病院へ薬剤部長として転職する方法を考察

■作成日 2018/3/27 ■更新日 2018/5/9

 

病院薬剤師の頂点とも言える薬剤部長。病院への転職を考えているけど、できれば薬剤部長として転職したいと考えている人もいるでしょう。実は最近、薬剤部長を目指して転職する薬剤師が増えているんですね。

 

しかし薬剤部長とはいったいどのような仕事をしているのか気になりませんか?具体的な仕事内容を詳しく知っている人は意外と少ないのではないでしょうか。

 

知っているようで知らない薬剤部長として転職する方法や詳しい仕事内容などをここではご説明していきます。


薬剤部長を目指す転職者が増えている

薬剤部長と聞くと何となく堅苦しい感じがしますが言い換えれば薬局長や管理薬剤師と同じようなものです。調剤薬局でのトップを薬局長や管理薬剤師、病院でのトップを薬剤部長と呼ぶことが多いというだけの話ですね。

 

今この薬剤部長を目指して転職する薬剤師が増えてきているのです。ではなぜこのような薬剤師が増えてきているのでしょうか。

 

理由その1. キャリアアップのため

 

転職を考えている人の頭の片すみにはだいたい「キャリアアップ」という言葉があります。転職と同時に年収を上げたい、上の立場に行きたいと誰しもが考えるんですね。確かにどうせ転職するなら薬剤部長になってしまった方が一気にキャリアアップが可能です。むしろ転職のときこそ薬剤部長になるチャンスなのです。

 

同じ職場で長く働いていれば薬剤部長になれると思っている方、それは正解であり間違いでもあります。薬剤部長のポストが空けば確かに実力や勤続年数次第では薬剤部長になれます。しかしそううまくポストは空かないものです。何年も何年も勤めているのに平の薬剤師のまま…という方も少なくありません。そうなるとやはり転職の道を選んだほうが早く薬剤部長になれるのです。

 

理由その2. 年収アップのため

 

病院薬剤師の年収はあらゆる薬剤師の職種の中でもダントツで低い方です。薬剤師全体の平均年収は約530万円ですが一方で病院薬剤師の平均年収は450万円ほどしかありません。そのため年収アップを狙って転職をするのです。

 

病院の業務が未経験の状態から転職するとなると話は別ですが、今までの経験次第では薬剤部長への転職も無理な話ではありません。年収を上げたいけど調剤薬局やドラッグストアではなく病院で働きたいという人は薬剤部長の座を狙って転職するケースもあります。

 

同じ病院で働き続けるよりも薬剤部長候補を募集している病院に転職してしまった方が確実に薬剤部長になれるためです。

病院における薬剤部長の仕事内容

仕事内容の説明、他コメディカルとの人間関係重視等

 

薬剤部長になることで一気に年収が跳ね上がりますが、それだけ責任の重い仕事をしなくてはいけないのかな?と不安に思う方もいるかと思います。そもそも薬剤部長の仕事ってどのようなものなのでしょうか。

 

2-1.仕事内容その1. 医薬品の在庫・品質管理

 

医薬品がどれだけ出て、どれだけ残っているのか在庫の管理を行います。もしこの出た数と残っている数が合わなければどこかで調剤ミスをしている可能性もあるので再度見直しをしなければいけません。

 

在庫の管理は日ごろの調剤の精度を上げるためにも欠かせません。普段の調剤の際に床に落としてしまったものや、半錠にするときに失敗してしまったものなどは後から在庫を数える際に数が合わなくなるのを防ぐために記録しておく必要があります。

 

また、麻薬・向精神薬・毒薬・劇薬など一般の医薬品とは別に保管をし、記録を付けていかなければいけないものなどの管理も行います大きな病院だとハイリスク薬や血液製剤なども管理しなければいけません。いつ、誰に、いくつ薬を出したのかを調剤する都度記録していいます。
また温度管理や使用期限の管理も行います。もちろん薬剤部長が一人ですべてを管理することは困難なので薬剤師みんなで管理をすることにはなるのですが、日ごろきちんと管理ができているのかのチェックは薬剤部長が責任を持って行います。

 

2-2.仕事内容その2. 周囲の人とのコミュニケーション

 

薬剤部長は一緒に勤めている薬剤師だけでなく医師や看護師、医薬品メーカー、卸の方々などたくさんの人たちとのコミュニケーションを取らないといけません。

 

