【医療ニュースPickUp 2015年8月29日】 精神科疾患合併患者への救急医療システムスタート 大阪
2015年8月10日、大阪府は8月17日より、「精神科疾患合併患者への救急医療システム」をスタートさせると公表した。これは、身体的な救急搬送患者が、精神科疾患を持っていることが分かった場合、精神科医師と電話で連絡を取りながら受け入れ態勢を整える、という仕組みとなる。
救急患者を受け入れやすくするのが狙い
大阪府は本システムをスタートさせることになった背景として
- 身体的な疾患を診る科と精神科では、診療内容が大きく異なり、両方の治療が行える医師や医療機関が少ない上、双方の連携が進んでいない
- 一般救急において、精神科合併症患者でも、まず身体的疾患の治療を優先させることから、二次救急や救命救急センターへの搬送を試みる
- 精神疾患に伴う興奮等の症状への危惧により、受け入れ先がなかなか見つからない
- 他の疾患に比べ、受入先決定まで2倍以上の時間を要するなど、全国的な課題
- 精神科側も、身体的な疾患の症状が再発するのではという危惧により、受入がスムーズに進んでいない
などを挙げている。
具体的には
- 協力する府内17の精神科病院のうち2病院ずつが当番医となり、電話応対を行う専従医師を配置
- 救急患者受け入れに対する一般病院(二次救急医療機関)からの求めに対し、精神科医としての助言を行う
これにより、一般病院では精神科疾患を合併する救急患者を受け入れやすくするのが狙い。
また、救急病院では、ケガや身体的疾患に対する応急的な処置が行われるが、患者の状態が落ち着けば、精神科病院側への速やかな転院に向け、スタッフや病床を確保してもらうことになる。さらに精神科病院側でも、入院後の患者をサポートするために、身体的な疾患を診察する医師が待機し、その後の治療にあたることになる。
こういった取り組みは、全国初であるという。
参考資料
大阪府 【全国初】8月17日から精神科合併症の救急医療システムがスタートします
http://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=21439
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
私自身、精神科疾患を抱えた患者さんの手術、というものに関わったことはありませんし、身近なところにも精神科疾患を持つ人はいませんので、実際に看護師としてどう対応すれば良いか、あくまで教科書の上での知識しか持ち合わせていません。学生の頃の精神科実習を思い出してみると、初日に感じたことは「こういう世界もあるんだ」というのが第一印象でした。
まず、会話が成り立たない。もちろん、入院している患者さんたちですから、それなりに重症度も高いわけですし、日常生活を送るのが難しいのだということは、頭では理解していました。
でも、例えば「良いお天気ですね」というレベルの会話でも、成り立つ患者さんは半分もいなかったと思います。作業所からの脱走、それを追跡する医師や看護師(と、看護学生)という経験もしました。もちろん、そこで働いていれば対応にも慣れるのだとは思いますが。
仮に自分が手術室で働いていた時に、そういった患者さんの入室や麻酔導入、麻酔覚醒の場面でどう対応すれば良いかを考えようとしましたが、やっぱり想像がつかないかなぁと思います。
そういったことを考えると、大阪府のこの取り組み、個人的には全国に広がってほしいと思います。
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