総評:e-doctor(株式会社リンクスタッフ)
■ 記事作成日 2014/6/3 ■ 最終更新日 2016/6/6
評価内容と記事内事実の調査結果
この企業は評価内容の事実確認と裏付け確認を各取材先に再度行いました。その結果、当方の調査内容が正しいとの証左をマスメディア含む第三者より取得いたしました。
当研究所では株式会社リンクスタッフの評価に関して下記の「ニセ医者斡旋事件」を>重要視しております(※その理由)。去る2014年9月30日、株式会社リンクスタッフより、当研究所の評価(C評価)に対して、評価の撤廃要請が送られてきましため、改めてマスメディア、警察関係者含めたヒアリング調査を行ったところ、下記記事内容が全て事実であるとの第三者証言を頂きました。
しかしながら、該当事件において株式会社リンクスタッフは、警察に自ら通報・情報提供するなど事件解明に積極的に協力姿勢をみせておりました。このため、一時その評価内容を改める(C評価→B評価)運びとなりましたものの、ニセ医者派遣事件に関する総括を同社内で行うことに対する抵抗が非常に強いとのことで、評価内容は再度C評価に戻させていただきます。
2015年5月に九州で発覚したニセ医者派遣事件はもとより、当研究所ではニセ医者派遣に関与した医師紹介会社に対しては、厳しい評価姿勢で望み続けようと思います。
ただし、ニセ医者派遣に関与してしまった事実とその原因を総括して振り返り、再発防止策を徹底する企業に関しては、評価内容を改めて再検討させていただくことにやぶさかではありません。
ニセ医者、1府2県で健診 詐欺未遂容疑で無職男逮捕
医師免許がないのに診療所などで健康診断をし、診療報酬をだまし取ろうとしたとして、大阪府警枚方署は6日までに、詐欺未遂容疑で、同府交野市藤が尾1の4、無職加藤義勝容疑者(43)を逮捕した。
枚方署によると、加藤容疑者は「わたしは偽医者です。医師免許は持っていません」と供述。医師の人材紹介会社大手「リンクスタッフ」(東京)に医師として登録し、7月中に大阪、滋賀、鳥取の1府2県の計6カ所で健康診断をしていた。
逮捕容疑は7月27日、医師免許があると虚偽申告してリンクスタッフから紹介を受けた大阪府の民間診療所で、団体職員の問診や聴診をし、診療報酬約6万円を自分の銀行口座に振り込ませようとした疑い。この日はほかの医師と2人で約200人を診断していた。
枚方署によると、紹介先からの苦情や面接での受け答えに不審な点があったため、リンクスタッフが110番した。
リンクスタッフは「捜査中なのでコメントできない」としている。
2010/08/06 13:25 【共同通信】
総評:業界の老舗だが、競合他社との差は如何程か
医師転職サービスサイト「e-doctor」という名前は、転職をしようとされている医師の方にとっては、おおよそ見覚え聞き覚えがあるかと思います。「e-doctor」で聞き覚えがなければ、運営会社の「株式会社リンクスタッフ」という名前を聞けば、「ああ、聞いたことがあるな」とお感じになる医師の方は少なくないでしょう。
それもそのはずで、医師紹介会社の老舗であるe-doctor(株式会社リンクスタッフ)は、医師紹介業界に参入して、既に20年になります。
老舗ながらトップを走れていない理由
しかし、残念ながら、老舗としての評判がなかなか定着しないのが残念です。「リンクスタッフの名前は聞いたことがあるが、他の大手い競合他社が成長を続ける中、次第にそのシェアが伸び悩みつつある傾向が見て取れます。業界全体でいうと、3番手勢力の一角というところでしょう。
株式会社リンクスタッフに転職支援業務を担当してもらった医師によると、担当コンサルタントが専属でない為、求人情報によって担当者が異なり一元管理がされていないこと=医師に大きな不便と負担をかけるケースがあるとの声が出ております。また、元社員、現役社員の方にヒアリングすると、競合他社よりかなり高い離職率であることがわかっています。
離職率が高いということは、自然、不用意かつ頻繁なコンサルティング担当者の引き継ぎが行われる可能性があり、登録医師の不満につながりやすくなるのは言うまでもありません。恐らく、リンクスタッフ自身もこの件については自覚している可能性も高く、今後どのような対策を行ってくるのかに興味がつきません。
保有求人募集数は多め
株式会社リンクスタッフが運営する「e-doctor」の長所としては、保有する求人募集数が比較的多いという点があげられるでしょう。この医師紹介会社を利用するならば、転職先の相対比較検討を行うなどの上、固有の良質な求人募集を所有してるかどうかを確かめながら、時には情報収集対象として活用する手段もあるでしょう。
