派遣で働く薬剤師を考察する

■作成日 2018/3/5 ■更新日 2018/5/9

 

薬剤師の働き方は正社員やパートだけではありません。実は派遣という働き方もあるのです。派遣薬剤師の給料は、他の勤務形態と比べてかなり高い給料水準を誇っていることが大きな特徴となっています。

 

派遣と聞くと何となく雇用が安定していないイメージがありますが実際はどうなのでしょうか。

 

派遣薬剤師として働くことのデメリットやメリットを踏まえて、派遣の特徴と共に派遣という働き方が果たして有りなのか、無しなのかを見ていきましょう。

 


派遣薬剤師の詳細

派遣薬剤師って何?と思う人がいるかもしれません。その名の通り派遣会社から派遣先へ派遣されることで仕事を得ています。そのため、雇用先は調剤薬局や病院などではなく、大元の派遣会社となります。従って、利厚生派遣先の会社のではなく派遣元の会社のものが適応されます。

 

そもそも、派遣なのに福利厚生が整っているのかという話ですが、正社員と変わらないくらいの福利厚生がある派遣会社がほとんどです、健康保険や雇用保険などの各種社会保険、薬剤師賠償責任保険、産前産後休暇や育児休暇、有給休暇などが用意されています。
ただし、派遣会社によって内容は異なるのであらかじめ福利厚生については確認しておくのがベストです。

 

派遣薬剤師と言えば、他とは比べ物にならない高時給が魅力的ですが、なぜこんなに時給が高いのでしょうか。パートの時給は2000円前後の所が多いですが、派遣薬剤師の時給は3000円~4000円、高い所だと5000円なんて所もあります。

 

この時給の高さにはいくつかの理由があります。

 

1つ目の理由として人手不足が深刻化しているからというのが挙げられます。高齢化が進み、医療の需要が高まっているのもあります。また、田舎の方だと人手不足が更に顕著であり高い時給を出してでも薬剤師を確保しなければならない状況となっています。時給を高くすることで人員を確保し、人手不足を解消しようというのが狙いです。

 

もう1つの理由は派遣薬剤師にはボーナスが存在しないことです。正社員であればだいたいの企業ではボーナスが貰えますが派遣は時給制なのでボーナスがありません。そのため、それを補うために高い時給を設定しているケースもあります。時給が高いので正社員から派遣薬剤師に転職しても年収は変わらないか、上がったという方がほとんどです。

 

他に派遣先が派遣会社に薬剤師の時給以上の契約料を払っているというのも理由にあります。これも元を辿れば人手不足を解消するために高いお金を出してでも薬剤師を確保したいというのが根本にあります。

 

派遣は通常3ヶ月~半年程で職場が変わります。派遣先に直接雇用されているわけではありませんが、他の従業員と壁を感じたり、扱いが異なったりということはなく適度な距離感で働くことが可能です。

 

また、勤務時間が終わったらすぐに帰ることができるので正社員のように残業を強いられることもありません。

派遣薬剤師のメリット

派遣薬剤師のメリットはなんと言っても時給の高さです。時給が高い所に勤めれば年収700万円~800万円も夢ではありません。派遣薬剤師として数年もしくは数ヶ月働いて奨学金を一気に返済したり、長期間、海外旅行へ行ったりする方もいます。

 

私の知り合いには1000万円近い奨学金を3年で全額返済したツワモノもいます。
お金のためなら全国どこでも厭わずに飛んでいっていたようです。

 

これは極端な例かもしれませんが、ある程度期間を絞って働き、必要なお金を一気に貯めたい方には派遣薬剤師という働き方はかなり有効な手段です。他にも以下のようなメリットがあります。

 

派遣薬剤師のメリット1:シフトの融通がきく

 

正社員の場合はお店が決めたシフトに沿って働かなければいけない所がほとんどですが、派遣薬剤師は違います。何時から何時までなら働けますといった具合に働ける時間を自由に設定できます。

 

また、9時間拘束8時間労働がほとんどの正社員ですが、派遣薬剤師だと3時間や5時間など短時間勤務も可能です。出勤できる日付や曜日も指定できますのでかなり自由に働くことができます。子育て中の方や他にお仕事をかけもちしている人にはとてもオススメです。

 

派遣薬剤師のメリット2:正社員と比べて責任が少ない

 

派遣薬剤師はあくまでも、人手不足を補うための補足要因です。何年もそこの職場にいるわけではなく一時的な人員となるので、そこまで責任の大きな仕事は任せられません。覚えてもらうのが大変な仕事や、教えるのに時間がかかる作業もそこまでさせられない傾向にあります。監査や服薬指導はしないで調剤だけ、なんていう所もあります。

