臨床・新薬開発現場（メディカルドクター）への転職

「メディカルドクター」という仕事を、聞いたことがあるでしょうか。これは、製薬会社内で働く医師の仕事です。企業内医師と呼ばれることもあり、新薬の臨床開発で治験データの解析や厚生労働省に申請する書類の評価などを行うのが仕事です。

つい近年まで、メディカルドクターの募集は外資系製薬会社で多く見られていました。しかし最近では、少しずつ内資系製薬会社でもニーズが増えてきています。まだまだ誰もが知る職種というわけではありませんが、メディカルドクターは今後さらに求められる仕事として注目されています。

医師という職業を選んだ人の多くは、「1人でも多くの患者さんを治していきたい」といった思いを持つ方が多いでしょう。しかし実際には医療技術が追いつかず、治らない病気もたくさんあります。自分の知識・経験で治せる病気は限られており、そう考えると、新しい治療法や新薬で救われる命がもっとあるかもしれません。

新薬開発と聞くと、薬剤師の仕事のように思われがちです。しかし実際、開発のプロデュースや全体の責任管理は医師が担当しています。医師がその臨床経験を活かして新薬開発に携われば、早く新薬を開発できる可能性は高いのです。臨床現場だけが、患者を救える道とは限らないのですね。

メディカルドクターは臨床開発に携わるメンバーの一員として、開発試験の計画立案やオーソリティードクターなどからの意見聴取、臨床開発部門における開発と試験の進捗管理などを行います。

外資系製薬会社での臨床開発であれば海外本社と連携し、日本の開発部に対し指示を出すようなこともあるようです。なぜなら外国と日本では、人体における様々な要因で薬の効き方が違ってくる可能性があるためです。

メディカルドクターの年収は、医療機関に引けを取らないほど高収入です。年収で約1500万円を目標にできる程度と考えれば良いでしょう。

もちろん企業の規模や、医師としての実績・能力によって収入は異なります。例えば特定の疾患領域で5年以上の経験があったり、あるいは実際に治験業務に携わった経験があったりすれば、年収だけでなく採用の可能性も一気に上がるでしょう。

また最近では海外と連携した臨床開発も増えており、英語力がある程度は求められます。しかし目安としてTOEICスコア700程度があれば、転職先は広く見つけることができるはずです。

医師の中には、年収アップを目指してメディカルドクターになる人も多くいます。またメディカルドクターは企業勤務ですので、勤務時間や休日も決まっていることからプライベートな時間が持てるというメリットを感じ、目指している人も少なくありません。まさに、医療機関とは異なったメリットのある職場といえるでしょう。

医療機関で勤務する医師にとっては、全く異なる業務内容・職場環境になりますので、不安もあるかもしれません。しかし医師としての知識・経験を活かし、人の命を助ける仕事であることは変わりませんので、1つの選択肢として考えてみても良いのではないでしょうか。

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