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医療機器開発に必要な存在 医工連携コーディネーター

■ 記事作成日 2017/8/7 ■ 最終更新日 2017/12/5

 

元看護師のライター、紅花子です。突然ですが、医療分野における機器開発をしたい、今までに無い新しい手術器械を作りたい、と思ったら誰に相談すれば良いでしょうか。

 

実際に「医療機器として使用できるものかどうか」というところまで進めば、相談先はPMDAになるでしょう。しかしそれよりもずっと前、まだ自分の頭の中にある構想をカタチにする段階であれば、誰に相談すれば良いのでしょうか。今回は、この相談先を考えてみたいと思います。

 

自分の“閃き”をカタチにしていく過程

 

とある外科系の医師が「手術の時、既存のものには無い開創器が欲しい」と考えたとします。これを実際にカタチにしていくための過程には、いくつかのパターンが考えられます。ごく簡単なフローチャートを作ってみました。

 

 

このフローチャートでは、最初の判断基準が「いずれ商品化をしたいかどうか」になっています。仮に最初の構想の時点で「商品化はしない、自分が使えれば良い」と考えたとします。すると、その後で医療機器メーカーが関与するのは、かなりハードルが高くなります。医療機器メーカーは「自社が商品として取り扱って、売上の見込みが立つもの」であれば喜んで関与するでしょう。もしかすると、開発費用もある程度は負担してくれるかもしれません。

 

しかし、すべてが出来上がったところで医師の気が変わり「これ、商品にして良いから売ってきて」と言っても、医療機器メーカーは難色を示すことがあります。

 

こういった「新しく開発したものを商品として世の中に販売していく戦略」を出口戦略といいますが、もしも商品化することを少しでも考えているならば、最初からこの出口戦略の目途が立った状態で開発を進めていく方が、スムーズに進んでいくことが多いようです

 

職人さんに直接オーダーした場合、開発費用はすべて自己負担?

 

上記フローチャートで、Aになった場合はどうでしょうか。医師の中で、金属加工や樹脂加工が出来る職人さんにツテがある人は少ないと思いますが、仮にいたとしても、開発費用はすべて医師が負担することになると考えて良いでしょう。職人さんも、加工に関しては商売ですし、実際に「十分に使えるもの」になるまでには、数回の試作、数か月から数年の開発期間が必要です。

 

この間の開発費用を、いったい誰が負担するのか。職人さんからすれば、オーダーした医師は「お客様」になりますので、基本的には医師が全額負担することが多いようです。

 

コーディネーターの仲介

 

上記フローチャートでBまたはDになると、「コーディネーター」と呼ばれる人物が関与することになります。所属する団体によって肩書は多少違いますが、一般的には「医療機器開発コーディネーター」あるいは「医工連携コーディネーター」と呼ばれる職業になります。

 

医師からみたコーディネーターの責務は、簡単にいえば「医師の希望をカタチにするお手伝いをすること」です。ここ数年、全国の各自治体では、「地元の中小企業を盛り立てる」「医療機器開発を推進する」という動きが少なからずありますので、例えば都道府県の外郭団体や、市区町村の商工会議所などに、コーディネーターと呼ばれる人材が所属しています。

 

彼らを通じて、設計や試作可能な企業との交渉を進めることが出来ます。開発費用も、自治体などが助成金を準備している場合がありますが、こういった情報も、彼らを通じて得ることが出来ます。

 

コーディネーターには3パターンの人材がいる?

 

医療機器開発のコーディネーターは、基本的には特別な資格が必要なわけではありません。中には「中小企業診断士」などの資格を持つコーディネーターもいますし、所属団体によっては「専門の講習を受講した場合のみ認める」というところもあります。

 

筆者はこれまでに、数十人のコーディネーターとの面識がありますが、各コーディネーターの持つ背景は、おおよそですが3パターンあると考えています。

 

 

もちろん、全国のコーディネーターがすべてこのパターンに当てはまるとは限りません。医療機器メーカーのOBの方で加工技術に非常に詳しい方や、公的機関の職員の方で医療・工業ともに溢れんばかりの知識をお持ちの方もいらっしゃいます。いずれにしても「商品として世に出す医療機器開発を行うならば、コーディネーターの関与がゼロでは難しい」というのが、現在の流れのようです。

 

まとめ

 

日本国内で新しい医療機器を開発するならば、国の動き、各自治体の取り組み、医療機器メーカーの特長など、知っておくべきことはたくさんありますが、一人の医師が、これらをすべて知ろうとすることは、かなりの時間と手間がかかるため、現実的とは言えません。

 

しかし、適切なタイミングでコーディネーターの力を借りれば、病院に居ながらにして、様々な情報を手に入れることができるでしょう。もしも新しい医療機器のアイデアがあるならば、まずは地域のコーディネーターに相談してみるのも、一つの方法かもしれません。

 

参考資料

 

公益財団法人 神奈川科学技術アカデミー 医療機器開発コーディネーター育成講座
https://www.newkast.or.jp/kyouiku/edu_h28/ed28_seminar_15.html

 

首相官邸 第4回 次世代医療機器開発推進協議会 議事次第|健康・医療戦略参与会合|健康・医療戦略推進本部 
資料3 医療機器開発支援ネットワークの取組と今後の方向性
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/kaihatsu/dai4/siryou3.pdf

 

この記事をかいた人


紅 花子

正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在は当研究所所属ライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

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医療機器開発に必要な存在 医工連携コーディネーター =連載コラム「医工連携時代」


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