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独立開業してみたものの…

医師の独立開業あるある事件簿

■作成日 2015/12/24 ■更新日 2017/12/6

一国一城の主となる「クリニック独立開業」は、医師として、一人の社会人として、一つの大きな夢の結実であり、また、新たな夢の始まりでもあります。独立開業とは、多くの医師が一度は考えた事があるであろう、医師のキャリアの揺るぎ無いメインストリームの一つです。

 

「自己の裁量で“理想の医療世界”を創る。」
「経営者としての顔を持ち、事業主として躍進する。」
「特定の地域に根差した医療を提供する。」
「収入を大幅にアップさせる。」
「上下関係に悩まされる事から脱却する。」
「家業を継承して家族を安心させる。」…etc.

 

開業にはドクター一人一人にそれぞれの目標やビジョンが掲げられています。どれも一つ一つ、素晴らしい物に違いありません。

 

ところが、多くの医師が、この揚々とした未来を容易く手に入れられずにいます。独立開業にはありとあらゆる難題が付き物。「一難去って、また一難」を地で行くアクシデントの連続です。

 

しかし、これらアクシデントには必ず原因があり、さらにその対応策が存在しています。つまりそれらを事前に知る事で、予め転ばぬ先の杖を用意する事はできる筈です。

 

ここでは、「独立開業のあるある事件簿」と題し、独立開業の際によく起こり得る問題にスポットをあてる事で、ケーススタディとして学ぶ機会になるトピックをピックアップしてみましょう。


クリニックの命名がNG!?

医師の独立開業あるある事件簿

 

一度開業したら、なかなか変える事が難しいものの一つに、「クリニックの名称」があります。クリニックの名称は、子供の名付と同じく、そのアイデンティティを確立するために重要なものです。

 

しかしながら…「名前なんて何でもいいよ、場所はなかなか変えられなくても、面倒な行政手続きさえ踏めば、後でいくらでも変えられるでしょう?お金もそんなにかからないし」…と、安易な発想の先生が非常に多いのが実情

 

学生時代から医業に身を置き、マーケティングやブランディングといった分野とは程遠い世界で医業に従事してきた医師たちですから、市場勘が鈍くても仕方が無い事かもしれません。けれども、独立開業となったらそのようなスタンスでは成り立ちません。もし今、商的なものに疎いと自覚をしているならば、その事実をしっかりと受け止め、素直に学んで下さい。

 

開業準備の際に、まず最初に行うであろう「クリニックの命名」は、その後の医療経営に直結するものになると、予め肝に銘じて欲しいのです。

 

名称の付け方によって、開業する商圏の水に合う事も、合わない事もあります。先生が付けた名称が、全くターゲットに響かなければ、集客なんてできる筈もありませんし、その逆で功を奏する事も有り得ます。

 

特に現代は、広く深く市場に情報ネットワークが浸透しています。検索サイトでどのようにヒットするのか?ネット社会でどのように認知されるのか?…ネット上での影響力も踏まえて、熟慮の上に命名する事が必要だと考えられます。

 

お堅い難しい名称でターゲットに感知されない…という事案

 

地域最高学府の大学病院で、循環器内科の専門医としてエース級の働きをしてきたA医師は、41歳で大学病院と同市内にある新興住宅地にクリニックと自宅を新築し、開業する運びとなりました。

 

A医師は、これまで培ってきた専門性を訴求する事こそが、患者さんに信用を得る手段だと思い、さらに自らの名前を冠する事でクリニックの誠実さを示そうと考えたそうです。

 

「鈴木雄之介・循環器内科クリニック(一般内科・循環器内科)」

 

…これが、A医師が誠心誠意を以ってつけたクリニック名です。

 

しかし、いざ開業してみると、なかなか患者さんが訪れてくれません。開業当初は仕方ないと思ったものの、半年経っても一年経ってもさほど状況は変わりませんでした。A医師のクリニックの方が近い住所の方でも、少し遠いクリニックまでわざわざ足を運んでいる様子だったのです。

