シリーズ医師の年収と未来:「耳鼻咽喉科医」編

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

シリーズ医師の年収と未来:「耳鼻咽喉科医」編

耳鼻咽喉科医の現状(厚労省医師数調査から)

医師数は微増、飽和状態に近いか?

厚生労働省の調査によると2014年の耳鼻咽喉科医の人数は9,211人でした。医師の多さランキングでは全40科中11位ですので「国内に多くいる医師」といえます。全医師296,845人に占める割合は3.1%でした。

ただ、増加率には鈍化が見られます。耳鼻咽喉科医は、2004年から2014年の間に135人しか増えてなく、増加率は1.5%の微増でした。医師全体では15.7%も増加しているので、臨床研修医の人気は落ちているのかもしれません。

一般的なビジネスの世界では、働き手が多いのに働き手の数が増えていない市場は「成熟産業」「低成長分野」とみなされます。この考えを応用すると「耳鼻咽喉科医は飽和状態にある」と予測できそうです。

医師数 2004年(32科中順位) 2014年(40科中順位) 増加数(率)
耳鼻咽喉科医 9,076人(9位/32) 9,211人(11位/40) 135人(1.5%)
全医師合計 256,668人 296,845人 40,177人(15.7%)

医師全体を上回る高齢化のスピード、研修医は耳鼻咽喉科には興味薄?

2014年の耳鼻咽喉科医の平均年齢は51.9歳で、医師全体の平均年齢49.3歳より、2.6歳「年上」です。さらに2004年から耳鼻咽喉科医の平均年齢は2.1歳上昇していて、医師全体の1.5歳上昇を上回る高齢化のスピードです。若さランキングでは、2004年の26位から2014年は32位に落ちています。

この高齢化トレンドと、先ほど導き出した「耳鼻咽喉科医は飽和状態にある」という予測は、整合性が取れています。

臨床研修医に「飽和状態にある」という認識があるため、耳鼻咽喉科に進む人が少なく、それで高齢化していると考えられるからです。

平均年齢 2004年(若さ順位) 2014年(若さ順位) 増減
耳鼻咽喉科医 49.8歳(26位/32) 51.9歳(32位/40) 2.1歳
全医師 47.8歳 49.3歳 +1.5歳

診療所医≒開業医の人気が高く、開業マインドも上々

それでは次に、耳鼻咽喉科医の病院医と診療所医の比率をみてみると、2014年は病院医数が3,741人(40.6%)、診療所医が5,470人(59.4%)という結果でした。

圧倒的に診療所医が多く、診療所医≒開業医とすると「耳鼻咽喉科は独立開業しやすい診療科」といえるでしょう。

2004年の耳鼻咽喉科医の診療所医の比率は57.7%でしたので、2014年までの10年間で1.7ポイント増加しています。つまり「開業マインド」は強まっているといえます。

しかし、全医師に占める診療所医の割合は2004年の36.2%から2014年の34.3%に減っているのです。これは将来的に「医師余剰時代」「診療所倒産時代」が訪れると言われている中で、当然の数字といえそうです。

全体的な診療所医離れのトレンドの中で、耳鼻咽喉科医の開業マインドは衰えていないということです。ちなみに眼科医も耳鼻科医と同じ傾向を示しています。

病院医・診療所医比 2004年 2014年 増減(増減率)
耳鼻咽喉科医数 9,076人(100%) 9,211人(100%)
うち病院医数 3,836人(42.3%) 3,741人(40.6%) 1.7ポイント減
うち診療所医数 5,240人(57.7%) 5,470人(59.4%) 1.7ポイント増
病院医・診療所医比 2004年 2014年 増減(増減率)
全医数 256,668人(100%) 296,845人(100%)
うち病院医数 163,683人(63.8%) 194,961人(65.7%) 1.9ポイント増
うち診療所医数 92,985人(36.2%) 101,884人(34.3%) 1.9ポイント減

