ミクロの世界を覗いてみよう Vol.4 チームで働く白血球―『免疫機能』を再確認

■作成日 2018/2/27 ■更新日 2018/5/9

 

元看護師のライター紅花子です。

 

前回までで、血液細胞のうちの赤血球と血小板を見てきました。次は白血球です。今回は白血球の主なはたらきである『免疫機能』について確認しておきましょう。


免疫のしくみ

「免疫」とは??

 

さて問題です。「免疫」とはそもそも何なのでしょう?漢字にヒントがあります。

 

「免」は「免(まぬが)れる」と読み、「疫」は「疫病」などの様に使われる字で「疾病」を表しています。つまり、「免疫」とは「疫」(疾病)を「免」(まぬがれる)ための防御機能のことです。
これを学問的な言い方にすると、「自己と非自己を区別して自己を守る仕組み」となります。

 

「自己」とは「自分自身」のこと、「非自己」とは「自分以外」のことです。
私たちは病原体に囲まれて生きていますから、「免疫」は健康に生活していくために欠かせない機能であることは言うまでもありません。

 

 

微生物のいろいろ

 

私たちの生命活動において、病原体に分類される微生物以外にも、さまざまな微生物に囲まれています。
それらの中には私たちの健康に欠かせない良いはたらきをするものもありますね。

 

『腸ではたらく乳酸菌』や『皮膚の常在細菌』などです。
これらは私たちの体に、「良い効果をもたらす微生物」です。

 

これ対して、「悪い効果をもたらす微生物」は、その大きさから、ウイルス、細菌、真菌(カビ)、原虫・寄生虫の4種類に分けることができます。

 

 

こういった悪玉の微生物が体内に侵入して定着し、増殖します。これが感染です。感染によって本来の細胞のはたらきを低下させると、感染症を発症した、となります。
「免疫」の力がうまくはたらいていると、体内に入ってきた悪玉の微生物が増殖する前に叩きのめすことができます。

 

しかし、免疫機能がはたらかない、あるいはそのはたらきが弱ってしまっていると、感染症を発症し、なかなか回復できなくなります。
乳幼児や小児、高齢者が「感染症になりやすい」「なかなか回復しない」理由は、免役機能を担う「チーム白血球」が、弱体化しているためです。

 

免疫機能を担うそれぞれの細胞が、必要十分な力を出すためには、十分なエネルギー源と、ビタミンやミネラルの存在が不可欠です。

 

しかし、加齢やストレス、食生活を含む生活習慣により、これらを十分に体の中に取り込めないと、それぞれの免疫細胞の力が弱くなります。
また、乳幼児や小児の場合は免疫機能が十分に発達していないため、非常に弱いのです。

 

免疫の力、はたらき

 

免疫機能は、戦った病原体を記憶することができるため、一度感染した病原体に対する抗体ができます。
初めて戦う相手には少し時間がかかり、病原体を追い出すには少し苦戦することもありますが、相手を倒せば病気回復です。
免疫が一度相手にした病原体を記憶することで、この記憶が残っているうちは、また同じ病原体による病気にはかからないのです。

 

この免疫記憶をうまく利用したのが、ワクチンです。

 

弱毒化あるいは無毒化した病原体や、その成分をワクチンの形に精製し、一旦体内に入れ、免疫機能に記憶をさせます。これにより、次に同じ病原体が体内へ入ってきても、感染はしないという仕組みになっています。これが「獲得免疫」と呼ばれる免疫の機能です。

 

一方、体の中にできてしまう悪い細胞、例えばがん細胞などは、ワクチンを使うことなく免疫機能がはたらきます。
これは、「本来あるべきではない細胞」に対して、それを排除するようにはたらく免疫機能で、「自然免疫」と呼びます。

 

免疫細胞=チーム白血球

 

免疫の仕組みのなかで、細胞たちはどのように働いているのかを見てみましょう。
免疫細胞はすべて白血球なので血液細胞のひとつです。白血球も赤血球や血小板と同様に、元はひとつの造血幹細胞から、分化・成熟することで生まれてきます。
そこから増殖・分化して骨髄系前駆細胞とリンパ系前駆細胞になり、それぞれからいくつもの種類の血液細胞へと分化していきます。

 

 

免疫細胞は、それぞれの特色を活かした分業作業や連係プレーによって、またさまざまな器官や物質などに支えられ、私たちの体を病原体から守っていてくれています。
次回以降詳しくみていきましょう。

 

 

参考資料

 

1.始めの一歩は絵で学ぶ 免疫学 「わたしの体」をまもる仕組み
著者:田中稔之 出版社:株式会社じほう
平成28年8月31日発行

 

2.病気がみえるvol.6免疫・膠原病・感染症 第1版
編集:医療情報科学研究所 出版社:株式会社メディックメディア
発行:平成27年3月3日 第1版第9刷発行

 

3.病気がみえるvol.5血液 第1版
編集:医療情報科学研究所 出版社:株式会社メディックメディア
発行:平成27年3月20日 第1版第12刷発行

 

4. 国立感染症研究所
パネル展示「病原体の種類」
http://www.niid.go.jp/niid/ja/index.php?option=com_content&view=article&id=5959:openhouse2015-18&catid=2326:oc-2015&Itemid=2651

 

5.特定非営利法人 日本免疫学会
免疫学Q&A
http://www.jsi-men-eki.org/general/q_a.htm

 

この記事をかいた人


紅 花子 (べに はなこ)
正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在は当研究所所属ライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

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