研修認定薬剤師になるメリットと認定までの効率的なステップ
■作成日 2018/2/27 ■更新日 2018/5/9
薬剤師としてのスキルをアピールするのに抜群の効果を発揮する認定薬剤師。
数々の現場をこなし、知識を習得した者のみに与えられる称号です。
薬剤師になってすぐの頃はきっと誰もが「たくさん勉強して認定薬剤師になってやる!」と意気込んでいたのではないでしょうか。
しかし実際に働き始めると、仕事の忙しさで手一杯、認定薬剤師の勉強が思うように進まなかったという人も多いことでしょう。
そもそも認定薬剤になるにはどのようなステップを踏めば良いのかも実はあんまり分からない、という方のためにここでは認定薬剤師になる方法から、認定薬剤師のメリットやデメリットをご紹介していきます。
認定薬剤師になるには
1.認定薬剤師とは?
そもそも認定薬剤師とは何なのかを知らなければなりません。
認定薬剤師とは「この人は特定の分野において最新の知識や技術をきちんと持っていますよ!」と照明してくれる資格のことです。
これと良く似ているものに専門薬剤師という資格もありますが、こちらも似たようなもので知識を保有していることを照明するものです。
大きな違いは認定薬剤師と専門薬剤師では認定している団体が異なるという点です。
また、専門薬剤師は認定薬剤師よりも、やや難易度は高くなっています。
現在では約20種類もの認定薬剤師の資格が存在しています。
2.認定薬剤師になるまでの手順
認定薬剤師になる手順は、ある程度共通はしているのですが認定団体によっては多少異なる場合もあります。
ここでは一般的な手順について説明していきます。
薬剤師研修手帳を貰う
認定薬剤師になるために最も欠かせないツールがこの薬剤師研修手帳です。
おそらくは、大学の卒業時に1人1冊ずつ配られているパターンが多いのではないでしょうか。
研修を受けた際に貰える単位のシールを貼ったり、研修内容を記録したりと認定薬剤師になるには必ず必要になるものです。
もし貰ったのに失くしてしまったとか、そもそもまだ手元にないという方は今すぐ手に入れましょう。
公益財団法人日本薬剤師研修センターのHPから簡単に申し込むことができます。
研修に参加する
手帳を手に入れたら早速、研修に参加しましょう。
認定薬剤師の対象にならない研修もあるので申し込む時は必ず対象なのかどうかは確認してください。
日本薬剤師研修センターの実施する研修や、こちらのセンターに登録されている団体が行う研修が対象となります。
勿論、研修には飛び入りでは参加できないので事前の申し込みが必要です。研修には大きく分けて以下の5つがあります。
- 集合研修・実習研修
- 特別講座研修
- グループ研修
- 通信講座研修
- 自己研修
それぞれの研修によって得られる単位数は異なります。
また、取得できる単位に上限があるものもあります。
1年で5単位以上、4年以内に40単位以上を取得すれば認定薬剤師の申請ができるようになります。
実務経験を積む
認定薬剤師の種類によっては実務経験が必須となるものもあります。
例えばがん薬物療法認定薬剤師であれば薬剤師としての実務経験が5年以上必要となります。
また、指定の研修施設での実技研修を履修していることなども条件となります。
どの認定薬剤師になるかによって実務経験の年数などが大きく変わるのでこちらも一度確認しておきましょう。
申請を行う
単位の取得が済んだらいよいよ認定薬剤師の申請を行います。
日本薬剤師研修センターに手数料である1万円を振込み、研修認定薬剤師新規申請書に必要事項を記載します。
これに払込票兼受領証のコピーを貼って自宅もしくは職場のある都道府県薬剤師研修協議会に、この研修認定薬剤師新規申請書を手帳と共に送れば申請の手続きは完了です。
研修認定薬剤師新規申請書は日本薬剤師研修センターのホームページからダウンロードすることができます。
認定薬剤師の発行
無事に手続きが完了して認定薬剤師として登録されると認定証が届きます。
認定の手続きが完了するまでに数ヶ月かかるので焦らず待ちましょう。
ちなみに、認定証が郵送される約1ヶ月間に日本薬剤師研修センターから認定が完了した旨のハガキが送られてくるようになっています。