 

A医師は妻を通じて、それとなく近所の方に病院の評判を聞いてみる事にしたそうです。すると、考えてもいなかった声が返って来たと言います。

 

「循環器系の疾患の時にしか行ったらいけないと思っていた。風邪でも予防注射でも行っていい、普通の内科だったのね。」

 

…気軽な地域のかかりつけ医を目指していたA医師にとっては驚きの反応でした。一般内科とも標榜していても、一般の人にはそれほど目に入らないようです。そもそも、一般の人は、それほど専門科についての知識も無いようでした。

 

「循環器内科って何の事だか分からない。」

 

…これには本当に驚いたというA医師。循環器と言えば、もちろん心臓や血管に関する疾病を扱う専門科です。しかし、循環器が何を指すのかさえ知らない人も少なくなかったのです。A医師の常識が、市場では常識では無かったのです。

 

「頑固なおじいさん先生がいるかと思った。」

 

…A医師は感じの良い若先生です。しかし、A医師が誠実さや信頼性を訴求するために冠した自らの名前が、門戸を叩きにくい原因となっていたのです。

 

A医師には、循環器内科の専門医としてのプライドがありました。それは大切な事ですが、そういった感覚の命名を市場に投じても、そぐわない事もあるのです。もしも、住宅地を市場に“身近なかかりつけ医”を目指すならば、「鈴木内科クリニック」・「地名内科」・「地名ファミリークリニック」といった方向性の方が、マッチしていたと考えられます。

 

改名しすぎてネットで感知されない…という事案

 

B医師は駅前に耳鼻科クリニックを開業して五年目の医師です。経営者としての学びの意識も高く、何か課題があれば、すぐに対処をする徹底ぶりでした。

 

「地名クリニック(耳鼻咽喉科)」

 

…これが、B医師が開業時に命名した名称です。駅前での開業だったため、地名を冠するのが一番だと考えたからです。

 

しかし、駅前の周囲には「地名内科」や「地名歯科」といった、似たような名称のクリニックが沢山ありました。特に「地名内科」に関しては、何度も間違い電話がかかってきたり、B医師の患者さんの家族が「地名内科」に間違えて出向くなど、様々なミステイクが頻発したため、改名に踏み切る事にしたそうです。

 

「地名耳鼻咽喉科クリニック」

 

…これが改名後の名称です。耳鼻咽喉科という専門科名も、名称に組み込む事で、地名内科との差別化を図ろうとしたのです。これまでは耳鼻咽喉科と標榜していても、あくまで名称に附属された表現でしたから、これで随分とミステイクが減ると思ったそうです。そして実際、間違い電話は減ったと言います。

 

そして、開業五年が経ってかかりつけの患者さんも増えてきた頃、「もっと独自性を打ち出したい」「子供から大人まで気軽に来てもらえたら」…と考えたB医師は、またもや改名を決意しました。

 

「スマイルみみ・はな・のどクリニック」

 

…これが、再改名後の名称です。耳鼻咽喉科では堅いイメージがつきまとうので、子供でも何の診療所か分かる柔らかい印象の名前にし、風邪などの症状時にも家族揃って来院して欲しいとの願いを込めたそうです。

 

これまでの患者さんたちには、「感じの良い名前ですね…」と、好印象。B医師は「思い切って改名して良かった」…と思ったのですが…それも束の間…「インターネット検索上でヒットしにくい」という新たな問題が発生しました。

 

【地名and耳鼻科】…といったワードで検索しても、上位には全く出て来ません。これでは、初診の患者さんが地理的条件から来てくれる事は少なくなるかもしれません。さらに、あらゆるクリニックデータベースサイトには、以前の「地名クリニック(耳鼻咽喉科)」と「地名耳鼻咽喉科クリニック」とが混在していて、どこもなかなか「スマイルみみ・はな・のどクリニック」に書き換えてはくれません。これでは、ネットで情報を見た患者さんが、B医師のクリニックを訪れにくくなってしまいます。新たなミステイクの多発も容易に考えられます。

 

B医師はネット検索のコンサルタントに現状打破を依頼し、多額の費用を支払う羽目になりました。しかしプロの技を以っても、過去の名称と現在の名称の思考導線を繋げる事は、簡単な事ではなさそうです。


オープニングスタッフがNG!?

