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世襲色の強い“医師”という職業

子供を医師に育てるための10箇条

■ 記事作成日 2015/10/7 ■ 最終更新日 2017/12/5

 

医師になるためには…医学部という最難関クラスの各大学への入学が必須で、六年間必死に勉強し、最高難度国家試験をパスした上で、臨床研修期間を全うしなければなりません。

 

それを実現するには…
まず、「総合的な“学力”」が必要です。
そして、「持続的な“自助努力”」も欠かせません。
さらに、「非常に高額な“学費”」もついてまわります。

 

ありとあらゆる条件が重ならなければ就けない職業にも関わらず、この難儀な条件を何とかクリアさせ、自らの子息令嬢が医師になる事を強く望んでいる人たちがいます。

 

それは、現役医師とその配偶者…娘や息子を持つ親たちです。

 

親が医師の医学生は、学費が中程度以下(とはいっても2,000万円クラス)の私立や国公立の医学部で3割程度、特に学費が高い私立では9割程度に上ると言われています。

 

決して世襲制では無いのに、なぜか世襲色が強く漂う“医師”という職業ですが、もちろん世襲では成り立たないスキルが必要です。従って、目出度く子供を医師に育てた家庭と、どんなに多浪をしてもドロップアウトしてしまった家庭…その明暗はくっきりと二分されています。

 

子供を医師にしたい親…その成功と失敗の分かれ道はどこにあるのでしょうか?どのようなスタンスで育てれば、子供は医業に進んでくれるのでしょうか?


子供を医師に育てるための十の法則

子供を医師に育てるための10箇条

 

これから示す十の法則は、至極「当たり前」の事かもしれませが、同時に至極「目から鱗」の事かもしれません。とにかく、この十箇条を完遂すれば、ご子息ご令嬢は“必ず医者になります”。あるいは、“医者で無くても良い認められる別の道”を見つけられるでしょう。

 

其の一、
親の背中を見せて“帝王学”を示そう。
其の二、
ハイレイヤーな“環境”を整えよう。
其の三、
幼少期の“夢”を応援しよう。
其の四、
「医者になりなさい」とは決して言わない。
其の五、
「志の教育」をしよう。
其の六、
親子そろって“ワークテーブル“を囲もう。
其の七、
夢や目標は“二つ以上”持たせよう。
其の八、
“13歳のハローワーク”をしっかりさせよう。
其の九、
「医者にならなくても良い」と言ってみよう。
其の十、
医学部入学より先の“遠い夢”を描かせよう。

 

 

次項から、この十箇条の詳細を説明していきます。


其の一、親の背中を見せて“帝王学”を示そう

子供を医師に育てるための10箇条

 

「子供は親の背中を見て育つ」…という慣用表現のように、親の生き様は、目より口より雄弁に語ります。特に「帝王学」と言われるものは、幼少期より積み重ねなければ得とくはできず、付け焼刃でどうにかなるものではありません。それを与えられるのは、まず、親しかいないのです。

 

帝王学は、成績という目に見える学力と対極にある、目に見えない力です。そしてそれは、社会を生き抜き、信頼を勝ち取り、世に出るために欠かせないものです。
(ここで言う「帝王学」とは、君主に該当するそれとは異なり、社会的に責任のある者として相応しい態度・教養・見識を培わせるための修養と定義します。)

 

実際、医療スキルに加えて高い社会適応能力があり、加えて“大岡裁き”のような対処能力がある有能な医師は、父や祖父が医師だったという背景を持つケースが多いようです。彼らは“人の心を読み取る力”と“大局を読む力”を合わせ、瞬時に正しい判断を行うスキルを感覚的に持っています。

 

「医師とはどうあるべきか?」「人とは?」「命とは?」…この難儀な問いに、感覚的な答えを持ち合わせている人を、医師としての帝王学修養者と言うのでしょう。

 

目に見えない学問に、教科書はありません。幼少からの生活環境において、親が示した行動や、子供に与えた体験がものを言います。

 

