40代薬剤師の転職…成功法則から年収まで
■作成日 2018/3/7 ■更新日 2018/5/9
薬剤師の人手不足が続き、ここ数年売り手市場が続いていることから、転職は比較的しやすい状況にあります。
しかし、どこでも好きなところに転職できるのは20代のうちだけです。年齢を重ねるごとに転職先は絞られ40代にもなると未経験で企業や病院へ入るのはかなり困難となります。
この年での転職は、転職する本人にも上手くいくかなどの不安が伴いますが、企業側にも「本当にこの人を雇って大丈夫なのか?」という思いを持たせてしまいます。しかし年齢のせいで転職を諦めるなんてしたくありませんよね。
ここでは40代の転職事情について詳しく見ていきます。
40代薬剤師の転職理由・事情・職場の不満
若いうちは他にやりたいことがあるとか、もっと知識を高めたいという理由で転職をする方が多いですが、40代の薬剤師は一体どのようなことが理由で転職しようと思うのでしょうか。
40代薬剤師には若手の薬剤師とはまた違った理由があるようです。
1.当直がしんどくなってくる
当直と聞くと医師や看護師だけのようなイメージもありますが、大きな病院だと薬剤師にも当直があります。医療の最前線で働けることでかなり人気の病院薬剤師ですが年齢を重ねるごとに体への負担はどんどん大きくなっていってしまうのです。
入社してすぐの新人であれば先輩薬剤と一緒に当直することが多いので精神面でも安心ですが、ある程度経験を積んだ40代の薬剤師ともなれば、1人で当直をこなさなければなりません。
仮眠は取れるものの、不規則な勤務は体への負担がとても大きいです。また、何かイレギュラーなことがあってもすべて一人で対応しなければならない責任の大きさも当直の大変さの一つです。
2.力仕事をする体力が無くなってくる
ドラッグストアに勤めている薬剤師は薬の販売だけでなく、品出しなどの力作業も行わなければなりません。店舗によっては敷地がかなり広く、お店の中を一周するだけでも一苦労です。
また、都内の店舗ともなれば2階建てや3階建ての店舗も珍しくありません。毎日毎日、重い商品を持って階段を上り下りしていれば腰や膝への負担もかなりのものです。
シフトによっては一日で14時間近く働く場合もあります。体力の衰えと共に仕事をこなすのがキツくなってくると転職をしようと考えるようです。
3.社内の人と馬が合わない
薬剤師の世界は女性の割合がとても多いのは皆さんご存知でしょう。“お局様”という単語を耳にする機会がチラホラとあるかと思いますが、職場によってはどうしても馬が合わないような強気な女性がいるものです。
女性に限らず、どうしても性格の合わない人というのもいます。
毎日狭い空間で苦手な人と仕事をするのはかなり精神的に辛いものです。しんどい思いをしてまで同じ職場で働きたくない、もっと精神的に楽に働きたいという思いで転職を意識し出す方も多くいます。
4.家庭の事情でフルタイムの勤務が難しくなった
自身が40代ともなると、両親はだいたい70歳近くの方が多いでしょう。年を取るのは自分だけではありません。
両親も同じだけ年齢を重ねていきます。
何か病気をしたりケガをしたりすれば当然、看護をする必要が出てきます。しかし、フルタイムで働いていては中々思うように時間は取れません。
そこで時間を捻出するために、働く時間をしようと転職を考えるのです。正社員からパートや派遣薬剤師などに働き方を変えれば、家庭に割ける時間も増やすことができます。
まずは転職せずに今の職場で我慢する方法を
転職したいと思う理由は人それぞれありますが、できれば転職は避けたいものです。家庭を持っている方も多いでしょうし、転職がうまくいくかどうかのリスクも存在するからです。
しかもこの年の転職は20代のころのように思うようにはいきません。
では転職せずに今の職場でうまくやっていく方法はあるのでしょうか。
1.当直を免除してもらう
当直がキツイのは誰でも同じです。ですのでよっぽどの理由がないと当直免除はしてもらえない、ということをまずは頭に入れておいてください。
「当直はしんどいのでやりたくないです。」
なんて言ってもただの我がままとしか捉えられません。
