看護師のための保健医療計画のミカタ No.24 「富山県での看護師就業事情と、看護師確保対策を知る」

富山県の看護師求人事情と、看護師確保対策を知る

■作成日 2018/2/26 ■更新日 2018/5/9

 

元看護師のライター 紅花子です。

 

各都道府県の看護師確保状況をお伝えしているこのコラム、今回は「富山の薬売り」で有名な、富山県の看護師就業状況と、同県の看護師確保対策についてお伝えします。

 

富山県の看護職員数の動向

 

南は立山連峰や黒部峡谷など3,000m級の山々、北は水深1000mを超える富山湾と、雄大な自然に囲まれた富山県。峻厳な山々から生まれる豊かな水は、生活・工業用水のほか、水力発電による電気も供給し、県民の産業や暮らしを支えています。

 

富山県は共働き世帯が多く、女性の就業率は49.9%と全国7位。世帯収入の多さでは全国で常に上位に位置しています。保育園の入所率も70.2&と高く、女性が働きやすい県と言えるでしょう。また、老人クラブ加入率が全国1位、特定健診受診率は全国4位と、高齢者が元気で、県民の健康管理に対する意識が高い県でもあります。

 

また、救急車の到着速度が全国1位で、ドクターヘリが県内どこでも約11分以内に到達できるなど、全国でも屈指の医療体制が整っています。

 

厚生労働省「衛生行政報告例」によると、平成22年12月末に県内で就業していた看護職員数は14,896人(保健師537人、助産師348人、看護師10,257人、准看護師3,754人)でした。平成26年には、就業看護職員数は15,871人(保健師607人、助産師360人、看護師11,474人、准看護師3,430人)まで増え、人口10万人当たりの就業者数で見ると、看護師は1,072人で全国平均の855.2人を大きく上回っています。

 


富山県の看護師需要

 

富山県では、二次医療圏ごとの医療の完結率が高く、最も低い高岡圏域でも9割近く。県全体で医療資源の整備が進んでいると言えるでしょう。そんな富山県で現在の課題となっているのは、高齢化への対応です。

 

県内の看護師就業先を見ると、病院勤務は73.3%で、全国平均の72.8%をわずかながら上回っています。介護保険施設等も全国平均が6.5%なのに対し、富山県は8.3%と上回っており、他県に比べて療養施設での勤務が進んでいるようです。

 

一方、診療所に勤務する看護師の割合は全国が12.4%なのに比べて9.8%、訪問看護ステーションにおいては全国が3.3%に対して2.5%と、在宅の地域医療に関わる施設に勤める看護師については、全国平均よりやや少なめと言えます。

 

こうした中で、県は高齢化によって在宅医療で対応する患者数が今後増加していくことを踏まえ、在宅医療を担う施設を確保する必要があるとしています。

 

県内では平成28年時点で、訪問看護ステーション数は61施設。人口10万人当たりで見ると5.7 施設となっていて、その数は全国平均の 11.2施設を下回っています。

 

富山県では訪問看護の利用を促進するために、訪問看護ステーションをはじめとする訪問看護事業所を増やすと同時に、訪問看護師増加、それに向けた育成に取り組んでおり、慢性期機能病床からスムーズに在宅医療へ移行できるよう、在宅医療や訪問看護によって24時間・365日対応できる体制の整備を目指しています。

 

また近年、特にアレルギー疾患を持つ子供の増加にともなって、看護師を配置する保育施設が多くなっており、ここでも看護師のニーズが高まっています。

 

さらに富山県では、看護師が主体となって始まった「富山型デイサービス」という独自の事業を展開しており、高齢者だけでなく、身体障がい者、子どもなど、誰もが身近な地域の施設に集まって、アットホームなデイサービスを受けられるようになっています。


富山県の看護師確保に向けての取り組み

看護師数が多い富山県ですが、病院では他都道府県と同様に看護師の離職者が多く、看護師不足に悩まされているのが現状です。
さらに医療の高度化、専門化に対応できる質の高い看護が求められるのは他県と同様で、県内の公的病院においては、看護の質の向上のために、大学や大学院卒の看護師の採用や、専門看護師や認定看護師の養成を必要としています。

 

また、今後増えていく高齢者の在宅医療に対応する訪問看護師や、介護施設や福祉施設、保育施設など、病院以外での看護師のニーズも高まっています。

 

富山県では今後の取り組みとして、病院内保育所の運営に対する支援や離職防止のために、職員の勤務環境改善に取り組む病院への支援、若手看護師の交流を促す新人研修を行うなど、看護職員が働きやすい職場をつくることを掲げており、看護師の確保・定着につながることを目指しています。

 

住居の広さが全国一で、そのうえ家賃も安い富山県。
公的教育が充実していて、学力調査では常に全国で上位を占めています。保育施設も充実しているので、子育て中のナースには特に向いている県と言えるのではないでしょうか。

 

また、県内への移住を推進しており、住居や就業、出産育児などに各自治体で独自の補助を行っているのも注目すべき点です。

 

キャリアを生かした病院勤務、地域に密着したケア施設で子供や高齢者と一緒に過ごすアットホームな勤務など、多様な職場で自分に合った仕事が見つかるかもしれません。

 

 

 

参考資料

 

富山県保健医療計画(平成25年3月改定版)
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1204/kj00006481-001-01.html

 

富山県地域医療構想(平成29年3月31日策定)
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1204/kj00006481-004-01.html

 

平成26年衛生行政報告例(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/14/dl/gaikyo.pdf

 

富山県ホームページ
http://www.pref.toyama.jp/

 

富山県における看護職員の現状と課題
http://www.pref.toyama.jp/cms_pfile/00015368/00815544.pdf

 

この記事をかいた人


紅 花子 (べに はなこ)
正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在は当研究所所属ライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

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