循環器内科医師の年収・収入・将来性と転職条件

循環器内科医の現状(厚労省医師数調査から)

循環器内科医師の年収・収入・将来性と転職条件

■ 記事作成日 2016/10/23 ■ 最終更新日 2017/7/26

 

医師数の多さは9番目、増加傾向が顕著

 

厚生労働省の調査によると、2014年末時点の循環器内科医の人数は11,992人で、40科中9番目に多い数です。

 

ただ、全医師に占める循環器内科医の割合は4.0%と「9位の割に占有率が低い」と感じるかもしれませんが、1位の一般内科医数が61,317人(20.7%)と、2位以下を大きく引き離しているからです。

 

循環器内科医より医師数が多い診療科は次の通りです。

 

1位一般内科(全医師に占める割合20.7%)、2位整形外科(同7.1%)、3位小児科(同5.6%)、4位一般外科(同5.2%)、5位臨床研修医(同5.2%)、6位精神科(同5.1%)、7位消化器内科(同4.7%)、8位眼科(同4.4%)となっています。

 

2004年の循環器内科医の人数は9,009人でしたので、10年間で2,983人増、率にすると33.1%も増えています。この10年間で医師の総数は40,177人増、15.7 %増ですので、循環器内科医は「相対的にみれば急速に増えている」といえるでしょう。

 

平均より若いが高齢化の波は速い

 

2014年の循環器内科医の平均年齢は45.1歳で、40科中15番目に若い年齢です。すべての医師の平均年齢は49.3歳なので「平均より4.2歳も若い」といえますが、10年前の循環器内科医の平均年齢より2.9歳上がっています。すべての医師の平均年齢はこの10年間で1.5歳しか上がっていないので、循環器内科医は平均よりは速いスピードで高齢化しているといえるでしょう。

 

8割強は病院勤務だが開業のしやすさは標準

 

循環器内科医10,112人(2014年)が勤務している医療機関は、病院が84.3%、診療所が15.7%でした。病院医の率が高い印象がありますが、病院医の割合の高さでは40科中19位とほぼ中間位ですので、循環器内科医の「病院医・診療所医割合」は国内の標準といえます。

 

この数字は「循環器内科医の独立開業のしやすさはどの程度なのか」ということも表しています。開業コストが低く、集患見込みが立ちやすい診療科ほど独立しやすく、それは「最低限必要なスタッフ数」「最低限必要な医療機器の値段」「立地にこだわる必要があるかどうか」「院内の内装にこだわる必要があるかどうか」などによって左右されます。

 

最も診療所医が多い診療科、つまり最も独立開業がしやすい診療科は美容外科で、診療所医の割合は97.4%にも上ります。

 

逆に病院医が多い診療科、つまり独立開業しにくい診療科は臨床検査科(病院医率99.6%)、救急科(同99.5%)、血液内科(99.3%)、呼吸器外科(98.9%)となっています。

 

循環器内科医は「開業の道は開けているが容易ではない」といった位置づけになるでしょう。


循環器内科医の求人票ひろい読み

循環器内科医師の年収・収入・将来性と転職条件

 

2000万円台の年収を得るには

 

「医師紹介会社研究所」の転職サイトランキングで上位に入っている「MCドクターズネット」などから、循環器内科医の求人票を任意に抽出し表にまとめていました。

 

勤務地 医療機関 年収 当直 休日 その他
江東区 病院 1600〜2000万円 不明 土日祝、夏季、年末年始 一般病棟入院基本料10対1
目黒区 診療所

週4日1400万〜1500万円
週5日1700万〜1800万円

年間120日 往診と外来のみ、高齢者多い
東京都小平市 病院 1400万円 週4日出勤以上 療養型病棟と精神病棟が中心
札幌市 診療所 1500万円 記載なし 救急往診、遠隔診断、一般内科医、消化器内科医でもOK
岡山県倉敷市 病院 1500万円 4週8休 医療秘書6名
福島市 病院 1300万円〜2200万円 1.5〜2日/週 要心カテ、循環器専門医検収関連施設

 

ここから読み取れるのは、循環器内科医が年収2000万円台に獲得することは容易ではないということです。江東区の病院は一応2000万円が上限となっていますが、下限が1600万円と400万円も差があることから、2000万円での契約締結は達成が難しそうです。

 

また目黒区の診療所は週4日勤務で1400万〜1500万円、札幌市の診療所は1500万円とあり一見魅力的に感じられますが、いずれも往診があるため医師によっては「負担が大きい割に年収は高くない」と感じるかもしれません。訪問診療や往診といった「外に出る診察」は他科でも年収が高くなっています。

