医師の需要が最も高い県はどこか?= 医師確保対策と医師必要数から考える

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医師の需要が最も高い県はどこか?= 医師確保対策と医師必要数から考える  

医師の需要が最も高い県はどこか?

■ 記事作成日 2017/4/18 ■ 最終更新日 2017/4/18

平成29年現在ではまだまだ医師不足が謳われているものの、平成36年ころには医師の「需要と供給」バランスが取れるとされています。今後は、医師も自分を積極的に売り込まなければならない時代がやってくるかもしれません。

 

しかし、見方を変えれば、「医師の需要が高い県やエリアであれば、自分を過度に売り込むことなく転職できる」という可能性も秘めています。今回は、いくつかの都道府県の医師確保対策と、必要医師数調査結果から、医師の需要が高い県やエリアはどこなのかを考えていきます。

 

 

病院側からみた「医師確保のための取り組み」

 

まずは、病院側が医師確保のためにどのような取り組みをしているのか、2015年に日本医師会総合政策研究機構が公表している「病院における必要医師数調査結果」のデータを元に考えてみます。

 

これによると、一番の「医師確保対策」として挙げられるのは、「勤務手当等の処遇の改善」です。多忙な医師という職業に対してそれ相当の報酬を準備することで、必要な医師を確保しようとしています。

 

次に挙げられるのが、医師事務補助の配置です。「医療事務補助」の主な役割としては、これまで医師が行ってきた書類の作成など、事務的な仕事を代行することで、これにより医師の業務負担軽減を図ります。

 

そして三番目に挙げられるのが、看護師等との業務分担の見直しによる業務負担軽減です。平成27年10月には、看護師の特定行為が認められるようになり、一部の医療行為を看護師が医師の指示なく行えるようになりました。この制度を積極的に取り入れよう、ということです。

 

 

また、これらの他にも、院内保育所の設置や短時間正規雇用等、勤務形態の導入も挙げられており、男性医師だけでなく、女性医師でも働きやすい環境づくりを目指していることが伺えます。

 

二次医療圏ごとにみた、必要医師数が多いエリアでの、“医師確保対策”は?

 

次に、都道府県を二次医療圏毎に区切り、必要求人医師数倍率が高いところを見ていきます。

 

 

秋田県 能代・山本医療圏

 

最も必要求人医師数倍率が高い二次医療圏は、秋田県の能代・山本医療圏です。このエリアは、秋田県内でも病床利用率や受療率は共に平均以下となる医療圏で、人口も秋田県内の1割未満となるエリアです。

 

秋田県では医師確保対策として、県内の若手医師の定着、県外からの医師の確保、女性医師の確保、医師を志す者への支援を行っています。

 

特に若手医師に対しては、地域循環型のキャリアシステムを導入し、大学病院と地域の病院の循環によりキャリア形成を支援し、若手医師にとって魅力ある労働環境を作り、県内への定着を目指しています。

 

岩手 二戸医療圏

 

ここは、医療提供施設数が県内の平均を下回り、医療圏内での医療完結率も県内の平均を下回っているエリアです。また、呼吸器内科医が不在、かつ、診療所への勤務医も少ない医療圏となります。

 

医師確保対策としては、県や大学の医局等と協力し、養成医師の配置や就学金制度の貸付、医療現場体験会等を実施しています。また、病院規模の医療機関が3施設しかない二戸医療圏では、県立二戸病院が中心となって研修医の確保を図っています。

 

このエリアに転職を考えるならば、常勤医師が不在である「呼吸器内科医」には、有利な転職が期待できるかもしれません。

 

静岡県志太榛原医療圏

 

このエリアは、入院患者の約57%が、他医療圏に頼っている圏域です。また診療医の相次ぐ退職により、診療体制の縮小が続いています。

 

医師の確保対策としては、地域医療再生臨時特例交付金を基に設置された地域医療支援センターを活用し、若手医師の養成などに力を入れています。また、子育て世代の中堅医師の離職防止や職場復帰を支援しています。

 

和歌山県 御坊医療圏および新宮医療圏

 

まずは御坊医療圏です。ここは県の人口のうち約6.7%が居住するエリアで、高齢化率も県の平均以上の圏域です。次は新宮医療圏ですが、こちらは県全体の約7.4%が居住するエリアですが、地理的にハンデのある土地でもあるため、医師の確保が全国的に見ても困難な地域となるようです。

 

この2つの医療圏が含まれる和歌山県の医師確保対策は主に、女性医師の支援、地域医療を担う医師の確保です。また、臨床研修指定病院が一体となって臨床研修体制の充実を図っています。

 

さらに新宮医療圏では、小児科医や産婦人科医が徐々に増えつつあるものの、医師の高齢化や若手医師の都市部への流出に伴い、医師の全体数は減少傾向が続いています。特に救急医療は

 

  • 初期(一次)救急は、休日・夜間の在宅当番医制が整備されているが、医師の高齢化により将来的には難しくなる可能性がある
  • 二次救急の指定病院は3病院あるもの、うち2病院は専門的な医療を展開することが難しく、1病院に負担が集中している

 

などの課題があるようです。

 

地域における、医師の偏在が浮き彫りに?