薬剤部長という立場上、薬剤部をうまく取りまとめて業務がスムーズに行くように管理することはもちろん、医師や看護師と治療方針を決めたり、医薬品メーカーに副作用や治療効果についての質問をしたり、卸に医薬品の値段の交渉をすることもあります。

 

さまざまな職種の人たちと円滑にコミュニケーションを取っていく必要があるのです。

 

2-3.仕事内容その3. 患者さんへの適切な情報提供

 

薬剤部長に限った話ではありませんが、患者さんへしっかりと薬の使い方や求められている情報を提供できているかどうかも管理していきます。

 

服用すると便が黒くなったり尿が黄色くなったりする体の変化、飲むタイミングが隔日で間違えやすいものなどは服薬指導の際にきちんと患者さんに情報をあらかじめ伝えておかなければなりません。また、患者さんから何か相談された場合にはその相談にも応じます。

 

2-4.仕事内容その4. 情報の収集や提供

 

医薬品の情報は目まぐるしく新しいものが舞い込んできます。緊急安全性情報等、医薬品の有効性・安全性情報などの情報が更新された場合は情報を収集し、他の薬剤師にも共有しなければなりません。また病院内で起きた副作用被害の報告も薬剤部長が行います。報告用の書式に詳細を記入して厚生労働省へ情報提供をします。

 

少し面倒に感じることもありますが常に正しい情報を得ていなければ患者さんに被害をもたらすおそれもあるので手は抜けません。

薬剤部長の給料、年収や待遇はどれくらい?

薬剤部長になると年収は上がりますがいったいどれくらいまで上がるのでしょうか。

 

400床以上の病院→平均年収 約800万円~約900万円
200~399床の病院→平均年収 約700万円~800万円
100~199床の病院→平均年収 約500万円~650万円

 

薬剤部長の年収は病院の規模によって大きく変化します。薬剤部長になると年収が一気に跳ね上がりますね。調剤薬局だと薬局長や管理薬剤師になってもここまで上がることはほとんどありません。多くても年収650万円程度ではないでしょうか。

 

病床数が多いほど管理する医薬品の量が増え、管理する手間や情報の収集量が増えます。責任も大きくなるため年収も高いのですね。ただし必ず病床数が多ければ年収が上がるというわけではありません。薬剤部長でもっとも多い年収層は500万円から600万円台です。

 

800万円や900万円という条件を提示しているところも実際にはあるのですが、数はそこまで多くありません。一方でまれにですが年収1000万円を超えるところもあります。

 

一般的な病院薬剤師の年収が400万円台であることを考えるとかなり良い待遇と言えるのではないでしょうか。薬剤部長レベルの人材であれば調剤経験も豊富で医薬品に関する知識も十分にあると見なされます。

 

他の薬剤師よりも仕事ができると認識されているんですね。そのため、薬剤部長の待遇はとても高くなっているのです。

薬剤部長として病院内で活躍できる人のタイプ

では、薬剤部長には誰でもなれるのか?と聞かれると一概にそうは言えないのが現状です。薬剤部長は大きな責任を負うため、向いている人しかなることはできません。

 

薬剤部長に向いている人

 

状況をしっかり把握できる人

 

すべての仕事に共通して言えることですが、今何をすべきで何が求められているのかを素早く判断する能力が必要です。病院で働く以上は緊急事態などもありえるわけですが、あたふたして対応ができないような人には薬剤部長は任せられません。

 

普段の業務中でも仕事がスムーズに進められるように指示を出すのも仕事の1つです。状況判断ができないと的確な指示はできません。

 

人の扱いが上手な人

 

薬剤部長は周りにいるさまざまな人と円滑なコミュニケーションを取っていく必要があります。時には目上の人に対して、時には後輩に対して意見を言うこともあるでしょう。誰と接するときも傲慢にならずに誠意を持って対応できる人、相手の気持ちを汲みながら会話ができる人が薬剤部長に向いています。

 

やるべきことはしっかりやれる人

 

薬剤部長はわりと細かいところまで管理していく必要があります。別にバレないからとずさんな医薬品の管理をする薬剤師もまれにいますが、それではいけません。どんなに細かいことでも面倒くさいことでも、やるべき業務をしっかり確実にこなせる人が重宝されます。

