。

 

例えば臓器移植。日本ではここ数年の間に、「15歳以下の臓器提供者は倫理的に許されるのか」という議論が持ち上がったことがあります。

 

医療的には“生存”はしているけれど、生命維持装置を使わなければ死に至る状態である臓器提供者が、未成年の場合は誰が「臓器を提供する」ことを決めるのか、ということです。

 

端的にいえば、子どもの死の瞬間を親が決めるのか、ということですね。あるいは、クローン技術により動物のクローンを誕生させることは出来ても、クローン人間は誕生させてはならないなど、医学の進歩と倫理観については、かけ離れてしまっている部分もあります。

 

つまり、現在の科学をもってすれば、倫理を超えた“何か”を実行することは可能である、でもやらない、ということです。

 

では、“医療倫理”はどうでしょうか。これはごく単純に考えれば“医療者として、やるべきこととやるべきではないことの線引き”と、捉えることができます。しかし、実際の医療現場では、そんな単純なことではなく、あらゆるシーンで「医療倫理的にはどうするべきか」という判断を求められることがあります。

 

また、日本の医療制度特有の問題や、それに対する解決策もあるでしょう。例えば、日本医師会のサイトでは、これらのことを様々な観点から検討し、考え方の例示として、「医の倫理の基礎知識」として公開されています。

 

“倫理”の根底にあるべき?双方での信頼関係

 

現在の日本では1つの病態に対して複数の治療法が存在する場合があります。これも、数十年前では考えられなかった状況であり、当時は医師が「○○という治療をします」といえば、患者さんは「お任せします」となりました。

 

しかし現在では、インフォームドコンセントにより、患者さん自身が、自分の抱える病状だけではなく、経済的なこと、社会的なこと、自分自身の生活の質(QOL)を元に、複数のうちから1つの治療法を選択できるようになりました。

 

 

このままなら良いのですが、こういった考え方が増長したことで生まれたのが、コンプライアンスが悪い患者(ノンコンプライアンス)、モンスター患者、コンビニ受診などの、いわゆる“困った患者さん”です。

 

これらのケースでは、医師を含む医療者と患者さんとの間に、適切な信頼関係を築くことは難しく、“医療倫理的な観点”からみると、どう対処することが正解なのかが分からなくなることがあります。それが医療機関の実情でもあるのです。

 

医療経営士という立場からすると、このような“困った患者さん”に接することは少ないかもしれません。しかし、医療機関の経営を担う立場なのであれば、このような患者さんとの信頼関係をどう築いていくかが、問題解決の糸口になるかもしれません。

 

命をコントロールできてしまう医療者の“倫理感”

 

医療を題材としたドラマなどでは、ちょっとした気の迷い(中には、明らかに悪意を持つこともありますが)から、患者さんの病状を悪化させてしまう、あるいは死に至らしめてしまうシーンがあります。

 

しかし、実際の医療者は“生命倫理”や“医療倫理”という考え方の元で仕事をしていますので、「実際にこの薬剤を投与したら(あるいは投与しなかったら)患者はどうなるか」を常に考えています。

 

場合によっては、他人の命をコントロールすることもできてしまうのが、医療者という職業なのです。

 

薬剤だけではありません。患者さんにとって、何が一番、安全かつ安楽であると思えるか、どうすればその人が「その人らしく」生きることが出来るのか、頭の中では常に「他人のためにどうするか」を考えている職業が、医療者なのです。

 

この医療者が働きやすい環境を作り出し、より多くの患者さんを集めて経営を安定させること、これが医療経営士に求められる、もっとも根底にあるべき考え方なのかもしれません。

 

まとめ

 

今回は、医療経営士3級用のテキストの第8巻、「生命倫理/医療倫理」についてみてきました。人として社会生活を送る以上、どのような職業でも、その職業における“倫理”は必要です。

 

しかし医療者の場合は、人の命をコントロールすることができる立場であるがゆえに、全てにおいて“倫理”という概念は、もっとも重視されるべきものかもしれません。

 

医療経営士という立場であるならば、現在の倫理感、つまり世の中のより多くの人が良い、あるいは正しいと考えることは何なのか、これを常に考えていくことが必要なのではないでしょうか。

 

参考資料

 

一般社団法人 日本医療経営実践協会
医療経営士とは
http://www.jmmpa.jp/about/

 

医療経営士初級テキスト第8巻【第2版】
「生命倫理/医療倫理」-医療人としての基礎知識-
編著者代表: 箕岡真子氏(東京大学大学院医学系研究科医療倫理学分野 客員研究員、箕岡医院内科医師)

 

日本医師会 医の倫理の基礎知識
http://www.med.or.jp/doctor/member/001014.html

 

日本看護協会 看護実践情報 倫理
http://www.nurse.or.jp/rinri/basis/ethics/

 

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紅 花子

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