ドラッグストア転職を希望する薬剤師が、ドラッグのみ取扱店より調剤OTC併設店を選ぶ理由は?
■作成日 2018/3/15 ■更新日 2018/5/9
薬剤師の転職先として人気のドラッグストア。一般的に調剤薬局や病院よりもドラッグストアの年収が高い傾向にあるため、年収アップを狙う転職希望者はドラッグストアを選ぶ傾向にあるのです。
ドラッグストアには大きくOTC販売がメインの店舗と調剤とOTC併設の店舗の2種類があります。このうち調剤OTC併設店が今かなり人気なのです。なぜドラッグストアへの転職を希望する人は調剤OTC併設店を選ぶのでしょうか。
メリットやデメリットを踏まえながら人気の謎についてご紹介していきます。
ドラッグストアへの転職者数増加
初任給から年収500万円超えが当たり前になりつつあるドラッグストア業界。以前はドラッグストアで働くのは負け組みだとか、薬剤師としての教養が身につかないだとか散々に言われており、とても人気の低い職種でした。
今でも新卒の薬剤師たちは調剤薬局や病院を好んで選んでいます。
しかし、新卒ではなく転職となると話はまた別です。医療の最先端で常に豊富な知識を習得しながら働ける病院ですが、当直があったり、勤務時間外に勉強会があったりとかなり体力的には厳しいのに年収はかなり低いです。調剤薬局は病院よりは年収が高いもののやはりドラッグストアと比べるとその水準は低い傾向にあります。
病院や調剤薬局と比べると新卒の獲得に関して圧倒的に不利であるドラッグストアですが、言うまでも無く薬剤師不足の状態が何年もずっと続いています。どこの企業も店舗数をじゃんじゃん増やしているため薬剤師の供給が一向に追いつかないのです。
そこで大手ドラッグストアでは薬剤師の囲い込みをしようと戦略を立て、薬剤師不足を補おうとしているのです。その戦略の1つが「年収を上げる」というもの。確かに今までもドラッグストアの年収は他と比べると高い傾向にあったのですが、さらに水準を上げる企業が増えています。
某大手ドラッグストアでは第99回の国家試験が急激に難化したことを受け薬剤師の確保がかなり難しくなったため、翌年から年収を40万円ほど上げて募集を始めました。今ではどこのドラッグストアでも月収30万円、年収500万円くらいは当たり前となりつつあるのです。
こうまでしないと薬剤師を確保できないんですね。この高い年収に惹かれてドラッグストアに転職を希望する人が増えているのです。病院とドラッグストアだと下手したら200万円近く年収に差が出てしまいます。よっぽど病院にこだわりがない限りはドラッグストアで働くという手もありでしょう。
ドラッグストアへの転職者が増えている理由はもう1つあります。それは病院や調剤薬局と比べて昇給しやすいことです。管理薬剤師になればいくらか給料が上がりますが結局そこでおしまいというパターンの多い病院や調剤薬局。それに比べてドラッグストアは社員の能力に応じて昇給していくシステムや、店長や薬局長、SVなど上を目指せばどこまでも上り詰めることができます。
ドラッグストアの薬局長は年収600万円~。店長だと700万円以上が相場です。また、SVや課長レベルにまでいくと年収1000万円も目指せない金額ではありません。
病院や調剤薬局で年収1000万円まで昇給するのはまず有りえないことですよね。年収の上がり幅が圧倒的に大きいこともドラッグストアが転職先として人気の理由の1つなのです。
OTC販売店舗の業務内容は?メリット・デメリットは何?