認定薬剤師のメリットその1
認定薬剤師になるまでの道のりはそう簡単ではありません。
目指すとなれば数年単位での勉強が必要となります。しかも研修の費用なども万単位でかかります。
そこまでして認定薬剤師になるメリットとは何なのでしょうか。
一番大きなメリットはずばり「かかりつけ薬剤師になれる」ということです。
近年、あちこちでこの「かかりつけ薬剤師」という言葉を聞きますが、実はこれ、誰にでもなれるものではないのです。
資格が何かいるわけではありませんが、厚生労働省が提示する条件をクリアしないとなれないのです。
- ・3年以上の薬局での実務経験がある
- ・同じ薬局に週32時間以上勤務している
- ・勤務している薬局に6ヶ月以上在籍している
- ・研修認定薬剤師の資格を持っている
- ・医療に関する地域活動に参加している
かかりつけ薬剤師になるには、これだけの条件をクリアしないといけないのです。
そして皆さん、条件の中に「認定薬剤師」という言葉が入っていることにお気づきでしょうか。
そう、かかりつけ薬剤師と世の中では簡単に言っていますが、なんと研修認定薬剤師の資格を取らないとなれないのです。
研修認定薬剤師とは、日本薬剤師研修センターが認定している資格の一つで、基礎薬学や医療薬学などの知識を習得し自己研鑽をした成果として与えられるものです。
かかりつけ薬剤師になれば、知識の習得を始め、患者さんへの質の高い医療の提供、そしてかかりつけ薬剤師指導料を算定できるようになるなど、たくさんのメリットがあります。
そもそも「かかりつけ薬剤師」とは?
かかりつけ薬剤師について詳しく説明してくださいと急に言われてもきちんと説明できる人は意外と少ないものです。
かかりつけ薬剤師の制度は平成28年からスタートした制度で、まだまだ新しい取り組みです。
簡単に言ってしまえばかかりつけ医師をそのまま薬剤師にお置き換えたものです。
処方箋を貰った患者さんは大抵、病院の近くの薬局に行って調剤してもらいます。
しかし、そうではなくてどの処方箋でもいつもの薬局に調剤をお願いしようとするのが、このかかりつけ薬剤師です。
あちこちの薬局で薬を調剤してもらうことにより良く起こるのが薬の重複です。
お薬手帳にきちんと記載してもらっている患者さんであれば問題ないものの、実際はお薬手帳を持ち歩いている患者さんはそう多くはありません。
そのためA薬局で貰った薬をB薬局でも貰ってしまい、しかも同じ薬ということに気がつかずに服用してしまい、最悪の場合は副作用が出てしまうのです。
こういったことを避けるためにも患者さんが自分の専任の薬剤師を指定してすべての薬の管理をしてもらおうというのがこの「かかりつけ薬剤師」なのです。
認定薬剤師のメリットその2
認定薬剤師になることのメリットはまだまだあります。
1.転職や昇給時の自己アピールに繋がる
薬剤師は一生勉強をし続けなければならない、薬剤師になってからが本当の勉強のスタートなどと良く言われますが確かにその通りです。
医療の現場に出たばかりの薬剤師はまだまだひよっこ。実際に薬剤師として働き始めてからが勝負なのです。
このような薬剤師の世界で最も効率よく経験や知識を吸収できるのがこの認定薬剤師です。
資格さえ取得してしまえば毎日勉強をしている薬剤師も、そうでない薬剤師も同じ「薬剤師」です。
しかし認定薬剤師の資格をもっていれば、自分はきちんと勉強している、学んでいるとアピールすることができるようになります。
毎年規定の単位を取得して更新をしなければ失効してしまう認定薬剤師の資格は持っているだけで自己アピールに繋がります。
2.薬剤師としての質を上げられる
黙々と業務をこなすだけの薬剤師と、認定薬剤師の取得に向けて様々な研修に足を運んで常に知識を吸収している薬剤師。
どちらの方が質の高い薬剤師でしょうか?(もちろん後者ですよね)。
一度取ったらお終いの薬剤師の資格にさらに磨きをかけるべく勉強に励む姿は誰が見ても輝かしいものです。
医療の世界は目まぐるしく進歩しており、少し前までは当たり前だった治療法がガラリと変わったり、効くと思われてあちこちで使われていた薬が実は効果がないことが分かったりと最新の医療を追いかけるのは本当に大変です。