 

前述の内容を踏まえて、都道府県別の必要求人医師数を見ていきます。下記のグラフでは、上位5位は福井、秋田、静岡、岡山、新潟となります。しかし、二次医療圏別では、秋田、静岡は含まれるものの、福井、岡山、新潟はありません。その代わりに、二次医療圏別では、岩手、和歌山などが含まれていました。

 

 

これはなぜなのか。今回は和歌山県を例にとって考えていきます。

 

和歌山県は、県の北部に人口が集中し、県庁所在地を含む和歌山医療圏が県全体の人口の約43%を占め、医療機能も和歌山医療圏に集中しています。また和歌山県には、山村過疎地域を中心に無医地区が15か所、準無医地区が10か所あります。

 

和歌山県の保健医療計画によると「医療施設に従事する医師のうち、病院で働く医師の割合が60%程度、全国平均よりも低い。つまり、『病院勤務医の確保』が、大きな課題」となっています。和歌山県はへき地と呼ばれる地域が多く、その地域でこれまで医療を担ってきた医師は高齢化が進み、年齢や業務負担を鑑み、診療所での勤務医が多くなる傾向にあります。

 

若い医師は都市部へ流出してしまうことから、医師数が少ない上に病院で働ける医師が少ない、へき地医療を担う医師がいないなどの理由から、医療の偏在が大きな地域といえそうです。

 

和歌山県には「わかやまドクターバンク」のほかに、県が運営する「青洲医師ネット」もあり、県を挙げて常に医師募集中という状況です。

 

このように、県内都市部に人口や医療機能が集中する都道府県では、都市部に医師が集中してしまうため、県全体で見れば医師が充足しているように見えるのですが、二次医療圏毎に見ると、へき地の医師不足や病院勤務医の不足、医師の高齢化が浮き彫りになってくることがあるのです。

 

まとめ

 

 

都市部を構えつつ、へき地が存在している都道府県では、今後を見据えて特に若手の医師の需要が高くなります。へき地に近いとはいえ、救急医療を展開している医療施設が存在するエリアもあります。

 

こういった地域への転職は、医師の需要が高い環境であり、様々な分野の医療を学ぶことができるため、医師としてのスキルアップも期待できるのかもしれません。

 

 

【参考資料】

 

日本医師会 病院における必要医師数調査結果
http://www.jmari.med.or.jp/download/WP346.pdf 

 

秋田県地域医療連携計画(その1)
http://www.pref.akita.lg.jp/uploads/public/archive_0000003120_00/tiikikeikaku1.pdf   

 

 秋田県医療保健福祉計画  
http://www.pref.akita.lg.jp/uploads/public/archive_0000003120_00/kenkeikaku.pdf

 

岩手県保健医療計画
https://www.pref.iwate.jp/dbps_data/_material_/_files/000/000/002/229/iryo_plan_2013_2017.pdf

 

静岡県保健医療計画
https://www.pref.shizuoka.jp/kousei/ko-410/documents/11syou.pdf

 

和歌山県保健医療計画
http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/050100/iryokeikaku/documents/keikaku7.pdf

 

青州医師ネット
http://www.seishuishinet.com/

 