耳鼻咽喉科医の求人票ひろい読み

専門医なら2000万円台は難しくない

医師求人サイトの「リクルートドクターズキャリア」には、耳鼻咽喉科医の求人が146件掲載されています(2016年12月時点)。

この診療科の求人票の特徴は「2000万円台は難しくない」ということでしょう。年収の上限額が2000万円を超えているのに、「耳鼻咽喉科専門医」を必須にしない求人票が目立ちます。

他科ではあまり見られない傾向で、特に外科系の求人票では、執刀医か手術助手かで年収が2.5倍近く異なることが珍しくありません。

さらに、年収の下限額が1000万円を切る求人票が少ないので、耳鼻咽喉科医の転職環境は良いといえるでしょう。

目立つ都会の求人、ワークライフバランスは保てそう

耳鼻咽喉科には、都心部の求人が多いという特徴もあります。

また、病院医であっても当直がなかったり、年間休日数が120日以上だったりと、求人票を概観した範囲では労働環境に欠点が見つかりません。ワークライフバランスが良い診療科といえそうです。

地域
病院or診療所
年収 業務内容 当直 勤務/休み
東京都世田谷区
病院
1000万~ 専門医、外来 なし 週4.5or5日勤務
年129日休
東京都中央区
診療所
900万~ 1500万円 外来 なし 週5日勤務年120日休
東京都多摩市
診療所
1100万~ 2500万円 専門医、外来 なし 週4or5日勤務年105日休
大阪市阿倍野区
診療所
2160万円~ 外来 なし 週5.5日勤務
鳥取県
病院
1200万~ 1400万円 記載なし 記載なし 日、祝休
佐賀県武雄市
診療所
1800万円~ 外来 なし 週4or4.5or5日勤務

耳鼻咽喉科の気になる最新トピックス

高校生の「聞こえない」は「聞こえている」?

高校生が「聞こえが悪い」と訴える場合そのほとんどは正常の聴力を有している、というユニークな研究結果を、耳鼻咽喉科専門医、浅野尚氏(浅野耳鼻咽喉科医院院長、千葉県香取市)が発表しました。

一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会が2016年1月に発表した「耳鼻咽喉科学校保健の動向」に掲載されました。

浅野医師は2015年に、千葉県香取市内の公立高校で、聴力に関するアンケート調査を行いました。その結果、生徒の2.6%が「聞こえが悪い」などの難聴を訴えました。

しかもその聞こえの悪さは、「いつも難聴」(16.0%)や「とても不便」(16.0%)、「治療してぜひ治したい」(32.0%)、「先生の話がときどき聞こえない」(20.0%)と、かなり深刻でした。

( )のパーセンテージは、難聴を訴えた生徒の内数です。難聴に加えて耳鳴りやめまい、頭痛、腹痛を訴える生徒もいました。

そこで浅野医師が難聴を訴えた生徒に聴力検査を行ったのでずが、なんと全例で「正常」という結果が出たのです。
原因は特定できていないのですが、浅野医師は「あくまで印象」としながら、次のような傾向があったといいます。

  1. 難聴を訴えた生徒は皆優秀そうだった
  2. 部活が盛んな高校ほど難聴を訴える生徒は少ない
  3. 男子より女子の方が多い

浅野医師はこの調査結果を受けて、「聴力が正常でも、聞こえが悪いと感じている生徒が存在する。今後も面談を重ねて、症状の解消に務めたい」と述べています。

「老舗」の耳鼻咽喉科医は頑なに自由診療を貫く

「自由診療」というと、混合診療問題を連想すると思いますが、ここで紹介するのはそれとは違ったお話しです。2014年10月の日本経済新聞に掲載されていました。

蓄膿症に悩む73歳の男性患者は、耳鼻咽喉科クリニックに長年通って薬を飲み続けてきましたが、一向に改善しません。そこでかかりつけ医を、横浜市の仁保耳鼻咽喉科医院に変えたのですが、1年ほどで症状が軽くなったそうです。

