正確にご存知ですか?保険薬局と調剤薬局の違い

■作成日 2018/2/28 ■更新日 2018/5/9

 

転職をする際、よく候補に挙がるのが薬局です。
しかし薬局は厳密には「調剤薬局」「保険薬局」の二種類があることをご存知でしたか?
薬剤師の資格を持っている人であれば何となく違うのは分かるかもしれませんが、具体的な違いまで説明できる人はあまりいないのではないでしょうか。

 

保険薬局で働く薬剤師のことを保険薬剤師と呼びますが、通常の薬剤師とは一体何が違うのか、これも詳しく知っている人はあまりいないかもしれません。
薬剤師である以上、この違いについては知っておかなければなりません。

 

「違いが分からない、どうしよう!」と焦っているあなた。大丈夫です。
今からここで、この二つの違いや保険薬剤師について詳しく説明していくので、ぜひ参考にしてください。


調剤薬局と保険薬局の違い

どこで働いているのかと聞かれて「調剤薬局です」と答える人はいても「保険薬局です」と答える人は見たことがありません。

 

それほどこの二つの違いを日頃から意識している人は少ないのです。
ではまず、そもそも「薬局」とは何なのかを説明していきます。
調剤だけを行っている薬局、ドラッグストア併設の薬局、食品や医療用品なども扱っている薬局、これらを全部ひっくるめて薬局と呼んでいます。

 

厳密には以下の条件を満たす必要があります。

 

薬局の条件

  1. 薬剤師が常駐している
  2. 調剤を行う設備が整った調剤室がある
  3. 医師の処方箋に基づいた調剤ができる環境がある

 

これらの条件を満たし、なおかつ薬局の所在地である地域を管轄する都道府県または市の保健福祉局等から認可を受けることで薬局と名乗れるようになります。

 

では、いよいよこれから本題です。
調剤薬局と保険薬局の違いとは何なのでしょうか。

 

「調剤薬局」とは単なる通称、俗称である

 

実は世間一般的に広く使われている調剤薬局という呼び方は、ただの通称でしかありません。
法律で調剤薬局とはどういうものかについては一切定義されていないのです。
調剤を行うことができる薬局を私たちが調剤薬局と呼んでいるだけに過ぎません。

 

「保険薬局」とは地方厚生局の保険指定を受けた薬局

 

保険薬局とは地方厚生局から保険指定を受けた薬局のことです。
保険医が交付する処方箋に基づいて調剤を行います。

 

保険薬局では健康保険法が適用となるため、保険証を持って行くことで自己負担額が3割負担などに減額されます。
このように保険薬局とは、公的な保険制度である健康保険を使って調剤を行うことのできる薬局の事を指しています。

 

保険指定を受けなくても一般用医薬品の販売や調剤はできます。
しかし保険医の処方した処方箋を受け付けて保険調剤を行うことはできません。
保険証を持って行っても自己負担額は10割負担です。
保険薬局に行けばほとんどの人は3割負で済みます。

 

薬局を選ぶ患者側からしたら、わざわざ10割負担になるような薬局には行きません。
同じ薬を貰うのに3倍以上ものお金を支払わなくてはいけないからです。

 

負担額が多いところにわざわざ行く理由はないので保険指定を受けていない薬局は患者集めに苦労することになります。
そのため私たちが普段、処方箋を持っていく薬局はほとんどすべてが保険薬局となっています。

保険薬剤師の定義とその役割

薬局に保険薬局とそうでない薬局があるように、薬剤師にも保険薬剤師と、普通の薬剤師というくくりが存在します。
皆さんは自分が保険薬剤師であるのか、そうでないのかをご存じですか?
こちらも気にしたことがある方はあまりいないでしょう。

 

薬剤師国家試験に合格し、免許を取得した人は薬剤師として働くことができるようになりますが、最も基本的な業務は調剤です。
しかしこの調剤の業務の中にも保険薬剤師にしかできない仕事があります

 

保険薬剤師とは?