例えば「○○という病気にかかってしまったので。」とか「親の面倒を見ないといけないので。」など何かしら正当な理由がある場合は当直を免除してもらえる可能性もあります。
しかし、あまり多くの期待はしないほうが良いでしょう。
2.体への負担が少ない店舗に異動させてもらう
腰が悪くて重い物を持てない、力仕事はそろそろしんどい。ドラッグストアで働く薬剤師がぼやく悩みでも特に多いものです。
そんな時は他の店舗に異動できないか店長やSVに相談してみましょう。店舗によって力仕事の度合いがかなり異なります。品出しはあまりせずに、ほとんどレジ業務だけで済む場所もあります。体調の面で不安があることを相談すれば親身になって聞いてくれるはずです。
ドラッグストアでは薬剤師が常に不足しているので辞められるくらいなら、他の店舗に異動させてでも仕事を続けてもらえるように上が動くのです。
3.変形労働を使わせてもらう
基本的にどこの職場も一日の労働時間は8時間です。しかし、この日は親の面倒を自分が見なきゃいけないから出勤時間に間に合わない、できたら早く帰りたいなど親の介護をしている人は時々思うことがあります。
そんな時に使えるのが変形労働です。
ある日は10時間働いてある日は6時間だけ、のように勤務時間をコントロールできるのです。この制度をうまく使えば何か用事がある日でも時間の調節をしやすくなります。
どうしても転職する場合の注意点
でも、どうしても転職したい!今の職場ではもう限界かも・・・。そんな時はやはり無理に仕事を続けずに転職をするのが良い選択といえるでしょう。
しかし、安易に転職を決めてはいけません。いくつかの注意が必要になります。
1.急な退職宣言は避ける
新人の薬剤師とは違い40代の薬剤師の場合、それなりの仕事を任されている場合が多くあります。
薬局長をやっている人、エリアマネージャーをやっている人、その他、店長やSVになっている人もいるでしょう。そんな立場の人が職場からポンッといなくなってしまえば、周りが混乱するのは目に見えています。
「この仕事はどうやればいいの?」
「次にこのポストにつける人材がまだいない。」
こんな事態を防ぐためにも転職を考えている場合はなるべく早めにその旨を伝えておきましょう。
余裕を持って伝えることで会社もあらかじめ準備をしておくことができます。
逆に急に転職宣言をしてしまうと、
「常識がない。」
「身内に何かあったのか?」
など、いらぬことを思われてしまう可能性もあります。
2.転職理由をハッキリさせておく
「いろいろあって転職を考えています。」なんてあやふやなことを言ってしまうと「40代にもなって何を考えているんだ。」と思われてしまうこともあります。
「体を悪くしたため。」とか「親の介護が必要なため。」など周りの人に猜疑心を持たれない理由をしっかりと持っておく必要があります。
転職理由をハッキリさせておくことをオススメする理由にはこれ以外にもう一つあります。
それは実際の転職活動に悪影響を与えないためです。
薬剤師の世界というのは意外に狭いもので、自分の情報がいつの間にか他の会社の職場の人にも伝わっているなんて可能性もゼロではないのです。
変な噂が流れてしまうと転職が不利になる可能性もあります。そのため誰が聞いても納得し、安心できるような転職理由をいつでも説明できるようにしておきましょう。
40代薬剤師の職種別年収比較
転職したいとは思うけど、この年で給料が下がるのは家族にも迷惑をかけるし出来れば避けたいところです。
では40代の薬剤師の平均年収は一体どれくらいなのでしょうか。各職場ごとに見ていきましょう。
1.調剤薬局
いつの時代も調剤薬局は薬剤師の仕事先として人気です。初任給はさほど高くはないものの、40代であれば様々な手当もつくため年収は意外と高い傾向にあります。
500万円から700万円前後がこの年の薬剤師の年収の相場となります。
薬局長くらいの人であれば500万円前後、エリアマネージャーなどに就いていると700万円前後、多い所だと800万円近く貰っている場合もあります。
2.病院
就職先としても狭き門として知られる病院薬剤師の年収ですが、実は貰える額にかなりの幅があります。何の役職にも就かずに普通の正社員として働いている場合だと450万円ほどとかなり低い年収となります。