同院の仁保正和院長が行った施術は、「上顎洞穿刺洗浄」でした。

この治療法は効果が知られていますが、診療報酬はわずか60点。ところが医師が行う手技はというと、鼻の穴から注射針を入れて生理食塩水で流すという、とても手間がかかる内容です。

それでこの治療法を採用する医療機関は多くないそうです。

しかし仁保耳鼻咽喉科医院は一貫して自由診療を行っています。初診料は5000円とかなり割高な設定です。日経新聞の取材に対し仁保院長は「質の高い治療には自由診療が欠かせない」と答えています。

仁保耳鼻咽喉科医院は1919年(大正8年)に、仁保正和院長の祖父が開設しました。仁保院長の父親も同院院長でした。

仁保院長は、患者から「一生のかかりつけ医」として選ばれる理由について「自由診療を行うことで守り続けている医療の質」と述べています。


参考資料

●厚生労働省「診療科別にみた医師数」2014年
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/14/dl/kekka_1.pdf

●厚生労働省「診療科別にみた医師数」2004年
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/04/index.html

●リクルートドクターズキャリア
https://www.recruit-dc.co.jp/jokin/search/

●「平成28年1月 耳鼻咽喉科学校保健の動向」(一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会・学校保健委員会)
http://www.jibika.or.jp/members/iinkaikara/pdf/doukou_201601.pdf

●「保険外でも質の高い治療、自由診療という選択肢」(日本経済新聞、2014年10月)
http://style.nikkei.com/article/DGXKZO79081270Q4A031C1NNMP01?channel=DF140920160921&style=1

●仁保耳鼻咽喉科医院院長ごあいさつ(仁保正和)
http://www.niho-jibika.com/about_us/career/

The following two tabs change content below.
野村龍一

野村龍一

某医師紹介会社にて、10年以上コンサルタントとして従事。これまで700名を超える医師の転職をエスコートしてきた。担当フィールドは医療現場から企業、医薬品開発、在宅ドクターなど多岐にわたる。現在は医療経営専門の大学院に通いながら、医師紹介支援会社に関する評論、経営コンサルタントとして活動中。40代・東京出身・目下の悩みは息子の進路。
当研究所が成績優秀コンサルタントを先生のご担当へとブッキング

2017年5月常勤転職 初心者向け登録推奨Top3社=当研究所が成績優秀コンサルタントを先生のご担当へとブッキング

数ある医師転職支援会社への登録に迷ったら…まずはこのTop3社だけまとめて登録すれば失敗の確率はグンと下がります。常勤転職、非常勤アルバイト転職の2パターンでそれぞれの初心者にオススメ登録先(有力企業のみを厳選、且つ、成績優秀コンサルを担当につけるよう当方がアレンジできる企業)をパッケージングしてみました(2016年度最新データに基いて分析)。

野村龍一

医師紹介会社研究所 所長 野村龍一のアドバイス

下記の推薦企業は、当研究所所長が先方企業を直接訪問した上で「誠実で親身に医師に寄り添う姿勢」「強引な転職などを誘因しない姿勢」「医療機関から高い信頼を得ている証左」を確認済みの紹介会社です。 各企業上層部には、「当会社研究所サイト経由で登録した医師」に対し、「通常登録の方よりも手厚いサポート」と「社内でも特に優秀なコンサルタントを担当につけていただくこと」をお約束頂いております。 



 ★登録無料、すぐ転職しなくても情報収集目的のみで『お試し登録可能』、匿名転職サポート可能、ヘッドハント有り、6000ヶ所以上の医療機関や大学との取引あり、医局の退職事例多数、コンサルタントレベル高し★ 

医師会員21万人を誇るソニーグループ運営の医師ポータルサイト「m3.com」グループ会社。一般人材紹介企業と異なり、医師に特化した上でこの事業規模の大きさを誇るため、好条件の求人情報の収集力がずば抜けている印象がある。当然、所属医師コンサルやエージェントの数も多く、個別の医師に対して「相性のあったパートナー」が探しやすいと言える。年収2500万以上、週4日で年収2200万といった高額条件の案件を多数保有しつつ、個別医師のライフスタイルや家族都合などを考慮した勤務条件を引き出す力にも非常に長けており、自ら医療機関と交渉して好条件求人を創り出すことが可能な企業。