 

先ほどから出てくる保険薬剤師という単語ですが、一体普通の薬剤師と何か違うのでしょうか。

 

保険薬局では保険薬剤師の登録を受けた薬剤師しか調剤を行うことはできません。
日本にあるほとんどの薬局が保険薬局であるので、同様に普通に調剤をしている薬剤師のほとんどは保険薬剤師ということになります。

 

保険制度を取り扱う薬局で働くためには薬剤師も保険薬剤師として登録が必要となります。
登録が済むことで保険薬局で調剤を行うことができるようになるのです。
保険調剤を行うためには薬局は保険薬局でなければならないし、薬剤師は保険薬剤師でなければならないのです。

 

つまり、保険薬局で働くために登録を受けた薬剤師のことを保険薬剤師と呼んでいるのです。

 

保険薬剤師の役割

 

健康管理

 

あちこちにある保険薬局では、地域に根ざした医療の提供や、地元の方たちの健康を管理する役割を担っています。
保険薬局での主な業務は調剤ですが、調剤や服薬指導を通して患者さんの治療が円滑に進められるようにサポートをしなければなりません。

 

ただ単にお薬を患者さんに渡すだけなら誰でもできますが、ここで適切な情報を提供し医薬品の管理をできるかどうかが腕の見せ所となります。

 

医療費の削減

 

高齢化が進むにつれ医療費はどんどん増えていっています。
保険薬剤師は日ごろの業務の中で患者さんの残薬の確認や、他の薬局から同じ薬が処方されていないかなどのチェックを行います。

 

まだ自宅に薬が残っているのに新しく薬を処方されては再び飲みきれない薬が自宅に残ってしまいます。

 

また、本来は必要ないはずの薬が処方されることによって患者さんも無駄にお金を払わなければならないし、医療費の増加にも繋がります。
調剤や服薬指導をしながら患者さんお服薬コンプライアンスを確認し、無駄な薬を削減することが求められており、ジェネリック薬剤の患者提案などもその一環であるとされています。

保険薬剤師の登録方法

どこで申請するのか

 

薬剤師が保険薬局で働くためには保険薬剤師の登録をあらかじめ受けなければなりません。
では保険薬剤師の登録を受けるためにはどのような手続きをしたら良いのでしょうか。

 

保険薬剤師の登録は、当人が勤務する保険薬局の所在地の都道府県を管轄する地方厚生局が行っています。
管轄外の地方厚生局に申請してしまうと手続きに時間がかかってしまうため注意が必要です。

 

申請は登録を受ける薬剤師本人が行います。
申請する方法ですが窓口以外に郵送やネット上での電子申請などでも申請は行うことができます。

 

 

申請用紙の記入

 

保険薬剤師の申請するには薬剤師免許の写しが必要ですので、あらかじめ準備しておきます。
薬剤師免許の時のようにお金はかかりません。

 

申請書には勤務先の名称や住所を記入する欄がありますが、転職などの事情により具体的な住所を書けない場合は自身が住んでいる住所でも登録することが可能です。

 

関東信越厚生局指定の申請用紙例

 

保険薬剤師登録票の受け取り

 

申請した内容に特に問題がなければ保険薬剤師登録票というものが発行されます。
こちらは原則として勤務先に郵送されます。
保険薬剤師に登録されたかどうかは保険薬剤師登録票が届くのを待つ以外に、厚生局等のホームページでも確認することができます。

 

保険薬剤師登録票が発行されたら保険薬剤師への登録は完了です。

 

研修を受講する

 

登録が完了した後、「新規指定時集団(個別)指導」などの研修を受けなければなりません。
この研修は保険薬局の指定を受けた薬局の開設者および管理者、そして新しく保険薬剤師に登録をした者は必ず受講しなければなりません。

 

ちなみに保険薬剤師の登録ですが、一般用医薬品のみを扱うドラッグストアや病院に勤務する場いいには申請は必要ありません。
ただし調剤も行っているドラッグストアで調剤業務を行う場合には申請しなければなりません。

保険薬剤師と異動届け

保険薬剤師の登録が済んで数年後、引越しなどをきっかけに転職をする薬剤師もいると思います。
また、チェーンの薬局で働いている場合は異動によって勤務先が変わることもあります。

 

このように、勤務先に変更があった場合は何か手続きが必要となるのでしょうか。
実は保険薬剤師の変更や更新の必要は特に必要ありません。
しかし、他の都道府県に転職した場合や、登録後に住所や名前の変更があった場合にはきちんと手続きを行わなければなりません。

 

いくつか手続きが必要な例を挙げていきます。

 

1.登録している地方厚生局の管轄外に異動した場合

 

保険薬剤師の登録をした地方厚生局の管轄しているエリアではないところに異動した場合は「管轄地方厚生(支)局長変更届」という書類を異動前の地方厚生局へ提出しなければなりません。

 

書類には本人の保険薬剤師登録票の原本が必要となります。
無くした場合は再発行の手続きも必要です。
書類を提出すると後ほど移動後の所在地を管轄する地方厚生局から新しく保険薬剤師登録票が郵送されます。

 

2.同じ管轄内で都道府県を越えて異動したとき

 

