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【医療ニュースPickUp】2015年3月25日

医療にまつわる気になるニュースを当研究所独自の目線で掘り下げて記事にしている「医療ニュースPickUp】。このコーナーでは、まだ大手マスメディアが報道していない医療ニュースや、これから報道が始まるだろう時事的医療ニューストピックを、どこよりも半歩素早く取材・記事化していくコーナーです。

少子高齢化に伴う病院再編につながるか 医療需要からみた保険者の役割

【2015/3/25】少子高齢化に伴う病院再編につながるか 医療需要からみた保険者の役割

 

2015年3月18日、経済産業省は「将来の地域医療における保険者と企業のあり方に関する研究会」の報告書を取りまとめたと公表した。

 

この報告書は大きく6章に分かれている。ここでいう保険者とは、地方自治体および健保組合のことを指しているが、今後加速する少子高齢化に対し、特に健保組合では、ますますその運営が厳しい状況になるとしている。

 

さらにこれから2040年までを見据えた地域医療体制整備に関する部分では、二次医療圏のあり方についても触れている。

 

報告書の中では、全国の医療需要について、以下の式を元に推計を行っている。

 

 医療需要 = 年齢階級別の人口 × 年齢階級別・疾病別受療率

 

全国的な推計結果をみると、外来医療需のピークは2025年、それ以降は減少に転じている。一方で入院料需要のピークは2040年となり、その後は概ね横ばいで推移するとしている。理由としては、高齢化率の上昇と人口減少がある。

 

外来需要は比較的若年層での需要割合が大きいが、入院需要は加齢に伴って増加する。そのため、段階の世代が後期高齢者となる2025年までは外来・入院ともに需要は増加するが、中でも入院需要の伸び率がより大きくなる。

 

それ以降も入院需要は増加し続けるが、外来需要は団塊の世代が80歳を超える頃には、減少に転じるとしている。

 

さらにこれらの医療需要を二次医療圏ごとにも推計している。中でも病院再編にもつながる入院医療需要では、地域ごとに類型化が行われ、3つに分類されている。

 

 ・早熟型:2030年以前に入院医療需要のピークを迎える地域
 ・中間型:入院医療需要のピークを2030年代に迎える地域
 ・遅行型:2040年まで入院医療需要が伸び続ける地域

 

報告書では、全国の二次医療圏(福島県を除く)をこの3つに分類している。都市部や県庁所在地などを中心とした地域で遅行型となり、高齢化が進む地方部は早熟型となっている地域がみられている。

 

また地域の医療体制の現状として、現在の既存病床数の地域格差や、医療機関そのものの配置についても課題をあげ、2040年までの間に、全国の二次医療圏を以下の4つに分類し、医療圏の再編も検討することとしている。

 

タイプⅠ:病床数を減らすべき地域
タイプⅡ:高度急性期・急性期機能病床から回復期・慢性期機能病床の転換を図るべき地域
タイプⅢ:さらに病床数を確保しつつも、いずれは調整が必要な地域
タイプⅣ:2040年までに高度急性期・急性期機能病床の需要が高いと想定される地域

 

これらのデータを見ると、2040年までには医療圏だけではなく、そこに存在する病院の数やそれぞれの役割なども、大きく様変わりしていると予測できる。これらの具体的な方針を打ち出すのは、都道府県などの地方自治体となる。

 

厚生労働省でも、在宅医療をさらに推進するという動きがみられることも鑑みると、必要とされる医療者の役割も大きく変わってくる可能性がある。

 

その地域で必要とされる医療者に自分が近づいていけるのか、需要と供給の関連性は常に念頭においておくべきなのかもしれない。

 

 

参考資料

 

経済産業省 「将来の地域医療における保険者と企業のあり方に関する研究会」報告書をとりまとめました
http://www.meti.go.jp/press/2014/03/20150318001/20150318001.html

 

同上 報告書
http://www.meti.go.jp/press/2014/03/20150318001/20150318001e.pdf

 

京都大学 大学院医学研究科 医療経済学分野 2008年 二次医療圏マップ
※各都道府県の二次医療機関を確認
http://med-econ.umin.ac.jp/Health_Policy/md.html

 

【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】

 

経済産業省などの報告書を全文読むのは、結構な時間と根気も必要ですが、今回の報告書は、全体的に分かりやすい方だと個人的には思います。

 

都市部ではまだ若い人が多いので入院需要のピークが遅くなり、地方では高齢者率が高いので早いうちに入院需要がピークを迎えるという、「なるほど」と思える推計です。

 

普段、医療機関の中で仕事をしている時には、二次医療圏がどうなのか、ということはあまり意識しないと思います。そこが救急病院であって、急患が来るから急患用にベッドを空けておくとか、回復したから在宅へとか、患者さんの病態に合わせて適切な機関が患者さんを受け入れるという、現実的な面を見ていることが多いのではないでしょうか。

 

しかし今後は、自分が勤務する医療機関が、高度救命病床が減って回復期病床が増えていくとか、在宅医療を請け負う施設と統合するなど、病院内の構造が変わってくることにもなります。

 

その変化は非常にゆっくりかもしれませんが、自分が常に必要とされる人員であるにはどうすれば良いか、いずれ考える時期がくるかもしれません。

 

この記事をかいた人


紅 花子

正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在は当研究所所属ライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

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