医師の独立開業あるある事件簿

 

開業したクリニックが軌道にのるかどうか?…それは、「どんなオープニングスタッフを揃えることができるか」…という大命題に掛かっていると言っても過言ではありません。

 

「縁故にて旧知の看護師を婦長に迎える」・「身内が本腰を入れて勤務してくれる」など、キーパーソンに間違いの無いスタッフを配置できれば良いのですが、現実はなかなか厳しいもの。

 

地理的・時間的制約などから、全てのスタッフを新規雇用しなければならない事も、珍しくはありません。市場を鑑みると、むしろ、こちらのケースの方がスタンダード。開業日が決まっている中で、どのようにして求人をかけ、どのように判断をすると、良い人材が都合良く見つかるのか?…

 

意を決して開業に踏み切った“大切なクリニック”を、院長である先生の意向通りに稼働させるには、慎重に慎重を重ねてオープニングスタッフを選定するだけでなく、緻密な人事管理も非常に大切です。

 

もしもオープニングスタッフの採用や管理にミスが生じると、一次的に運営がままならないだけには留まりません。開業当初に患者さんが受けた印象は、クリニックのブランドとして定義化され、後々まで尾を引いてしまうものです。新しいクリニックの悪い口コミがネットに書き込まれたりしたら…正に「出鼻を挫かれる」と言った事態に陥り、どんな策をとっても起死回生の本塁打には成り得ません。

 

逆に考えると、優秀なオープニングスタッフがうまく運営に尽力してくれれば、良い口コミが広まり、クリニック運営はまたたく間に軌道に乗る事も良くある話なのです。

 

クリニックを自分の城と化する看護師…という事案

 

C医師は、勤めていた私立病院と同じ私鉄沿線沿いの、少し郊外の駅に隣接する住宅地に、整形外科クリニックを開業する事になりました。

 

開業に際して、以前一緒に働いていた信頼できる女性看護師に声を掛け、婦長として働いてもらおうと段取りをしていましたが、C医師の「通勤帰りの方も通えるように、遅い時間まで診療したい。7時か7時半までは。」…という意向に彼女が沿えなかったため、最終的に採用できなかったと言います。その女性看護師は、子育て中の母親だったのです。

 

経験豊富で現場を仕切れ、院長の意思を汲んで的確な対応ができる看護師は、そうはいません。いたとしても、子育て中などの理由で、勤務時間に融通の利く人は少ないというものです。困ったC医師は、医療人材コンサルタントに相談し、婦長をはじめとする数名の看護師を急募しました。

 

するとその応募者の一人に、子育てを終えた年齢のベテラン女性看護師がいました。遅い時間の勤務も問題なく、整形外科の専門知識も申し分なかったため、彼女を婦長に採用したと言います。

 

「これで安心して開業ができる」…C医師がそう安堵したのも束の間、開業後間もなくとんでもない敵との戦いが始まりました。その相手はなんと、本来右腕になるはずの…“婦長”…

 

婦長は人心掌握力に優れ、他の看護師や看護助手などを、またたく間に統制し、仕事に向かわせました。それだけなら喜ばしい事ですが、全てのスタッフが皆、院長の言う事を聞かずに婦長の指示のみに従うようになったと言います。院長がいくら指示を出しても、婦長の意に沿わない事は実行されません。

 