 

カテーテル治療のスキルが年収を左右

 

福島市の病院に至っては1300万〜2200万円と900万円もの開きがあります。ここは日本循環器学会から循環器専門医研修関連施設と認定されているので、「習う先生」と「教える先生」の両方を募集していると推測でき、それが「年収の幅の広さ」の原因になっているのでしょう。

 

ここで紹介した以外の循環器内科医の求人票には病院の週5日勤務で「1000万円〜」というものもありました。循環器内科医の年収には、地域差よりも、医師のカテーテル治療スキルが大きく反映しそうです。


消化器内科の学会の幹部の「目」

循環器内科医師の年収・収入・将来性と転職条件

 

循環器内科分野の学会は約10ほどあります。このうち、日本心血管インターベンション治療学会の幹部がどのような研究をしているのかみてみましょう。

 

日本心血管インターベンション治療学会

 

この学会には「より良いカテーテル治療を通じて心血管疾患の克服を目指す」というキャッチコピーがあります。同学会の理事で東海大学医学部循環器内科教授の伊苅裕二氏は、自身の名を冠した「IKARIカテーテル」を開発した医師として知られています(2016年10月現在)。

 

循環器内科医向けのカテーテル治療解説サイト「今さら聞けないPCI・カテーテル室」で、メーカーが異なる4種類のカテーテルの性能を比較しています。カテーテルを「挿入のしやすさ」「バックアップ力」「安全性」の3項目で評価してた結果、IKARIカテーテルは、左冠動脈用ガイディングカテーテルでも右冠動脈用ガイディングカテーテルでもトップの成績でした。

 

伊苅教授は現在も、カテーテル治療の治療器具の開発に取り組んでいます。ちなみに伊苅教授は名古屋出身なのでドラゴンズファンです。


まとめ

循環器内科医師の年収・収入・将来性と転職条件

 

信州大学の研究チームが2016年10月、サルのiPS細胞から作った心筋細胞を、心筋梗塞を発症した別のサルに移植して治療に成功したと発表しました。イギリスの科学誌ネイチャーに掲載されました。

 

iPS細胞は、拒絶反応が起きにくい免疫を持つサルの皮膚の細胞から作り、その後心筋細胞に変化させました。心筋梗塞を起こしたサルに、このiPS細胞から作った心筋細胞を移植したところ、病変に改善が見られました。

 

ただ移植を受けた5頭すべてのサルに不整脈が確認されたため、信州大チームは「不整脈の予防法が今後の課題」と述べています。

 

iPS細胞による心筋梗塞の治療研究では、既に「人」レベルにまで進んでいて、拒絶反応が起きにくい免疫を持つ人の細胞を備蓄しているのです。

 

iPS細胞は日本が世界に誇る医療技術ですが、国民の中に「実用化についてはまだ先のこと」というイメージがあります。今回もサルを使った実験ではあるのですが、慶応大学医学部循環器内科の福田恵一教授は、朝日新聞の取材に対し「信州大の今回の研究は、治療経過を評価している点に意義がある」とコメントしています。

 

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2016/10/23

 

参考資料

 

●厚生労働省「診療科別にみた医師数」2014年
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/14/dl/kekka_1.pdf
●厚生労働省「診療科別にみた医師数」2004年
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/04/index.html
●MCドクターズネット
http://mc-doctor.net/fulltime/area-01:12:40/medical-022003/
●M3CAREER AGENT
https://agent.m3.com/fulltime/search.htm?q=%E5%BF%83%E8%87%93%E3%82%AB%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%86%E3%83%AB
●日経メディカル「学会カレンダー」
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/gakkai/
●東海大学医学部循環器内科
http://naika.med.u-tokai.ac.jp/information/circulatory.html
●今さら聞けないPCI・カテーテル室
http://www.bayaspirin.jp/ja/home/imasara/series_index/catheter/basic.php
●朝日新聞「iPSでサルの心筋梗塞治療 信州大チーム、不整脈の副作用も」
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12602292.html?_requesturl=articles%2FDA3S12602292.html&rm=150

 

(文責・医師紹介会社研究所所長 野村龍一)

 

この記事を書いた人


野村龍一(医師紹介会社研究所 所長)