その上で、気になる求人募集がある場合は同社を利用してみるのはありです。ただし、専属担当者制では無く、案件ごとに担当者が変わるため、初めて転職をされる医師や多忙で情報整理を自己で行う時間が取れない方には、利用は強くオススメするのが難しいでしょう。
尚、産業医に関しては、e-産業医というスピンアウトサイトを運営しており、そちらで対応しております。
会社概要:株式会社リンクスタッフ
会社名 | 株式会社リンクスタッフ |
---|---|
サービス名 | e-doctor 他複数保有 |
設立 | 1992年12月 |
代表者 | 代表取締役 杉多保昭亮 |
資本金 | 3000万円 |
年商 | 20億円(2012年度) |
従業員数 | 230名 |
コンサルタント数 | 不明 |
所在地 | 〒107-0052東京都港区赤坂4-9-17 赤坂第一ビル5・6F |
連絡先 | 0120-148-051 |
営業拠点 | 7 (東京、大阪、福岡、名古屋、札幌、仙台、上海)) |
厚生大臣認可 | 13-ユ-040131 |
医療従事者会員数 | 16,118名(2013年6月) |
商業登記簿謄本(画像クリックで拡大)
商業登記簿謄本の公開について
商業登記簿謄本は、申請すれば全ての国民が閲覧することができるものであり、インターネット上に公開することに違法性がないことを、法務局・弁護士に確認済みです。ただし代表取締役の住所につきましては、プライバシー保護の観点から、自主的に非公開としています。
徹底して数字を追う社内姿勢
株式会社リンクスタッフの業界内における組織規模は比較的大きい方なので、医療機関の立場としては、同社からそれなりの営業攻勢を受けることに成ります。数字に厳しい社内姿勢で、営業的に社内ノルマがかつては厳しかったといいますが、現在では緩和されつつあるようです。
また、担当者同士の連携が出来ていないと思われる場面を現場で目にするという報告があります。登録した医師がキャリア展望など同じ事を何度も何度も説明する羽目に陥っている場面が報告されているため、そういった人的業務瑕疵に遭遇してしまった場合、同社の医師紹介システムに対する評価にはマイナスに影響するでしょう。
業績について
海外臨床専門サポート部門を設立し、他社にはないサポートも行っており業績は、伸びている様子です。海外市場へ打って出ている医師紹介会社はまだまだ少なく、旺盛な市場獲得意欲と先見性が伺えます。
売上/利益推移
e-dokorを運営する株式会社リンクスタッフは、売上は公開しているものの利益額は公開していません。創業者一族による典型的な同族企業と言われる同社ですが、売上20億弱のうち実際の利益はいかほどなのでしょうか。尚、業種別売上高(民営職業紹介)では、全国のTOP30位圏内に食い込んでいます。
売上高(H25) | 利益高(H25) | 売上高(H24) | 利益高(H24) |
---|---|---|---|
1,700百万円 |
非公開 |
1,600百万円 |
非公開 |
厳しい社内管理 離職率が高い
先に少し触れましたが、元社員の方へインタビューをしてみると、入社当初から、個々にかなり厳しい数値目標が課せられるとのことです。会社として数字には非常に厳しい姿勢を持っており、、長期?中期?短期と明確化した目標を持ち、達成値を下回った場合は、管理者がその責任を取らされるようです。
「数字に厳しい」ということについてなのですが、一見して、成果主義の為 医師の方々にとってプラスになるように見えますが、実際は目標を達成させる為に、少々強引な求人紹介が行われている話を聞きました。あくまでここでの「数字」とは、営業マンにとっての成績であって、医師の方の転職満足度ではない点がポイントです。
また、厳しい営業達成目標の為に、なかなか社員が定着せず、結果的に案件ごとに担当者が変わってしまうケースがあった事がヒアリングから浮かんできました。
実際に働いていた社員の方からのお話ですと、毎週入退者がいるほど、非常にめまぐるしい人材流出入環境だそうです。その為、1年もいるとベテラン扱いになるとのこと。しかし、管理者になっても、売上目標が達成できない場合は、責任を取らされて退職することが多く、これまたなかなか社員が定着しない状況を生み出す要因となっていると分析できます。
女性の働きやすさ
株式会社リンクスタッフでは、完全成果主義の為成果が出ないと深夜まで残業。休日出勤は当たり前と女性に向けた特段の配慮は聞かれません。結果、社内には多少女性の姿はあるようですが、外国籍の学生ビザを持つ女性が数人在席しているだけとも一時は言われていました。現在はその状況は改善したのでしょうか?
