製薬会社(薬事職)への薬剤師転職を考察する

 

年収アップのために転職を考えている薬剤師の方は、製薬会社の求人を見て「年収が高くていいな」なんて思ったことはありませんか?

 

「でも製薬会社って入るのが難しいんでしょ?」

 

と思っている方も大勢いるでしょう。
実際に製薬会社へ入るのはとても難しいです。
そんな製薬会社ですが仕事内容は研究や開発だけではありません。
新薬申請に関わる業務でも募集があるのですが、一般にはあまり内情についても聞きなれない方がほとんどでしょう。

 

ここではそんな新薬申請を行う薬事職について触れていきます。


製薬会社薬事職に勤務する薬剤師の年収

調剤薬局や病院で働いているとネックになってくるのが年収の低さです。
そこで年収をアップさせようと転職を考える人は少なくありません。

 

では製薬会社の薬事職ではどれくらいの年収が見込めるのでしょうか。
薬事職の平均年収は約650万円です。
求人によって年収の幅は600万円から1000万円でくらいまであります。薬剤師の平均年収が約530万円なので、薬事職の年収は高い分類と言えます。年収アップを目的として転職するには良い職種なのではないでしょうか。では実際に薬事職の求人を見てみましょう。

 

※下記求人の出典元>> 初心者向け「ハズレのない」薬剤師転職求人サイト3社

 

薬事職求人票の内容1

 

◆仕事内容:薬事業務や品質関連業務全般

 

◆年収:500万円~600万円

 

◆応募資格:5年以上の薬事経験

 

◆歓迎条件:ISO13485の知識、英語(TOEIC 500点以上)

 

歓迎条件に英語とありますが、薬事の仕事に英語が必要なのを皆さんご存知でしたか?仕事で送るメールを英語で書かなければならなかったり、内容や社内のマニュアルが英語で書かれていたり、時には英語で会話をしなければならないこともあります。

 

そのため英語の能力を持っている人が優遇されるのです。

 

薬事職求人票の内容2

 

◆仕事内容:薬事法・化審法・毒劇法等各種法規制への対応など

 

◆年収:600万円~900万円

 

◆応募資格:薬剤師の資格を持っている、化学的知識がある、英語中級(TOEIC600点以上)

 

応募資格に「薬剤師の資格」が出てきました。実は製薬会社の薬事職に就くためには特に資格は必要ありませんので、薬剤師でも看護師でも何も資格がなくても本来はなることができます。しかし、この企業は薬剤師の資格を必要としています。
その影響で年収は先ほどの求人よりも高くなっています。

 

また、こちらの求人も英語の能力を必要としているので、薬事職に就くためには英語は避けて通れません。

 

薬事職求人票の内容3

 

◆仕事内容:早期承認に向けた適正な申請対応など

 

◆年収:1200万円 ~ 1499万円

 

◆応募資格:医薬品の薬事経験5年以上、薬剤学、分析化学、物理化学、薬物動態学系の学部卒以上

 

◆歓迎資格:薬剤師の資格、ビジネスレベルでの英語力、一般用・医療用医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器などの専門知識

 

目を疑うような年収の高さの求人ですが、こちらは外資系の求人となっています。さすが外資系といった求人です。年収が高い分、求められるスキルも高くなっているので転職は簡単ではないでしょう。
しかし、今までに経験を積んできた人にとってはかなり魅力的な求人です。

製薬会社の薬事職の業務内容

薬事職と聞いてもどのような仕事をしているのか説明できる人は少ないと思います。
日本国内で企業が医薬品や医薬部外品などを製造販売・輸入販売を行うためには厚生労働省から承認を得る必要があります。
この時に厚生労働省に対して行う申請のことを薬事申請と呼んでいます。

 

この薬事申請を行うのが薬事職の主な業務です。
薬事申請業務を行う人のことを薬事スペシャリストとも呼びRAと表記されることもあります。

 

では具体的にはどのような業務を行っているのでしょうか。

 

1.申請書類作成事務

 

薬事担当者はその製品がなぜ必要なのか、どうやって開発したのか、また臨床試験や非臨床試験の内容や品質の管理方法、安全性や有効性など多岐にわたるデータを所定の書式に記入します。

 

