看護師のための保健医療計画のミカタ No.22 「秋田県での看護師就業事情と、看護師確保対策を知る」

秋田県の看護師求人事情と、看護師確保対策を知る

■作成日 2018/2/26 ■更新日 2018/5/9

 

元看護師のライター 紅花子です。

 

各都道府県の看護師確保状況をお伝えしているこのコラム、今回は「きりたんぽ」と「なまはげ」で有名な、秋田県の看護師就業状況と、同県の看護師確保対策についてお伝えします。

 

秋田県の看護職員数の動向

 

「秋田富士」と言われる鳥海山をはじめ、田沢湖や抱返り渓谷といった風光明媚な観光地を有する秋田県。乳頭温泉郷や玉川温泉など、特徴的な温泉も魅力的です。冬は日本有数の降雪量で雪深く、日照時間も少ない地域です。

 

秋田県のもう一つの顔は、「人口減少率が最も高い県」ということでしょう。人口密度の低さは北海道、岩手に次いで全国で3番目。全国で最も高齢化が進み、生活習慣病や自殺による死亡率が全国に比べて高いという課題のある県です。

 

厚生労働省「衛生行政報告例」によると、平成22年12月末に県内で就業していた看護職員数は13,808人(保健師530人、助産師305人、看護師9,396人、准看護師3,577人)でしたが、平成26年には14,698人(保健師565人、助産師328人、看護師10,431人、准看護師3,374人)へとアップ。人口10万人当たりの就業者数では、看護師は1,005.9人で、全国平均855.2人よりも150.7人も上回っている状況です。

 


秋田県の看護師需要

 

秋田県では、病院勤務の看護師が最も多く73.5%で、全国の72.8%よりやや多い状況です。
また、診療所に勤務する看護師は、全国で12.4%であるのに対し9.8%と少ない比率となっています。

 

在宅医療等の状況を見ると、訪問看護ステーション勤務は全国3.3%に対し1.7%と非常に少ない一方、介護保険施設等は全国6.5%に対し10.5%と、勤務する看護師の割合が全国と比べて約1.6倍になっていました。

 

秋田県では悪性新生物による死亡率が全国1位、脳血管疾患の死亡率が全国3位、心疾患の死亡率が全国6位と、3大疾病による死亡率が非常に高くなっています。これは秋田県民の酒や塩分の摂取量の多さが関連しているとの指摘があります。

 

県ではこうした疾病等に対応できる高度な医療機能を、県北・中央・県南に整備しているものの、二次医療圏で見ると、秋田周辺医療圏に多くの特定機能病院が集中しているのが目立ちます。特に救命救急センターは県内に1つしかなく、救急搬送可能な人口カバー率は全国で最下位。こうした医療の偏在を解消するために、ドクターヘリの運用や、県北・県南地域における地域救命救急センターの整備が進められていますが、県北では医師不足のため、いまだその機能を果たせない状況にあります。

 

在宅医療の状況を見ると、全国でも高齢化率の高い秋田県では、政府の方針に従って在宅医療の普及・啓発を目指しています。平成19年度には44施設あった訪問看護ステーションが平成24年度には38施設と一時的に減少しましたが、平成29年9月現在は71施設に増加しています。

 

また、秋田県では高度先進医療や訪問看護、緩和ケアといった幅広い役割に対応できるよう、看護師の質の向上や指導者の育成を目指しています。特に死亡率の高いがん医療に関しては、「がん医療を専門とする看護師数の毎年約6人増加」という目標を掲げるなど、看護師の専門資格取得を推進。
県内には平成29年9月現在で、専門看護師7人(うちがん関連資格が6人)、認定看護師166人、在籍していることになっています。

 

県内の看護師養成施設が4年制大学に移行し、修士課程の新設も相次ぐなど、高度な知識や技術を習得できる教育体制の充実が図られてから、徐々に増加する方向にあるようです。

 

看護師の職場環境については、平成22年に調査したところ、退職理由として「結婚や出産・育児」「医療事故への不安」と並んで、「人間関係も含めた職場環境への不満」「超過勤務の多さ」「休暇が取れない」など挙がりました。こうした労働条件や勤務する環境を改善すること、が離職を防止するうえでの大きなポイントといえます。


秋田県の看護師確保に向けての取り組み

秋田県は看護師の確保に向けて、次のような取り組み目標を掲げています。

 

  • 看護職員需給計画の達成と質の高い看護師・准看護師の養成
  • 新人看護職員や中堅看護職員の離職を減らし、定着を促進
  • 潜在看護職員の再就業を促進
  • 看護師・准看護師の質の向上等に向けた専門分野の教育・研修機会の確保

 

こうした看護師の資質向上と離職防止・人材確保に向けた具体的な取り組みとして、

 

  • 養成施設や在学生への支援
  • 新人看護職員への研修で、看護の質の向上と早期離職防止をはかる
  • 看護管理者を対象にした多様な勤務形態導入に関する研修を推進
  • 病院内保育所を運営する病院への支援など、子育て期の就業環境の改善
  • 就業相談や無料職業紹介事業等を行い、潜在看護師等の再就業を促進
  • 看護師のキャリアや専門性に応じた教育・研修機会の確保
  • 実習指導者を育成し、より充実した実習体制によって学生の就業を促進
  • 訪問看護の支援事業による在宅ケア等の技術力の高い看護師等の養成・確保

 

などの事業を推進しています。

 

看護師の資質向上に向けて、学習環境の充実に力を入れている秋田県。続々と専門看護師、認定看護師が誕生しているのは、県を挙げて整備している看護師のキャリアアップ環境が、うまく機能しているのかもしれません。

 

生活面では、日照時間が短く、冬も湿度が高い気候が、「秋田美人」の色白できめ細かな肌をつくっているという説もあります。温泉が豊富な秋田県で、上手に仕事のリフレッシュをして、看護師としてのキャリアアップと、秋田美人の仲間入りを目指してみてはいかがでしょうか。

 

 

参考資料

 

秋田県医療保険福祉計画
http://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/3120

 

平成22年衛生行政報告例(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/10/dl/h22_toukeihyoitiran.pdf

 

平成26年衛生行政報告例(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/14/dl/toukei.pdf

 

秋田県ホームページ
http://www.pref.akita.lg.jp/

 

秋田県看護協会ホームページ
http://www.akita-kango.or.jp/

 

この記事をかいた人


紅 花子 (べに はなこ)
正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在は当研究所所属ライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

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