 

大きな責任は負いたくない、という人にとっては働きやすい環境であると言えます。

 

派遣薬剤師のメリット3:残業が少ない

 

何時から何時まで働くというふうに派遣会社と契約をしているので、基本的には残業はありません。あったとしても5分、10分の場合がほとんどです。

 

実際に働いた勤務時間をタイムカードに記録して派遣会社に送らなければならないので、残業したとしても、その分のお給料はしっかりと貰えます。つまりサービス残業がないのです。

 

正社員の場合は責任も大きく、管理薬剤師などになると特に業務が増え仕事量が増えてしまい残業になりがちですが、派遣薬剤師では任せられる仕事の範疇も狭いためそのような傾向は少なくなっています。そのため、仕事とプライベートをきっちり分けて生活をすることが可能です。

 

派遣薬剤師のメリット4:様々な職場を体験できる

 

派遣という働き方は派遣先が変わるたびに、違う職場で働くことになります。職場が変われば勿論、仕事内容も変わるので、様々な環境でのお仕事の経験が可能です。正社員として就職する前に職場環境を見極めたいという理由で派遣として働く方もいます。

 

派遣として働いていく中で良い職場を見つけて、そこに正社員として就職するのです。また、正社員の場合は職場に苦手な人がいて人間関係がうまくいっていない場合でもその職場から逃げることはできません。しかし派遣薬剤師の場合は数ヶ月という短い期間での契約が多いので人間関係のトラブルがあってもすぐに他の職場に変えることができます。

 

他の職場に行けるという安心感から割り切った仕事をすることも可能です。

派遣薬剤師のデメリット

時給も高くて自由に働ける派遣薬剤師、メリットだらけに見えますが、勿論デメリットもあります。時給の高さだけに惹かれて後で後悔しないようにデメリット部分もしっかりと確認しておくことが大切です。

 

派遣薬剤師のデメリット1:紹介される派遣先によっては勤務地が自宅から遠いところになる可能性がある

 

派遣薬剤師も一般的な派遣と同じですので労働者派遣法という法律の下で働くことになります。この派遣法ではいくつかのルールが設けられています。

 

まず、30日以内の短期契約は原則できません。これは派遣薬剤師に安定した雇用を提供するために設けられています。また、同じ派遣先での1年以上にわたる長期的な雇用も原則認められていません。派遣期間終了後、1年以内は同じ派遣先で働くこともできません。他の正社員を退職させて派遣薬剤師を雇用するのを防ぐために設けられたルールです。

 

ただし、派遣先との調整により最長で3年までは同じ派遣先で働くことができます。とは言っても、ほとんどの派遣薬剤師は3ヶ月ほどで派遣先を変えてしまう傾向にあります。探している勤務条件によっては派遣先の職場が近くに見つからずに、遠く離れた所を紹介されることもあります。

 

条件が多ければ多いほど、紹介できる派遣先が限られてくるので、どうしても近場で良い派遣先が見つからない場合があるのです。そんな時は自宅から離れた派遣先を紹介されることもあります。遠いので断りたいという気持ちと、今断ると次の仕事の紹介が、いつあるか分からないという不安との葛藤が起こります。

 

結果、断るのを躊躇して承諾してしまうと、数ヶ月ですが自宅から離れた所に通わなければならなくなります。ある程度の希望を出せる派遣薬剤師だからこそ起こり得るデメリットなのです。

 

派遣薬剤師のデメリット2:雇用が不安定

 

派遣は単発のお仕事になるのでいつでも仕事があるとは限りません。そして、派遣と言えば「派遣切り」が付き物です。派遣薬剤師も例外ではありません。突然、雇用契約を切られる可能性があります。しかし、派遣薬剤師は人手が少ないのを補おうとして求人をかけているので、他業種の派遣よりも派遣切りの頻度はとても少ないです。

 

派遣薬剤師のデメリット3:キャリアを積めない

 

派遣薬剤師であるが故に任せられる仕事は簡単で責任が軽めの仕事の割合が多くなります。また、派遣で働ける期間はそこまで長くないので、仕事にやっと慣れてきた頃合いで契約が終了してしまうなんてこともあります。

 

どんどんスキルを身に着けて行きたい方や、管理薬剤師などを目指している方にはあまり向いていません。

 

派遣薬剤師のメリットとデメリット一覧

 