これらのデータには科学的根拠が必要であり、それらをすべて文書に記載していきます。
記載するための書式は専用の申請ソフトがあるので、それを使用しているところがほとんどです。

 

申請書類が完成したら厚生労働省に提出します。

 

2.申請書類の点検

 

出来上がった書類に不備がないかをチェックします。
当然、不備があっては個性労働省側から申請は受諾されません。

 

もし書類に問題があった際は、申請に関わるあらゆるところへ連絡を取り、調整を行わなければなりません。
調整の業務はかなり大変であり、終わるまではかなり忙しい日々を送ることになります。

 

3.監査報告書に対する回答作成

 

申請書類を送った後、審査の担当官が確認すべきことがあると判断した場合、その対応もしなければなりません。
書類の記載に関しての疑問点などを問われるので、相手方が納得するような回答を作成する必要があります。

 

これらの審査に通った後、厚生労働省と薬事・食品衛生審議会による諮問を経て無事に承認を得ることになります。

 

申請書類を丁寧に且つ科学的根拠にきちんと基づいて記載することで承認までのプロセスはかなり短く済みますが、ただ単に情報を記載するだけでなく、相手を納得させる内容を書かなければなりません。

 

製薬業界にはメディカルライティングという単語があります。
医薬品に関する知識などを使って事実を客観的に記載する記述のことです。
薬事職ではこのメディカルライティングの技能がかなり重視されます。

 

ライティング能力の良し悪しによって申請が受諾されるかの運命が分かれてしまうこともあります。

薬事職で働くメリットとデメリット

これまでの説明だけでは薬事職は何だか大変そうというイメージを持ってしまったかもしれません。実際に薬事職で働くメリットやデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

 

薬事職勤務のメリット

 

1.給料が高い

 

薬事職の年収は薬剤師の中ではかなり高い方です。
外資系の企業だと年収1500万円なんてところも存在します。
高給取りと言われているMRですら年収1000万円前後なのでかなり高い方です。
とにかく年収を上げたいという人には一度はチェックしてほしい職種です。

 

2.福利厚生が充実している

 

薬事職も製薬会社の社員の一員です。
製薬会社の福利厚生は薬剤師の他の職種の中でもかなり充実しているほうです。
企業によっては家賃全額負担なんてところもあります。
他に役職手当や地域手当が貰えるところもあります。
育休や産休なども勿論ありますので、働きやすい環境が整っていると言えます。

 

3.業務にきちんとゴールがある

 

製薬会社で募集している職種のうち、特に研究職は終わりが中々見えない仕事です。
今研究していることの成果が出るのは早くても10年後なんてこともあり、かなり気の遠くなるような仕事です。

 

しかし薬事職は「承認」というゴールがあるのでメンタル的にも救いがあります。
結果がいつ出るのか分からないような仕事はかなりの気力が必要となりますが薬事職ではすぐそこのゴールを目指せば良いのです。

 

薬事職勤務のデメリット

 

1.薬事職に就くのは非常に狭き門

 

薬事すの業務内容は企業から要求されるレベルが高く、求人数もそこまで多くないため、倍率はかなりのものです。
しかし、要求されるレベルが高いが故に薬事職で働く人の多くは中途で入ってきた人で構成されています。

 

また企業側が優秀な人材をヘッドハンティングして集めていることもあります。

 

2.業務は相当に多忙を覚悟しなければならない

 

申請前などは徹夜も覚悟で業務に挑まなければなりません。
休日出勤をすることもあります。
忙しい時期は勤務時間内にはどうしても終わらないような仕事量をこなさなければならないので、どうしてもこのようなことになってしまいます。

 

体力的にかなりきつい仕事と言えるでしょう。

 

3.高いライティング能力が必要

 

仕事をする上で欠かせないのがライティング能力です。
文章を書くことが苦手な人にはとても苦痛な仕事なのは間違いありません。
ただ単に書けばよいだけでなく、事実を客観的にしかも相手を納得させる説得力のあるライティングをしなければなりません。

 

4.高い英語能力が不可欠

 

製薬会社と切っても切り離せないのが英語です。
英語でメールのやりとりをしたり、会議をしたり、英語の文書を読んだり、とにかく仕事をするためには必ず英語が必要になります。

