【医療ニュースPickUp 2018年1月26日】「ゲーム依存は疾患」とWHOが認定 12カ月以上の継続が診断基準に?
2018年1月、世界保健機関(WHO)の国際疾病分類第11版(ICD-11)の草案に、インターネットなどによるゲーム依存が「ゲーム障害(Gaming disorder)」として新たに盛り込まれることがわかった。
WHOの国際疾病分類(ICD)は、世界的な健康動向の把握や統計を行う際の条件を分類するのに使用され、病気や健康状態を報告する際の国際標準となる。
今回の改訂では、Disorders due to substance use or addictive behaviors(物質使用または嗜癖行動による障害群)の中の「嗜癖行動」のひとつとしてGaming disorder(ゲーム障害)が追加された。草案では、ゲームによる障害を「持続または反復するゲーム行動パターン」とし、具体的な症状として
- ゲームへの衝動がコントロールできない
- 何よりゲームを最優先する
- 悪影響が出てもゲームに熱中し続ける
- ゲームによって個人的、家族、社会、学習、仕事などに重大な問題が生じる
を挙げている。これらの症状が最低12カ月以上続いている場合にゲーム障害と診断されるが、すべての診断基準を満たし、かつ症状が深刻な場合は12カ月未満でも診断が下される。
日本でも総務省が「平成26年版 情報通信白書」でネット依存傾向の国際比較を掲載するなどインターネットやゲームへの依存が社会問題とされてきたが、ICDにはこれまで、その項目がなかった。
今回、草案に盛り込まれたことによって、国が障害の傾向を把握し、公衆衛生対策を計画していくことになる。
また、ゲーム依存の「疾病としての定義」や「診断基準」が統一されることになるため、ネット依存の実態把握や、治療プログラム開発などの研究促進が期待される。
ゲーム障害が見られるのは、ゲームをする人のごく一部に過ぎない。しかしゲームに参加する人は、ゲームに時間を費やすことによって、肉体的・心理的な健康面、仕事・家族などの社会的な側面に何らかの影響を与えていないか「注意を払う必要がある」とWHOは述べている。ICD-11は2018年中頃に公開される予定。
参考資料
WHO
http://www.who.int/features/qa/gaming-disorder/en/
平成26年版 情報通信白書
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h26/html/nc143110.html
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【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
「ゲーム依存症」と聞くと、いわゆる「ニート」と呼ばれる人たちを思い浮かべてしまいます。
もちろん、家から出たくない、仕事や学校に行きたくない、その理由のすべてがゲームだとは思いませんが、「節度を持って楽しむ」のが難しいというのが、「ゲーム」なのかもしれません。
もちろん、ここで言う「ゲーム」は、昔からのボードゲームなども含まれるとは思うのですが、特に「PCやスマホを使ったオンラインゲーム」は中毒性も高そうです。
実際、PC本体や周辺機器には「ゲーマー御用達」として分類されるものがあります。例えばPC本体。
私自身はそこまで「ゲーム」に嵌ってしまうことは無いので、「そこまでのスペックが必要なのか?」と、首をかしげてしまうことがよくあります。
ゲーム依存症は、今現在「成人」の人たちでも問題視されますが、個人的に怖いなと思うのは、今現在、小学生から高校生くらいの子どもたちです。ゲーマー御用達のPCまで自由に操れる環境に無いとしても、タブレットPCやスマートフォンでも、かなり「遊べる」ゲームが増えていますよね。
インターネット使用のモラルだけではなく、オンラインゲームや、オフラインでも熱中してしまう要素がふんだんに盛り込まれたゲームは、今の日本には溢れていると思います。
これらに没頭することで、学業がおろそかになるだけではなく、子どもたち同士の会話がなくなったり、人対人の付き合いが出来なくなる子どもが、増えていると感じます。たまに「暇だから、少しゲームする」というのとは、全く違う世界があるような気がします。
少なくとも私が子どもの頃は、「天気が良ければ外で遊ぶ」のが普通でしたし、それらを通じて、学校では教わらないことを学んできた気がします。
そういう機会を持てない子どもたちが、成人になったらどうなるのか。WHOが「疾患」として認めるならば、これが世界的な問題になっている、ということです。
ここ数年、「コミュニケーションスキルの不足」がさまざまなところで問題視されています。
その根底にはやはり「画面との付き合い」しか学んでこなかった子どもたち、という歪んだ成長過程があると、個人的にも思っています。
「ゲーム依存症」が疾患として認められたら、まずは「治療法の研究」が進めば良いかなと思います。
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