転職を考えるなら今!医師に求められる“地域医療”への対応力

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転職を考えるなら今!医師に求められる“地域医療”への対応力  

地域医療構想についてどこまでご存じですか?

■ 記事作成日 2017/2/1 ■ 最終更新日 2017/2/1

現在の日本の医療は、抜本的な改革無しには立ちいかない状況に追い込まれています。そんな現在を生きる医師に対し、これまでの“狭く深い”分野での専門性から、“より広く深く”対応する力が求められています。

 

今、医師が転職を考えるなら、このようなスキルを必要とされる“地域医療”に対応できる力を養うことも必要かもしれません。

 

再考、地域医療とは何なのか

 

日本は少子高齢化の時代に突入し、平成25年の時点で、65歳以上の高齢者が総人口に占める割合は25.0%となりました。

 

総務局の統計調査によると、平成47年には65歳以上の高齢者が総人口に占める割合は33.4%にも上るとされており、約3人に1人が高齢者という時代がやってきます。

 

では、地域医療とは何なのかを考えていく上で、注目すべき“地域医療構想”という言葉を考えてみます。

 

政府は、日本の高齢化が止まらない現状を受け、平成26年に“地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(平成26年法律第83号。以下「医療介護総合確保推進法」)”を制定しました。

 

この法律の施行により、各都道府県では、平成27年4月以降、都道府県ごとの“地域医療構想”を策定することになりました。

 

 

各都道府県が策定する“地域医療構想”の中では、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて病床の機能分化や連携を進めることを目的とし、2025年に必要な医療機能と病床を見極めて定めるものとしています。その具体的な内容とは、

 

  • 医療需要と病床の必要量を、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4機能ごとに推計すること
  • 在宅医療などの医療需要を推計すること
  • 在宅医療などの充実
  • これに向けた医療従事者の確保

 

などとされています。

 

2025年には、65歳以上の高齢者の総人口に占める割合は30%を超えることが予測されています。

 

高齢者は何かしらの疾患を有して、生活している人も多いことから、生きていくための医療を受けざるを得ない人が多くなります。しかし、病院、病床にも数に限りがあることから、全てのケースに対して、医療機関内での医療を提供できるとは限りません。

 

そうした中、病院の機能を分化し、医療機関同士で連携しながら、地域の医療を充実させ、地域の一定のエリア(地方自治体)の中で医療を完結することで、必要な人に必要な医療を提供することができるようになる、というのが政府の考え方です。

 

また、各都道府県では、地域医療対策協議会を発足させ、医療法第30条の23に則り、医療従事者の確保に対して協議し、必要な施策を策定、公表することになっています。

 

これにより、従来の“医療計画”で協議すべき5疾病・5事業及び在宅医療に加え、“地域医療構想調整会議”での協議により、“医療計画”の中に、「医療計画(地域医療構想)において定める将来の病床数の必要量を達成するための方策等、地域医療構想の達成を推進するために必要な事項について」も定めていくことになります。

 

つまり、在宅医療に対する施策を充実させていく必要があるのです。

 

医療圏と医療計画

 

地域医療を見ていく上で、押さえておきたいポイントは、各都道府県が策定する“医療計画”です。医療計画とは、医療法第 30 条の 4 に基づき、“都道府県が地域の実情に応じて医療提供体制の確保を図るために策定する行政計画”のことを言います。

 

医療計画は、おおむね5年に一度のペースで改定されており、多くの都道府県では、平成 25年〜平成 29年度を計画期間とする、第6次医療計画が現行の計画となっています。

 

終戦直後の日本は医療の壊滅や公衆衛生の不整備により、感染症などが蔓延し、医療の質や量の確保が最重要課題となっていました。

 

その後、医療法の改正により、公的医療機関に対する助成規定、開業医の優遇税制や医療金融公庫の設立したことや国民皆保険制度の導入によって医療需要度が高まったことも後押しとなり、高度成長期以降、全国の病院数は爆発的に増加しました。

 

しかし、病院数や病床数の総量が増えていくものの、公的医療機関と民間医療機関の役割があいまいとなってしまっていることや、地域および診療科の偏在が顕著となってきたことから、無秩序に増え続ける病床数の増加を抑え、一定の地域内全体での均等を図るべく、医療計画が策定されることとなり、昭和60年に第一次医療計画が策定されました。

 

それからおよそ30年、医療計画は策定を重ねるごとに内容が拡充し、“5疾病5事業と在宅医療”についての施策が盛り込まれた、現行の医療計画のようなスタイルへと変化してきました。

 

各都道府県が策定する医療計画には、策定当初より、医療圏が設定されています。医療圏とは、都道府県ごとの実情を踏まえ、比較的小さなエリアで第一次から第三次までの3種類のエリアが設定されています。

 

  • 一次医療圏:住民が医師等に最初に接し、診療や保健指導を受ける圏域であり、日常生活に密着した保健医療サービスが提供され、完結する範囲
  • 二次医療圏:人口や医療資源を元に、病院における一般的な入院医療の提供体制を整備することが相当と認められる地域単位のこと
  • 三次医療圏:専門的かつ特殊な保健医療サービスを提供する地域単位