まず、仕事の愚痴は決してこぼしてはいけません。夜中にオンコールで叩き起こされても、残業で帰りが遅くなっても、誇りを持って人助けに尽力している姿を見せなければなりません。

 

子供心には、まるで父親(医師)が“聖職者”の如く映るくらいのインパクトで丁度良いくらいです。あるいは開業医の場合、まるで“大社長”のような成功者に感じさせるべきでしょう。

 

これには母親など配偶者の協力も必要です。夫の多忙さに文句を言うようでは務まりません。「お父さんは、病気で困っている人を助ける、とても大切なお仕事をしているのよ。あなたのお父さんは素晴らしい人なのよ。」…と、日々呪文のように子供に聞かせなければなりません。

 

さらに、家族以外の第三者から、医師である父親への感謝の気持ちを聞かせる事も効果的です。

 

「あなたのお父さんは、とても優秀なお医者さんなんですよ。」
「私はあなたのお父さんに、病気を治してもらったんですよ。」

 

近隣住民や学校関係者など、子供が生きる社会の中でこのような声を聴くと、子供は誇らしげに喜び、深く心に刻むものです。他人に意図的に語らせるのは無理ですが、たまに会う親戚に、このような言葉を述べてもらう事はできるでしょう。

 

ある医師の家庭では、親戚の葬式には必ず子供も連れて行き、棺桶で眠る死者の冷たくなった頬をしっかりと触らせる“儀式のようなもの”を必ずしているそうです。子供は怖がり、たじろぎますが、つい先日まで動いていた人が冷たく動かない様を、しっかりと心身に沁みこませ、理解できない荘厳な世界を情解させようとするそうです。

 

生と死を表裏一体のものと捉え、双方に尊厳がある事や、説明できない大きなものに対する畏怖を体得するには、言葉を超えた何かが必要なのかもしれません。(ちなみにその医師の家庭は高祖父の代から医業を続けているそうです)

 

医師になるための最初の関門である医学部受験は、一見すると個人戦のように見えます。しかし実はチーム戦のような性格もあり、家族をはじめとした子供をまつわる社会によって、その土台が形成されるものです。

 

もしもドクターが自らの子息令嬢を医師にさせたいと願うならば、ドクター自身が「医師は尊く素晴らしい職業だ」…と、堂々と胸を張れる環境の中で生き、それを子供に感受させる事が重要です。

 

そうする事で、理解を超えた情解という域での帝王学を、子供の土台に築く事ができるでしょう。


其の二、ハイレイヤーな“環境”を整えよう

子供を医師に育てるための10箇条

 

孟母三遷の教えの通り、子供は環境によって大きく感化されるものです。ドクターが子供を医師に育てたいのであれば、医師を目指すような大志を持ち、医学部入試を突破できる学力を培かおうとしている子供の多い環境に、早い段階から自らの子供の身を置かせるべきです。

 

医学部受験の準備は幼稚園時から始まっている!

 

医師は子供に、高学力・高学歴を求める傾向が強い事から、小学校の頃から学習塾を用意し、中学受験を視野に入れている方も多いようですが…

 

「中学受験を予定しているから、小学校は普通の公立で良い」…という安易な発想では、本腰を入れて学力を伸ばすべき中学高校期に、充分な成果が出ない事があります。高校受験しか考えていない場合は尚更ですが、医学部受験に対応すべき態勢が、子供に備わっていないケースも多いのです。

 

  • 勉強の仕方を会得している事。
  • 勉強が習慣化している事。
  • 勉強の目的を理解している事。
  • 勉強を楽しめる事。

 

これらのスキルは、幼少期からの積み重ねと、成功体験からしか得られません。幼稚園や小学校から、医学部受験は始まっているのです。

 

先ず、幼稚園の頃から机に向かう習慣をつけ、目標を立てて修学させる事が大切です。最初は「絵本を読む」でも「お絵描き」でも「運筆」でも充分ですが、とにかく毎日机に向かい、何かに向ってコツコツと続けるのです。できれば同じ時間に、スーパールーティーンをしていくと良いとされています。

