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【医療ニュースPickUp】2015年3月19日

医療にまつわる気になるニュースを当研究所独自の目線で掘り下げて記事にしている「医療ニュースPickUp】。このコーナーでは、まだ大手マスメディアが報道していない医療ニュースや、これから報道が始まるだろう時事的医療ニューストピックを、どこよりも半歩素早く取材・記事化していくコーナーです。

患者死亡の3病院、がん診療連携拠点の更新は保留の方向へ

【2015/3/19】患者死亡の3病院、がん診療連携拠点の更新は保留の方向へ

 

2015年3月13日、厚生労働省において「第10回がん診療連携拠点病院等の指定に関する検討会」が開催された。この中で、新規に指定が検討された医療機関もあったが、これまで指定されていた医療機関の「更新保留」となった医療機関があったと、各種メディアで報道された。

 

対象となったのは、群馬大学付属病院(群馬県)、千葉県がんセンター(千葉県)、東京女子医大病院(東京都新宿区)の3医療機関。新年度から4年間の指定更新の判断を保留し、「最終的な判断は厚労相に委ねる」とする結論になったとのこと。

 

ではなぜ今回、この3医療機関の更新保留という結論になったのか。すでに多くの報道がなされているが、

 

・群馬大付属病院:肝臓手術後約3ヵ月以内に計18名の患者が死亡している
・千葉県がんセンター:膵臓などの手術後に11人が死亡している
・東京女子医科大病院:鎮静剤の投与後、子どもが死亡している

 

これらのケースに対する、医療機関の対応そのものが問われたことになるであろう。

 

今回の検討会では、がん診療連携拠点病院の整備について、新たながん診療体制の構築に関する議論が行われている。その中では体制そのものの見直しとして

 

・国立がん研究センター、都道府県拠点病院に対し、国内・都道府県のがん診療に関するPDCA体制の中心的位置づけを強化
・地域拠点病院に対し、質の向上、高度診療に関する一定の集約化、複数指定圏域における役割・連携の明確化を強化
・地域がん診療病院の新設
・特定領域がん診療連携拠点病院の新設 

 

などが検討されている。

 

具体的には、例えば手術療法の提供体制では「より質の高い手術療法を提供する」とし、術中迅速病理診断は可能な体制の確保のために、病理医の常勤を必須化することなどが盛り込まれている。

 

これらの検討内容と3つの医療機関の関連性を考えると、「医療体制強化」としてあがっている

 

●PDCAサイクルの構築:各拠点病院での院内のPDCAサイクルの確保(患者QOL把握・評価等による組織的改善と実施状況の報告・広報体制の整備等)

 

このあたりが最も問題視されたのではないかと推測する。

 

がん診療拠点病院の指定が外れると、診療自体が制限されるものではないが、患者や補助金などの収入面でのマイナスがあるほか、地域の他医療機関との連携に少なからず影響がでる。群馬大付属病院と東京女子医大病院については、「特定機能病院」の承認取り消しも議論されているという。

 

しかしいずれの医療機関も、組織体制に問題はあるかもしれないが、そこで働く個々の医師は、日々患者と向き合い、適切な治療を心がけている方が多いのではないだろうか。

 

既に起きてしまったケースに対する反省もしかるべきだが、体制をしっかりと立て直し、再び多くの患者を受けいれる医療機関になって頂きたいと、切に願う。

 

 

参考資料

 

読売新聞 患者死亡3病院、がん診療連携拠点の更新保留
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150313-OYT1T50093.html

 

厚生労働省 第10回がん診療連携拠点病院等の指定に関する検討会資料
資料3 がん診療連携拠点病院等の整備について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000052131_8.pdf

 

同上 資料4 指定要件に基づくがん診療連携拠点病院等の指定の考え方
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000052132_8.pdf

 

同上 資料5 新規指定推薦の医療機関について
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000077743.html

 

同上 資料7 実態と報告が異なるがん診療連携拠点病院等に対する対応について(案)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/img-316135313.pdf

 

同上 参考資料1 がん診療連携拠点病院等の整備について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/img-316135340.pdf

 

【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】

 

先日、群馬大学付属病院の会見を見ていた母が「(患者からすれば)たまったもんじゃない!」と、テレビに向かって文句をいっていました。確かに、「事前の検査不足や過大侵襲などの過失」が認められても、患者側はどうすれば良いのでしょう。

 

執刀医は経験20年の(ある意味)ベテランの助教。私のような患者側からすれば「地位もそれなりに高いし、年代的にも安心できそう」という印象を持ってもおかしくはなさそうです。そんな医師に「切りましょう」「腹腔鏡でやりましょう」などとムンテラされれば、「お任せします」となりますよね。なんといっても助教授さまですし。臨床ではほぼトップの人物に見えますから。
でも実際は…。

 

腹腔鏡による肝臓手術はかなり高度な手術ですし、開腹術でも肝臓切除なら、少なくても研修医や経験5年未満の医師が執刀医になることは少ないであろう、高度な手術であることは想像できます。別の医師にも「術中や術後に万が一のことはある」とムンテラされますし、患者や家族もある程度は覚悟します。

 

でもだからって、やはり数か月で18人も患者が死亡するのは何かがおかしい。本人の適正もさることながら、それを指摘する人物がいなかったこと、声をあげられる体制じゃなかったことが、死の連鎖をストップできなかった大きな要因に思えます。

 

この記事をかいた人


紅 花子

正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在は当研究所所属ライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

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