看護師のための保健医療計画のミカタ No.27 「群馬県での看護師就業事情と、看護師確保対策を知る」

群馬県での看護師就業事情と、看護師確保対策を知る

■作成日 2018/2/26 ■更新日 2018/5/9

 

元看護師のライター 紅花子です。

 

各都道府県の看護師確保状況をお伝えしているこのコラム、今回は日本一の生産量を誇るこんにゃくと焼きまんじゅうで有名な群馬県の看護師就業状況と、同県の看護師確保対策について、群馬県の第7次保健医療計画をもとにお伝えします。

 

群馬県の看護職員数の動向

 

2000メートル級の山々や尾瀬の湿原、湖沼など自然あふれる群馬県。県内の6割が豊かな森林に覆われ、トレッキングやスキーなど、アウトドアレジャーにはもってこいの地域です。草津や伊香保などの全国的に有名な温泉にも恵まれています。日照時間が長く、全国有数の農産地でもある群馬県は、マイカー保有率、運転免許保有率では全国1位です。

 

県民の健康状態を見ると、死亡原因の悪性新生物、心疾患、脳血管疾患の人口10万人当たりの死亡者数については、20位台と全国平均並みです。糖尿病患者は男女共に全国平均よりも少ないものの、高血圧症による死亡者数が全国平均より多く、有病率の高さも目立ちます。特に女性は、全国平均が25.5%に対して36.8%と非常に高くなっています。

 

厚生労働省「衛生行政報告例」によると、平成22年12月末に県内で就業していた看護職員数は23,777人(保健師900人、助産師405人、看護師14,365人、准看護師8,107人)で、平成26年には、就業看護職員数は25,346人(保健師906人、助産師472人、看護師16,560人、准看護師7,408人)となっています。人口10万人当たりの就業者数で見ると、看護師は838.1人で、全国平均855.2人よりも17.1人下回る程度と、ほぼ全国平均に近い数となっています。

 


群馬県の看護師需要

 

群馬県では病院勤務の看護師が最も多く72.3%で、全国平均の72.8%とほぼ同じ割合です。診療所に勤務する看護師も全国平均が12.4%であるのに対して12.5%と、こちらもほぼ同じ。在宅医療関連を見ると、訪問看護ステーション勤務は全国3.3%に対し3.0%、介護保険施設等は全国6.5%に対し7.0%となっています。
群馬県における就業場所の割合は、おおむね全国平均並みであることがわかります。

 

群馬県内の看護師養成施設を卒業した看護師・准看護師の県内就業率は、平成25年で74.9%ですが、大学卒業者に限ると、県内就業率は46.5%と全体よりも急激に下がります。
県では高度化・専門化する医療や、多様化する医療のニーズに対応できるよう、専門看護師や認定看護師など水準の高い看護が提供できる看護師の養成と、資質の向上が求められていますが、大卒の専門性の高い看護師は、県外に就業する割合が高くなっているのが現状です。

 

県内には平成29年11月現在で、認定看護師が250人、専門看護師が33人、認定看護管理者が38人います。

 

また、急速な少子高齢化に対応するべく在宅医療の整備を進めるため、訪問看護師のニーズはますます高まっています。また、介護保険施設や福祉施設など、医療現場以外の職場でも看護サービスを提供する機会が広がっており、こうした医療従事者が少ない環境にも対応できる、実践力の高い看護師の育成・確保も課題となっています。

 

 

群馬県の二次保健医療圏を見ると、どの医療圏も既存病床数が基準病床数よりも多いのですが、今後は県全体では回復期病床、医療圏によっては高度急性期病床の必要性が高まってくると予想されています。

 

例えば、前橋保健医療圏では、群馬県の中核病院として県の医療体制の基幹を担う前橋赤十字病院が移転・新設し、平成30年6月に開院予定となっています。
新病院では重点強化機能として、高度救命救急センター、基幹災害拠点病院、がん診療連携拠点病院、高度急性期・地域医療支援病院、地域周産期母子医療センター、身体合併症対応の精神科病床(新設)を挙げており、それぞれの機能に応じた専門的な知識と技術を持つ看護師の需要が高まるかもしれません。

 

その一方で、県全体でみると急性期病床はかなりのエリアで病床機能の見直しが図られる見込みです。
病床数だけでみると、2015年現在の急性期病床よりやや少ない程度のレベルで、2025年にむけて回復期病床へと転換されていくイメージです。もちろん、そのまま病床機能が変わるわけではありませんが、それだけ多くの「転換期」を迎える病院が存在するということです。


群馬県の看護師確保に向けての取り組み

群馬県ではこうした現状を受けて、以下のような取り組みを掲げています。

 

(1)看護師等の確保対策の推進
  • 看護師養成施設の運営支援や看護教員の養成、実習施設の確保の支援
  • 修学資金貸与などによる県内就業の促進
  • 勤務環境の改善によって勤務を継続できる環境整備を推進
  • 院内保育施設の運営支援
  • 早期離職の防止と定着に向けた新人看護職員研修を充実
  • 再就業に関する情報提供、最新知識・技術の研修、就業相談など復職支援体制の充実

 

(2)看護師等の資質向上
  • 大学や関係機関と連携して、認定看護師・専門看護師等の養成・確保を支援
  • 在宅医療に携わる訪問看護師育成研修などを実施
  • 介護・福祉関係施設に勤務する看護師への研修体制の構築を支援

 

前橋で県民の健康を支える中核病院の移転とともに、機能充実が進んでいる群馬県。最新設備の中で、高度な知識や技術を生かすチャンスがあるかもしれません。専門看護師、認定看護師などへキャリアアップも、県が積極的に支援しているようです。また、在宅医療や介護福祉関連施設など、病院以外の施設で働く看護師に向けた研修やサポートにも力を入れているので、常に新しい知識のフォローアップができるのはいいですね。

 

休日には群馬の自然の中でアウトドアスポーツを楽しみ、草津温泉で心と体をいやしながら、日ごろの疲れをリフレッシュしてはいかがですか。

 

 

参考資料

 

群馬県第7次保健医療計画
http://www.pref.gunma.jp/02/d1000190.html

 

平成22年衛生行政報告例(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/10/dl/h22_toukeihyoitiran.pdf

 

平成26年衛生行政報告例(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/14/dl/toukei.pdf

 

群馬県ホームページ
http://www.pref.gunma.jp/

 

群馬県看護協会ホームページ
http://www.gunma-kango.jp/

 

この記事をかいた人


紅 花子 (べに はなこ)
正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在は当研究所所属ライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

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