 

そしてその“机に向かう習慣”には、何かの目標設定も必要です。絵画コンクールに出してみたり、幼稚園年長くらいになると認定試験(児童英検・英検・漢検・数検・珠算検など)にチャレンジさせても良いでしょう。目標に向かって日々を積み重ねる大切さを習慣的に学ばせ、成功体験まで得られれば、この時期までの教育はパーフェクトと言えます。

 

もちろん、スポーツも砂遊びも重要な時期ですから、何も机にばかり向かせる事を推奨はしていません。一日十分でもいいから、机に向かい修学する習慣をつけさせる事自体が重要なのです。

 

【重要】英語はできるだけ早いうちから学ばせる

 

受験でも英語は必須科目ですが、医師として成功するためにも英語力は欠かせません。医師キャリアをアップさせるには留学経験も必要となる可能性もあり、今後は日本国内でも外国人患者がより増加することは間違いがなく、他の医師ライバルの多くは英語を当たり前に話すでしょう。

 

お子様が中学に上がるより前に、できるだけネイティブの米国人(英国人)とコミュニケーションをとれる機会を与えるべきです。例えば、当研究所は下記のようなネイティブ教育重視型の子供英語教室を推奨致します

 

 

小学校は、行かせたい大学を見越して選ぶべし

 

小学校は、私立・国立・一般公立(市町村立など)と、どこに就学させたら良い悪いとは一概に言えません。しかし、どの道を選んだとしても、「行かせたい大学」を見越して選ぶ事が必要です。

 

小学校受験を目指すならば、幼稚園の年中あたりから、受験塾に通う方が多いでしょう。塾の力を借りて、勉強習慣をつけたり、進路を検討するのも一つのやり方です。しかしその際、その塾の意向に染まり過ぎ、親として正しい判断が出来ないケースもあるため、充分に注意して欲しいものです。経済的・地理的。社会的要因を充分に吟味し、私立・国立・一般公立(市区町村立など)の最適な学校をターゲットにして欲しいと思います。

 

私立小学校は、各学校ごとのカラーが明確に確立されていますので、子供の性格や親の意向にマッチすれば、素晴らしい修学場所になるでしょう。しかし、私立小学校の持つ独自の経済的・地理的・社会的環境に懐疑的で、逆に、私立小学校への進学に極端に乗り気でないご家庭もあるようです。その場合、国立大学の付属小学校を受験させるという手もあります。

 

医局勤務などで転勤の可能性のあるご家庭は、国立大学の附属小学校を目指すと好適です。附属間交換という制度があり、定員に空きさえあれば、転入試験なしで他市区町村・他県の国立小学校に転入する事もできるからです。私立でも、首都圏と地方都市双方にある名門校を選べば、比較的スムーズな転入が可能です。

 

また、医師は社会的には比較的高収入を得られる職業ですが、子供が数人いたり、名門私立に就学させようとするならば、医師とはいえども相当な経済的負担を強いられます。

 

名門私立の場合、高額な学費はもちろんのこと、学校によっては寄付金との付き合い方も重要です。学費や寄付金だけならば年間数百万円で済みますが、何より、子供の学友と同程度の高質な生活を衣食住全てにおいてカバーするという観点も、忘れてはなりません。

 

実際、学友や母親同士の付き合い(バレエやピアノの発表会・誕生会・謝恩会・旅行など)が、大きな負担になる事もあります。私立に進学する場合は、その学校独自の学校外交流の在り方などにも目を配る必要があるでしょう。

 

もし経済的負担なく、よりよい環境に子供を修学させたならば、国立大学の附属小学校が好適です。国立は公立ですので、授業料は無料です。給食費や教材費なども、一般の(市区町立など)公立小学校とほぼ変わりません。勉強熱心で、将来の目標がはっきりとしている子供が多い環境は、有名私立と同じように、多くの医学部進学者を輩出しています。