その為、女性の転職コンサルタントとじっくり付き合って行きたいとお考えになっているような医師の方、特に女性医師の方などの場合は、他社と冷静に比較分析した上で同社を選択するほうが良いでしょう。
在席コンサルタントの能力向上施策について
部署にもよりますが、毎週火曜日の午前中に研修が実施されています。2-3時間の研修ですが医療知識等の研修会となっており、しっかり勉強しておかないと業務に影響が出ると言われます。
また、声の大きさも大事にしており、ビジネスマナーをはじめ、細かい所まで指導がされているそうです。定期的に社長が事業所を周り業績のチェック等も行っており、非常に厳しく管理がされています。しっかりとした研修や指導は整っているもののあまりの厳しさに、退職者が多い理由もここにあるようです。
反面、同社で長くコンサルタント業務にあたっている人材は、一定以上の能力向上指導を受け続けた人物であるといえ、一定以上の能力標準化が図られている可能性が大きそうです。
社員、とくにコンサルタント職の人材教育をきちんと行っている医師紹介会社自体の数が業界内では少ないのが実この点は相応の評価を与えるべきだと思われます。
以上から、株式会社リンクスタッフに転職支援業務を依頼する際は、在籍年数が長い人物を選ぶほうが良いと思われます。目安として業歴7~10年以上、且つ、同社在籍歴が5年以上のコンサルタントが良いのではないでしょうか。
全国エリアをカバーしているのはメリット
登録求人数
「e-doctor」の医師求人情報は下記のようになっております。
公開医師求人数(2013年12月1日調査)
常勤医師 | 非常勤医師 | アルバイト(単発) |
---|---|---|
4979件 | 4284件 | 2770件 |
※キャリアコンサルタント保有求人と病医院直接応募求人を足した合計数
非公開医師求人数(2013年12月1日調査)
常勤医師 | 非常勤医師 | アルバイト(単発) |
---|---|---|
不明 | 不明 | 不明 |
※キャリアコンサルタント保有求人と病医院直接応募求人を足した合計数
広いカバレッジエリア
同社は東京、大阪、福岡、名古屋、札幌、仙台、上海と、中国を含めると7支店を保有しています。相当広いカバレッジエリアを誇るため、これは競合他社の医師紹介会社にはなかなか無いメリットであるといえるのではないでしょうか。特に、地方で求職したい医師の方などは、他のデメリットに目をつぶってでも同社を利用する理由になりそうです。
サービスサイトへのアクセス推移
同社運営の医師転職支援サービスサイトへのこのところのアクセス推移は上記のようになっております(2014年11月5日 SimilarWebにて調査)。同社名やサービス名、URL直接入力によるアクセスが40%を超えており、老舗ならではのブランド力を感じます。
「edoctor」のアクセス流入参照元で大きなシェアをめるのは、運営会社である株式会社リンクスタッフのコーポレートサイト、それに続くのは、医療法人白報会グループとなっております。
同社サイトへのアクセス検索キーワードは「医師 求人」というビッグキーワードが3割を超えます。また、医療法人財団 コンフォート病院理事長の宇野克明医師の記事に関して、同先生の名前でキーワード流入が一定数あるのが目立ちます。
最終評価判定:ニセ医者事件の総括意思なし
案件求人情報が多い、全国に支社があり広いエリアをカバーしているというメリットがある反面、過去のニセ医者派遣事件、案件担当制度の使い勝手の悪さなどにより、圧倒的に競合他社を出し抜いて同社に登録しなければならないというレベルにまでは達していません。
一昔前なら「大手の医師紹介会社」であるだけで安心して登録ができた(というより他に選択肢がなかった)のですが、大手競合他社が渾身を込めて事業サービスを前進させている今現在、老舗というだけで安穏としていると、あっさり他社に出し抜かれていく可能性があります。老舗医師紹介会社の今後の逆襲はどのように行われるのか、引き続きウォッチングしていこうと思います。
また、評価内容に関してですが、過去のニセ医者派遣事件に関する組織としての総括意欲はなく、再発防止策に関する具体的方策などが不透明なため、現状の「e-doctor」はC評価とさせていただきます。
【登録前にお読み下さい】
この会社の登録者の多数は、こちらの会社を同時登録することで優良求人を複数獲得する確率が大幅に向上することが当研究所の調査結果でわかっています。
何故、3社同時登録で優良求人が見つかるのか?
エムスリーキャリアエージェント |
医師転職ドットコム |
【評価C(低評価)】の医師紹介会社
医師転職支援コンサルタント・野村龍一のアドバイス
「率直に言って、出来れば転職やアルバイトの際に登録することは避けていただくほうが無難と思われる医師紹介会社です。理由は様々ですが、医師が求める理想的な求人情報に結びつかない可能性が多分に予想されます。賢い医師には不要な会社です」
この記事を書いた人
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