看護師のための保健医療計画のミカタ No.19 「滋賀県での看護師就業事情と、看護師確保対策を知る」

滋賀県の看護師求人事情と、看護師確保対策を知る

■作成日 2018/2/26 ■更新日 2018/5/9

 

元看護師のライター 紅花子です。
各都道府県の看護師確保状況をお伝えしているこのコラム、今回は近江牛で有名な滋賀県の看護師就業状況と、同県の看護師確保対策についてお伝えします。

 

滋賀県の看護職員数の動向

 

県の面積の6分の1を占める日本一大きな湖・琵琶湖を中心に、伊吹、鈴鹿、比良、比叡などの山々に囲まれた滋賀県。自然公園の面積割合が全国1位という風光明媚な景観と共に、彦根城、石山寺、甲賀忍者屋敷など歴史的な建造物が数多く点在します。内陸にありながら全国有数の工業県である滋賀県は、県内総生産に占める製造業の割合が35.4%と全国1位。勤労者世帯の貯蓄額も高く、同時にボランティア、旅行・行楽、スポーツ、学習・自己啓発などの行動者率で全国上位を占め、仕事もプライベートも充実している県民性がうかがえます。
他県が急激な人口減少と少子高齢化に悩む中、滋賀県は出生率が全国平均より高く、年少人口割合もトップレベル。人口も比較的維持できている状況です。今後の高齢化もゆるやかに進んでいくと見込まれています。

 

厚生労働省「衛生行政報告例」によると、平成22年12月末に県内で就業していた看護職員数は14,568人(保健師603人、助産師395人、看護師11,414人、准看護師2156人)で、平成26年には、就業看護職員数は15,846人(保健師668人、助産師461人、看護師12,735人、准看護師1,982人)となっています。
人口10万人当たりの就業者数で見ると、看護師は899.4人で、全国平均855.2人よりも44.2人上回っている状況です。

 


滋賀県の看護師需要

 

滋賀県では病院勤務の看護師が最も多く71.5%で、全国の72.8%をわずかに下回っていますが、診療所に勤務する看護師は全国平均の12.4%に対して12.2%、ほぼ全国平均レベルです。在宅医療関連では、訪問看護ステーション勤務は全国3.3%に対し3.8%ですが、介護保険施設等は全国6.5%に対し8.5%とやや多くなっています。

 

二次医療圏の状況

 

滋賀県は県民の受療率が全国平均より低く、医療への依存度が他県に比べて低いといえます。県内では大津、湖南、東近江の各医療圏が比較的病床数が多いのですが、他の医療圏も病院数の差はあるものの、すべての医療圏に国指定のがん診療拠点病院があり、小児二次救急も湖西を除くすべての医療圏に配置されています。

 

さらに民間病院も三次機能を担っており、救急や脳卒中、急性心筋梗塞などの急性期の医療はほぼすべて二次医療圏で完結できる体制となっています。

 

そうした中で、滋賀県でも少子化や高齢化の進行、医療の高度化・専門化によって、より質の高い看護を提供できる専門看護師や認定看護師の育成が求められており、県内には平成29年10月現在、認定看護師は235人、専門看護師は18人います。

 

県では特に、がん医療に力を入れており、迅速な病理診断を行う全県型遠隔病理診断ネットワークを構築したほか、在宅療養を支援する体制の整備、がん関連の専門知識を持つ看護師の育成にも力を注いでいます。

 

また、今後在宅医療のニーズが増加することが予測されるため、訪問看護ステーションなどの在宅医療を担う看護師の確保と養成が急務となっており、そのために県では在宅医療福祉を担う看護職員確保対策基金を設置しました。

 


滋賀県の看護師確保に向けての取り組み

滋賀県では看護師確保に向けた基本的な方向と目標として、以下の3つを掲げています。

 

  • 高度な専門知識と技能をもつ看護職員を確保し定着させる
  • 在宅医療福祉を担う看護職員を確保するための呼びかけ
  • 地域の健康課題を把握し、対応できる保健師の資質向上

 

そのための施策として具体的な内容は、以下の通りです。

 

1.看護職員の総合的な確保対策

[看護職員の養成]

  • 看護職員修学資金貸与事業による新人看護師の県内定着
  • 病院内保育所の運営費助成
  • ワークライフバランスの推進や相談体制の整備

 

[潜在看護力活用]

  • ナースセンターを充実させ、潜在看護師の再就業を支援
  • 看護職への理解を深める啓発事業

 

[看護職員の資質向上]

  • 新人看護師のスキルアップをはかる研修を支援
  • より高度な知識と技術を持ち、質の高い看護ができるよう資質の向上をはかる
  • 小規模施設の看護師が研修を受ける機会を確保

 

在宅医療福祉を担う看護師の確保・養成

[潜在看護師の掘り起こし]

  • 再就業を支援するコーディネーターを配置し、出張相談を実施
  • ナースバンク登録者の拡大
  • 訪問看護ステーションや福祉施設で働きたい潜在看護師の把握

 

[職場復帰支援]

  • 再就業の際にスムーズな復帰を図るための技術研修を実施
  • 潜在看護師を雇用した訪問看護ステーションなどに対し、一定期間の研修を支援

 

[子育て環境支援]

  • 訪問看護師が子供を預けやすくなるよう、病院内保育所の助成を拡大

 

また、滋賀県看護協会では蔵書・論文の検索ができるほか、看護師の学びやキャリアアップを積極的に支援し、会員への福利厚生サービスなども用意しています。

 

医療依存率が低く、ボランティア活動や趣味、勉強に熱心な県民の多い滋賀県。高度な知識を持つ看護師としてキャリアアップを目指す場合、全圏域に拠点病院があるので、どの地域でも研修のチャンスがありそうですね。また、訪問看護師や在宅医療を希望するナースは、どこにいっても歓迎されることでしょう。

 

県内は交通の便がよく、京阪神、中京圏、北陸へと気軽に足を延ばせるのも魅力です。県では「ほどほど田舎 ほどほど都会」をキャッチフレーズに移住を奨励していて、空き家バンクなどで住居を紹介しています。

 

 

 

参考資料

 

滋賀県保健医療計画
http://www.pref.shiga.lg.jp/e/lakadia/iryoukeikaku/2013-03.html

 

平成22年衛生行政報告例(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/10/dl/h22_toukeihyoitiran.pdf

 

平成26年衛生行政報告例(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/14/dl/toukei.pdf

 

滋賀県ホームページ
http://www.pref.shiga.lg.jp/

 

滋賀県看護協会ホームページ
http://shiga-kango.jp/

 

この記事をかいた人


紅 花子 (べに はなこ)
正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在は当研究所所属ライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

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