1.業務内容
OTCのみしか取り扱わない店舗ではどのような業務を毎日行っているのでしょうか。
医薬品の販売
お店側が薬剤師に最も求めている仕事内容が医薬品の販売ですね。特に要指導医薬品、1類医薬品は薬剤師しか販売できないので、お店に薬剤師がいないとかなり困ります。
もちろん、販売するだけでなく、お客様から
「こんな症状が続いているんだけどどのお薬がおすすめ?」
「病院でこのお薬を貰っているんだけど、これは一緒に飲んで大丈夫?」
のような質問もたくさん受けます。
このようなお薬に関する相談に親身に乗っていくことも重要な業務です。
商品の発注
OTC販売の店舗では薬以外に健康食品や日用品、化粧品などさまざまな商品を扱っていますよね。これらの商品はもちろん発注をかけないと納品が来ません。
どこのカテゴリーを担当するかはお店によって変わりますが、自分の発注エリアをどこかしら貰うことになります。
日々の売れ個数を把握して欠品しないように発注をかけるのはなかなか難しいもので、最初はコツを掴むのに少し苦労するかもしれません。発注を担当している売場を見るだけで
「この人は発注がうまい。」
「この人は売上個数を把握していないな。」
なんてことがすぐに分かってしまいます。
きちんと仕事ができているのかということがすぐに分かってしまう部分なので意外と気を使う業務です。
売り場替え
商品は鮮度が大事です。
いつまでも古い商品ばかり置いていてはお客様の来店を促せません。
また、季節によってアピールすべき商品も変わるので定期的に売場も替えなければなりません。
どうやったら売るべき商品を目立たせることができるか、どうやったら売りたい商品をお客様がセルフで手にとってくれるようになるのか。ただただ商品を並べるだけでなく利益に繋がるように配置を考えながら替えていきます。
売り場の並びが違うだけで売れ個数が1日で何十個も変わることがあるので、売り場作りの知識とセンスが必要とされます。
2.メリット・デメリット
メリット
OTC販売でのメリットは何と言っても自らお薬をお客様に提案する力が付くということです。OTC医薬品を買いに来られる方は処方せんなど持っていません。薬剤師が自分でお客様の症状を聞き出し、薬を選んでご紹介しなければなりません。
自分で選んで提案できる能力というのは調剤しかしていない薬剤師には培えない能力です。また、ドラッグストアで扱っているたくさんの商品に毎日触れる機会があります。
「どの洗剤が1番落ちる?」
「ベタベタしないハンドクリームはどれ?」
など医薬品に一切関係しないことも多く質問されます。
毎日このように多くの質問を受けるので必然的にたくさんの商品知識を習得できます。店舗での成績が良ければ商品開発部や人事部などにも行くことができるので、薬剤師という資格にとらわれない働き方を選択できるのも大きなメリットです。
デメリット
デメリットはとにかく医療用医薬品に触れる機会がほとんどないということです。お客様が病院のお薬を持参されて「これに近いものはある?」などのような質問をしてくることもあるので、まったく触れられないわけではありません。
しかしやはり調剤をしている薬剤師と比べると圧倒的に触れる機会は少ないのです。
薬剤師らしい働き方を希望している人には向いていないでしょう。
調剤OTC併設店の業務内容は?メリット・デメリットは何?
1.業務内容
では調剤OTC併設店ではどのような業務を行っているのでしょうか。
調剤や服薬指導
調剤併設なのでもちろん基本業務である調剤や服薬指導は欠かせません。受け付けた処方せんに基づき調剤を行います。調剤OTC併設店では門前の病院が存在しないことが多いのでさまざまな病院からの処方せんを扱うことになります。
調剤に関する業務内容自体は他の病院や調剤薬局と変わりませんが、扱う処方せんの種類がかなり多いのが特徴です。
要指導医薬品や1類医薬品の販売
OTC医薬品を売っている売り場もしくは、調剤室のカウンターのところに必ずと言っていいほど要指導医薬品や1類医薬品を置いています。
ドラッグストアに来られるお客様は意外とこの要指導医薬品や1類医薬品だけを求めて来店される方も多いので、一般的な調剤薬局と比べると触れる機会がとても多いです。
レジ業務
店舗によっては調剤OTC併設店であっても薬剤師は調剤室にこもりっぱなしで売り場に顔を出さないところもあります。
一方でこの時間は調剤、この時間は売り場などのように時間ごとに区切って調剤と売り場での対応をこなしていく店舗もあります。売り場に出た場合は他のスタッフと同じようにレジ業務をこなさなければなりません。