 

もしも一般公立(市区町村立など)志向ならば、評判の良い学校のある校区に居住するなどし、環境を整えなければなりません。
公立小学校は、地区によって随分と校風や就学児童の性分が違ってきます。もしも学力に注力しない校区の小学校に入学してしまった場合、勉強習慣がつかないばかりか、学級崩壊などに直面する事もあるでしょう。そればかりか、医師の子供が有名な進学塾に通っていたとすると、異端児として“いじめ”などの対象になってしまう事もあるほどです。

 

孟母三遷のごとく、子供の将来の方向性に合わせて、環境を整えてあげる事は非常に重要な親の役目です。勉強習慣のある環境、医者を目指す環境に身を置けば、子供が自発的に医師を目指すようになります。

 

たとえば名門私立小学校に通っている知人の息子は、大学までその学校で就学し、医学部に入学する旨を公言しています。もちろん親も先生にその意向を伝えており、小学校でしっかり勉強するポイントを見定め、理数系のクラブに所属させ、中学生や高校生と交流させ、中高の同じ医師を目指す子供たちと交流させるなどをしています。

 

たとえば国立大学付属小学校に通っている知人の息子は、将来進学すべき大学と学部名を、小学校一年生の時から公言しています。「国立〇〇大学の医学部に入る」と。そして彼の周りの学友も、それぞれに進学イメージを明確に持っていると言います。

 

たとえば一般(市区町村立など)の公立小学校に通っている知人の息子は、「高校は県下一の〇〇高校に入り、その後国立の〇〇大学医学部に入学する」と、公言しています。その家は息子の小学校入学時に引越しをし、県内随一勉強熱心とされる、小中一貫のモデル校に息子を入学させています。そこは公立小学校にも関わらず、進学塾で勉強に注力している児童が多く、偏差値の高い高校への合格者数が最も多い事で知られているそうです。

 

私立小学校・国立大学付属小学校・一般の公立小学校…どこに進学しても、目的意識を持って学校を選んでいたら、子供が医者を目指すに相応しい環境は整えられます。

 

子供を医者に育てないならば、子供の性格と将来の方向性の交差点を見極めて、小学校から真剣に選ぶべきなのです。

 


其の三、幼少期の“夢”を応援しよう

子供を医師に育てるための10箇条

 

子供の頃から、「医師」という職業を意識し、それに向かって様々な条件を整えていく事は重要です。しかし、「あなたは医者になるのだから、現実を見て勉強しなさい。無駄な事はしないで。」…というような、子供の自主性を削ぐ発言はご法度です。無邪気な幼少期の夢を応援すればこそ、子供は親の言葉を信じるようになり、子供自身も人生の道を、正しく選ぶ事ができるのです。

 

「サッカー選手になりたい」
「ファッションモデルになりたい」
「アイドルになりたい」
「電車の運転手さんになりたい」
「かわいいケーキ屋さんで働きたい」

 

分別のついた大人からは、果てなき夢であったり、子供が目指すに値しない職業に思えたりする夢も、しっかりと肯定し、受け止めてあげましょう。少なくとも小学生までのうちは、子供の夢を100%肯定して下さい。

 

サッカー選手になりたい息子さんならば、サッカーを習わせ、力の限り応援し、Jリーグや国際試合観戦にも連れて行きましょう。

 

電車の運転手になりたい息子さんならば、一緒に電車に乗り、「運転手さん、かっこいいね!」と共感し、鉄道イベントなどにも連れて行きましょう。

 

かわいいケーキ屋さんで働きたいお嬢さんならば、かわいいケーキ屋さんに一緒にカフェしに出かけたり、自宅でケーキ作りを楽しんだりしましょう。

 

子供には、親が自分を認めてくれて、応援してくれている事を理解・情解させる、コンセンサス期が必要なのです。

 

其の四、「医者になりなさい」とは決して言わない

子供を医師に育てるための10箇条

 

