ドラッグストアへのOTC薬剤師転職を考察する

■作成日 2018/3/4 ■更新日 2018/5/9

 

薬剤師が働く場所として圧倒的に人気なのは調剤薬局や病院などですが、ここ最近はドラッグストアも注目されるようになってきています。
比較的、転職が容易であること、しかも年収が高いことなどが魅力となっており、転職先にドラッグストアを視野に入れる人も増えてきています。

 

しかし、調剤薬局や病院で働いている薬剤師の数と比べればまだまだ人数が少ないため、知り合いなどから現場のリアルな声を聞ける機会はあまり多くはありません。

 

そこで、これからドラッグストアで働くメリットやデメリット、労働環境やお給料事情などについて、詳しく紹介していきたいと思います。


ドラッグストア勤務薬剤師の年収は?

ドラッグストアで働く魅力は何と言ってもその給料の高さです。
調剤薬局の年収は400万~550万円前後での募集が多いですが、ドラッグストアは新卒600万円から、なんて物凄く高額な求人を出しているところもあります。

 

600万円というのはかなり極端な例ですが、一般的なドラッグストアでも500万円前後の会社がほとんどとなっています。
調剤薬局と比べると年間100万円以上の差がついてしまうこともあるのです。

 

店長レベルになると年収700万円、さらに会社の本部で働く部長や課長のレベルまでなると、年収1000万円ほどにまでなると言われています。

 

調剤薬局で管理薬剤師になったとしても年収600万円ほどで頭打ちとなるので、いかにドラッグストアの給料が高いかが分かります。
しかし、なぜこんなにもドラッグストアの年収は高いのでしょうか。

 

高年収の理由その1:人手がたりていない

 

ドラッグストアでは慢性的な人手不足が続いています。
おそらく皆さんも身に覚えがあるとは思いますが、就職先を探す上でまず候補にあがるのは調剤薬局や病院です。
ドラッグストアに就職する人は学年に2~3人くらいとかなり少ないのです。

 

学生の頃に就職活動をする時も実際にそうだったのではないでしょうか。
苦労して薬剤師になったんだから、しっかりと薬剤師としてのスキルアップが期待できる調剤薬局や病院で働きたいと考える人が多く、OTC医薬品メインのドラッグストアはあまり人気がないのです。

 

また、薬剤師国家試験の難易度が急激に上がったことから、数年前と比べると合格者も減り、薬剤師の補充が間に合っていないという影響もあります。
そのため、ドラッグストアは薬剤師の人員を確保するために、高めに年収を設定し薬剤師を集めようとしているのです。

 

高年収の理由その2:勤務時間の長さや勤務時間帯の影響

 

近頃のドラッグストアはどこも夜遅くまで開店しています。
大手のドラッグストアだと24時間営業という店舗まで存在します。

 

お店が開いている時間が長くなれば、その分人員の確保も必要となりますが、先ほども言ったように薬剤師の数は常に不足している状況にあります。
そのため、勤務時間を伸ばさざるを得なくなるのです

 

一般的な会社員は1日8時間労働が基本となっていますが、ドラッグストアの場合は10時間~14時間働かなければならないこともあるのです。

 

また、調剤薬局や病院と違い、閉店時間が夜遅い時間帯の所が多いため、必然的にかなり遅い時間帯まで働かなければなりません。

 

高年収の理由その3:土日祝日やお盆も出勤

 

病院が開いていない日曜日や祝日は薬局も休みになるケースが多いですが、ドラッグストアはそんなのは関係ありません。
むしろ、土日祝日の方が客数も多く忙しいので出勤しなければならなくなります。

 

週末に友達とどこかに遊びに行きたいと思っても、調剤薬局などで働いている人たちとは休みがほとんど合わないため、予定が合わなくなってしまいます。
勿論、お盆休みや年末の休みもありません。

 

ドラッグストアOTC薬剤師の年収が高い理由

 

1.慢性的な人手不足
2.業態的に勤務時間が長くなる
3.土日祝日出勤が必要となる

ドラッグストア勤務OTC薬剤師の業務内容

OTC薬剤師の仕事ってレジ打ちばっかりで楽そう、なんて言っている人をたまに見かけますが、何も仕事はそれだけではありません。
むしろレジ打ちはサブのような存在で他にもやらなければならないことは、たくさんあります。

 

OTC薬剤師の業務1.薬の販売

 

薬剤師なので、薬の販売は必ずしなければなりません。
登録販売者の人たちと違い要指導医薬品や1類医薬品の販売も可能となるため、必然的にレジでの接客頻度は高くなります。

 

ただ、薬を売るだけなら誰でもできますが、病院で貰っている薬との飲み合わせや、既往歴なども考慮しながら販売しなければならないので、慎重に薬を選んでいく必要があります。

 

他にも「病院で貰っていたこのお薬と似ているものはある?」「湿疹ができちゃったんだけど、どの塗り薬を使えばいいの?」「海外旅行の時に持って行く薬で必要なものは何?」など、本当にたくさんの質問をされます。

 

