医師の転職先を病院機能から考える 中核病院の定義とは

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中核病院と医師の転職

医師の転職先を病院機能から考える 中核病院の定義とは

■ 記事作成日 2016/11/28 ■ 最終更新日 2016/11/28

 

医師が転職を考える時、何を基準に転職先を選ぶのでしょうか。

 

例えば、病院が担う役割から考えることもありますよね。「病院が担う機能」にはいくつかの定義がありますが、その中でも、時折耳にする「中核病院」という言葉があります。

 

現在では何気なく使われている言葉ですが、どのような病院のことを定義しているのでしょうか?

 

中核病院とは

 

「中核」という言葉自体には、“物事の中心”・“重要な部分”といった意味があり、病院においても何かの中心的存在になるような病院の場合にこの言葉が用いられています。

 

しかし、一言で「中核病院」と言っても、実はその中には2のパターンがあります。

 

1つは複数の診療科や高度な医療機器を備えた地域医療の拠点としての役割を担う地域中核病院という意味です。もう1つは、臨床研究や治験などの分野で中心的な役割を担う臨床研究中核病院・治験中核病院のことです。

 

これらの病院は医療法で制度化されており、要件を満たした病院が承認を受けその役割を担っています。

 

一般的に中核病院と言われる場合には前者の地域中核病院の意味で使われている場合が多いと思われますが、それぞれの中核病院について少し詳しくみていきましょう。

 

地域中核病院とは

 

地域中核病院とは、一般的にその地域内のクリニック等では行うことが難しい専門的な検査(CTやMRI等)や、地域内の他の医療機関では提供することが難しい医療行為(緩和ケア等)を提供することができる医療機関のことです。

 

地域中核病院では、いわゆる「かかりつけ医」から紹介を受けた患者に対し、高度な医療を提供します。

 

ある程度治療を行い、症状が安定した際には再びかかりつけ医へ紹介し(逆紹介)、さらに高度な医療が必要になった場合は大学病院等の特定機能病院へ患者を紹介するなど、地域全体における医療の中核を担っています。

 

医師の転職先を病院機能から考える 中核病院の定義とは

 

また、地域中核病院という言葉は、地域医療支援病院のことを示す場合もあります。

 

地域医療支援病院とは、病院の機能体系の中で一般病院と特定機能病院の中間に位置し、地域内の「かかりつけ医」や中小病院からの紹介患者に対する医療の提供、所有する医療機器の共同利用、救急医療の提供、地域内の医療従事者に対する研修の実施が役割として与えられています。

 

平成24年の時点のデータによると、その数は全国で386病院。地域医療支援病院として認定されるには、一定以上の要件を満たした上で、厚生労働省からの承認を受ける必要があります。

 

臨床研究中核病院と治験中核病院について

 

【臨床研究中核病院】

 

臨床研究中核病院とは、2015年4月に医療法上で制度化され、日本初の革新的な医薬品や医療機器の開発を推進するための国際水準の臨床試験等の中心的な役割を担う病院とされています。臨床研究中核病院の承認を受けるための要件は以下の通りです。

 

臨床研究中核病院の承認要件の概要

 

  • 能力要件
  •  不適正事案の防止等のための管理体制の整備
  •  各担当部門・責任者の設置、手順書の整備等の規定
  •  実績 自ら行う特定臨床研究の実施件数
  •   主導する他施設共同の特定臨床試験の実施件数
  •   他の医療機関が行う特定臨床試験に対する支援件数
  •   特定臨床研究を行う者等への研修会の開催件数
  • 施設要件
  •  診療科10以上
  •  病床数400床以上
  •  技術能力について外部評価を受けた臨床検査室
  • 人員要件
  •  臨床研究支援・管理部門に所属する人員数が一定条件を満たすこと

 

承認要件を満たすハードルは高いと言われていますが、臨床研究のレベルアップを図るためには高い承認要件を設定すること重要です。

 

現在では以下の8病院が、臨床研究中核病院としての要件を満たした病院です。

 

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【治験中核病院】

 

治験中核病院は高度な専門知識や経験が要求され、実施に困難が伴う可能性のある治験を、計画・実施できる病院です。治験中核病院には、専門部門やスタッフが配置されており、治験を遂行するための基盤が整備されていなければなりません。

 

治験中核病院としての認定を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。

 

治験中核病院の要件

 

  • 医師主導治験を含む臨床研究が円滑に実施され、他機関との共同研究を主導できるよう、研究計画の立案・統計解析、データマネジメント等を行うことができること。
  • 他の共同研究を行う医療機関に対して、治験等に関するコンサルティング機能を提供できること。
  • 治験手続等が円滑に実施されるよう、治験事務等の効率化を図っていること。

 

現在では以下の10病院が、治験中核病院としての要件を満たしています。

 

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地域の中核病院で働くということ

 