 

TOEICで最低でも700点程度は要求されますが、それでも物足りないでしょう。

ホワイトな薬事職とブラックな薬事職を見分けるにはどうしたら良いのか

世の中にはあらゆる企業があり、中にはブラック企業と呼ばれるものからホワイト企業と呼ばれるものまで数多くあります。

 

転職をする上でどうしても気になってしまうのが、転職先がブラック企業ではないか、ということです。人生を大きく変える可能性のある転職で後悔はしたくありません。

 

せっかく条件の良い企業に転職できたとしても残業が多かったり社内の環境が悪かったりすると、そこの会社で長く続けようとは思えなくなります。では、どうすればブラック企業を見分けることができるのでしょうか。

 

1.ホームページを隈なくチェック

 

製薬企業となると大手のところが多いのであまり簡素なホームページの会社はないかと思いますが、あまりに作りが質素なところは避けたほうが無難です。

 

また、ホームページによく掲載されているような社長からのコメントや社長自身の年齢も要チェックです。
社長が今までブラック会社で働いていた経験が長いと、今の会社もブラックである確立が高くなります。

 

また比較的若い社長だと非常にコストに敏感なことが多く、残業代が出ないなんてことが起こりやすくなります。

 

2.企業の成長率をチェックする

 

どんどん成長している企業の売上は必ず前年の売上を越えます。
逆に前年を越せないような企業だと衰退の道を歩んでいるということになります。

 

売上や利益率がどのように変動しているのかを確認するのもブラック企業を見分ける一つの手段です。利益率は低くすぎても高すぎてもダメです。

 

あまりに利益率が高い場合は残業代を払わずに業務をさせていたり、有給を取らせなかったりなど裏事情がある場合があります。

 

3.面接官の表情を読む

 

転職の面接では必ずと言っていいほど転職理由を聞かれます。
理由を説明している時の面接官の表情を良く確認してください。
例えば残業が多いなどの話をし出した時に顔が曇るような場合はその企業も残業が多く発生している可能性があります。

 

以上、3つのポイントを紹介しましたが、基本的に製薬会社は他の企業と比べてホワイトであることの多い企業です。

 

ブラック企業の見分け方は参考までに試してみてください。

薬事職への転職で、面接の際にアピールしたい内容、志望動機は?

 

製薬会社の薬事職を目指すあなたがアピールすべきこと

 

1.英語スキル

 

薬事職はとにかく英語を使うことの多い職種です。
企業によってはメールの送受信程度ができれば良しとするところもありますが、本音を言えば英語で問題なく会話できる程度の能力は欲しいのです。

 

TOEIC○○点以上としているところもあるので、いかに自分は英語ができるかということをアピールしていきましょう。
またTOEICの点数が多少低くても筆記能力や会話能力があれば問題ありません。

 

2.職務経歴書や履歴書を見やすく作成する

 

薬事職というのは物事を分かりやすく説得力のある書き方で相手に伝えなければならない職種です。そのため、履歴書が読みにくかったり見にくかったりして必要な情報を拾えないようなものでは問題外です。

 

レイアウトや文字間隔、字の綺麗さなどで履歴書の見やすさはぐんと変わります。
自分が薬事職に向いていると書類作成の事務能力そのものでアピールすることが重要です。

 

3.コミュニケーション能力をアピール

 

英語を使って会話をする際、少しくらい文法が違ったとしても、それをカバーできるコミュケーション能力があれば仕事に支障はありません。

 

逆に文法は完璧でもオドオドしているような人では仕事が捗りません。
コミュニケーション能力が高く誰とでも意思疎通をできるといったことをアピールできると好印象です。

 

志望動機の書き方にこだわる事が必要

 

「人の健康に関わる医薬品を、大元から支えたい。」「新しい可能性のある医薬品の承認に関わることで患者さんを救いたい」など、なぜ製薬会社なのか、なぜ薬事職なのか、理由を明確にして面接官に伝える必要があります。

 

数ある製薬会社で当社を選んだ理由を聞かれた際はその会社にしかない特徴を述べましょう。

 

また、薬事職への転職ということで、物事を簡潔に分かりやすく伝える能力も見られるので正しい言葉で分かりやすく面接官への質問い対応していく必要があります。


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