詳しく話を聞くことでお客様が欲している薬をいくつか選び出し、購入の選択肢を作ってあげる必要があります

 

OTC薬剤師の業務2.発注、売り場替え

 

当たり前ですが、お店にある商品は売れたら無くなってしまうので、発注をかけて商品を補充しなければなりません。

 

かなり小さなお店でない限りは他の社員とカテゴリを分担して発注を担当することになります。
売上の高いお店ほど、その分発注する品数も増えるので負担もそれだけ大きくなります。
お店の利益を取る上で絶対に欠品させてはいけない商品もあるので、かなり責任重大な仕事です。

 

また、自分が担当しているカテゴリに新商品が加わったり、逆に商品がカットになったりすることもあるので、うまくスペースを作って商品を導入したり、カット商品を除いたあと、そこに何を展開するかなどを考えたりする必要もあります。

 

他にも売り上げが不調な商品があればその原因を探り、展開場所を変えたり販促物を用意してお客様に手に取ってもらいやすくするような工夫も必要となります。

 

OTC薬剤師の業務3.POP作り

 

意外と手間のかかる仕事がPOP作りです。

 

定期的に広告が入ったり、セールをやったりするので、それに合わせて売り場につけるPOPの準備をしなければなりません。
どこのお店にもPOPを作るソフトがパソコンに入っているので、基本的にはそこから印刷をするだけです。

 

しかし商品のフェイス数や幅に合わせてPOPのサイズをうまくリサイズして調節しなければなりません。
商品の幅に合っていないPOPでは見栄えが悪くなってしまうのと、値段がいくらなのか見にくくなってしまうためです。

 

セールの対象となる商品はだいたい300個近くあるのでその分のPOPを毎回作る必要があります。
1人で作るのか、分担して作るのかにもよりますが、4時間~5時間ほど時間が必要な作業となっています。

 

OTC薬剤師の業務4.アルバイトの面接

 

これは主に店長や副店長の仕事の範疇となりますが、アルバイトの応募があった場合は面接をしなければなりません。

 

その人の特性や、性格を客観的に判断し、評価をするスキルが求められます。

 

OTC薬剤師の業務5.店舗の営業数値の把握、改善

 

ドラッグストアは常に売上や粗利を気にしながら運営しています。
売上を伸ばすにはどうしたら良いのか、お客様を呼び込める店頭商品は何か、粗利の確保に必要なことは何かを考えながら仕事をしなければなりません。

 

これらの数値を伸ばすことが出来れば、評価もかなり上がり昇給に繋がることもあります。
したがって、ドラッグストアへ転職して更に年収を伸ばしたい方は、店舗運営能力に磨きをかけていくことをお勧めします。

 

ドラッグストアOTC薬剤師の業務内容

 

  1. 薬の販売(購入の選択肢を広げてあげる)
  2. 商品の発注、売り場替え(MD)
  3. 店内用POPづくり
  4. アルバイトの面接、採用
  5. 店舗の経営数値の把握、営業改善施策

ドラッグストア勤務のメリット

1.給料がとにかく高い

 

とにかくお金を稼ぎたいという薬剤師にドラッグストア勤務はとてもおすすめです。
学生時代の奨学金を早く返したいという理由で働いている人もいるほどです。

 

求人に出ている年収の金額に加え、残業代もプラスされますのでかなりの額を稼ぐことができます。給料は高いのに転職も比較的容易にできることから、高い年収を希望する人におすすめです。

 

2.薬以外のことについても学べる

 

ドラッグストアで扱っている商品は薬だけではありません。
健康食品やヘアケア、日用品、コスメ化粧品まで幅広い商品を取り扱っています。
中でも健康食品については良くお客様から質問されるので、知識も必然的についてきます。

 

「アントシアニンとルテインって、両方とも目に良いみたいだけど、具体的に何が違うの?」なんて質問をされても応えられるようになっていきます。

 

他にも汚れの落ちやすい洗剤や、ベタベタしにくいハンドクリーム、肌が乾燥しにくい日焼け止めなど多岐に亘る商品の知識を習得することが可能です。

 

3.お客様から感謝される

 

ドラッグストアで薬剤師が働くことの最大のメリットはお客様から直接感謝されることだと私は思っています。

 

「この前は相談にのってくれてありがとう。」

 

「お陰様で元気になりました。」

 

「良いものを教えてくれてありがとう。」

 

ありがとう、という言葉をお客様から直接頂くことのできる貴重な仕事です。

ドラッグストア勤務のデメリット

1.勤務時間が長い

 

基本的には8時間労働なのですが、どうしても人手がたりない日は朝の8:00から夜の23:00まで、という具合にかなり長時間働かなければならないことがあります。

 

このように8時間を超える勤務のことを「通し」と呼ぶのですが、店舗によってはほとんどが通しの所もあります。

 

その分の残業代はもちろん発生するのでお金を稼ぎたい人にとってはメリットにもなるかもしれませんが、かなり体力を消耗します。

 

2.薬についての知識がおろそかになる

 