 

この基準で考えると、多くの都道府県では、一次医療圏を市町村単位としており、対応する医療機関は、診療所や休日診療所などが該当します。

 

二次医療圏は、複数の市町村を束ねた範囲(地域によっては都道府県の中心となる市町村単位となる場合もある)であり、1つの都道府県あたり、5から15程度の範囲で分けられ、医療の中心として考えられるのは、一般的な“病院”です。

 

最も広域的な対応が必要とされる三次医療圏は、北海道、長野県の例外地域を除いて、都道府県単位で設定されています。三次医療圏の中心となるのは、主に特定機能病院に指定されている病院が該当します。

 

一次医療圏が市町村単位、三次医療圏が都道府県単位と考えると分かりやすいのですが、もっとも分かりにくいのが二次医療圏ではないでしょうか。

 

大まかに捉えるなら、二次医療圏=入院医療が提供できる医療機関があるエリアであり、そのエリア内では、入院加療が可能となり、二次救急医療、高度医療を除く周産期医療や小児医療など、“5疾病5事業”が完結できると思われる、となります。

 

例として、東京都のお隣、千葉県の医療圏をみてみましょう。

 

 

千葉県の場合、一次医療圏は各市町村単位ですが、緑色のラインで区切られたのが二次医療圏、オレンジ色のライン(千葉県全域)が三次医療圏です。

 

二次医療圏にはそれぞれ名称が付いていますが、このうち、千葉医療圏は千葉市のみ、市原医療圏は市川市のみで、1つの二次医療圏となっています。

 

地域医療支援病院の役割

 

地域支援病院とは、平成9年の第三次医療法改正に伴い創立された制度で、“地域で必要な医療を確保し、地域の医療機関の連携等を図る観点から、かかりつけ医等を支援する医療機関”として位置づけられています。

 

6つの要件を満たすことで承認され、平成22年の時点では、全国で316の医療機関が承認を受けています。

 

地域医療支援病院の役割とは紹介患者に対する医療の提供(かかりつけ医等への患者の逆紹介も含む)、医療機器の共同利用の実施、救急医療の提供、地域の医療従事者に対する研修の実施などがあります。

 

都道府県ごとに承認が可能となるため、都道府県ごとにその数は大きく異なるものの、これにより“病院”という比較的大きな規模で、地域密着型の医療を展開することが可能となるようになりました。

 

しかし、今後の高齢社会おいては、これだけにはとどまらず、個人の日常生活においての患者の健康管理を主体とした医療への需要が高まると考えられます。

 

そのため、かかりつけ医等を支援する地域医療支援病院の役割は、さらに重要なものとなることが考えられ、承認要件に対して見直しがなされることも考えられます。

 

今後の高齢化社会において、自分の地域で医療を完結していくことは、大きな課題となっていくことが予想されます。それに伴い、地域医療支援病院の役割は今以上に重要なものとなっていきます。

 

地域医療支援病院で学ぶ地域医療は、一次医療圏、三次医療圏など、どの医療圏においても役立つスキルではないでしょうか。

 

日本の医師数は、年々増加してはいるのですが、地域医療に携わる医師の高齢化や地域における偏在、医療資源の需要と供給のアンバランスさなど、課題は山積みです。

 

高齢化社会である日本では、医師への需要は、“狭く深く”から、“広く浅く”へと、変化しているのかもしれません。

 

同じ診療科でもより多くの症例を学べる環境、他の診療科との連携が深く学べる環境、こういった環境への転職などでスキルアップを図っていくことも、今後の医師に求められる資質となるのではないでしょうか。

 

【参考資料】

 

高齢者の人口 総務省統計局
http://www.stat.go.jp/data/topics/topi721.htm

 

厚生労働省 地域医療構想
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html

 

厚生労働省 医政局 地域医療計画課 地域医療構想・医療計画について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000131927.pdf

 

全国健康保険協会 医療計画と地域医療構想に関する基礎的ハンドブック
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/yamanashi/hyougikai/48/201531.pdf

 

厚生労働省 地位医療支援病院について
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000253pd-att/2r985200000253tc.pdf

 