そんな中で認定薬剤師を取得するというのは最新の医療を常に吸収し続けることでもあります。
つまり、薬剤師の質を高めるのにとても適しているのです。
3.給料が上がる
これは、必ず上がるという保障はできませんが勤務先によっては認定薬剤師の資格を取得することによって、手当が貰えるところもあります。
相場はだいたい月に5000円から10,000円です。
年間にすると6万円から12万円ほどの収入アップとなります。
これを多いと見るか少ないと見るかは人によりますが、努力が年収に反映されるのは嬉しいものです。
認定薬剤師にはデメリットもある
認定薬剤師のメリットばかりお伝えしてきましたが、もちろんデメリットもあります。
1.資格を取得するまでにお金がかかる
勉強をするためにはどうしてもお金がかかってしまいます。
どの認定薬剤師を目指すのかによっても費用は変わりますが万単位の出費は確実です。
かかりつけ薬剤師になるために必要な研修認定薬剤師になるには約10万円、がん薬物療法認定薬剤師に至ってはなんと20万円近くもの費用がかかってしまいます。
認定薬剤師になって手当が貰えるようになったとしても、なるまでの出費を考えたら金銭的なメリットはあまりありません。
会社によっては研修費用を負担してくれるところもありますが、いずれにせよタダでは認定薬剤師にはなれません。
2.なるまでに数年かかる
認定薬剤師になるぞ、と決めてもすぐになれるものではありません。
5年くらいは見積もっておくべきです。
数年の実務経験を必要とされるものも多いですし、仕事をしながら認定に必要な単位を集めるのは決して楽ではないというのもあり、取得するのに数年かかってしまいます。
最初は認定薬剤師になると意気込んで勉強していても、途中で挫折してしまうことも少なくありません。
3.更新が必要
認定薬剤師の資格は薬剤師国家試験の資格とは違い定期的な更新が必要です。
更新3年ごとに行う必要があり、1年間で5単位以上、3年間で30単位以上を取得していなければ更新できません。
複数の認定薬剤師の資格を持っている場合はそれぞれの資格に対して30単位ずつ必要となるので、かなり大変です。
仕事をしつつ更新のために研修に参加するとなると体力的にも厳しくなります。
研修認定のためのeラーニング比較
認定薬剤師になるため研修は必ずしも外に受けに行かなければならない、なんてことはありません。
今の時代eラーニングでも受けられるようになっています。
スマホでも講義を見られるものもあり、eラーニングを使えば通勤中の時間をうまく勉強に使うことも可能となります。
eラーニングでの研修は集合研修扱いになります。
eラーニングにもいくつか種類があるので代表的なものについて比較してみます。
インターネット薬剤師生涯教育講座
ファーマストリームが実施しており、年間費用は3万円ほどで好きなだけ講義を受講できます。
1個だけ受けてみたい、という場合にはスポットプランというものもあり1,296円から受講することができます。
ただしスポットプランの場合は入会費が別途必要となります。
http://www.pharmastream.net/phs-wbt5/
メディカルナレッジ
NPO法人医療教育研究所が実施しています。全講座受け放題でも費用は2万円ほどとなっています。
他に120講座コース、30講座コース、30講座コースもあり一番安い30講座コースだと13,500円で受講することができます。
https://www.medical-knowledge.net/
薬剤師のためのe-ラーニング
こちらはMPラーニングが実施しています。現在では講座数は430にも上り、受講料は年間で15,000円ほどです。
スマートフォンやタブレットでも講座を閲覧できるようになっています。
他にもe-ラーニングにはいくつか種類があります。
どのような講座があって費用はいくらかかるのかというのは実施している企業によってかなり異なるので、申し込む時はまず自分が学びたい講座があるかどうかを確認し、それから費用がそれに見合っているのかを確認してから申し込みましょう。
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