企業格付け評価を見る企業サイトを直接見る

対医療機関交渉力 高条件求人情報収集力 専門人材紹介業総合力




 ★登録無料、匿名転職サポート可能、産業医に強み★ 

新興勢力の医師紹介会社の中では最も勢いのある企業です。東京の常勤転職に非常に強みを持っており、同エリアで常勤転職希望に該当する医師は是非とも1度相談をする価値があるでしょう。また、年収1800万円以上の高収入求人や、産業医にも力を入れていることが調査でわかっております。組織規模はまだまだこれからといったところですが、実力派の個性あるコンサルタントが揃っているところから、属人的能力の強い医師紹介会社の1つです。

企業格付け評価を見る企業サイトを直接見る

対医療機関交渉力 高条件求人情報収集力 専門人材紹介業総合力




 ★業界トップレベルの圧倒的な求人数と非公開求人の充実が売り★ 

医師転職ドットコムを運営する株式会社メディウェルは、医師紹介業界のリーディングカンパニー1角を占めている著名企業です。医師転職ドットコムの最も大きな売りは、他社を凌駕する圧倒的な求人情報数といえます。求人カバレッジエリアも日本全国に及んでおり、非常勤/スポット求人を求める医師のどのようなニーズにも一定以上の回答を用意することができる、数少ない企業の1つといえます。医師紹介会社にまよったら、まずとりあえずは同社に登録をしておくことが、好条件求人を見過ごさないためのポイントとなるでしょう。

企業格付け評価を見る企業サイトを直接見る

対医療機関交渉力 高条件求人情報収集力 専門人材紹介業総合力




 ★登録無料、常勤オーダーメイドとアフターケア重視★ 

2011年創業にも関わらず、一気に事業展開を加速させて業界を驚かせている新興企業の1社です。大手医師紹介会社のベテランコンサルタントが集結して立ち上がった企業であり、特徴としては常勤転職へのオーダーメイド求人クリエイト、転職後のアフターフォローの徹底等があげられます。新興企業ですが、担当となるスタッフはベテランが多いため、初めて転職をする医師でも安心して業務を委託できるのが心強いです。

企業格付け評価を見る企業サイトを直接見る

対医療機関交渉力 高条件求人情報収集力 専門人材紹介業総合力



 ★登録無料、情報収集目的のみでお試し登録可能、業歴10年以上★ 

業界歴10年、全国10拠点展開の老舗企業エムステージ(旧メディカルステージ)では、賞味期限の維持管理を徹底された保有求人数6000件以上を誇示する、常勤転職の「Dr.転職なび」に加えて、医師のニーズやご意向を中心に求人を組み立てて創りだすオーダーメイド型の求人サイト「AgentxMedicalStage」等を新たに展開。実際の業務量がわかる求人票の作成へのこだわりや、コンサルタント全員が医療経営士資格取得者として、能力担保を対外的に明示した転職サポーティング体制を打ち出している、高評価の医師転職支援会社です。

企業格付け評価を見る企業サイトを直接見る

対医療機関交渉力 高条件求人情報収集力 専門人材紹介業総合力

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

2017年5月版 常勤転職 =初心者向け登録推奨TOP3社

2017年5月版 非常勤/スポット =初心者向け登録推奨TOP3社

無料レポート「医師紹介会社 こんな担当者に注意せよ」配布中

当サイトの「登録」リンクから医師求人転職支援会社にご登録を頂いた方に、私、野村龍一がこっそりご登録者様だけに教える秘密レポート「医師紹介会社、こんなコンサル担当者に注意せよ!」(PDFファイル、約50頁、9,800円相当)を無料でご提供しております。