「僕は、将来、医者になる!!!」

 

目標が正しく機能するには、当事者がその目標の“所有者”になる事が大切です。親が子供を「医者にさせたい」…というのではなく、子供が「医者になる」…と決めない限り、成功への道は拓きません。そうでなければ、まず、目標を達成する事はできません。もしも仮に運よく医学部に合格し、医師免許を取得できたとしても、どこかで行き詰まりを見せるはずです。

 

ですから、「医者になりなさい」…という、親からの言葉は禁句中の禁句です。

 

実際、医師になった医師の子供の多くは、「親からのプレッシャーが強かった」…と、受験勉強時の重圧を振り返っています。それに打ち克つ事ができた目標達成者は、どこかで親の期待と自分自身の目標がシンクロしたため、その目標の所有者になれたと考えられますが、問題は、ドロップアウトしてしまう子供です。

 

受験失敗が要因で、自己否定や自己憐憫にかられたり、親や環境を逆恨みするようになるケースは、子供の人生を悪循環化させます。

 

親が親の意向を子供に上手に伝え、「医師になる」という目標を抱かせるためには、医師の社会的意義はもちろん、ステイタス性など“良い所すべて”を、いかに“素晴らしいか”を、一貫して子供に伝え続けるに尽きます。そしてその素晴らしい職業に、子供自身が就ける能力が充分にあると、伝え続けていく事です。

 

其の五、「志の教育」をしよう

子供を医師に育てるための10箇条

 

日本の学校教育のカリキュラムに、「志の教育」が含まれている事は、かなり稀です。しかし、「志」を持っているかどうかで、人間の本質は変わってきます。もちろん、「医師になる」という目標も、全く違うものになってくるでしょう。

 

「医師になる」…この目標を十二分かつ確実に叶えるためには、子供に、「夢」「ビジョン」「志」という三つの発想・思想を持たせたいものです。

 

「夢」
夢は、持っているだけで楽しいものです。とてもフワフワしているものですから、どんなに大きな夢を持っても、ワクワク・ドキドキするだけで、何も痛くありません。しかしそれは、非常に儚いものです。放っておくと、いつしか消えてしまうようなものです。夢は、何かを達成するための入口となる、ファンタジーのドアかもしれません。そのドアは、楽しいだけで充分ですし、夢という無責任な楽しさがあればこそ、具体的なビジョンを掲げる動機づけになるというものです。

 

「ビジョン」
ビジョンは、夢を叶えるための手段です。具体的な数字が伴うビジョンがなければ、夢はいつまでもフワフワと漂うファンタジーに過ぎません。夢を現実のものにするには、いつまでに、何をするのか?例えば偏差値がどのくらい必要なのか?そのために、塾にいくのか?一日何時間勉強するのか?いくらお金がかかるのか?いつまでに条件を整えなければならないのか?…すべて委細に計画をたて、それに伴う行動を起こさなければなりません。大きな夢を見れば見るほど、このビジョンは重く、実行に痛みを伴う辛いものになるかもしれません。しかしその時、フワフワとした夢の存在が、支えになるのです。

 

「志」
夢とビジョンさえあれば、医師になるという目標は達成できるのではないか?…と、思いがちですが、それは違います。夢やビジョンは、あくまで自分だけのエゴイズム(利己主義)に基づくものです。それは自由であり、非常に楽しいものですが、それだけでは大成する事はできません。子供を確実に医師へと導くには、「志」を持たせる事が重要です。志には、アルトイズム(利他主義)に基づく発想もあります。それは、社会の為に、人々のために…というニュアンスも包含しています。そして、自らが生涯を賭けてそれを成し遂げる…という、ライフワーク的な自己実現の境地…というニュアンスも包含しています。他者のために自らの力を注ぐ意義…これを理解できれば、立派な医師を目指して正しい道を歩む事ができるでしょう。

 

「夢」「ビジョン」「志」…これは全て、子供を医師に育て上げるための重要なコンパスです。しかしながら前述の通り、「志」を学ぶ機会は非常に少ないものです。学校や塾では教えてくれない、親が子供に示すべき最重要事項かもしれません。

 

では、ドクターの子息令嬢を、志を立てられる子供に育てるためには、どんなアプローチをしたら良いのでしょうか?

