新潟県の看護師求人事情と、看護師確保対策を知る

元看護師のライター　紅花子です。
各都道府県の看護師確保状況をお伝えしているこのコラム、今回は日本一の米どころ・新潟県の看護師就業状況と、同県の看護師確保対策についてお伝えします。

新潟県の看護職員数の動向

数多くの河川と肥沃な平地が育む農産物や、日本海からの海の恵みを享受できる新潟県。一方で、冬は全国でもトップクラスの「豪雪地帯」へと姿を変えます。そんな新潟県の特殊合計出生率は全国並みではあるものの、若い世代の県外転出による人口減少が目立ち、高齢化率は県全体で30％を超えています。

厚生労働省「衛生行政報告例」によると、平成22年12月末に県内で就業していた看護職員数は27,721人（保健師1057人、助産師763人、看護師18613人、准看護師7288人）でした。

平成26年には、就業看護職員数は29,788人（保健師1,199人、助産師790人、看護師20,967人、准看護師6,832人）と、看護師数は4年間で2,354人増加。人口10万人当たりの就業者数では、看護師は906.5人で、全国平均の855.2人よりも51.3人上回っている計算になります。

看護師の就業先を見ると、最も多いのは病院で、全体のおよそ7割。全国平均とほぼ同様の割合になります。一方で、新潟県では「介護保険施設に就業している看護師」の割合が多くなっています。全国平均では6.4％なのに対して、新潟県では16.4％となっており、介護保険施設等の整備が進み、看護師の就業も病院から介護施設等にシフトしている様子がうかがえます。

しかし在宅医療を見ると、就業看護師の割合は2.4％で全国平均の3.3％よりも低いとう現実があります。新潟県内で、今後さらに在宅医療を推進するためには、訪問看護師の養成・定着を促す必要があります。

次に二次医療圏の状況を見てみると、県庁所在地がある都市部の新潟圏域と、山地や離島、へき地などがある他の圏域で、医療格差が大きいことが課題となっています。また、冬季は積雪により、遠方にある三次救急医療機関への搬送に時間がかかることもあり、これが東部の山間地においては深刻な問題となっているようです。

下越圏域

精神医療と救急医療の充実を、重点課題として掲げています。救急医療においては、医療資源の豊富な新潟圏域との連携を、さらに進めていく方針です。

新潟圏域

県人口の約 39％を占める新潟圏域は、特定機能病院をはじめ、県内病院のおよそ4割が集中しており、医療資源が豊富なエリアです。しかし在宅療養については、需要に供給が追いつく状況ではなく、在宅療養支援診療所、訪問看護ステーションなど、さらなる在宅医療体制の拡充が急がれる現状にあり、従事する医療者の人材育成も、重点課題となっています。

県央圏域

脳卒中への対応が重点課題となっています。生活習慣での予防啓発のほか、発症者の治療から療養までの体制整備を提言しており、この分野の専門看護師・認定看護師のニーズは高そうです。また、救急医療については現在、救急救命センターを併設した「県央基幹病院の整備」が計画されています。

魚沼圏域

これまで最も医師数の少ない圏域でしたが、平成27年に大学医学部の地域医療教育センターを併設した基幹病院が誕生し、地域の高度先進医療と医療者の育成を担うようになりました。圏域としては糖尿病対策を重点課題として掲げており、糖尿病に関連する専門的スキルをもつ看護師の需要があると予想されます。

上越圏域

重点課題として、がん対策の推進、働き盛り世代の脳卒中発症予防、在宅医療の推進を掲げており、それぞれの分野の専門看護師、認定看護師のニーズは高いと思われます。介護保険施設等が他県・他圏域と比較して多いエリアであり、今後は在宅医療の充実にも力を入れ、在宅診療所や24時間訪問看護ステーションの整備を更に進めていくようです。

佐渡圏域

精神疾患、在宅医療を重点課題として掲げ、特に訪問看護ステーション、訪問リハビリテーションの増加を提言しています。特にこの分野での看護師需要は、今後ますます高まると考えられます。

平成27年末の目標として人口10 万人当たりの就業看護職員数1,177.7 人を目指していましたが、未だ看護師不足は解消していません。新潟県では引き続き看護師の確保に力を入れており、次のような施策を掲げています。

県内就業の促進

• 働きやすい、働きがいのある職場づくり
• 修学資金の貸付による県内の医療機関・施設等への就業促進
• 首都圏で説明会を行うなど、Uターン・Iターン就業を支援

看護職員の離職防止

• 院内保育の整備・運営の補助
• 短時間正規雇用など、多様な勤務形態の導入を促進
• 新人の早期離職を防止するための新人看護職員研修

資質向上

• 訪問看護師の養成
• 専門看護師・認定看護師など専門性の高い 看護職員の養成
• 最新の看護技術・知識を習得する研修などを推進

この他、再就業に向けた講習会の実施など、潜在看護師への復職支援も行っています。

全国3位の温泉地数を有し、清酒の蔵元が多い新潟県。有名なスキー場も数多く存在し、日本の冬を満喫したい人にはたまらない住環境ではないでしょうか。また、県内に4つの看護系大学があり、働きながら大学院で資格を取得することも可能な新潟県。キャリアップを目指す看護師にも、非常に魅力的な県と言えるのではないでしょうか。

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