シリーズ医師の年収と未来:「麻酔科医」編

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シリーズ医師の年収と未来:「麻酔科医」編  

麻酔科医師の現状(厚労省医師数調査から)

■ 記事作成日 2017/3/20 ■ 最終更新日 2016/3/20

麻酔科医数は10年で3割以上増加

 

話題のフリーランス医師としても活躍が目覚ましい麻酔科医師。今回は麻酔科の先生と年収、そして将来性について恒例の調査を行ってみました。

 

厚生労働省の調査によると2014年の麻酔科医の人数は8,625人でした。医師の多さランキングでは全40科中13位ですので「国内に多くいる医師」の部類に属します。全医師296,845人に占める割合は2.9%でした。

 

麻酔科医の人数は、2004年の6,397人から2014年の8,625人へと、34.8%も増えています。

 

全医師数は、2004年の256,668人から2014年の296,845人へと40,177人増、15.7%アップですので、麻酔科医は「激増している」といってもいいでしょう。

 

医師数 2004年(多い順) 2014年(多い順) 増加数(率)
麻酔科医 6,397人(12/32位) 8,625人(13/40位) 2,228人(34.8%)
医師全体 256,668人 296,845人 40,177人(15.7%)

 

「若い」が「高齢化」のスピードは速い、新人医師が敬遠?

 

麻酔科医の平均年齢は2014年時点で43.5歳と、若さランキングでは40科中8位でした。医師全体の平均年齢49.3歳より5.8歳も「若い」のです。

 

しかし、2004年の麻酔科医の平均年齢は40.4歳、2位でしたので、かつては「とても若い」医師でした。つまり「とても若い」から「若い」に「高齢化」しています。

 

麻酔科医の平均年齢の増加は2004年→2014年の10年で3.1歳アップと、医師全体の増加1.5歳アップをはるかに上回る「高齢化率」といえます。

 

平均年齢 2004年(若さ順) 2014年(若さ順)
麻酔科医 40.4歳(2位/32) 43.5歳(8位/40) 3.1歳
医師全体 47.8歳 49.3歳 1.5歳

 

さきほど「麻酔科医が激増している」ことをみましたが、これと「速い高齢化率」を合わせると、「ベテラン医師の麻酔科医への転向が多い」ことと「新人医師の麻酔科医人気は低下している」という予測が立ちます。

 

「麻酔科医のほとんどは病院医」の傾向は変わらないが、開業意欲は堅持か

 

2014年のデータによると、すべての麻酔科医のうち93.5%にあたる8,068人が病院医でした。外科手術で活躍する麻酔科医ですので、手術設備が整っている病院に勤務する医師が多いのは「当然といえば当然」の結果といえます。

 

しかし、「微小な変化」に注目すると、意外な傾向が見えてきます。

 

それは、診療所に勤務する麻酔科医の人数が、2004年の399人から2014年の577人へと増え、「病院医:診療所医比」を見ると、診療所医数の割合が6.2%から6.5%へと0.3ポイント増加しているのです。

 

0.3ポイントアップは無視できるほどの「微増」に過ぎませんが、ただ全医師の「診療所医割合」を見ると、2004年の36.2%から2014年の34.3%へと、1.9ポイント減っているのです。「診療所医≒開業医」と考えると、医師全体の傾向としては「独立開業マインドが低下している」といえます。

 

当時、千葉大学医学部附属病院長だった河野陽一氏は2011年に、「2022年には総医師数が必要医師数を上回る」、つまり「医師過剰時代が到来する」との見解を示しています。開業マインドの低下は、こうした状況を反映しているといえそうです。

 

つまり、全体としては診療所医の割合が減っているのに対し、麻酔科医はわずかではありますが増加傾向を示しているのです。

 

なぜ麻酔科医の開業マインドは落ちていないのでしょうか。

 

病院医・診療所医比 2004年 2014年 増減(増減率)
麻酔科医数 6,397人(100%) 8,625人(100%) -
うち病院医数 5,998人(93.8%) 8,068人(93.5%) 0.3ポイント減
うち診療所医数 399人(6.2%) 557人(6.5%) 0.3ポイント増

 

病院医・診療所医比 2004年 2014年 増減(増減率)
全医師数 256,668人(100%) 296,845人(100%) -
うち病院医数 163,683人(63.8%) 194,961人(65.7%) 1.9ポイント増
うち診療所医数 92,985人(36.2%) 101,884人(34.3%) 1.9ポイント減

 

ペインクリニックは工夫次第で独立開業への期待値が高くなる

 

麻酔科医が独立して開くペインクリニックは、さまざまな工夫を凝らしています。神経ブロック療法がメインであることは変わりありませんが、愛知県のあるペインクリニックでは局所麻酔や0.5mmの極細針の使用、X線透視を使った周辺組織を傷つけない手技により、「痛くない神経ブロック」をPRしています。

