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第11回: 良医=名医、しかし名医は必ずしも良医ではない?

良医=名医、しかし名医は必ずしも良医ではない?

 

■ 記事作成日 2016/11/15 ■ 最終更新日 2017/12/6

 

名医と良医の言葉の違い

良医=名医、しかし名医は必ずしも良医ではない?

 

元看護師のライター紅花子です。
このコラムでは、私の約10年の看護師経験の中で感じた“医師として活躍するために必要な素質”について考えてみたいと思います。

 

今回は、私自身が医師に取材する先などで度々耳にする言葉、名医と良医について考えてみたいと思います。

似て非なる2つの言葉

 

名医と良医。一見するとどちらも同じような意味合いのように思います。

 

広辞苑を見てみると、「名医」とは「名高い医者・すぐれた医師」と定義されています。

次に、「良医」を調べてみると「医術に優れた医師・名医」と定義されています。

そのため、言葉の意味だけで捉えると、名医=良医なのではないか、と考えてしまいがちです。

 

しかし、実際に数人の医師にお話しを伺うと、この2つは違う意味で捉えているようです。

 

名医は本当に良医であるのか

 

「名医」は、「名のある医師」ですが、それが「良医」とイコールでは無い理由を考えてみます。

 

【名医】とは何か

 

例えば、一般の人(患者さん)から見て、誰に「自分の主治医になってほしいか」と考えた時、医療機関のWebサイトや、病院を紹介する医療雑誌、医師のランキング等の書物を参考にするでしょう。

 

あくまでも参考ではありますが、最近では「医師が選ぶ名医」なども出ています。

 

こういった内容であれば「同じ医師が“スゴイ”と認めた医師」と捉えられますので、当然、患者さんの目を惹くでしょう。また、「○○の治療の権威」などというコトバも、人を惹きつける力があります。

 

医師としての技量(ウデ)が良いことや、あるいは掲載される論文数が多いことなども、こういった表現の元となるのではないでしょうか。

 

しかし「名医」として名前を載せるために、書籍等の出版社から「少しお話を聞かせてもらい、写真を撮り、〇〇円の掲載料を頂ければ、掲載します」という提案があるケースもあるようです。

 

広辞苑の意味通り、名高い医者、すなわち名医の完成です。

 

「名医」としてマスコミに取り上げられると、その医師の元を訪れる患者数は、一時的には増えます。

そのまま、患者さんが定着すれば良いのですが、患者さんも人間ですから、合う、合わないがあります。

そのため、名医のもとを一瞬で去っていく人も、多いようです。

 

新規の患者数が多い反面、リピート率が少ないというのは、本当に名医なのかどうか、患者さん側の判断が分かれるところです。

 

【良医】とは何か

 

名医の中でも、広辞苑意味通り、医療技術に優れている医師、さらに一歩進んで患者さんとの信頼関係が築けている医師を、私は良医だと思っています。

 

まず、医療的な技術がなければそもそも、患者さんから「医師として信頼される」ことはありません。

 

患者さん本人が判断できなくても、その家族は医療者が考えるよりもずっと深く、医療者を観察しています。

医師が患者さんに「診断」するのと同様に、患者さんやその家族は、医師を「(良い医師がどうか)判断」しているのです。

 

以前、私が取材させて頂いた医師の中にも、良医と思える医師(A医師とします)がいました。

 

その医師は、ある疾患の専門医ですが、経過が非常に長い疾患の患者さんを多く診察しているため、中には数十年の付き合いがある患者さん(Bさんとします)もいます。

 

Bさんは長い経過の中で、一度、主治医を変えたことがありますが、数か月後にまたA医師のところに戻ってきました。

 

戻ってきた理由は「A先生は自分の(不定愁訴とも捉えられるような訴えを含め)話をきちんと聞いてくれて、親身になってくれていると分かったから」だそうです。

 

私自身の経験上ですが、同じ医師の中でも、患者たちからの信頼が厚い、リピート率の高い医師が良医と位置づけられるように感じます。

 

名医と違い、良医は自分で作ることはできません。日々の積み重ねと他者評価が合いまった上で位置づけられるものであると感じています。

 

そのため、患者が作り上げた医師像が、良医という存在なのではないでしょうか。

 

 

診察中のこの態度が名医と良医の暗雲を分ける
患者が名医を良医だと感じる条件は、おおよそ以下のようなことではないでしょうか。

 

●患者(相手)の目を見て話す

 

そもそもこれは、人同士がコミュニケーションをとる上で必要不可欠な言動です。診察中、電子カルテのあるパソコン画面に集中しながら話を進める医師がいますが、医師としての自身の無さの表れと捉えられることがあります。

 

●専門用語ばかりを使わない

 

専門用語を並べても、すぐに納得してくれる患者さんは、数%もいないでしょう。最悪の場合「自分(患者)に分からない言葉を並べて、自分のことを馬鹿にしている」という不快感を持たれます。

 

●患者の質問に対する返答が的確

 

患者さんの質問への返答がない、あっても的外れである場合は、医師としての素質に欠けます。特に、患者さんからの質問に対し、黙り込む、不機嫌になる等の態度を取ると、その医療機関の評判は悪くなります。

 

もしも、同じだけの医療技術、知識を持ち合わせた名医が2人いたら、患者さんはこれらにYESと回答で切る医師(もしくはそう努力しようとしている医師)が「良医」であると判断するでしょう。

 

良医がいる病院=良い病院とも限らない

 

では、良医がいる病院は良い病院なのでしょうか。これは「卵が先か、鶏が先か」と同じようにも思えますが、良医がいるから良い病院なのではなく、良い病院には良医が集まる、という考え方の方が、正しいように思います。

 

次回は、実際「名医や良医がいる病院が良い病院なのか」を考えてみたいと思います。

 

この記事をかいた人


紅 花子

正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在は当研究所所属ライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

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