もちろんお薬の相談や販売も同時に行います。
2.メリット・デメリット
メリット
調剤経験も積めてさらに、要指導医薬品や1類医薬品を始めとした一般用医薬品にも多く触れることができます。薬剤師はときおり「調剤しかできない薬剤師」「OTCしか分からない薬剤師」がいるため2人揃ってやっと1人前のように言われることがあります。
しかし調剤OTC併設店であれば両方に携わることができるのです。どちらの知識も習得できる職場は他にはなかなかありません。
もちろん、医薬品以外の日用品や化粧品なども多く触れることができます。
デメリット
最大のデメリットは門前の病院が存在しないことが多い、という点ではないでしょうか。調剤OTC併設店は街中や都心にあることが多く、決まった病院からしか処方せんが来ないということがかなり少ないのです。
そうすると自分が苦手としている科目の処方せんも調剤しなければなりません。また1つの科目に絞って知識を高めるというよりは広く浅くといった形になるので専門性を高めたい人には向いていないでしょう。
転職人気は調剤OTC併設店に集中
さて、ここまでドラッグストアでの業務内容やメリット・デメリットをお伝えしてきましたが、なぜ近頃では調剤OTC併設店の人気が高まっているのでしょうか。
理由その1. 同じ調剤なのに病院や調剤薬局よりも年収が高い
多くの薬剤師はOTC販売ではなく調剤をやりたいと思っています。その方が知識も習得でき薬剤師らしい働き方ができるからです。どうせ調剤をやるなら年収の高い調剤OTC併設店で働いても良いのでは?と考える薬剤師が増えているのです。
ドラッグストア独自の業務内容も確かにありますが調剤という仕事自体は他の職種と変わらない仕事内容です。同じ業務をするなら年収の高い調剤OTC併設店を選ぼうという薬剤師が増えてきているのですね。
理由その2. OTC医薬品にも触れられる
調剤をやりたいと思っている薬剤師が多くいる一方で少しはOTC医薬品についても勉強したいなと思っている薬剤師が少なからずいることも事実です。このような薬剤師のニーズに応えることができるのがこの調剤OTC併設店なのです。
がっつりOTC医薬品だけしか販売できないのは嫌だけど、少しだけ理解を深めたい。OTC医薬品も調剤も分かる薬剤師になりたいという人にとてもぴったりなのです。
理由その3. 他の科目も調剤したいと思ったら他の店舗に異動できる
多くの種類の処方せんを扱うことになると先ほど書きましたがもちろんすべての調剤OTC併設店が門前の病院を持たないわけではありません。店舗によっては耳鼻科メインだったり内科メインだったりとさまざまです。
調剤薬局だとチェーン展開しているところでない限り、何年も毎日同じ科目の処方せんしか扱えません。しかし調剤OTC併設店だと希望を出せば他の科目を扱っている店舗に異動することも可能なのです。
転職するためのポイント 調剤OTC併設店に転職するポイント
調剤OTC併設店へ転職を考えている人は多くいますが、どうすればうまく転職できるのでしょうか。
ドラッグストアはOTC販売の店舗と調剤OTC併設の店舗の2種類がありますよね。企業のホームページから自分で応募して転職すると実は調剤OTC併設店を希望していてもOTC販売しかない店舗に配属になってしまうことも多々あります。
調剤をしたくて転職したのにOTCしか扱えないのはとてもつらいですよね。そのためホームページから自分で申し込んで転職するのはおすすめできません。一応、OTCが良いのか併設が良いのかの希望は聞かれるのですが100%希望通りにいくわけではないんですよね。
私の周りにも調剤がしたかったのにOTCしかない店舗に配属されてしまった薬剤師が何人もいました。
ではどうすれば良いのか。
答えは簡単です。転職サイトを使えば良いのです。転職サイトに登録すると担当のコンサルタントが付きますのでその方に「調剤OTC併設店で働きたい。」と一言だけ伝えればOKです。
あとはコンサルタントが責任を持って調剤OTC併設店の求人を紹介してくれますのでそれに応募すれば良いのです。転職サイトは転職希望者の条件にどれだけマッチした求人を案内できるかが売りです。
OTC販売だけの店舗に配属されないためにも転職サイトを使って希望通りの店舗に転職できるようにするのがおすすめですよ。
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