 

また、麻酔科医と整形外科医がコラボして開業することで、「痛みの治療」と「痛みの除去」の両方を提供する「痛みのワンストップ治療」を提供している診療所もあります。

 

さらに、神経ブロックを必要とする患者は高齢者が多いことから、介護事業所と連携しているクリニックもあります。

 

こうしたトレンドはペインクリニックの将来性をうかがわせるので、「麻酔科医の開業マインドがわずかとはいえ増加している」こともうなずけます。


麻酔科医の求人票ひろい読み

 

最高年収は2500万円、地方なら1800万円は下回らない

 

医師求人サイトの「リクルートドクターズキャリア」には、麻酔科医の求人が345件掲載されています(2017年3月時点)。これはかなり多い数といえ、全国の病院が「麻酔科医不足で悩んでいる」現状が透けて見えます。

 

「需要が高まると給料が高くなる」ことは、労働市場の原則です。よって、麻酔科医の求人票に提示されている年収額は、他科に比べて高額で推移しています。

 

最も高い年収を示しているのは、網走に近い北海道美幌町の病院で、上限は2500万円です。この病院の提示額の下限である2200万円も「地方手当」の要素が含まれているとしても、かなりの高額提示です。

 

そのほか、地方の病院ですと、1800万円以上を提示するところが多く見られます。

 

地域
病院or診療所

年収 業務内容 当直 勤務

北海道美幌町
病院

2200万〜

 2500万円

手術麻酔 なし 週5日勤務

岡山市東区
病院

1800万円〜 手術麻酔 なし 週5日勤務

茨城県日立市
病院

1800万円〜 手術麻酔 なし 週4or5日勤務

名古屋市西区
病院

1800万〜

 2300万円

手術麻酔、シニア歓迎 なし 週4〜5日勤務

東京都北区
病院

1200万〜

 1800万円

手術麻酔 なし 週4.5〜5日勤務

東京都練馬区
病院

1000万円〜 手術麻酔・後期研修歓迎 なし 週4〜5日勤務

 

都市部の年収は「ガクンッ」と下がる

 

また、最近の医師年収の傾向は、かつてほど「地方優遇」が見られませんが、麻酔科医に限っては、地方と都市部の格差は依然として大きいままです。

 

東京都北区の病院は、「1200万円以上」と下限の低さもさることながら、上限も1800万円止まりです。練馬区の病院にいたっては「1000万円以上」という提示です。

 

ここから、都市部の麻酔科不足傾向は緩和していることが予想できそうです。


麻酔科の最新トピックス

 

麻酔科に関する最新トピックスをまとめてみました。新聞報道などからは、麻酔科医の「今と未来」のヒントが見えてきそうです。

 

麻酔科医の「争奪戦」が勃発!?

 

医療情報企業のエムスリー株式会社が2016年8月、麻酔科医専門の人材紹介会社アネステーションの買収を決めました。

 

エムスリーは、資本金15億3000万円、連結従業員数3500人を誇る東証一部上場企業です。医療情報の提供のほか、医師人材ビジネスも手掛けています。

 

一方のアネステーションは関西を中心に麻酔科医約760人を会員に抱える麻酔科医専門の人材紹介会社です。

 

エムスリーは麻酔科医不足という現状に着目しました。手術単位で麻酔科医の求人を募る病院も珍しくないことから、今後、さらに需要が膨らむと判断しました。

 

こうした動きは「麻酔科医の争奪戦」がより一層過熱することになり、現場の混乱が懸念されますが、しかし年収アップは強く期待できます。

 

「麻酔科医が病院の進歩をけん引する」

 

日経メディカルの2016年12月の記事に、麻酔科医の先生方を鼓舞する記事が掲載されました。「麻酔科医が病院の進歩をけん引する」と断言しているのです。さらに、麻酔科医こそが手術件数を増やす要である、との見方も紹介しています。

 

国内最大級の病院グループ「IMS(イムス)」の、新見能成医師へのインタビュー記事です。新見氏はIMSの中核病院「板橋中央総合病院」の院長で、麻酔科部長も兼務しています(2017年3月現在)。

 

同院は、内科、腎臓内科、血液内科、消化器外科、心臓血管外科などを擁する、579床の大病院です。そのトップに麻酔科医が就任するのは異例といっていいでしょう。

 

新見氏は、病院の組織を「城」に例えて説明しています。

 

「城の建物」を、各専門診療科に見立てて、麻酔科、放射線科、病理科など、各専門診療科が共通して関わる科を「石垣」と考えています。石垣がしっかり組まれていれば城が安泰なように、病院も麻酔科や放射線科などがしっかりしていれば、安定的に経営できるというのです。

 