これではクリニック運営ができないと、C医師は婦長を呼び出し自身の経営方針を告げて改善を求めたところ…「私の考えは間違っていないと思います。院長が私の働き方が気に食わないのであれば、院長自身の判断で解雇して下さい。」…と、言い放ったそうです。そして他のスタッフも、「婦長が辞めさせられるのなら、私達も辞めさせてもらいます。」…と、怒りの矛先をC医師に向けるように。

 

C医師は、何とか婦長と休戦状態に持ち込み、ある日突然全員が辞める恐怖と戦いながら、何とか日々の運営をしていると言います。もちろん、新しい求人は出していますが、そう簡単に組織化が出来る訳ではありません。「なぜ自分のクリニックでこんな思いをしなければならないのか」…C医師は途方に暮れながら、

 

「最初にクリニックの運営方針をきちんと打ち出すべきだった」
「就業規則など、スタッフの在り方を明文化すべきだった」
「婦長に任せきりにするのでなく、自ら人事教育に関わるべきだった」

 

…と、後悔してもしきれないそうです。

 

辞退者続出でスタッフが足りない…という事案

 

D医師は、医局人事で市中の総合病院に勤務していた眼科医です。念願叶ってクリニック開業準備に漕ぎ着け、求人広告社を通じて医療求人誌やインターネットに求人広告を出し、書類選考と面接を経て、開業三カ月前には全てのスタッフを確保できたと言います。

 

これまで勤務医として働いていたため、人事や経営に関しては全く経験の無かったD医師は、その事を充分に理解し、早めにしっかりと準備をしてきました。

 

医師仲間からも、「人材不足でスタッフ採用が一番大変なのに、よく三カ月も前に体制ができたものだ」…と、感嘆の声を受けたそうです。

 

しかし、開業一カ月前に、スタッフ研修や開業準備を始めようと内定者に招集をかけたところ…
「そちらのクリニックでは働けなくなったので、内定を辞退します」…というスタッフが6人中4人にも上りました。

 

D医師は、「内定を出していたのに、今更そんな事を言われても困る」…と主張したところ、

 

「出勤開始日が曖昧だったので、直ぐには働けません。」
「この数か月の間に、別のクリニックに転職しました。」
「いつまで待っても内定通知書が来ませんでしたよ。」

 

…と、内定者からは、D医師に落度があるというような言葉が返ってくる始末。D医師は「こんな事が許されると思っているのか?」…と、怒りを顕わにして食い下がったところ、「それはこっちのセリフです。」…と言われて初めて、自分の甘さに気付いたのです。

 

D医師は、内定通知書を出しておらず、電話で内定の旨を伝えただけでした。勤務開始日も、“〇月上旬予定”と曖昧なもので、給料や休日についても求人媒体に掲載していたものしかなく、明快な規定も示していませんでした。

 

これまで医局人事で転院を繰り返していたD医師は、一般社会では「内定通知書」というものが存在し、勤務条件や勤務開始日を明文化した上で、内定者に署名捺印してもらうなどの手続きが常識である事を、しっかりと理解していなかったのです。

 

内定を受けたスタッフも、いつからどんな条件で働けるのか分からないままでは不安です。しかも、面接日から3~4か月も後の開業ならば、その間の生きる糧を見つける必要のあるスタッフもいるでしょう。

 

開業一カ月前から、新たなスタッフを急募するのは至難の業です。D医師は働くスタッフの立場で物事を考えるまで及ばず、労働者の権利に疎かった事を痛烈に悔やみました。医局ではおざなりにされてきた事も、クリニックを経営するとなると、その慣例を踏襲していては、通用しないのですから。


不動産がNG!?