「中核病院」という言葉の意味は複数ありますが、ここでは「地域中核病院」を対象に考えてみます。

 

地域中核病院で働く場合は、自分の住んでみたいエリアや、病院の採用条件によって、様々な選択肢があるでしょう。

 

どの都道府県にもその地域の中核病院はありますし、医師不足に悩むエリアでは好条件の求人が存在することもあります。

 

特に「あと数人の●●科の医師がいないと、その診療科を閉鎖しなくてはいけない」という状況は、日本の各地で起きています。医師の転職は他の職業よりも難しい側面はありますが、検討の余地はあるのではないでしょうか。

 

全国的にみた臨床研究・治験の中核病院で働くということ

 

では、臨床試験中核病院、治験中核病院はどうでしょうか。

 

これらの病院で働く場合には、通常の診療行為以外に、臨床試験や治験に絡む診療に多く従事することになります。研究機関や製薬会社・医療機器メーカーなどとタイアップして様々な試験をこなしていくためです。

 

また、2003年に薬事法が改正され、製薬会社と同じように医師自らが治験を企画・立案できるようになりました。これを、医師主導治験といいます。

 

海外では既に承認されていたり、既に標準薬として確立されていたりする薬物で,日本においても臨床現場での承認が望まれる薬物等があるにも関わらず、採算性等の理由から製薬企業が治験を行わない場合があります。

 

医師主導治験は、こういったケースで医師自らが治験を実施することを可能にするために制度化されたという背景があります。

 

医師主導治験では医師自らが、治験実施計画書等の作成、治験計画の届け出、治験の実施・モニタリング、監査、そして試験結果の取りまとめまで、実施医療機関と協力しながら統括していく必要があります。

 

また、医師主導試験では未承認薬は被験薬として用いないという特徴もあります。

 

つまり、被験薬は日本国内において未承認であっても、海外において承認を得ている薬剤でなくてはなりません。表現が難しいのですが、薬が効くかどうかを検証するということではなく、薬の効果の大きさを検証することが目的になるわけです。

 

このように、臨床研究中核病院や治験中核病院では企業治験のみならず、医師主導試験などを通じて治験のスペシャリストを目指していくことができます。

 

プロトコールなどを作成できる人材はまだまだ少なく、臨床研究の進歩のためにも現場のニーズは大きいと思われます。

 

まとめ

 

いずれにしても、「中核病院」と名の付く病院は、病院内の体制が整っている点、周辺の医療機関や関係する各地の医療機関等との連携が取りやすい点など、医師として従事するには働きやすい面も多いのではないでしょうか。

 

今後、医師としての転職を考える場合には、自分自身が目指す「医師としての働き方」を根底におきながら、検討の対象とすることをオススメします。

 

【参考資料】

 

厚生労働省 地域医療支援病院について
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000253pd-att/2r985200000253tc.pdf

 

厚生労働省 医療法に基づく臨床研究中核病院
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/D-3-1.pdf

 

厚生労働省 臨床研究中核病院について
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/tyukaku.html

 

厚生労働省 治験中核病院・拠点医療機関一覧
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/chiken/08.html#tyukaku

 

公益財団法人 日本医師会 治験促進センター 医師主導治験
http://www.jmacct.med.or.jp/clinical-trial/

 