一方で薬局長や薬剤部長などの役職に就いたり、認定薬剤師などの資格を持っていたりする薬剤師であると年収は700万円から800万円ほどにまで跳ね上がります。
役職や資格次第では高収入が望めるものの、平社員の場合は薄給と呼ばれることのある病院薬剤師の年収にふさわしい額しか貰えません。やはり病院は給料よりも知識が欲しいという薬剤師に向いているようです。
3.ドラッグストア
給料が高い職場として知られるドラッグストアですが40代の薬剤師だと600万円から1000万円前後の収入が期待できます。新卒で入っても年収500万円ほどあり、そこに店長手当などがつくと年収600万円ほどになります。
40代であれば店長をやっている人は大勢いるので、これくらいの給料を貰っている人がほとんどです。また、更にその上のSVや課長、部長クラスになると年収1000万円を優に超えることも少なくありません。
4.製薬会社
就職するのがかなり難しい製薬会社の年収はご想像通りかなり高いものとなっています。誰もが知っているような大手の製薬会社ですと平均年収が1100万円ほどあります。
これは他の調剤薬局や病院なんかと比べるとかなり高い年収です。中小企業ですと少し低くなりますが、それでも年収700万円ほどは貰っています。ただし、これらの年収は新卒で入って経験を積んできた人の年収なので最初からこの年収を貰っているわけではありません。
40代薬剤師が転職に成功するポイント、失敗するポイント
年齢に負けずに転職にチャレンジしたいと思う方は大勢います。一度きりの人生なので後悔しない選択をぜひしてもらいたいとは思います。
しかし計画性なしに転職に踏み切ってしまうと転職が失敗に終わってしまうこともあります。そこで転職をする上でのポイントを説明していきますので、ぜひ参考にしてください。
1.成功に繋がるポイント
定年まで働けるか?
若い頃とはちがって40代での転職は定年のことまで頭に入れておかなければなりません。20代の頃のようにポンポンと転職することは難しいので「ここの会社で最後まで働けるか?」をかならず考えましょう。
50代になっても、60代になってもここの職場なら続けられるという転職先に巡り会えるまで妥協はしてはいけません。
これが最後の転職だくらいに考えて、勤務時間や職場の環境、仕事内容など漏らさずチェックしましょう。
異動ができる職場か
人間関係が原因で転職を考えている人は特にチェックしてほしいのが、異動ができるかどうかというものです。
大手の調剤薬局やドラッグストアであれば間違いなく異動ができるでしょうが、病院では同じ職場でずっと働くことになるので異動はまずありません。せっかく転職したのにまた周りの人とうまくいかない、でもまた転職するなんてことはできません。
何かあった時でも働きやすい環境を選べるように異動ができる職場をオススメします。
2.失敗に繋がるポイント
高望みしすぎる
今までいろんな経験を積んできたから、薬局長を長年やっていたからなど大きな態度を取っていると転職に失敗することがあります。自分を過大評価しすぎてしまう人は特に注意です。
確かにたくさんの経験を積み新人薬剤師よりも知識があるかもしれません。
しかし40代での転職は思ったより簡単ではありません。自分の能力をきちんと評価してほしいという気持ちは分かりますが、「こんな給料じゃ低すぎる。」「もっと働きやすい環境がいい。」などと言って転職先を選り好みするのは難しいでしょう。
謙虚な姿勢でいることが重要です。
未経験だと採用してもらえない可能性が高い
新卒と違い40代の未経験となると採用はかなり厳しいものです。
この傾向は特に病院で顕著であり、転職先として病院を選ぶのはかなり困難となります。柔軟性がありこれからの伸びしろのある若手の薬剤師を病院は欲しがる傾向にあるからです。
自分の年齢や経験を考慮せずに転職先を探してしまうとうまく内定が貰えずに苦戦するハメになりますので、十分に注意して転職活動に臨むようにしましょう。
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