医師の独立開業あるある事件簿

 

クリニック開業トラブルが最も頻発する分野が「不動産問題」です。

 

「不動産会社から聞いていた条件と現状が異なり、高い保証金を支払っていたけれど、結局入居しなかった。」
「居抜きで条件の良い物件を見つけたけれど、想定以上に工事費がかかってしまう、劣悪物件だった。」

 

トラブルの例を挙げては、枚挙にいとまがありません。

 

クリニック開業の本拠地となる不動産は、敷金や改装費用など、開業準備金の大部分をつぎ込む大きな契約です。その契約を失敗しては、金銭的な損失が膨らむだけではなく、開業自体がままならなく成ります。

 

一度構えると、なかなか動かしにくい不動産は、正に一国一城の本丸。吟味に吟味を重ねて、多角的にチェックを行い、失敗しない物件選び…そして適正な契約をして欲しいものです。

 

クリニックモールに入居を決めたはずが…という事案

 

E医師は、都心から少し離れたベッドタウンに新設されるクリニックモールビルで開業する事を決め、不動産業者に保証金を支払いました。都心より随分と安く、商圏内人口も充分で、建設前だからある程度意匠の希望が通ると言うのです。

 

不動産業者の説明では、既に調剤薬局が入る事が予定されており、コーディネーターもいるので競合する診療科は入らないと言うので、E医師は「願ったり叶ったりの良い物件が見つかった」…と喜び、一年後の開業に向けて、アルバイト勤務をしながら開業準備を進めていました。

 

しかし、予定の期日を過ぎても、なかなか工事が進みません。どの系列の調剤薬局が入るのか、他にはどんな診療科が入るのか、具体的な情報さえ皆無でした。

 

E医師が不動産業者に問い合わせたところ、「オーナーの心変わりか何なのか不明だが、今のところ、クリニックモールビルとして計画されていないようだ。飲食店やフィットネスジムも入居する予定があり、今の所調剤薬局は確定していない」…と言うのです。

 

クリニックモールビルだからこその集客力や環境を開業の基盤に考えていたE医師に、当該ビルに入居する意味はありません。雑居ビルのようなビルに、クリニックはそぐわないでしょうし、何よりマーケティング的メリットは何もありません。

 

E医師が今の状況ならば契約の意志が無い事を告げると、不動産業者からは、「お気持ちは分かりますが、その場合でも、保証金は返ってきません。」…と、言い放たれました。

 

E医師とオーナーは、クリニックモールビルの計画として契約をしていた訳でなく、そのような条件は明文化されていなかったのです。弁護士を交えて不動産会社が交渉の結果、保証金の5割は返って来る事で決着しましたが、E医師は当然納得がいきません。「あの時、もっときっちりと契約内容を確認しておけば良かった。」…と。

 

今回の事は、「金銭的損害は少なく済んだ方だ」…と言われても、「開業前に分かって良かった方だ」…と言われても、問題はそんなセリフだけでは片づけられません。E医師が描いていたビジョンが丸つぶれし、また一から計画をし直さなければならない喪失感は、大切な人生の丸一年を棒に振るようなものです。

 

医師の多くは、商取引に慣れていません。その事を予め自覚し、不動産契約のような大きな契約をする際は、幾重にも充分なチェックを行い、必要に応じて専門家にコンサルティングしてもらうべきです。

 

格安物件を居抜きで入手した筈だが…という事案

 

F医師は独立開業にあたり、“できるだけコストを抑える事”を目標に準備を進めていました。サラリーマン家庭で育ったF医師は、親から継承するものも無ければ援助を受けられる筈も無く、大手の資本を受けるようなビジネススキルがある訳でもない一般的な医師でしたから、“背負う物を少なく”という揺るぎ無いモットーがあったからです。

 

一定の準備金を蓄え、時間をかけて物件探しをしていると…数か月後、「良い居抜き物件が見つかりましたよ」…と、不動産業者から連絡が入りました。

 

そこは郊外の住宅地にある、戸建ての内科クリニックでした。駐車場も広く、近くに眼科クリニックと歯科クリニックがある事から調剤薬局も目と鼻の先にあり、何より築年数よりも新しく見える建物と、クロス張替えや電子カルテのネットワーク環境整備程度で済みそうな内装、少し古いとはいえ、まだまだ使えそうな医療機器が揃っており、「これは良い買い物ができるぞ」…と、納得した上で契約をしました。