手続きは1の「登録している地方厚生局の管轄外に異動した場合」と同じです。
この場合も保険薬剤師登録票の原本が必要となるため、あらかじめ準備しておく必要があります。

 

3.保険薬剤師の氏名に変更があった場合

 

氏名が変わった場合は速やかに「氏名変更届」を提出しなければなりません。
戸籍抄本と保険薬剤師登録票の原本が必要となります。

 

4.保険薬剤師が死亡・失踪した場合

 

この場合、死亡・失そう届を提出しなければなりません。
保険薬剤師登録票の原本が必要となります。

 

5.保険薬剤師の登録を抹消する場合

 

登録抹消には「保険薬剤師登録抹消申請書」を提出します。

 

なお、上記1~5の各手続きで必ずと言っていいほど必要になるのが保険薬剤師登録票の原本です。
何年も保管していたら、うっかり登録票をなくしてしまうこともありえます。
再発行できますので必要な場合は早めに手続きを行います。

 

その場合は「登録票再交付申請書」を提出することで再発行の手続きを行うことができます。
保険薬剤師登録票には記号番号が書かれていますが、この番号が申請時に分からない場合は申請書の余白に薬剤師の免許証の登録番号を記入して提出します。
再発行後に万が一、保険薬剤師登録票が見つかった場合はこれを返納しなければなりません。

保険薬局への転職

 

保険薬局へ転職するには

 

薬剤師は比較的、転職が容易であることから、転職を考えている人が多い傾向にあります。
自身のキャリアアップのため、年収アップのため、その他様々な理由で転職をします。

 

転職先として良く候補に挙がるのが薬局や病院です。
薬剤師の資格を存分に活用しながらも医薬品に関する知識をどんどん吸収していけるためでしょう。

 

日本に存在する薬局のほとんどは保険薬局であるのですが、この保険薬局へ転職するためにはどのようなステップを踏めば良いのでしょうか。

 

転職サイトなどを見ていると調剤薬局の求人が頻繁に目に入ります。
繰り返しにはなりますが、日本にある薬局のほとんどすべてが保険薬局です。
そのため、特に保険薬局であるかどうかを気にすることなく、自分に合う求人を探してもらって問題ありません。

 

また、転職先を探す際はぜひ薬剤師専門の転職サイトを活用しましょう。
自分一人で探すよりも、より良い求人が見つかりやすいのと、担当のコンサルタントの方によるフォローも受けることができます。

 

転職サイトに登録したら希望の転職先について聞かれます。
コンサルタントの方で希望に沿う求人を探してくれますので、普通の求人サイトで求人を探すよりも自分に適した転職先を探すことができます。

 

保険薬局への転職で知っておくべきこと

 

保険薬局はとても人気の職種です。
薬剤師としてのスキルも上げられますし、給料も病院と比べたら高い傾向にあります。
しかも頻繁に求人が出ているので転職もしやすいです。

 

しかし、保険薬局へ転職する際には気をつけてほしいことがあります。
年収だけに目を奪われていざ転職してみると、一人薬剤師で全然休憩が取れない、来局する患者さんのほとんどがメンタル系、自分が勉強したい科目の処方箋がほとんど扱われていないなどの問題が発生するおそれがあります。

 

薬剤師は何人いるのか、扱っている科目は何なのかということを必ず確認しなければなりません。

 

また、チェーンの薬局なのか個人経営の薬局であるのかによっても働き方が大きく変ります。
チェーンの場合は異動があるので一箇所の薬局にとどまらずに多くの種類の処方箋を取り扱うことができます。

 

また勉強会などの薬剤師のフォロー体制も整っているところが多くあります。
逆に個人経営の薬局だと異動はないのでずっと同じ科目の処方箋を取り扱うことになります。
しかし個人経営の薬局はチェーンと比べて年収が高いことが多いです。

 

自分が思い描く働き方ができるようにしっかりと保険薬局の情報に目を通んがら転職先を探すことが大切となってくるでしょう。

 

この記事を書いた人


野村龍一(医師紹介会社研究所 所長)
某医療人材紹介会社にて、10年以上コンサルタントとして従事。これまで700名を超える医師の転職をエスコートしてきた。担当フィールドは医療現場から企業、医薬品開発、在宅ドクターなど多岐にわたる。現在は医療経営専門の大学院に通いながら、医師紹介支援会社に関する評論、経営コンサルタントとして活動中。40代・東京出身・目下の悩みは息子の進路。

【2018最新版】正社員登録高格付け企業 Best3

保険薬局と調剤薬局の違いとは?

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