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医師の需要と供給のバランスは?その2=医師転職市場分析=
2015年12月10日、厚生労働省が「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第1回)」を開催しました。ここでは、全国的にみた「医師数を鑑みた医学部定員の在り方」が検討されていました。前回の当コラムでは、医師の数が増えている一方で、地域格差が埋まっていない現実をおつたえしましたが、今回も引き続き、「医師が求められている地域はどこか」を考えてみたいと思います。
医師の需要と供給のバランスは?その3=直近5年間の動向=
厚生労働省では、数年ごとに「必要医師数実態調査」を行っています。その一方で、「医療施設(静態・動態)調査」という調査も行い、その時点での診療科別、都道府県別などの医師数および歯科医師数を把握しています。
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厚生労働省では、数年ごとに「必要医師数実態調査」を行っていますが、2015年には日本医師会がこの調査を行いました。この調査結果からは、「必要医師数」と「必要求人医師数」とのギャップを見て取ることが出来ます。
少子高齢化ニッポン、最も患者不足となる地域は?=市場分析=
医師の仕事は、患者さんがいないと始まりません。つまり、人口が多いところには多くの病院ができますし、医師の需要も高くなります。
病床機能の転換は進むのか?迫る転換期限
つい先日、厚生労働省の社会保障審議会の「療養病床の在り方等に関する特別部会」が行われました。この会議の中では、介護療養病床と25対1医療療養病床が、2017年度末以降にどう変わっていくのか、という課題への議論が行われています。
所謂「地域に必要な医師数」とはどのように決められているのか?
日本では全国的に「医師不足」が叫ばれて久しいですが、本当にそうなのでしょうか。 確かに、有効求人倍率は常に1倍を超えていますし、どこの地域で勤務する医師でも「人手が足りない」と感じることは多いでしょう。
医師転職の難しさを、地域医療の医師偏在問題から考える
日本全国で医師不足が公の場で議論されるようになって、早10年。実はそれ以前に一度、医学部定員を減らす、という動きがあったそうです。
ポイントは「高齢化社会への対応」 厚生労働白書からみる必要な医師
先日、厚生労働省より「厚生労働白書」が公表されました。厚生労働白書とは、厚生労働省がおこなっている行政に関する年次報告書として位置づけられており、毎年少しずつ、取り上げる内容が変化しています。
医師の転職先を病院機能から考える 中核病院の定義とは
医師が転職を考える時、何を基準に転職先を選ぶのでしょうか。例えば、病院が担う役割から考えることもありますよね。「病院が担う機能」にはいくつかの定義がありますが、その中でも、時折耳にする「中核病院」という言葉があります。現在では何気なく使われている言葉ですが、どのような病院のことを定義しているのでしょうか?
公立病院への転職 医師としてのメリットはあるのか?
医師が活躍できる場所は様々な分野にありますが、中でももっとも多くの医師が勤務するのが病院などの医療機関です。医療機関は規模や特性によって、様々に分類されており、それぞれに期待されている役割、担うべき役割があります。
医師の需要は高いが、どうする?一般内科医への転職は正しい道なのか
医師という職業は、非常に多くの専門領域に分かれますが、その中でもよく見かける「一般内科」という言葉。単純ですが、だからこそその責務が分かりにくい言葉かもしれません。今回はこの「一般内科」と、今後増えてくるであろう「総合診療専門医」について考えていきたいと思います。
医師の「外来のみ勤務」への転職は可能か?
医師が働く現場としてもっとも多いのが医療機関です。しかし、入院施設のある病院では、夜間勤務や当直、オンコールなどの対応がつきもので、そういった夜間の対応に負担を感じる医師も多いのではないのでしょうか。
止まらない医師の偏在問題 自治体が医師数を完全コントロールする時代へ?
日本で全国的に“医師不足”が叫ばれるようになってから、早10年以上。ここ数年は、国が中心となって“医学部増員”を図っており、推計では2024年(平成36年)頃には、医師の需要と供給は均衡すると考えられています。
医師が総合病院へ常勤転職することは、吉なのか凶なのか
近年、病床数の変更や病院の統合などによって、医師確保対策に乗り出している、いわゆる“総合病院”。現在の医療法では、この名称への基準は無くなりましたが、それでもまだ、医師の転職先の選択肢として“総合病院”が視野に入ることは多いのではないでしょうか。
医師の“急性期病院への転職事情”を考える(公立編)
医療業界は日々目まぐるしく変化を続けています。その影響は、病院の機能にも及んでいます。今回は、ここ数年で色々な“変化”を余儀なくされている、急性期病棟に焦点を当てていきたいと思います。
医師がクリニックへ転職するメリットとは?
医師の就職先といえば、“病院”というのが一般的でした。しかし、近年では勤務スタイルの多様化に伴い、クリニックへの就職・転職を希望する医師も増加しており、実際に求人情報も増加してきています。
医師転職サイトの“非公開求人”の実態とは?
日ごろから多忙な医師にとって、時間的・精神的な負担をかけずに、効率よく“優良な求人情報”を探す手段とは、どのような方法なのでしょうか?近年、医師の転職方法の主流になりつつある医師転職支援サービスの“非公開求人”について、詳しくご紹介していきたいと思います。
一般病院への転職、何を見てどう考える?
日本の医療分野では、一般病院という呼び方への明確な定義はありませんが、大学病院や特定機能病院との違いを明確にするために、一般病院と呼んでいる傾向にあります。
転職を考えるなら今!医師に求められる“地域医療”への対応力
現在の日本の医療は、抜本的な改革無しには立ちいかない状況に追い込まれています。そんな現在を生きる医師に対し、これまでの“狭く深い”分野での専門性から、“より広く深く”対応する力が求められています。今、医師が転職を考えるなら、このようなスキルを必要とされる“地域医療”に対応できる力を養うことも必要かもしれません。
いくつになっても可能なのか!?中堅医師の大学病院への転職
“大学病院”というとベテランの医師もいますが研修医も含め若い医師が多いというようなイメージがありませんか。医師以外の例えば看護師なども、卒後すぐに就職する先が大学病院である人が多いため、どうしても平均年齢は若くなります。今回は、大学病院で求められる医師の資質と、中堅以降での大学病院への転職について、考えてみます。
急性期病院への転職事情を考える(民間病院編)
以前、公立病院の急性期病院への転職に関する情報をお伝えしました。今回は、民間病院の急性期医療に着目していきます。公立病院と比較しながら、民間病院ならではの視点で概要をご紹介していきます。
必要医師数と医師確保対策から医師の転職を考える
全国的に医師不足が叫ばれているものの、平成36年ころには医師数は需要と供給のバランスが取れるとされています。しかし、それはあくまでも全体で見た医師数の話であり、都道府県別に見ると、現在でも医師数の需要と供給のバランスには、偏りが見られており、今後もその傾向は高まることが予測されます。

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