看護師のための保健医療計画のミカタ No.43 「岐阜県での看護師就業事情と、看護師確保対策を知る」

■作成日 2018/4/3 ■更新日 2018/5/9

 

元看護師のライター 紅花子です。

 

各都道府県の看護師確保状況をお伝えしているこのコラム、今回は飛騨牛で有名な岐阜県の看護師就業状況と同県の看護師確保対策について、第6期保健医療計画をもとにお伝えします。

 

岐阜県の看護職員数の動向

 

県内の8割を占める森林と木曽川・長良川・揖斐川の「木曽三川」を擁する、自然豊かな岐阜県。

 

織田信長の治める美濃国の城下町として栄えた岐阜市内をはじめ、世界遺産の白川郷合掌造り集落や飛騨高山、日本の滝百選にも選ばれた養老の滝、天下分け目の合戦「関ヶ原の合戦」の跡地など、日本の伝統や歴史を伝えるスポットが数多くあります。

 

県民の保健医療的な状況を見てみると、悪性新生物や心疾患、肺炎など、主な死因による死亡数は年々上昇している中で、脳血管疾患による死亡者数だけが年々減少傾向にあります。

 

また、有病者数を見ると、糖尿病が有病者、予備群ともに増加しているようです。

 

県民の関心(複数回答)としては、「在宅ケアの推進」に関心を持つ人の割合が最も高く、4割を超えました。
以下、順に「保健医療従事者の確保」「救急医療体制の整備」「がん治療体制の整備」となり、それぞれが3割を超えています。

 

厚生労働省「衛生行政報告例」によると、平成22年12月末に県内で就業していた看護職員数は21,376人(保健師860人、助産師530人、看護師13,658人、准看護師6,328人)で、平成26年には、就業看護職員数は24,193人(保健師910人、助産師600人、看護師16,100人、准看護師6,583人)となっています。

 

人口10万人当たりの就業者数で見ると、看護師は788.8人で、全国平均855.2人よりも66.4人下回っている状況です。

 

図1 岐阜県 看護職員数の推移

図1 岐阜県 看護職員数の推移


岐阜県の看護師需要

図2 岐阜県の看護師就業場所

図2 岐阜県の看護師就業場所

 

岐阜県では、病院勤務の看護師が最も多く68.6%で、全国平均の72.8%を下回っています。
一方、診療所に勤務する看護師は、全国平均が12.4%であるのに対して14%と、やや多くなっています。

 

在宅医療関連を見ると、訪問看護ステーション勤務は全国平均3.3%に対し3.1%、介護保険施設等は全国平均6.5%に対し9.8%となっています。つまり、全国平均と比較すると、病院勤務が少なく、診療所勤務が多くなっているという状況です。

 

岐阜県では入院の受療率が全国で少ない方からみて6番目、外来受療率が全国で多い方からみて13番目であり、外来患者に対して入院患者がやや少ない傾向にあると言えるかもしれません。

 

岐阜県でも、高齢化社会や医療の高度化に対応するために、看護師の需要は増加しています。
また、県民の要望が多様化・高度化するなかで、看護の質の向上も求められているのが現状です。

 

県内では、これまで行われてきた看護師の確保対策が功を奏しているのか、離職率が平成20年度は10.5%、平成21年度は10.2%、平成22年度は9.9%と、わずかながらですが減少傾向にあります。

 

また、平成30年3月現在で、認定看護師が283人、専門看護師が30人、認定看護管理者が39人、在籍していることになっています。

 

ところで、県内では現在、病院や有床診療所が年々減少傾向にある一方で、無床診療所数は増加する方向にあります。これは、「病院から在宅へ」という、国の方針に近しい動きといえるでしょう。

 

県民の要望としても、在宅ケアの推進への関心が高まっているのは先述のとおりですので、病院よりも在宅医療を希望する「県民の意識」の表れかもしれません。

 

しかし県民の中には、高度医療を必要とする人、高齢化の進展に伴うハイリスクな状況を抱えた人などもたくさんいます。

 

つまり「入院受療」のニーズ自体が減っているわけではなく、高度医療を提供しつつ、同時に在宅医療の充実も図らねばならない状況にあるのです。そこでまず必要とされるのが「訪問看護のプロ」ということなのです。

 

この辺りの状況が今後どう変化していくのか、そしてそれに対応できる「看護師」の需要がどうなるのか、次期の保健医療計画の内容として、注目していきたいポイントといえるでしょう。

 

図3 岐阜県 二次医療圏

図3 岐阜県 二次医療圏

 

岐阜県は5つの二次医療圏に分かれていますが、病院数を見ると、その4割が岐阜圏域に集中しており、他の医療圏は2割以下となっています。

 

特に中濃医療圏は入院する際の患者流出率が30.3%とかなり高くなっており、その多くが岐阜圏域の病院を受療しています。
看護師数についても人口10万人当たりで見ると、岐阜圏域と飛騨圏域では数値が大きくなっていますが、他の圏域では県平均を下回り、医療機能の偏在が見られます。

 

飛騨圏域は人口当たりで見ると看護師数が多い計算になりますが、これは実際の人口が少ないこととも関係しています。


岐阜県の看護師確保に向けての取り組み

岐阜県では、生きがいを感じながら能力を発揮し続けられる職場づくりと、多様化する医療ニーズに対応できる看護師の育成を目指し、次のような看護師確保に向けた施策を行っています。

 

  • 教員や実技指導者への講習会による指導者の育成
  • 就労環境改善に関する指導者の派遣と相談窓口の設置
  • 院内保育所の運営を支援し、保育体制の充実を推進
  • 新人看護師研修で早期離職を防止
  • ナースセンターと連携して未就業看護職員の再就業を促進
  • 専門看護師、認定看護師の育成支援と、障がい児・障がい者看護研修を実施
  • 訪問看護事業所の事業拡大と機能の充実に伴う、訪問看護師の研修を推進

 

県民のニーズとして、在宅での医療を選ぶ傾向の強い岐阜県。在宅医療は国も推進する方向にあり、より一層の充実が図られていく模様です。在宅医療に関連する専門看護師・認定看護師などの資格を持つ人材は、特に歓迎されることでしょう。

 

また糖尿病も増加しているので、関連分野の専門知識がある看護師もニーズが高いかもしれません。

 

休日は古い歴史を持つ宿場町・馬籠宿や飛騨高山など、歴史深い街並みを歩くのも楽しいですね。

 

他にもモネの描いた名画「睡蓮」にそっくりの「モネの池」、日本三大名湯のひとつ下呂温泉など、一度は訪れたい見所がいっぱいの岐阜県で、看護師ライフをスタートしてみませんか?

 

 

参考資料

 

第6期岐阜県保健医療計画
http://www.pref.gifu.lg.jp/kodomo/iryo/horei/11229/med6.html

 

平成22年衛生行政報告例(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/10/dl/h22_toukeihyoitiran.pdf

 

平成26年衛生行政報告例(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/14/dl/toukei.pdf

 

岐阜県ホームページ
http://www.pref.gifu.lg.jp/

 

岐阜県看護協会ホームページ
http://www.gifu-kango.or.jp/

 

この記事をかいた人


紅 花子 (べに はなこ)
正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在は当研究所所属ライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

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