看護師のための保健医療計画のミカタ No.42 「兵庫県での看護師就業事情と、看護師確保対策を知る」

■作成日 2018/2/27 ■更新日 2018/5/9

 

元看護師のライター 紅花子です。

 

各都道府県の看護師確保状況をお伝えしているこのコラム、今回は明石の鯛で有名な兵庫県の看護師就業状況と同県の看護師確保対策について、平成25年に改定された保健医療計画をもとにお伝えします。

 

兵庫県の看護職員数の動向

 

北の日本海と、南は瀬戸内海に接する兵庫県。海に面した大都市に山間部、離島と、さまざまな顔を持つ県でもあります。
世界に開かれた玄関口であり、古くから外国人居留地として栄えた港町・神戸のほか、宝塚市は全国にファンの多い宝塚歌劇団の発祥地としても有名です。

 

海の幸だけでなく、神戸牛明石焼きぼたん鍋も有名です。六甲山、有馬温泉、姫路城と名所も盛りだくさん。独自の文化と雄大な自然が共存している、豊かな地域です。

 

県民の保健医療的な特徴を見てみると、出生率は横ばいですが、合計特殊出生率は増加傾向に転じているようです。
死亡率については少しずつ増加しており、平成23年には9.5で、全国値と近い数値となっています。

 

10万人当たりの死因別死亡率を見ると、心疾患と脳血管疾患は全国よりも低く、悪性新生物が全国よりも高くなっているのが特徴的です。

 

県民の三大生活習慣病について見てみると、悪性新生物の患者数は年々増加している一方で、心疾患と脳血管疾患は横ばいとなっています。

 

厚生労働省「衛生行政報告例」によると、平成22年12月末に県内で就業していた看護職員数は57,155人(保健師1,482人、助産師1,160人、看護師41,267人、准看護師13,246人)で、平成26年には、就業看護職員数は62,362人(保健師1,569人、助産師1,334人、看護師47,672人、准看護師11,787人)となっています。

 

看護師数は年々増加傾向にあり、人口10万人当たりの就業者数で見ると、看護師は860.4人で、全国平均855.2人よりも5.2人上回っている状況です。

 

 


兵庫県の看護師需要

 

兵庫県では、病院勤務の看護師が最も多く72.8%で、全国平均と同じになっています。
診療所に勤務する看護師も12.7%となっており、全国の12.4%とほぼ変わりません。

 

在宅医療関連を見ると、訪問看護ステーション勤務は全国3.3%に対し4.8%、介護保険施設等は全国6.5%に対しおよそ6.0%となっています。
多少の増減はあるものの、その割合は、ほぼ全国平均と変わらないことがわかります。

 

医療現場においては、兵庫県も他の都道府県同様、医療の高度化・専門化や医療ニーズの変化などから、看護師はさらに多くの人数が必要とされ、しかもより複雑・多様な能力が求められているのが現状です。

 

その中で、2010年度の看護職員の離職率は常勤11.0%、新卒は8.1 %(日本看護協会調査)となっていました。
退職理由には「生活上の理由」や「超過勤務の多さ」など、退職の理由に業務負担の重さが関係していることが明らかとなっています。

 

兵庫県の保健医療計画では、特に在宅医療、訪問介護事業での看護師の役割について多くのページを割いており、多様なニーズに対応できる訪問看護サービスの充実、熟練した技術と知識を有する訪問看護師の確保を図ることが大きな課題となっています。

 

県では、在宅看護に関する研修会を実施するほか、在宅看護のスペシャリストである訪問看護認定看護師の養成を支援しており、県内の訪問看護認定看護師は、日本看護協会のデータによると、平成30年2月現在で45名でした。

 

また、在宅医療で今後ニーズが高くなる分野の認定看護師の養成にも力を入れており、2017年7月現在、認知症看護認定看護師は39人、慢性心不全看護認定看護師は21人が、登録されているようです。

 

また、がん(悪性新生物)による死亡率の高い兵庫県では、がん医療に関しても先進的な取り組みを進めています。

 

神戸大学、兵庫医科大学、神戸市看護大学が県外4大学と連携して推進している「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」では、専門医師や薬剤師と並んでがん看護専門看護師の養成も行っており、また、県立粒子線医療センターや神戸低侵襲がん医療センターなどの専門的・先進的な医療にも積極的に取り組んでいる状況です。

 

このように県が積極的に看護師のキャリアアップを推進する兵庫県では、平成30年2月現在で、前述も含めた認定看護師が合計700人、認定看護管理者が159人、専門看護師が139人となっており、その人数は着々と増加しています。

 

看護師・准看護師の従業者数を二次医療圏ごとに見ると、人口10万人当たりで最も多いのは淡路圏域、次いで但馬圏域、北播磨圏域の順になっています。
最も少ないのは阪神南圏域となっており、次いで阪神北圏域、東播磨圏域の順番です。

 

また、他県などでは病床の減床が課題となっている地域が多い中で、兵庫県は既存病床数と基準病床数の差が小さく、増床が必要な地域も複数あるという特徴が見られます。

 

県全体で見ると、基準病床数54,082床に対して、既存病床数が53,521床と561床少なくはなりますが、但馬医療圏は321床の増床が必要とされています。


兵庫県の看護師確保に向けての取り組み

以上のような状況を受けて、兵庫県では看護師の質と人数を増強していくために、以下のような施策を行っています。

 

  • 離職防止策としての、院内保育所の設置・運営、宿舎などの整備
  • 未就業看護師への再就業支援
  • 看護師養成施設への運営費などの支援
  • 教育の質を高めるため、教員や院内の実習指導者などへの講習会
  • 医療の高度化・専門化、在宅療養支援、災害、救急医療などに対応できる研修
  • 医療の安全確保と離職防止に向けた新人看護職員研修
  • 労働環境の改善に向けた病院管理者への研修
  • 効果的な求人・求職システムの開発
  • Web学習システムを開発し、実技研修と組み合わせた職場復帰支援

 

特にがん治療に関する先進医療と在宅医療の充実を進めている兵庫県。看護師の学びを支援する体制も整えられており、看護スキルアップを希望する人にとっては魅力的な県かもしれません。プライベートも、港町・神戸のファッションやスイーツ、海山のアウトドアや宝塚観劇など、多彩な魅力を持つ地域で思い思いの週末を過ごせば、大いにリフレッシュできそうです。

 

 

 

参考資料

 

兵庫県保健医療計画
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf15/25hokeniryoukeikaku.html

 

平成22年衛生行政報告例(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/10/dl/h22_toukeihyoitiran.pdf

 

平成26年衛生行政報告例(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/14/dl/toukei.pdf

 

兵庫県ホームページ
https://web.pref.hyogo.lg.jp/

 

兵庫県看護協会ホームページ
https://www.hna.or.jp/

 

この記事をかいた人


紅 花子 (べに はなこ)
正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在は当研究所所属ライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

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