会社ではなく転職コンサル個人を指名する時代
ビジネスの世界では「これからの時代は組織よりも個人の力に注目するべきだ」と言われるようになって久しいです。
昔は組織の歯車と表現されたサラリーマンでも、自ら著書を出したり、著名ブロガーになったりすることで、個人ブランドを確立し、組織全体への売上貢献を果たしている人も珍しくなくなってきました。
クラウドコンピューティングの技術を使ったノマドワーキングなどという働き方も、言葉そのものは随分と一般化したように思えます。高度成長期~バブル期~バブル崩壊期の失われた20年の間を通して、日本経済の低調と新興経済国の台頭を起因として日本型会社組織のブランド力もすっかり影を潜めました。
医師紹介業界でも「組織力<個人力」の傾向
いまは「世界のSONY」として仕事をするより「あの有名な誰々さん」として個人の看板を前出しして稼ぐことができる人々が増えてきたわけですから、漠然とした組織力より個人力を重要視される時代と言われるのも、ある種当然のことでしょう。
非常に体質が古い医療業界に対しても変化の波は容赦なく襲いかかります。
近年メディアが散々追いかけるようになった医療事故報道の影響からか、一昔前の「●●病院だから安心」という医療機関の組織ブランド力が年々低下傾向にあります。その反面、メディア露出や出版などを医師個人が行うことが珍しくなくなってきた影響もあり、医師個人のブランド力にフォーカスがあたるケースが、過去よりかなり増えてきているのは間違いありません。
医療をビジネスに例えるのは良くないかもしれませんが、そこをあえて言うなら「医療はエリアビジネスに近い(近かった)」としてもよいでしょう。患者さんの多くは、自分が疾患にかかったとき、できるだけ近隣の医療機関にまず駆け込むのは当たり前の話です。しかし、ネットを中心としたメディア情報が発達した現在では、重篤な疾患や特殊な治療を要する疾患の場合、突如としてエリアビジネスが「個人指名ビジネス」に変貌します。
要はネットや既存メディアで露出度の高い有名/有能な先生個人にかかりたいという心理が患者さんには働き、実際に、そういった先生を自ら調べた上で何とかしてコンタクトできるように賢明に手を回します。
医局のヒエラルキー力が崩れ始めてことを意識した医師の先生たち自身も「個人>組織」の意識を持つ方々が顕著に増加。フリーランスドクターの増加という形は、わかりやすい「個人>組織」時代の働き方としての構図とも言えそうです。
コンサルタントを直接指名できる会社が生き残る
そしてもちろん、一般的な転職支援会社のみならず、医師転職支援会社についても「個人>組織」重要視の潮流は勢いをます一方です。医師紹介会社の企業規模大小やブランド力も無関係ではありませんが、あくまでも、個人能力の高い転職コンサルタント、キャリアコンサルタントに「医師からの直接指名」が集中し始めているわけです。この傾向は今後更に一層強まっていくでしょう。
いままでの「あの会社に転職支援を依頼したい」という考え方から、「あのコンサルタント個人に転職支援を依頼したい」と多くの医師が考え方を変え始めていますす。
有能な医師紹介会社もそういった流れは当然捕捉している訳でして、個人ブランド重視の潮流にいち早く全社をあげて対応している会社ももちろんのこと既に出てきています。
例えば、エムスリーキャリアエージェントのサイトをみてみれば、同社に所属しているほぼすべてのコンサルタント個人に直接相談窓口が設けられているのがわかります。
※エムスリーキャリアエージェントのコンサルタント一覧ページ
※担当してもらいたいコンサルタントに直接コンタクトが取れる
ドクターズ・ジョブ(クラシス株式会社)でも、会社単位より個人コンサルタント単位の能力を大きく前に出してアピールすることを組織的位実行しています。
※会社単位でなく個人単位での選択を医師に促している
※ドクターズジョブでも所属コンサルタント個人を紹介
会社単位でたった1つの窓口を設け、入ってきた相談を会社都合で手の空いているコンサルタントに振り分けていく時代ではもはやないのです。転職を相談する医師の立場から言えば、いくら転職支援会社組織にブランド力があったとしても、能力の低い担当コンサルタントをつけられてしまったらもうそれまでです。一直線に転職・求職は失敗に向かうでしょう。
ましてや、常勤転職を狙う医師の方なら尚更です。
個人指名できる医師紹介会社を優先する
転職を希望する医師、特に常勤転職をお考えの方や、医局を辞めるなどして完全なフリーランスとして生きていこうと決めた方は、是非、直接コンサルタント個人を指名できる会社を優先的に選んで相談してみてください。転職ごとは数字や確率ではっきりと計ることができるわけもなく、正直言って一定の運や縁などの不確定要素も必要になります。
しかしながら、そういった不確定な要素の中に、少しでも確実な転職成功要素を紡ぎだすためにも、是非、医師転職支援会社に声をかける最初の段階から、パートナーには「客観的に実力を保持していると思える人物」を指名買いしていくことを、私は是非是非オススメいたします。
ヒントとしては「情報発信力を持つコンサルタント」を探し出すことです。
ウェブ、ブログ、SNS、テレビ新聞雑誌等のマス媒体記事…有能なコンサルタントが発進した情報はそこかしこに落ちていますので、丁寧にそれら情報を探しだして下さい。信頼に足る唯一のコンサルタントに出会えることでしょう。
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