【医療経営士】3級のテキストより 医療経営士に求められる“考え方”

第10回:【医療経営士】3級のテキストより 医療経営士に求められる“考え方”

【医療経営士】3級のテキストより 医療経営士に求められる“考え方”

■ 記事作成日 2017/3/6 ■ 最終更新日 2017/3/6


筆者プロフィール

名前:紅 花子(べに はなこ) 
性別:女
PR:正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在はフリーライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

医療経営士3級のテキストより 医療経営士に求められる“考え方”

 

元看護師のフリーライター、紅花子です。

 

当コラム、第10回目となる今回は、試験直前でもありますので、これからの医療経営士に求められるであろう“考え方”について、考えてみたいと思います。

 

医療における“経営

 

一般企業を中心にして考えると、“経営”という言葉には、次の様な意味があるといえます。

 

  • 企業方針に則り、必要な組織を整え、目的を達成するように事業を管理すること
  • 成長すべき規模を定め、工夫を凝らして、物事を行うこと

 

あるいは、これらの業務を遂行すること自体を“経営”と呼ぶのかもしれません。例えば、製造業であれば、材料を仕入れる人、材料を用いて製品を作り出す人、出来た製品を売る人、これらを管理する人など、様々な人が“経営”には関わってきます。

 

経営者の立場からは、これらの多くの人材を集めて組織化し、それぞれの組織における方針や目標を定め、利益を得るような業務を行うことが求められます。

 

では、医療分野においてはどうでしょうか。

 

例えばクリニックを開業した場合、患者さんを集め、必要な医薬品などを使用して医療サービスを提供し、診療報酬(利益)を得ることで、経営は成り立っていきます。

 

規模の大小にかかわらず、自分たちができる精一杯の医療を提供し、患者さんの診療・治療を行い、その代償として収入を得ているわけです。

 

当たり前じゃないか、というご意見もあるでしょう。しかし、ここでポイントとなるのが、医療機関と患者さんとの関わり方ではないでしょうか。

 

病院の収入と支出

 

美容外科など自由診療の場合は、実際の収入はクリニック側の“言い値”の積み重ねです。しかし、保険診療を行う医療機関であれば、収入の多くは全国統一の“診療報酬”で決まってきます。

 

仮に、2つのクリニックがあったとします。この2つが、まったく同じ診療科、備えている設備も同等、患者さんの数がほぼ同じならば、検査や治療の内容で変わるとはいえ、収入はほぼ同等となるでしょう。

 

そこから一歩抜け出すためには、他のクリニックには無い設備を備える、他では受けることができない検査や治療を行う、あるいは患者数を大幅に増やすなどの、“経営努力”が必要になるのです。

 

もちろん、クリニックであれば医師のウデが“経営”上の重要なポイントになります。しかし、医師よりも長い時間患者さんと接するであろう、看護師や医療事務など、メディカルスタッフの接遇マナーなども重要です。

 

クリニックの清潔さや、患者さんが移動しやすい動線など、他には無い何かも、患者さんを集めるためには考えるべきポイントとなります。クリニックにおいてこれらを整備していくことは、そのまま投資=支出に繋がりますよね。

 

また、医療機関における支出のうち、もっとも高いのは人件費です。これに、医薬品費、診療材料費、経費などが続きます。

 

 

医療経営においては、この収入と支出のバランスを維持していく必要があります。しかし、患者数が少ないからといって単に人件費を下げるとか、後の大きな収入につなげるべく過大な投資をするとか、単純なものではありません。

 

今現在かかっている費用や業務内容の中にムリ・ムダは無いか、提供する医療サービスの質を変えずに抑制できる経費は無いかなど、医療機関全体の見直しが必要になるのではないでしょうか。

 

病院だけど“ブランディング”?

 

ここ数年、一般企業(中小企業)や自治体などの間で、“ブランディング”を行うところが増えています。

 

では、“ブランディング”とは一体、どのようなことでしょうか。また、よく似た言葉に“ブランド”があり、この2つは混同されがちな言葉ですが、少しだけ意味が違うのです。

 

  • ブランド:顧客からの「あそこなら間違いない」という信頼
  • ブランディング:顧客との価値の共有と、商品(サービス)の差別化を図るために必要な活動全般

 

であるといわれています。ブランドを確立しつつ、幅広くブランディングを行うことで、より多くの顧客を集めることが、企業の“経営”には、必要であると考えられているのです。

 

では医療機関ではどうでしょうか。

 

「あの病院なら間違いない」これは病院にとっての“ブランド”です。ブランドを確立していくために、患者さんと価値を共有し、自院が提供する医療サービスの差別化を図っていくことが、これからの病院経営には必要とされるでしょう。

 

これが医療機関にとっての“ブランディング”なのです。

 

医療機関が“ブランディング”を行う方法はたくさんあります。例えば

 

  • Webサイトを充実させて病院の情報を広く発信すること、
  • 治療成績を上げて「あの病院なら間違いない」というイメージを持ってもらうこと、
  • メディカルスタッフの接遇スキルを向上させること

 

などなど、例を上げればキリがありません。

 

昔の医療経営では、こういった“ブランディング”にはあまり注目されていなかったかもしれません。なぜなら、特別な悪い「噂」がなければ、患者さんは自然に集まってくるものだったからです。

 

しかし現在は違います。患者さんは予め「どのような病院なのか」「どんなウデの良い医師がいるのか」「他の患者さんからの評判はどうか」など、様々な情報を得ることで、受診先を自由に選択できるようになったからです。

 

つまり、医療機関は「患者さんに選ばれる」ものとなる必要がある、ということです。これは、一般企業の“経営”と、共通する部分ともいえるのです。

 

まとめ

 

時代の流れとともに変わってくる“医療経営”ですが、筆者自身は元看護師ですので、その根底にあるのは、患者さんの安全・安楽であると考えています。

 

それを第一に考えつつ、どうすれば収支のバランスを維持していけるのか、数年ごとに変わる診療報酬にどう対応していけば良いのか。

 

また、医療分野は、非営利であるという“考え方”がありますし、独特のキャッシュフローもあります。その反面、一定以上の利益を出していく必要がありますし、マーケティング的な“考え方”を必要とする部分もあります。

 

つまり、画一的な捉え方だけではなく、様々な角度からの“考え方”が、必要であるといえるでしょう。

 

参考資料

 

一般社団法人 日本医療経営実践協会
医療経営士とは
http://www.jmmpa.jp/about/

 

日本医師会 医の倫理の基礎知識
http://www.med.or.jp/doctor/member/001014.html

 

公益社団法人 日本マーケティング協会 マーケティング定義
http://www.jma2-jp.org/main/index.php?option=com_content&view=article&id=42:newsflash-4&catid=3:newsflash

 

株式会社船井総合研究所 BRANDING NAVI ブランディングとは
http://www.brandingnavi.com/a0000/

 

この記事をかいた人


紅 花子

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