3度の転職を経て、やっと見つけた「産業医」という天職
医師になってからは、休みという休みはありませんでした。ある程度覚悟をしていたものの、ずっとハード勤務が続くのかと思うと、自分でもとても継続していくことはできないという考えが巡るばかり。学生時代の友達に聞けば、同じ総合病院でありながら休みはあるし、給料は自分よりも良いという話。自分の環境があまりよくない事に、間もなく気付いたんです。
転職しても条件は変わらず…
転職したいと思って、すぐに就職活動を開始。学生時代の先輩から、違う総合病院の紹介を得て就職しました。
条件としてはお給料が少し上がったくらいで、やはりハードな毎日でした。なるべく入れないようにしていると言われた当直も、他に辞める先生が重なり、自分が2日連続で入った事もあります。次の日に普通に勤務で、もしかしたら倒れるのではと思う事もありました。条件が違った事もあり退職を決めましたが、先輩の建前もあって、なかなか言い出せない自分がいました。
そんな経緯もあり、転職するのであれば自力で探す方が良いのではと考えました。先輩にもなんとか理解してもらい、次の転職先へはすんなりと転職が決定。転職先は医院長が一代で築いた病院で、ある程度の規模があるところでした。当直もなければ呼び出しもなかったので、少し楽になるのかと思ったのが転職を決めたきっかけです。
しかし実際には受け入れる患者さんの数が半端ではなく、まるでたらい回しのように診察する毎日。数分診察とはよく言いますが、まさにそうしないとやっていけないくらいの患者さんでした。土地柄で病院が少ない地域でもあったので、どうしてもお年寄りなどは近くのその病院に足を運ぶようにしていたようです。当直はないにしても、毎日の仕事はまさにハードでした。
さらに患者さんとじっくり話ができない事に、罪悪感を持つ自分がいました。それでも患者さんにはなるべく病状に合ったものをするようにしてきたつもりでしたが、このままこのスタイルで医師をしていく事に抵抗を感じ出したんです。そこで、もう一度転職をすることに。しかし2度転職している事から、条件が悪くなる可能性もあります。そこには、どうしても不安を感じざるを得ませんでした。
非常勤で出会った産業医へ
今回は、以前登録していた人材エージェントを経由してさせてもらうことにしました。そこは転職の間に、非常勤として働くために登録していたところです。非常勤で産業医をしていたことがあったのですが、その時にじっくりと話をしながら診察できていた経験を思い出しました。そこで「もしかしたら、そういった環境の方が自分には合っているのかもしれない」と、担当のコンサルタントの人に相談してみたんです。
産業医は登録など色々な手間がかかりますが、企業に勤める事でハードな勤務から開放される他、年収が上がる事も多くあります。担当のコンサルタントも、そういった要因から産業医としての勤務を勧めてくれました。
人気の仕事なので少し時間は掛かりながらも、産業医として働ける企業が見つかったときは嬉しかったです。残業は忙しい時期の一部だけで、あとは定時で帰れます。さらに年収も上がりました。じっくりと患者さんと話をして治療していく過程は、まさに自分が描いていた医師のスタイルです。周りからも、よく「以前よりいきいきと仕事をしているね」と言ってもらえるようになりました。医師として、初めて天職を見つけられた気がします。
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