扱う薬がOTC医薬品のみという特性上、どうしても薬剤師としてのスキルを高めるには不向きな職場です。

 

認定薬剤師などの資格を取りたいと思っているような現場でバリバリ薬剤師をしたい!という人にはとても物足りないものとなってしまいます。

 

3.時間外勤務が多い

 

忙しい店舗であればあるほど、勤務時間内に仕事が終わりきれなくなります。
売り場を変えたいけどレジを回さなきゃいけない、売り場を整えなければならない、とういうことが多く、どうしても出勤前や出勤後に仕事をしなければならない事になります。
この時間外勤務の給料が出るか出ないかはその店舗の方針によって異なるので場合によっては「サービス残業が多い!」なんてことにもなってしまいます。

 

近頃ではサービス残業がかなり問題視されているのできちんと給料が発生する店舗も多くありますが、そこは配属される店舗次第としか言いようがありません。

 

ドラッグストア薬剤師のメリットとデメリット一覧

 

メリット
  • 給料がダントツに高い業界
  • 健康食品など薬以外の知識も付く
  • お客様に直接感謝される機会が多い
デメリット
  • 勤務時間が非常に長い
  • 薬局薬剤師、病院薬剤師と比べ薬の最新知識が衰える
  • 時間外勤務が発生する

ホワイトなドラッグストアとブラックなドラッグストアの見分け方

メリットもデメリットもありますが、年収をあげるためにドラッグストアで働いてみたい、だけどブラックな会社では働きたくない、そう思う人は多いはずです。

 

では、どうすればホワイトなドラッグストアとブラックなドラッグストアを見抜くことができるのでしょうか。

 

まず、求人を見るときに必ず確認しなければならないことがあります。
それは「年収に残業代が含まれているのか、それとも別途支給されるのか」ということです。

 

高い年収に飛びついてみたけど、実は残業代も込みだった、ということがあります。
いくら働いても給料は変らないので毎日毎日、長時間労働を強いられるケースもあります。
また、1日8時間労働ではなく9時間労働という所もありますので注意が必要です。

 

もう一つ、必ず確認しておいてほしいのが、働いている人の平均年齢です。
これは必ずチェックしましょう。
平均年齢が低い=辞める人が多い、ということです。

 

実際に平均年齢が低いドラッグストアで働いている薬剤師はすぐに退職し、別のドラッグストアへと流れていっています。
そこで働いていた人は口を揃えて「あそこはすぐ辞めちゃうよ。」と言っています。

 

逆に平均年齢が高いところほど離職率が低いので、働きやすい環境が整っている場合が多い傾向にあります。

 

転職先を探すときに直接企業のホームページから応募する人もいると思いますが、ホームページ経由で応募する人は担当の人事の人の対応もしっかりとチェックしておきましょう。

 

私の経験にはなりますが、こまめに連絡をくれる企業は会社がしっかりとしている所なので、働きやすい環境が整っています。
逆に明日また連絡しますね、と言っていたにも関わらず連絡をくれないような所はいわゆるブラックと言われている離職率の高いドラッグストアである傾向が高くなっています。

 

ホワイトなドラッグストアとは?

 

  1. 年収に残業代が含まれていないこと
  2. 会社の平均年齢が高いこと(離職率が低い)
  3. 人事がこまめに連絡をくれる会社であること

ドラッグストアへの転職面接時にアピールすべきこと

 

ドラッグストアで働く時に一番大事なのは接客をきちんとできるかということです。

 

いくら薬の知識があっても接客態度の悪い人には誰も相談したいとも思いませんし、下手すればお客様からクレームを頂くことにもなります。

 

「あそこの薬剤師は態度が悪い」なんて情報が近所で噂されればお店の売上の低下を招くことにもなってしまいます。

 

しっかりとお客様の話を聞き、笑顔で対応できる人をどこのドラッグストアでも求めていますので自分が接客で心がけていること、気をつけていること、などをアピールすると良いでしょう。

 

また、店舗内で扱う商品は常に新鮮さを求められています。
新商品が出るとすぐに試してみたくなる人もドラッグストアに向いていると言えるでしょう。

 

また、ただただ毎日レジだけをさばいている薬剤師もいれば、店長になるために必死に店の売上を伸ばそうと頑張って働いている薬剤師もいます。

 

「いずれは店長になりたい。」

 

「本社で働いて商品開発に関わりたい。」

 

など目指している将来像をしっかりとアピールすることで、やる気を見せるのも重要なポイントです。どこのドラッグストアでも長く働いてくれる薬剤師を欲していますのでかなりのプラスポイントとなります。

 

この記事を書いた人


野村龍一(医師紹介会社研究所 所長)
某医療人材紹介会社にて、10年以上コンサルタントとして従事。これまで700名を超える医師の転職をエスコートしてきた。担当フィールドは医療現場から企業、医薬品開発、在宅ドクターなど多岐にわたる。現在は医療経営専門の大学院に通いながら、医師紹介支援会社に関する評論、経営コンサルタントとして活動中。40代・東京出身・目下の悩みは息子の進路。

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