 

しかし…開業一年が経った頃、排水管の臭いが気になりはじめます。古いマンションのような臭いは、一度建物に入って鼻が鳴れればあまり気にならないものの、具合の悪い患者さんがクリニックの玄関ドアを開けた途端に「臭い」と言って吐き気をもよおす事もありました。築二十二年の建物は、排水管の取替え時期を迎えていたのです。

 

一つの問題が発覚すると、次々と口火を切ったように物件の瑕疵が判明しました。エアコンがなかなか効かず、長時間利用するとガンガンガンという音を出し始めるばかりか、黴のような臭いまでしてきます。さらには、トイレ付近から水漏れが発生しており、廊下の一部が腐食してきました。

 

E医師は、あまりの問題続に、不動産業者にクレームをつけましたが、「これは契約の範囲の事象で、築二十年を過ぎた物件に改修点が続出するのは当たり前だ」…との衝撃回答が。

 

確かに、どんな建物や設備でも、メンテナンスをしながら使う必要があります。しかし、こんなに沢山の瑕疵が一度に押し寄せては、クリニックの営業にも差し支えるばかりか、予算的な問題まで発生します。

 

E医師は劣悪物件を掴まされた訳ではないのでしょうが、築二十年を過ぎた物件のメンテナンスの必要性に関して、あまりにも無知な状態で契約に至ってしまったと言えるでしょう。

 

医師の多くは不動産に精通していません。不動産価値の鑑定や必要経費の見積などは、契約前に専門家に判断を仰いだ方が賢明です。それにより、別の選択肢が優位になる事もあるのです。買ってしまって不測の事態が起こっては取り返しがつかないのですから…


独立開業の事件に巻き込まれないために

医師の独立開業あるある事件簿

独立開業という大きな夢を目の前にして、あるいは実現した後に、とんでもないトラブルに見舞われる例は珍しくありません。しかし、用意周到に準備し正しいポイントさえチェックしておけば、本編で紹介した根本的な「あるある事件簿」だけは、回避する事ができるでしょう。

 

先生は医業のプロですが、それが即ち経営のプロではありません。この事を知っていたとしても、多くの医師はやはり「独立開業の現実に関する甘い考え」が抜けません。自分で把握している事柄よりはるかに多角的なポイントを、しっかりと確認しないとならないのです。さもなければ、多かれ少なかれトラブルやアクシデントが発生しても仕方が無い事です。

 

餅は餅屋と言うように、先生が医業のスペシャリストであるのと同じく、会計には会計の、人事には人事の、不動産には不動産の、マーケティングにはマーケティングのスペシャリストがいます。先生がやらなければならない事は、畑違いの分野を自分で消化しようと努力するのではなく、彼らをうまくアドバイザリーボードとして巻き込み、プロのチェックを受けるためのディレクションをする事です。

 

旧知の信頼できる専門家が身内や友人知人にいるならば、迷わず相談してみましょう。しかし縁故にそのような専門家がいない場合は、一人で頑張ったり、友人医師に相談するのではなく、当研究所が推奨する優良エージェントへのコンタクトをお勧めします。多くの転職エージェントには、独立開業に伴う支援部署も存在しています。有償無償と様々なサービスがありますが、コンサルティングを受けたり、専門科を紹介してもらう事も容易にできるのですから。

 

この記事を書いた人


野村龍一(医師紹介会社研究所 所長)

某医療人材紹介会社にて、10年以上コンサルタントとして従事。これまで700名を超える医師の転職をエスコートしてきた。担当フィールドは医療現場から企業、医薬品開発、在宅ドクターなど多岐にわたる。現在は医療経営専門の大学院に通いながら、医師紹介支援会社に関する評論、経営コンサルタントとして活動中。40代・東京出身・目下の悩みは息子の進路。

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