 

薬剤部長に向いていない人

 

人によって態度を変える人

 

取引先の人と後輩とでは接し方が変わるのは仕方ありませんが、あからさまに嫌そうな態度や相手に威圧感を与える態度を取る人は薬剤部長には向いていません。薬剤部のトップに立つべき人が周りの人に不快感や信頼を損なうような態度をしているようでは周囲を取りまとめることはできません。

 

学ぶ意欲のない人

 

薬剤師はそもそも薬剤師として働いている限りは常に新しい情報を吸収して常に新鮮な知識をインプットしておく必要のある職業です。それにも関わらず何かを学ぶことに対して意欲のない人は「やる気のない人」と見なされてしまいます。

 

薬剤部のトップのやる気が見えないようでは下のスタッフはついてきません。信頼感もなくなってしまいます。

 

全員に好かれようとする人

 

人によって態度を変えるな、と話したばかりで何か矛盾しているような気もしますが、周りの人全員に好かれようと思って行動してしまう人は薬剤部長にはあまり向いていないでしょう。人としては良いのかもしれません。しかし、トップに立つ人は何かしら周りから反感を食らうこともあります。

 

これは薬剤部長に限らずトップにいる人全員に共通して言えることです。みんなに好かれようとすると自分を見失い精神的に疲れ果ててしまいます。みんながみんな自分のことを好きになってくれるわけじゃない、と開き直らないとかなりのストレスを抱えてしまいます。

転職するためのポイントは?求人の探し方を身に着けよう

 

薬剤部長になりたいと思っても誰もがすぐになれるわけではありません。しかし、薬剤部長になれる時期を少し早める方法ならあります。それは転職です。同じ病院で10年以上働いていても薬剤部長になれないこともあります。
それなら、薬剤部長を必要としている病院に転職してしまえば話は早いのです

 

.薬剤部長の求人の探し方

 

まず薬剤部長を募集している病院を探すところから転職活動は始まります。求人を探す方法は主に2種類です。

 

  • 病院のホームページで求人をチェックする
  • 転職サイトに登録する

 

自分が働きたいと思っている病院のホームページは必ずチェックしておきましょう。転職サイトには載っていない情報もときにはゲットできます。病院の求人はただでさえ人気ですぐに人員が埋まってしまうので小まめにチェックしておかないといけません。

 

転職サイトに登録することでも求人情報を得ることが可能です。きちんと登録しないと見られない非公開求人にも病院の求人が多く含まれているので最後まで登録を完了させることをおすすめします。

 

転職を成功させるポイント

 

転職を成功させるにはまず自分がどのような条件で転職したいのか、希望をはっきりさせることが大事です。希望を明確化することで求人をきちんと絞って探せるようになります。

 

また転職サイトのコンサルタントにその希望を伝えることでコンサルタントがしっかりと条件の合う求人を紹介してくれます。あいまいな希望を伝えれば紹介される求人もイマイチ自分に合わないものばかりになってしまいます。思いははっきり伝えることが重要です。

 

  • 年収〇〇万円以上
  • 自宅から〇〇分以内
  • 薬剤部長として働けるところ、もしくはその見込みがあるところ
  • 残業が少ないところ

 

一見するとわがままに思えてしまうような条件であっても遠慮なく伝えてもらって問題ありません。転職は人生を大きく変える可能性のある一大イベントです。人生をかけているのならこちらの条件を遠慮して伝える必要はまったくありません。

 

むしろ、ちょっと難しいかな?という条件くらいのものの方がコンサルタントがものすごい熱意で求人を探してくれる場合もあります。転職するときにどこまで希望を伝えて良いのか迷ってしまうこともあるかとは思いますが、思っていることはすべて伝えてしまいましょう。

 

この記事を書いた人


野村龍一(医師紹介会社研究所 所長)
某医療人材紹介会社にて、10年以上コンサルタントとして従事。これまで700名を超える医師の転職をエスコートしてきた。担当フィールドは医療現場から企業、医薬品開発、在宅ドクターなど多岐にわたる。現在は医療経営専門の大学院に通いながら、医師紹介支援会社に関する評論、経営コンサルタントとして活動中。40代・東京出身・目下の悩みは息子の進路。

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薬剤部長として病院に転職する方法

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