看護師のための保健医療計画のミカタ No.15 「鹿児島県での看護師就業事情と、看護師確保対策を知る」

鹿児島県の看護師求人事情と、看護師確保対策を知る

■作成日 2018/2/26 ■更新日 2018/5/9

 

元看護師のライター 紅花子です。
各都道府県の看護師確保状況をお伝えしているこのコラム、今回はブランド肉と焼酎で有名な鹿児島県の看護師就業状況と、同県の看護師確保対策についてお伝えします。

 

鹿児島県の看護職員数の動向

 

九州の南部にあり、活火山である桜島がシンボルの鹿児島県。定番の桜島だいこんやさつまいものほか、温暖な気候を活かしたパッションフルーツやサトウキビなどの生産も盛んです。全国屈指の畜産県でもあり、黒毛和牛は全国の18.8%と日本一の飼育頭数を誇り、かごしま黒豚・さつま地鶏も全国に名をはせる特産品となっています。

 

県内の28の有人離島を含む離島の面積の合計は県面積の27%を占め、その中には日本で初めて鉄砲が伝来した種子島や、樹齢3000年を超える屋久杉が見られる屋久島など、悠久の歴史を感じさせる島々もあります。

 

そんな鹿児島県では、平成17年から総人口が減少傾向にあります。平均寿命は全国平均をわずかに下回っていますが、健康寿命は男女とも全国平均を上回り、元気な高齢者が多いことがうかがえます。

 

一方、鹿児島県では悪性新生物、心疾患、脳血管疾患の3大死因が全死亡のおよそ53%を占め、さらに糖尿病患者の増加傾向も課題となっています。人口10万人当たりの糖尿病患者の割合では、男性は全国平均を下回るものの、女性は全国を上回る現状です。

 

厚生労働省「衛生行政報告例」によると、平成22年12月末に県内で就業していた看護職員数は29,929人(保健師798人、助産師467人、看護師17,919人、准看護師10,745人)でした。

 

この看護職員の県内就業者数を平成12年と比較すると、准看護師は0.9倍(減少)ですが、他の職種は保健師1.2倍、助産師1.1倍、看護師1.5倍と増加しています。
その後の平成26年には、就業看護職員数は31,866人(保健師881人、助産師554人、看護師20,276人、准看護師10,155人)。人口10万人当たりの就業者数は看護師1,215.6人で、全国平均855.2人よりも360.4人と大幅に上回っている状況です。

 


鹿児島県の看護師需要

 

鹿児島県では病院勤務の看護師の割合が最も多い(70.6%)のですが、全国平均を2ポイント程度下回っています。一方、診療所に勤務する看護師は13.8%で、全国平均12.4%をやや上回っています。在宅医療関連では、訪問看護ステーション勤務、介護保険施設等勤務ともに、全国と同等の割合を占めています。

 

県内の介護保険施設の増加や、診療報酬改定で看護配置基準が設定されたことによる「看護職員の就業場所の拡大」などが続いており、県内の医療機関では看護師が確保しにくく、需要はますます高まる状況となっています。

 

鹿児島県は全国よりも受療率が高く、入院では男女共に精神疾患、悪性新生物、脳血管障害の順に多くなっています。外来は男女で違いがあり

 

  • 男性:糖尿病、精神疾患、心疾患
  • 女性:精神疾患、糖尿病、脳血管疾患

 

が多くなっています。

 

また、県民が行政に求める保健衛生サービスは訪問看護の希望が最も多く、次に生活習慣病の健康診断や健康相談への希望も増えており、今後は訪問看護を行うナースがますます必要とされることでしょう。また、がん治療や糖尿病治療に関する専門的な知識を持った看護師の需要も、さらなる増加が見込まれます。鹿児島県に現在、認定看護師が237人、専門看護師が3人、認定看護管理者が29人在籍しています(平成29年10月現在)。

 

平成22年度における常勤看護職員の離職率は11.5%で全国平均の11.0%よりやや高く、そのうち新卒者は10.8%と全国平均の8.1%より高い状況です。

 

二次医療圏における医療状況を見てみると、鹿児島県の三次救急は鹿児島市内の2施設が離島を含む全県域をカバーして、1施設が奄美圏域を担当し、奄美群島の医療はできるだけ自圏域で完結できることを目指しています。

 

また、災害拠点病院については圏域ごと、地域周産期母子医療センターもおよそ2圏域に1施設の割合で設置されています。しかし奄美と熊毛の2圏域においては、医療提供体制が十分ではないのが現状で、へき地医療拠点病院の機能充実を図ることが課題となっています。

 

 

平成22年度の県全体で見た看護職員数はすべての職種で全国平均を上回っているものの、保健医療圏ごとの偏在が見られます。特に熊毛保健医療圏においては人口10万人当たりの看護師数が574.2人と少なく、曽於保健医療圏も619.1人と、全国平均の744.6人を大きく下回っています。

 

10万人当たりの看護師数が最も多い鹿児島保健医療圏の1,265.7人と比較すると、その差がよくわかります。


鹿児島県の看護師確保に向けての取り組み

鹿児島県では今後のさらなる看護師確保への取り組みとして、以下のような施策を行っています。
こうした状況を受けて、鹿児島県では看護師の確保のために以下のような施策を掲げています。

 

1.看護師数の確保
  • 看護学生への修学資金貸与
  • 看護師養成施設の運営費補助
  • 新卒就業者の県内就業率60%を目指す
  • 再就業の促進
  • 病院内保育所への助成
  • ワークライフバランスの推進
  • 早期離職の防止や看護師が働きやすい環境の整備

 

2.看護職員の資質向上
  • 保健師へレベルに応じた研修や教育の実施
  • 助産師の研修や地域交流の充実
  • 実習指導者の養成研修の体制を構築
  • 基礎教育からの系統立てた研修体制を構築
  • 看護師間のネットワーク構築を促進

 

また、鹿児島県看護協会では、研修会や講習会などを開催して看護師の技術向上やキャリアアップを促進しています。HPからは、協会内の図書館検索や文献検索も可能。他にも再就業支援や看護師間のネットワークづくりの支援も行っています。また、ホテルの会員割引やテーマパークへの無料招待、慶弔見舞金などの福利厚生が整備されているのも魅力的です。

 

多くの島々からなる鹿児島県。市街地の大病院で専門のスキルを磨けるのはもちろんですが、離島地域にも防災病院や周産期医療施設が設置されており、地域医療と高度医療の現場を同時に経験できる施設も多いことでしょう。

 

休日には雄大な自然・美しい海に囲まれてアウトドアを満喫し、指宿温泉などで日ごろの疲れをゆったり解きほぐすのもいいですね。

 

 

参考資料

 

鹿児島県保健医療計画
http://www.pref.kagoshima.jp/ae01/kenko-fukushi/kenko-iryo/iryokeikaku/keikaku25-3.html

 

平成22年衛生行政報告例(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/10/dl/h22_toukeihyoitiran.pdf

 

平成26年衛生行政報告例(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/14/dl/toukei.pdf

 

鹿児島県ホームページ
https://www.pref.kagoshima.jp/

 

鹿児島県看護協会ホームページ
http://k-kango.jp/

 

この記事をかいた人


紅 花子 (べに はなこ)
正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在は当研究所所属ライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

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