 

幕末を生き、明治維新に大きな影響を与えた橋本佐内は、その著書『啓発禄』の中で、志を立てるための方法を、こう述べています。

 

 

一、読書をし、先人の生き様に学ぶこと。
二、師友に学び発憤すること。
三、逆境の中で大勇猛心を起こすこと。
四、感動すること。

 

この4つの指針をイメージすれば、親が子供にできる具体的アクションのヒントになるはずです。

 

親が読んで感動した本を子供と共有したり、
子供の教育に積極的に関わり良質な環境を整えたり、
親が子供と子供の友人と一緒に遊んだり、
スポーツの力を借りて逆境に挑むステージを体験させたり、
音楽や絵画に触れる機会を積極的に作ったり、
親子で富士山登山に挑戦したり、旅をしてみたり…etc.

 

親が子に「志」というものの存在を意識させ、そえが芽生えるための体験を充分に提供していけば、時間をかけて成熟し、子供自身の力で立志をする事ができるのでしょう。


其の六、親子そろって“ワークテーブル“を囲もう

子供を医師に育てるための10箇条

 

東大の合格者の勉強環境を調査してみると、多くの家庭で「個室学習」ではなく「リビング学習」をしていた…という文化が話題になりました。その発展形で、リビングに「ダイニングテーブル」のほかに一人用勉強机とは異なる複数人で使える「ワークテーブル」を置き、親子で日常的に共に勉強をするという新スタイルも注目されています。

 

詰まるところ、勉強場所はどこでも良いのですが、「親が子供と一緒に親自身の勉強をする」・「親が子供の勉強に日常的に関わる」…という二つのポイントは、非常に重要であると考えます。

 

「親が子供と一緒に親自身の勉強をする」
親自身も、生涯学習に対峙している姿を見せる事が重要で、親の背中を見せる、わかりやすい方法だと考えられています。子供が中学受験の勉強をしている傍らで、親が自らの目標に向かって勉強するのです。専門医取得のための勉強をしたり、論文を書いても良いでしょう。開業医や病院理事ならば、財務の勉強も重要です。医業に関わらなくとも、汎用的なTOEIC(英語)の勉強でも良いのです。親が、自らが定めた目標に向かって努力をしている姿を見せると、自ずと子供もやる気になるというものです。

 

「親が子供の勉強に日常的に関わる」
勉強は学校や塾任せで、子供に「勉強しなさい」と言いつつも、今、何をしているかが分からない…では、NGです。どんな内容の勉強をしているのか?次のテストはいつなのか?時には子供の教科書を拡げて内容を確認するなどし、積極的かつ日常的に子供の勉強に関わる事が重要です。それは、子供のやる気スイッチを押すばかりか、躓きのポイントを逸早く把握し、必要なケアをしてやる材料となります。

 

【重要】平易なテキストを使用して親子で机を囲む

 

受験やら何やらはともかく、まずは平易なテキストを用いて親子で机を囲んで勉強してみることが重要です。ご両親も「一緒にやろうね、応援するからね」とお子様に声をかけながら、勉強に対して共闘する姿勢を見せる必要があります。

 

例えば下記「幼児ポピー」「小学ポピー」はシンプルで平易、且つ、月々のコストも安いため、医師を目指す親子が一緒に机を囲むための教材としてはベストの選択肢の1つとして推奨です。

 


其の七、夢や目標は“二つ以上”持たせよう

子供を医師に育てるための10箇条

 

「鉄腕アトム」や「ジャングル大帝」などで知られる漫画家、手塚治虫は、「夢や目標は二つ以上持つと良い」と言っています。

 