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2015年12月10日、厚生労働省では「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第1回)」が開催されました。昨今の医療事情を反映しながら学部の定員増措置の見直しを図るなど、今後の医師の数を左右する、重要な検討会となるようです。
医師の需要と供給のバランスは?その2=医師転職市場分析=
2015年12月10日、厚生労働省が「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第1回)」を開催しました。ここでは、全国的にみた「医師数を鑑みた医学部定員の在り方」が検討されていました。前回の当コラムでは、医師の数が増えている一方で、地域格差が埋まっていない現実をおつたえしましたが、今回も引き続き、「医師が求められている地域はどこか」を考えてみたいと思います。
医師の需要と供給のバランスは?その3=直近5年間の動向=
厚生労働省では、数年ごとに「必要医師数実態調査」を行っています。その一方で、「医療施設(静態・動態)調査」という調査も行い、その時点での診療科別、都道府県別などの医師数および歯科医師数を把握しています。
必要医師数と必要求人医師数とのギャップの意味は?=日本医師会調査より=
厚生労働省では、数年ごとに「必要医師数実態調査」を行っていますが、2015年には日本医師会がこの調査を行いました。この調査結果からは、「必要医師数」と「必要求人医師数」とのギャップを見て取ることが出来ます。
少子高齢化ニッポン、最も患者不足となる地域は?=市場分析=
医師の仕事は、患者さんがいないと始まりません。つまり、人口が多いところには多くの病院ができますし、医師の需要も高くなります。
病床機能の転換は進むのか?迫る転換期限
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所謂「地域に必要な医師数」とはどのように決められているのか?
日本では全国的に「医師不足」が叫ばれて久しいですが、本当にそうなのでしょうか。 確かに、有効求人倍率は常に1倍を超えていますし、どこの地域で勤務する医師でも「人手が足りない」と感じることは多いでしょう。
医師転職の難しさを、地域医療の医師偏在問題から考える
日本全国で医師不足が公の場で議論されるようになって、早10年。実はそれ以前に一度、医学部定員を減らす、という動きがあったそうです。
ポイントは「高齢化社会への対応」 厚生労働白書からみる必要な医師
先日、厚生労働省より「厚生労働白書」が公表されました。厚生労働白書とは、厚生労働省がおこなっている行政に関する年次報告書として位置づけられており、毎年少しずつ、取り上げる内容が変化しています。
公立病院への転職 医師としてのメリットはあるのか?
医師が活躍できる場所は様々な分野にありますが、中でももっとも多くの医師が勤務するのが病院などの医療機関です。医療機関は規模や特性によって、様々に分類されており、それぞれに期待されている役割、担うべき役割があります。
医師の需要は高いが、どうする?一般内科医への転職は正しい道なのか
医師という職業は、非常に多くの専門領域に分かれますが、その中でもよく見かける「一般内科」という言葉。単純ですが、だからこそその責務が分かりにくい言葉かもしれません。今回はこの「一般内科」と、今後増えてくるであろう「総合診療専門医」について考えていきたいと思います。
医師の「外来のみ勤務」への転職は可能か?
医師が働く現場としてもっとも多いのが医療機関です。しかし、入院施設のある病院では、夜間勤務や当直、オンコールなどの対応がつきもので、そういった夜間の対応に負担を感じる医師も多いのではないのでしょうか。
止まらない医師の偏在問題 自治体が医師数を完全コントロールする時代へ?
日本で全国的に“医師不足”が叫ばれるようになってから、早10年以上。ここ数年は、国が中心となって“医学部増員”を図っており、推計では2024年(平成36年)頃には、医師の需要と供給は均衡すると考えられています。
医師が総合病院へ常勤転職することは、吉なのか凶なのか
近年、病床数の変更や病院の統合などによって、医師確保対策に乗り出している、いわゆる“総合病院”。現在の医療法では、この名称への基準は無くなりましたが、それでもまだ、医師の転職先の選択肢として“総合病院”が視野に入ることは多いのではないでしょうか。
医師の“急性期病院への転職事情”を考える(公立編)
医療業界は日々目まぐるしく変化を続けています。その影響は、病院の機能にも及んでいます。今回は、ここ数年で色々な“変化”を余儀なくされている、急性期病棟に焦点を当てていきたいと思います。
医師がクリニックへ転職するメリットとは?
医師の就職先といえば、“病院”というのが一般的でした。しかし、近年では勤務スタイルの多様化に伴い、クリニックへの就職・転職を希望する医師も増加しており、実際に求人情報も増加してきています。
医師転職サイトの“非公開求人”の実態とは?
日ごろから多忙な医師にとって、時間的・精神的な負担をかけずに、効率よく“優良な求人情報”を探す手段とは、どのような方法なのでしょうか?近年、医師の転職方法の主流になりつつある医師転職支援サービスの“非公開求人”について、詳しくご紹介していきたいと思います。
一般病院への転職、何を見てどう考える?
日本の医療分野では、一般病院という呼び方への明確な定義はありませんが、大学病院や特定機能病院との違いを明確にするために、一般病院と呼んでいる傾向にあります。
転職を考えるなら今!医師に求められる“地域医療”への対応力
現在の日本の医療は、抜本的な改革無しには立ちいかない状況に追い込まれています。そんな現在を生きる医師に対し、これまでの“狭く深い”分野での専門性から、“より広く深く”対応する力が求められています。今、医師が転職を考えるなら、このようなスキルを必要とされる“地域医療”に対応できる力を養うことも必要かもしれません。
いくつになっても可能なのか!?中堅医師の大学病院への転職
“大学病院”というとベテランの医師もいますが研修医も含め若い医師が多いというようなイメージがありませんか。医師以外の例えば看護師なども、卒後すぐに就職する先が大学病院である人が多いため、どうしても平均年齢は若くなります。今回は、大学病院で求められる医師の資質と、中堅以降での大学病院への転職について、考えてみます。
急性期病院への転職事情を考える(民間病院編)
以前、公立病院の急性期病院への転職に関する情報をお伝えしました。今回は、民間病院の急性期医療に着目していきます。公立病院と比較しながら、民間病院ならではの視点で概要をご紹介していきます。
必要医師数と医師確保対策から医師の転職を考える
全国的に医師不足が叫ばれているものの、平成36年ころには医師数は需要と供給のバランスが取れるとされています。しかし、それはあくまでも全体で見た医師数の話であり、都道府県別に見ると、現在でも医師数の需要と供給のバランスには、偏りが見られており、今後もその傾向は高まることが予測されます。

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