医師紹介会社は日本に何社くらいあるのですか？

医局制度崩壊の後、日本にはたくさんの医師紹介会社が生まれたとはよく耳にしますが、いまいち実態がつかめません。実際には日本に医師紹介会社は何社くらい存在しているのでしょうか？

医師紹介会社の数について正確な数字を捉えることは難しく、有料職業紹介事業の管轄官庁である厚生労働省、公的団体、民間リサーチ会社含めて、どの組織からも企業数に関するデータは公式発表されておりません（有料職業紹介事業全体に関しては、2012年度で16,916事業所の登録が、厚生労働省発表の平成24年度職業紹介事業報告の集計結果から確認されています）。

去る2015年10月1日に、医師を含めた「医療系（要は、薬剤師や看護師、介護士も含む）人材紹介会社」が初めて同業者団体を発足させました（正確には「協議会」であって、独立した団体ではありません）。

「医療系紹介協議会」という団体で、一般社団法人日本人材紹介企業協会の内部に設置された任意の同業者団体で、協会独自のガイドラインを定めながら業界の健全性を図っていく事を目的としています。

医療系紹介協議会ガイドライン（同サイトより抜粋）

• 医療従事者の転職活動を濫りに助長するような、不適切な広告表現は行わない
• ご紹介した医療従事者に対して、再転職を目的とした働きかけは行わない
• 求人者に対する適正な紹介行為を阻害するような、医療従事者への金銭の提供は行わない

もちろん、同協議会は最近発足したばかりであり、日本の医師紹介会社が何社存在しているかなどを含めたデータの収集・発表には至っていませんし、そもそも、全ての医師紹介会社が同協議会に所属しているわけではありません。例えば、「株式会社メディウェル」等といった大手医師紹介会社は、業界トップ企業の一角を担っているにもかかわらず、医療系紹介協議会への参加自体が確認されておりませんので、まだまだ業界全体が一枚岩になっているわけではないようです。

前置きが長くなりました。

そんな中、当研究所では、件の協議会所属企業であるかどうかは関係なく、一般的に医師の皆様が耳にしたり目にする（つまり、それなりに目立って営業活動をしている）医師紹介会社を中心に100社をピックアップして、批評、ランキング調査などを定期的に行っております。

しかしながら、当サイトにて批評対象にしきれていない医師紹介会社がまだまだ存在することも事実でして、その多くは「2014年以降に新設された企業」や「実態が個人事業に近い企業」であると予測されます。これらを含めると、大凡200社前後が、ある程度まともに稼働している医師紹介会社ではないかと考えております。

更に、医師紹介会社業界は新規参入コストが非常に低いため、常に異業種同業種から新会社新サービスが立ち上がり続けている状況が続いていますし、既存企業からのスピンアウト的ベンチャーや、元医師紹介会社従業員による個人事業独立も数多く耳にします。これらまで含めると、最終的には350～の医師紹介会社が存在しているのだろう、と当研究所では推測しております。

ただし、医師紹介会社業界は廃業も多く、昨年まで普通に経営していた企業が今年調べたらもうなくなっていた、という事案には事欠きません。日本企業の廃業率と大手企業の市場独占が進む現状を勘案すると、上記350から更に１割程度差し引いた数値が実態ではないか？という考えも、当研究所内ではしばしば議論されています。ご参考まで。