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臨床研修先として、臨床研修病院を選ぶ人が増えている

医師として最初の研修はどこで受ける?その2 =医師臨床研修マッチング結果より=

■ 記事作成日 2015/11/16 ■ 最終更新日 2017/12/6

前回のコラムに引き続き、今回も「医師臨床研修マッチング」の結果から、医師の「就職」について考えてみたいと思います。

 

この10年、特にこの「医師臨床研修マッチング」というシステムがスタートしてからは、医師としての最初の第一歩、臨床研修を受ける医療機関として、大学病院ではなく、臨床研修病院を選択する人が増えています。

 

平成15年くらいまでは、大学病院の方が臨床研修病院のおよそ1.5倍くらいでしたが、平成17年からはこれが逆転し、臨床研修病院の方が多くなっています。平成27年では、

 

大学病院 : 臨床研修病院 = 3,703 : 4,984

 

となっていますので、臨床研修病院が大学病院のおよそ1.3倍を超えました。平成21年ころに一度、ほぼ同数となった時もありましたが、平成22年以降、この差は年々大きくなっています。


医師の「地域差」について考える

では、地域差についてはどうでしょうか。

 

医師として最初の研修はどこで受ける?その2 =医師臨床研修マッチング結果より=

図1 都道府県ごとのマッチング状況(平成27年)

 

募集定員、マッチ者数ともに、東京都がダントツです。これは、東京都内の人口、医療機関の数などによりますので、当然といえば当然な結果ですね。

 

厚生労働省では、大都市部があるのは東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡の6都府県としていますが、やはりこの6都府県のマッチ割合は、全国平均を大きく超えています。

 

それ以外の都道府県でもっともマッチ率が高いのは、奈良県です。奈良県は、京都府・大阪府とも隣接していることも関係しているのかもしれません。

 

次にマッチ率が高いのは、神奈川県・千葉県です。東京都のお隣、という背景もあるのでしょう。そのまま関東に目を向けると、茨城県・栃木県は比較的マッチ率が高いのですが、群馬県と埼玉県は全国平均以下。特に群馬県は、前述の6都府県を除く全国平均よりも、低いマッチ率となっています。

 

その他の都道府県で比較的マッチ率が高いのが、沖縄県、兵庫県、和歌山県、長野県、北海道でしょうか。これらの都道府県は、そもそもの募集人員も、前述の6都府県よりもかなり少なくはなっているようですが、それでも全国平均のマッチ率を大きく超えていますので、それなりに魅力的なプログラムがあったのかもしれません。

 

いずれは「大学の医局」に籍を置くことが大多数?

さて、臨床研修期間終了後は、「臨床研修を受けた病院に就職する医師」もいるかもしれませんが、大多数はどこかの「大学の医局」に籍を置くことになります。医局に入局し、提携している全国の病院を数年間かけてローテーションすることで、医師としてのウデを磨いていくのです。

 

そこで大事なのが「どこの医局に入局するか」という点です。

 

臨床研修を大学病院で受けた人は、そのままその大学の中に籍を置くことが多いかもしれません。そういう意味では、大学病院での臨床研修を希望する人が、多くなるのも納得できます。

 

では、地方の臨床研修病院で臨床研修を受けた医師は、どうなるのでしょうか。

スタートが「地方の臨床研修病院」でも、大学の「医局」の力は大きい

医師としての第一歩を地方の臨床研修病院で受けることになったとしても、日本の医療制度を支えている「医局」の力はとても大きいもののようです。

 

仮に、とある地方都市の「臨床研修病院」で臨床研修を受けることになったとします。しかしそこには、「外科はA大学」「整形外科はB大学」「循環器内科はC大学」というように、各医局にはそれぞれの大学との強いつながりがあります。

 

また同じ「外科」でも、医師数がそれなりに多く、第一外科、第二外科などと分かれているような場合には、2つ以上の大学から医師が派遣されてきていることがよくあります。

 

こういった状況の中で臨床研修を受けるということは、「いずれはウチの医局に来てね(ハート)」といったラブコールを受けることも多々あります。

 

医師の方だって、優秀な若い医師が欲しいですし、将来的に一緒に働く可能性があるなら、性格が良いとか、素直に上の指示を聞けるとか、そういったところでも「良い人材」を求めているのは確かです。単に、「糸結びが上手い」とか、「的確な投薬指示が出せる」という、「医師のウデ」だけではないのです。

 

臨床研修が終盤に近付くと、病院側の医師(大学から派遣されてきている医師)も、何だかソワソワしてきます。優秀な人材はどこの医局でも欲しいわけですから、ごく静かに水面下で、争奪戦があったりもします。

 

臨床研修医からみたら「自分のウデをあげることができる」とか「この医師に“付いて行きます!”と思える」とか、自分の将来がかかった選択をするわけですから、「非常に為になる研修ができた医師が籍を置く医局」を選択したくなるのは、当然のことです。

 

このサイトでも「好かれる医師・嫌われる医師」という別コラムがありますが、少なくても「嫌われる医師」が多いところには、若い医師も集まりにくいと考えても良いのではないでしょうか。

 

多くの場合、臨床研修を受ける医師は、24歳~27歳前後。一般社会でいえば遅い社会人スタートではありますが、この先医師として、それまでの人生のおよそ2倍近くを過ごすことになるわけですから、最初の一歩は非常に大きなものではないでしょうか。

 

この最初の一歩をどこで踏み出すのか、そしてその後の人生設計をどう考えていくのか、この臨床研修期間は、人生を変えるくらい、大きなものになるのかもしれません。

 

 

参考

 

厚生労働省 平成27年度の医師臨床研修マッチング結果をお知らせします
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10803000-Iseikyoku-Ijika/0000101968.pdf

 

同上 平成 27 年度 研修医マッチングの結果
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10803000-Iseikyoku-Ijika/0000062062_1.pdf

 

この記事を書いた人


野村龍一(医師紹介会社研究所 所長)

某医療人材紹介会社にて、10年以上コンサルタントとして従事。これまで700名を超える医師の転職をエスコートしてきた。担当フィールドは医療現場から企業、医薬品開発、在宅ドクターなど多岐にわたる。現在は医療経営専門の大学院に通いながら、医師紹介支援会社に関する評論、経営コンサルタントとして活動中。40代・東京出身・目下の悩みは息子の進路。

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