『皆さん…夢は二つ以上持ってください。僕も“漫画家”と“医者“という二つの夢を持っていました。もしも夢が一つしかないと、その夢が破れた時挫折してしまうでしょう?…でも、二つ以上夢があれば、きっと、そうはならないでしょう?』と。

 

第二次大戦中、漫画を描く事は禁止されていました。手塚治虫は二つの夢を持っていたからこそ、悲観をせずに、大阪帝国大学附属医学専門部の試験を突破し、後にインターンを経て、国家試験に合格しています。

 

戦後、漫画家になった彼は、医師としての見識を活かして、「ブラックジャック」という名作を残しています。そしてその作品は、子供の娯楽と捉えられていた漫画の地位を高め、社会派ジャンルを確立し、漫画家の社会性を認めさせる結果になりました。

 

『複数の夢は、それぞれに、別の夢を助けてくれる力になる』と、手塚治虫は言っています。

 

もしも子供を医師に育て上げたいのなら…作家でも、画家でも、スポーツ選手でも、アナウンサーでも、昆虫博士でも、パティシエでも何でも良い…医師と別に、もう一つの夢も認めてあげて、共に伸ばしてあげようとするスタンスを、親が子供に示して欲しいものです。実際に、医師以外のもう一つの夢を叶えられるかどうかは別として、その別の夢が、医学部受験勉強の息抜きになったり、心の余裕になったりするものです。


其の八、“13歳のハローワーク”をしっかりさせよう

子供を医師に育てるための10箇条

 

作家、村上龍の著書「13歳のハローワーク」は、“好きなことを仕事として考える”というメッセージが大きな反響を生み、大ベストセラーとして社会現象を巻き起こしました。

 

13歳という多感な中学一年生くらいの時期は、将来の夢や目標をぼんやり考えていたとしても、具体的に大学受験に向っている訳でもなければ、この時点での方向転換も充分に可能な時期です。親が医師の子供であれば、「医師」という職業についても、将来の夢や目標の選択肢の一つにしている子供が多いでしょう。しかし、医師の職業をよく学び、他の職業と比較しても、迷いなく「医師になる」と、明確になっている子供は少ないはずです。

 

この時期に充分に迷わせ、充分に調べ、他の職業に就く可能性も否定せず、しっかりと将来の職業の可能性をシミュレーションする事は、非常に重要な事です。それは夢を見るだけではなく、夢を諦める事にも繋がる作業です。13歳頃の時期に、人は夢と現実の折り合いをつけ始めます。自分で決着をつけなければ、次に進めないのです。小学校時代に「サッカーの日本代表になる」と言っていた男子も、その頃にはその夢を目標に変えられるのか否か、自分で分かるはずです。

 

大切なのは、“夢を見る”にも“夢を諦める”にも、子供が自分自身の心の声に耳を傾ける事です。

 

しかし、その判断材料を提供するのは、親の役目です。文字通り、『13歳のハローワーク』の書籍を買い与えても良いでしょうし、子供が興味ある分野の社会科見学に連れ出しても良いでしょう。そして、医師についてのより詳しい具体的な情報は、医師である親のあなた自身が提供するのです。そうする事で、子供は自らの意志で、「医師」という目標を、選択する可能性が高まるというものです。


其の九、「医者にならなくても良い」と言ってみよう

子供を医師に育てるための10箇条

 

どんなに子供に医師になって欲しくても、時には『医者にならなくても良い』…と、言い放つ事も重要です。

 

実はこれ、医師を目指す子供にとって「魔法の言葉」なのです。

 

時には、“医師になってもならなくても、子供への愛情は変わらない”…という、根本的な信頼関係構築に寄与します。

 

時には、“受験勉強の重圧を、軽く”してくれます。

 

時には、“なにくそ、自分はやれば出来るんだ”…という発奮材料につながります。

 