新見氏は麻酔科医の先生たちに「外科医に徹底的に付き合いなさい」と指導しているそうです。外科医が腹をくくった手術であれば全件受けて、手術がしやすい環境を整えることが麻酔科医の務めであると考えているからです。

 

板橋中央総合病院の手術カンファレンスでは、麻酔科医が「手術件数が少ないから、麻酔科医の研修ができない」などと、外科医にもっと手術件数を増やすよう「ハッパをかける」のだそうです。

 

フリーの麻酔科医の存在については、新見氏は肯定的な見解は示していませんが、ただ「否定しない」とも述べています。

 

その上で、麻酔科医の財産は、他科の医師、看護師、コメディカルからの信頼であるとの持論を展開しています。病院勤務医としての麻酔科医のやりがいを強調しています。

 

新見氏は、他科が新しい治療にチャレンジするとき、麻酔科医が積極的に支援することで病院が進化していく、と考えています。なので、「麻酔科医が病院をけん引する」という考えに至るわけです。

 

参考資料:

 

●「診療科別にみた医師数2014年」(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/14/dl/kekka_1.pdf

 

●「診療科別にみた医師数2004年」(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/04/index.html

 

●「2022年には医師過剰時代が到来、千葉大病院長」(医療維新、2011.2.19)
https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/132601/

 

●「2024年にも需給が均衡し、その後は医師過剰になる、厚労省推計」(メディ・ウォッチ、2016.4.1)
http://www.medwatch.jp/?p=8314

 

●リクルートドクターズキャリア
https://www.recruit-dc.co.jp/jokin/search/

 

●「麻酔科医が大病院で減少」(日経メディカル、2007.4.17)
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200704/503025.html

 

●「エムスリー、麻酔科医の紹介会社を買収」(日本経済新聞、2016.8.12)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO06021470S6A810C1TJC000/

 

●「手術の中しか見ない麻酔科医はいらない」(日経メディカル、2016.12.12)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/toyoda/201612/549344.html

 

●「板橋中央総合病院」
http://www.ims-itabashi.jp/about/index.html

 

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厚生労働省の調査によると2014年の心臓血管外科医の人数は3,048人で、全40科中22位と、ほぼ中間に位置しています。循環器内科医が11,992人、9位ですので、循環器領域でも「内高外低」の傾向は顕著です。
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シリーズ医師の年収と未来:「糖尿病内科医」編
厚生労働省の調査によると2014年の糖尿病内科医の人数は4,446人で、全40科中20位とちょうど中間に位置しています。糖尿病内科医が統計に登場したのは2008年からなのでこの年と比較すると、2014年までの6年間に1,492人増え、増加率は50.5%です。
シリーズ医師の年収と未来:「呼吸器外科医」編
厚生労働省の調査によると、2014年の呼吸器外科医の人数は1,772人で、全40科中28位と「医師の数が少なめの診療科」といえます。一方で、呼吸器内科医の人数は5,555人、17位と、この分野でも「内高外低」の傾向は顕著でした。
シリーズ医師の年収と未来:「乳腺外科医」編
厚生労働省の調査によると、2014年の乳腺外科医の人数は1,622人で、全40科中30位と「医師が少なめの診療科」といえます。2008年の乳腺外科医の数は913人(31位)でしたので、2014年までの6年間で709人増、77.7%アップ、1.8倍になっています。
シリーズ医師の年収と未来:「産婦人科医」編
厚生労働省は、産婦人科、婦人科、産科の3科に分けて統計を取っています。2014年の医師数と、全40科中の医師数ランキングでは、産婦人科医10,575人(10位)、婦人科医1,803人(27位)、産科医510人(35位)となっていて、圧倒的に「産科も婦人科もどちらも標榜する産婦人科医が多い」ことが分かります。
シリーズ医師の年収と未来:「耳鼻咽喉科医」編
厚生労働省の調査によると2014年の耳鼻咽喉科医の人数は9,211人でした。医師の多さランキングでは全40科中11位ですので「国内に多くいる医師」といえます。全医師296,845人に占める割合は3.1%でした。
シリーズ医師の年収と未来:「肛門外科医」編
厚生労働省の調査によると2014年の肛門外科医の人数は432人でした。医師の多さランキングでは全40科中38位ですので「かなり少ない医師」といえます。全医師数296,845人に占める割合は0.15%にすぎません。
シリーズ医師の年収と未来:「泌尿器科医」編
厚生労働省の調査によると2014年の泌尿器科医の人数は6,837人で、全40科中15位と、「国内では比較的多い医者」という位置づけです。増加率をみると、2004年の6,032人から10年間で805人増え、増加率は13.3%でした。
シリーズ医師の年収と未来:「放射線科医」編
医師専用求人サイト「リクルートドクターズキャリア」には、放射線科医の求人票が169件掲載されています(2016年12月現在)。この数字は「比較的求人数が多い診療科」といえます。
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