某医療人材紹介会社にて、10年以上コンサルタントとして従事。これまで700名を超える医師の転職をエスコートしてきた。担当フィールドは医療現場から企業、医薬品開発、在宅ドクターなど多岐にわたる。現在は医療経営専門の大学院に通いながら、医師紹介支援会社に関する評論、経営コンサルタントとして活動中。40代・東京出身・目下の悩みは息子の進路。

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厚生労働省の調査によると2014年の腎臓内科医の人数は3,929人でした。国内の医師総数は296,845人ですので腎臓内科医は1.3%となります。少ないように感じるかもしれませんが、40の診療科のうち21番目に多い数です。
消化器外科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると2014年の消化器外科医の人数は4,934人で、全40科中18位と、ほぼ中間に位置しています。消化器内科医は13,805人(7位)ですので、消化器でも「内高外低」が顕著です。
心臓血管外科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると2014年の心臓血管外科医の人数は3,048人で、全40科中22位と、ほぼ中間に位置しています。循環器内科医が11,992人、9位ですので、循環器領域でも「内高外低」の傾向は顕著です。
脳神経外科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると、2014年の脳神経外科医の人数は7,147人で、全医師数296,845人に占める割合は2.4%でした。「少ない」と感じるかもしれませんが、40科中14番目に多い数です。
糖尿病内科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると2014年の糖尿病内科医の人数は4,446人で、全40科中20位とちょうど中間に位置しています。糖尿病内科医が統計に登場したのは2008年からなのでこの年と比較すると、2014年までの6年間に1,492人増え、増加率は50.5%です。
呼吸器外科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると、2014年の呼吸器外科医の人数は1,772人で、全40科中28位と「医師の数が少なめの診療科」といえます。一方で、呼吸器内科医の人数は5,555人、17位と、この分野でも「内高外低」の傾向は顕著でした。
乳腺外科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると、2014年の乳腺外科医の人数は1,622人で、全40科中30位と「医師が少なめの診療科」といえます。2008年の乳腺外科医の数は913人(31位)でしたので、2014年までの6年間で709人増、77.7%アップ、1.8倍になっています。
産婦人科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省は、産婦人科、婦人科、産科の3科に分けて統計を取っています。2014年の医師数と、全40科中の医師数ランキングでは、産婦人科医10,575人(10位)、婦人科医1,803人(27位)、産科医510人(35位)となっていて、圧倒的に「産科も婦人科もどちらも標榜する産婦人科医が多い」ことが分かります。
耳鼻咽喉科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると2014年の耳鼻咽喉科医の人数は9,211人でした。医師の多さランキングでは全40科中11位ですので「国内に多くいる医師」といえます。全医師296,845人に占める割合は3.1%でした。
肛門外科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると2014年の肛門外科医の人数は432人でした。医師の多さランキングでは全40科中38位ですので「かなり少ない医師」といえます。全医師数296,845人に占める割合は0.15%にすぎません。
泌尿器科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると2014年の泌尿器科医の人数は6,837人で、全40科中15位と、「国内では比較的多い医者」という位置づけです。増加率をみると、2004年の6,032人から10年間で805人増え、増加率は13.3%でした。
放射線科医師の年収・収入・将来性と転職条件
医師専用求人サイト「リクルートドクターズキャリア」には、放射線科医の求人票が169件掲載されています(2016年12月現在)。この数字は「比較的求人数が多い診療科」といえます。
人工透析医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の統計には「人工透析医」という項目がないので、ここでは人工透析医療に携わることが多い「腎臓内科医」と「泌尿器科医」についてみてみます。
麻酔科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると2014年の麻酔科医の人数は8,625人でした。医師の多さランキングでは全40科中13位ですので「国内に多くいる医師」の部類に属します。全医師296,845人に占める割合は2.9%でした。
神経内科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると、2014年の神経内科医の人数は4,657人で、40ある診療科の中で19番目に多い数でした。ほぼ中間に位置する「多くも少なくもない診療科」といえるのですが、特筆すべきはその増え方です。
一般外科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると2014年の一般外科医の人数は15,383人でした。医師の多さランキングでは全40科中4位で、全医師296,845人に占める割合は5.2%でした。
形成外科医師の年収・収入・将来性と転職条件
形成外科医の人数が急増しています。厚生労働省の調査によると2014年の形成外科医の人数は2,377人で、医師数の多さランキングでは40科中25位と「少ない方の医師」なのですが、2004年には1,765人しかいませんでした。
血液内科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると2014年の血液内科医の人数は2,534人でした。医師の多さランキングでは全40科中24位ですので「医師数が比較的少ない診療科」といえます。

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