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2015年12月10日、厚生労働省が「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第1回)」を開催しました。ここでは、全国的にみた「医師数を鑑みた医学部定員の在り方」が検討されていました。前回の当コラムでは、医師の数が増えている一方で、地域格差が埋まっていない現実をおつたえしましたが、今回も引き続き、「医師が求められている地域はどこか」を考えてみたいと思います。
医師の需要と供給のバランスは?その3=直近5年間の動向=
厚生労働省では、数年ごとに「必要医師数実態調査」を行っています。その一方で、「医療施設(静態・動態)調査」という調査も行い、その時点での診療科別、都道府県別などの医師数および歯科医師数を把握しています。
必要医師数と必要求人医師数とのギャップの意味は?=日本医師会調査より=
厚生労働省では、数年ごとに「必要医師数実態調査」を行っていますが、2015年には日本医師会がこの調査を行いました。この調査結果からは、「必要医師数」と「必要求人医師数」とのギャップを見て取ることが出来ます。
少子高齢化ニッポン、最も患者不足となる地域は?=市場分析=
医師の仕事は、患者さんがいないと始まりません。つまり、人口が多いところには多くの病院ができますし、医師の需要も高くなります。
病床機能の転換は進むのか?迫る転換期限
つい先日、厚生労働省の社会保障審議会の「療養病床の在り方等に関する特別部会」が行われました。この会議の中では、介護療養病床と25対1医療療養病床が、2017年度末以降にどう変わっていくのか、という課題への議論が行われています。
所謂「地域に必要な医師数」とはどのように決められているのか?
日本では全国的に「医師不足」が叫ばれて久しいですが、本当にそうなのでしょうか。 確かに、有効求人倍率は常に1倍を超えていますし、どこの地域で勤務する医師でも「人手が足りない」と感じることは多いでしょう。
医師転職の難しさを、地域医療の医師偏在問題から考える
日本全国で医師不足が公の場で議論されるようになって、早10年。実はそれ以前に一度、医学部定員を減らす、という動きがあったそうです。
ポイントは「高齢化社会への対応」 厚生労働白書からみる必要な医師
先日、厚生労働省より「厚生労働白書」が公表されました。厚生労働白書とは、厚生労働省がおこなっている行政に関する年次報告書として位置づけられており、毎年少しずつ、取り上げる内容が変化しています。
医師の転職先を病院機能から考える 中核病院の定義とは
医師が転職を考える時、何を基準に転職先を選ぶのでしょうか。例えば、病院が担う役割から考えることもありますよね。「病院が担う機能」にはいくつかの定義がありますが、その中でも、時折耳にする「中核病院」という言葉があります。現在では何気なく使われている言葉ですが、どのような病院のことを定義しているのでしょうか?
公立病院への転職 医師としてのメリットはあるのか?
医師が活躍できる場所は様々な分野にありますが、中でももっとも多くの医師が勤務するのが病院などの医療機関です。医療機関は規模や特性によって、様々に分類されており、それぞれに期待されている役割、担うべき役割があります。
医師の需要は高いが、どうする?一般内科医への転職は正しい道なのか
医師という職業は、非常に多くの専門領域に分かれますが、その中でもよく見かける「一般内科」という言葉。単純ですが、だからこそその責務が分かりにくい言葉かもしれません。今回はこの「一般内科」と、今後増えてくるであろう「総合診療専門医」について考えていきたいと思います。
医師の「外来のみ勤務」への転職は可能か?
医師が働く現場としてもっとも多いのが医療機関です。しかし、入院施設のある病院では、夜間勤務や当直、オンコールなどの対応がつきもので、そういった夜間の対応に負担を感じる医師も多いのではないのでしょうか。
止まらない医師の偏在問題 自治体が医師数を完全コントロールする時代へ?
日本で全国的に“医師不足”が叫ばれるようになってから、早10年以上。ここ数年は、国が中心となって“医学部増員”を図っており、推計では2024年(平成36年)頃には、医師の需要と供給は均衡すると考えられています。
医師が総合病院へ常勤転職することは、吉なのか凶なのか
近年、病床数の変更や病院の統合などによって、医師確保対策に乗り出している、いわゆる“総合病院”。現在の医療法では、この名称への基準は無くなりましたが、それでもまだ、医師の転職先の選択肢として“総合病院”が視野に入ることは多いのではないでしょうか。
医師の“急性期病院への転職事情”を考える(公立編)
医療業界は日々目まぐるしく変化を続けています。その影響は、病院の機能にも及んでいます。今回は、ここ数年で色々な“変化”を余儀なくされている、急性期病棟に焦点を当てていきたいと思います。
医師がクリニックへ転職するメリットとは?
医師の就職先といえば、“病院”というのが一般的でした。しかし、近年では勤務スタイルの多様化に伴い、クリニックへの就職・転職を希望する医師も増加しており、実際に求人情報も増加してきています。
医師転職サイトの“非公開求人”の実態とは?
日ごろから多忙な医師にとって、時間的・精神的な負担をかけずに、効率よく“優良な求人情報”を探す手段とは、どのような方法なのでしょうか?近年、医師の転職方法の主流になりつつある医師転職支援サービスの“非公開求人”について、詳しくご紹介していきたいと思います。
一般病院への転職、何を見てどう考える?
日本の医療分野では、一般病院という呼び方への明確な定義はありませんが、大学病院や特定機能病院との違いを明確にするために、一般病院と呼んでいる傾向にあります。
いくつになっても可能なのか!?中堅医師の大学病院への転職
“大学病院”というとベテランの医師もいますが研修医も含め若い医師が多いというようなイメージがありませんか。医師以外の例えば看護師なども、卒後すぐに就職する先が大学病院である人が多いため、どうしても平均年齢は若くなります。今回は、大学病院で求められる医師の資質と、中堅以降での大学病院への転職について、考えてみます。
急性期病院への転職事情を考える(民間病院編)
以前、公立病院の急性期病院への転職に関する情報をお伝えしました。今回は、民間病院の急性期医療に着目していきます。公立病院と比較しながら、民間病院ならではの視点で概要をご紹介していきます。

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