【医療ニュースPickUp 2016年2月16日】インフルエンザ警報地域拡大 東京都も流行警報発令
2016年2月12日、東京都は、都内のインフルエンザ患者報告数が、第5週において急速に増加し、「流行警報基準」を超えたと公表した。学校等における、学級閉鎖などの「臨時休業措置」の報告も、前週と比較して大幅に増加し、大きな流行となっている。尚、流行注意報基準とは、「感染症発生動向調査による定点報告において、10人/定点を超えた保健所の管内人口の合計が、東京都の人口全体の30%を超えた場合」のことをいう。
1月半ば以降、全国的な感性拡大に
東京都が公表している「都内におけるインフルエンザ患者報告数(インフルエンザ定点報告)過去5シーズン」のデータによると、今シーズンの流行警報基準を超えたのは、2012-2013シーズンよりもおよそ1週間遅く、2013-2014シーズンとほぼ同じ。
現時点での東京都内における第5週の患者報告数(都内全体平均)は、39.43人/定点(週)、患者報告数が30.0人/定点(週)を超えた保健所は都内31か所の保健所中24か所だった(現在のところ、警報レベルとなっている東京都内の市区町村は、目黒区、渋谷区、新宿区、豊島区、文京区、台東区、品川区を除く全域)。
また、今シーズンの都内の学校や社会福祉施設等で発生した「インフルエンザ様疾患の集団感染事例」は、1,316施設から報告されているという。もっとも多いのが小学校であり、これに保育所、幼稚園が続いている。学級閉鎖などの「臨時休業措置」は、幼稚園61、小学校388、中学校37、高等学校8、その他1の、計495件が報告されている。
一方、NIID(国立感染症研究所)が公表しているデータ(第04週 2016年2月3日現在)によると、全国の保健所地域で警報レベルを超えているのは111箇所(28都道府県)。
割合が高い順にみると、埼玉県(警報数8/保健所数16)、千葉県(警報数8/保健所数16)、沖縄県(警報数3/保健所数6)がもっとも多く、これに神奈川県(警報数17/保健所数37)、広島県(警報数6/保健所数14)、福岡県(警報数8/保健所数19)が続く。
ただし、NIIDが公表しているデータと、今回東京都が公表しているデータには、1週間ほどのタイムラグがある。2月3日の時点では、東京都はまだ警報数6/保健所数31(およそ19%)だが、その後の1週間で感染が急激に拡大し、2月7日現在では警報数24/保健所数31(およそ77%)となった。
2月12日には、兵庫県でも「警報レベルになった」と公表しており、1月半ば以降の3週間程度の間で、全国的な感染拡大となっている。
参考資料
東京都保健福祉局 報道発表資料 [2016年2月掲載] 都内のインフルエンザ「流行警報」
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2016/02/20q2c800.htm
NIID インフルエンザ流行レベルマップ 2016年 第04週 (1月25日~1月31日)
http://www0.nih.go.jp/niid/idsc/Hasseidoko/Levelmap/flu/new_jmap.html
兵庫県感染症発生動向調査週報(速報)
http://www.hyogo-iphes.jp/kansen/HIDSC/H28/srv28w05/2016-05w.pdf
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
先週半ばころから、私の住む地域でも「学級閉鎖」が増えてきました。うちの子どもが通う小学校でも、すでに2クラスが学級閉鎖になっています。全校合わせて20クラスもない小学校ですので、1割が学級閉鎖、という計算です。
東京都が公表しているデータによると、小学校→保育所→幼稚園 の順に、集団感染が発生しているわけですが、小学校にはそもそも、保育所+幼稚園+α くらいの子どもたちが通っているわけですから、集団感染率が一番高いのも、なんとなく納得できます。
また、保育所や幼稚園の子どもなら「親と一緒に手洗い」もできますが、小学校くらいになると「自分のことは自分でやる」という意識が強くなるので、親がきちんと見張っているわけにもいきません。
結果的に、「家庭に持ち込む」ことも増えるのだと思いますし、学校内でも先生がずっと見張っているわけでもありませんので、やはり感染が広がりやすい土壌があるのかもしれません。
都内のデータでも、患者報告数・入院患者数ともに、年齢別でもっとも多いのが5歳~小学校低学年です。この年代は、抵抗力云々だけではなく、生活環境なども関係しているのかなと考えてしまいます。
東京都では、「ガチャピンとムックが手洗いをわかりやすく解説した動画」なども公開していますので、こういったものも利用して、手洗いの重要性を(まずは自分のうちの)子どもたちに理解させようと思います。
この記事をかいた人
医師キャリア研究のプロが先生のお悩み・質問にお答えします
ツイート