しかし稀に、“親に見放されるかも”…という危機感を持ってしまう子もいます。そうならないために、「医者にならなくても良い」という言葉のあとに、「もちろん、今までの通り勉強を続けていると、立派な医者になれるから、心配いらないけどね。」…とか、「医者でも他の道でも、パパやママは、あなたの将来に続く全ての道を応援するよ。」…などという、斜に構えた解釈を防ぐようなフォローも併せて投げかけると良いでしょう。

 

この言葉は多くのケースで、親への愛情を再確認するものになります。そして、医師になる道を、子供が自分の足で、強い意思で歩きはじめるための、大きなきっかけになるようです。

 

其の十、医学部入学より先の“遠い夢”を描かせよう

子供を医師に育てるための10箇条

 

安野モヨコ原作の漫画「働きマン」の第二巻で、将来に向かって進む人間にとって興味深い一節があり、入社試験の面接官をした人間が、このような趣旨の事を言います。

 

「たいていのヤツはボール(目標)を“入社”に向かって投げるから、最高でそこに“届く”だけで、普通はその手前で“落下”する。ところが目標を入社ではなく“入ってから何をするのか”に設定すれば、自ずと遠くへボールを投げるから、結果として入社は通過点にしか過ぎず、内定を難なく勝ち取る事ができる。」

 

これは、医師になる道にも通ずる事でしょう。子供自身の目標を、“名門医学部に合格する”ではなく、“どんな医者になり、どんな仕事をしたいか”…に設定する事で、医学部合格はその入口の手段にしか過ぎなくなります。

 

ボール(目標)を遠くに投げるためのアシストは、親が医師だからこそ、できる事が多いというものです。今、医療現場では、どのような事が問題になっているのか?そして、どんな力があれば、どんな人を救えるのか?

 

自分の子供のロールモデルになるような若手医師や、もっとその先の目標となる著名な医師などに会わせて話をきかせたり、講演会などがあれば、連れて行く事などはできるでしょうし、医師だからこその的確なアドバイスも可能でしょう。

 

親子そろって、医学部入学や医師免許取得の先の目標を定め、その地点に向かってボールを投げれば、その途中にある医学部入試などは、難なく突破できるはずです。


医師に世襲色が強い背景…そして事実

子供を医師に育てるための10箇条

 

医師の転職コンサルティングに従事し、長い年月が経つ私ですが、多くの医師と触れ合う中で、確信している事があります。

 

それは、「医師の子供は、医師になるための資質を持っている可能性が非常に高く、その環境も一般家庭に比べて格段に整っており、医師の子供であるだけで、既にポールポジションを獲得している」…と、いう事実です。

 

もちろん、一般家庭出の若者に、その資質が無い訳ではありませんが、明らかに医師の子供は、圧倒的有利な状況にあります。医師の資質として必要なものを培うための、圧倒的性能を持つ受信機と発信機を持っているからです。その事実を親子共に認識した上で、医師という選択肢だけに凝り固まらずに子供の夢を尊重していけば、結果的に、「子供自らの意志で、医師への道を選択する可能性は高い」…と、考えられます。

 

子供を医師に育て上げたいドクターは、目先の偏差値アップや塾通いといったテクニカルスキルだけではなく、この十箇条に代表される大きな目を養ってマインドスキルを会得すれば、その夢を具体的なものに昇華する事ができるでしょう。

 

子供を医師に育てるためのコンパスは、実は医師なら誰でも持ち合わせています。そしてその針は、意外と遠くを指している事に早く気付く事が、とても大切なのかもしれません。

 

この記事を書いた人


野村龍一(医師紹介会社研究所 所長)

某医療人材紹介会社にて、10年以上コンサルタントとして従事。これまで700名を超える医師の転職をエスコートしてきた。担当フィールドは医療現場から企業、医薬品開発、在宅ドクターなど多岐にわたる。現在は医療経営専門の大学院に通いながら、医師紹介支援会社に関する評論、経営コンサルタントとして活動中。40代・東京出身・目下の悩みは息子の進路。

医師キャリア研究のプロが先生のお悩み・質問にお答えします


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