メリット
  • 給与(時給)が非常に高い
  • 勤務シフトに融通がきく
  • 正社員に比べて仕事の責任が小さくて済む
  • 様々な職場を体験することができる
  • 様々な職場を体験できる
デメリット
  • 勤務地が自宅から遠くなる可能性もある
  • 雇用が不安定(他職種よりは安定している)
  • 薬剤師キャリアを積み上げられない

派遣薬剤師に向いている人

正社員と比べて色々と働き方に違いのある派遣薬剤師ですが、どのような人に派遣薬剤師という働き方は向いているのでしょうか。いくつか例を挙げていきます。

 

1:とにかくお金が欲しい人

 

時給が高いのでボーナスがないとは言え、正社員以上の年収が期待できます。短期間でガッツリ稼いで海外旅行などの好きなことをしたい人、奨学金を早く返したい人に派遣薬剤師はとても向いていると言えます。正社員として働いているよりも早くお金を貯めることができます。

 

2:仕事とプライベートのオンとオフをきっちり分けたい人

 

時間に融通が利くため、仕事以外にも趣味などに時間を使いたい人や、仕事とプライベートをしっかり分けて生活したい人にはとても適しています。また、薬剤師以外に仕事を掛け持ちしている場合も時間の調整がしやすいので働きやすい環境が作れます。

 

3:子持ちのママさん薬剤師

 

夕方には預けていた子どもを迎えに行きたいけど、正社員だと勤務時間が長いからどうしても子どもを待たせてしまう、そんな悩みも派遣薬剤師なら解決してくれます。勤務可能な時間を指定できるので、ライフスタイルに柔軟に合わせた働き方が可能です。

 

4:シングルマザー薬剤師

 

シングルマザーは1人で子どもを育てないといけないのでお金の捻出がかなり大変です。しかも子どもの面倒も見なければならないので、働ける時間も限られています。正社員よりも時間の融通が利き、しかも高い年収を稼ぎ出すことが可能な派遣薬剤師であれば、生活費をしっかり稼ぐことができます。

 

派遣薬剤師に向いてる人

  1. 貯金目的などで、高い収入を得たい人
  2. 仕事とプライベートのオンオフをはっきりさせたい人
  3. 子持ちのママさん薬剤師
  4. シングルマザー薬剤師

まとめ - 派遣求人と派遣会社の賢い選び方

 

派遣薬剤師として働きたいのなら、まずは薬剤師専門の求人サイトに登録する必要があります。サイトごとに扱っている求人が異なるので、登録する際は1つのサイトだけではなく複数のサイトに同時登録をするのがオススメです。

 

また、実際に働き始めると派遣会社との付き合いも大事になってきます。契約の更新や新しい派遣先の紹介などその都度、連絡を取り合うことになります。

 

こちらの要望をうまく伝えられないような派遣会社だと、希望に沿った派遣先が中々見つからないという事態も起こり得ます。そのため自分に合った派遣会社を見つけるのも重要なポイントです。

 

求人サイトにはそれぞれ強み弱みがありますので、自分の希望する求人を扱っているサイトを見つけて登録をします。ファルマスタッフは比較的、高時給な求人を扱っています。派遣先と時給の交渉をしてくれ、時には時給4500円というとても高額な時給で契約を結んでくれることもあります。

 

また、求職を希望する薬剤師と直接会って話をすることで、より希望に沿った求人を案内してもらうことも可能です。

 

例えば薬キャリ派遣はとにかく多くの派遣求人を取り扱っています。
提携している派遣会社が33社もあるので、薬キャリ派遣に登録をするだけで33社分の派遣会社の情報を得ることができます。こちらも時給などの条件交渉をしてくれるので、提示の時給よりも高い金額で契約が取れることがあります。

 

求人サイトのコンサルタントの方と直接会ってしっかりと希望に合う求人を探したい人はマイナビ薬剤師がおすすめです。通常であれば面談は電話でやり取りされますが、マイナビ薬剤師はできるだけ直接会って面談をしてくれます。また、初めて転職する方にもオススメです。

 

直接会って話せることで不安も取り除けるので安心感が違います。このように、同じに見える求人サイトも良く見ればそれぞれ大きな特徴があります。自分の希望に合わせていくつかのサイトに登録することでより良い求人と出会える確率が高くなってきます。

 

この記事を書いた人


野村龍一(医師紹介会社研究所 所長)
某医療人材紹介会社にて、10年以上コンサルタントとして従事。これまで700名を超える医師の転職をエスコートしてきた。担当フィールドは医療現場から企業、医薬品開発、在宅ドクターなど多岐にわたる。現在は医療経営専門の大学院に通いながら、医師紹介支援会社に関する評論、経営コンサルタントとして活動中。40代・東京出身・目下の悩みは息子の進路。

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