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在宅医療の現場で求められているもの…

在宅医師への転職時に求められる重要なこと

■ 記事作成日 2015/10/27 ■ 最終更新日 2017/12/6

 

高齢化社会の本格的到来や深刻な医師不足などを背景に、国の医療政策が大きく転換した今、医療業界は在宅医療を含めた地域包括医療の時代に本格的にシフトしようとしています。

 

そのような中、医師が自らのキャリアを考える時も「在宅医療」への転身の可能性を、少なからず探る医師が増えてきています。その興味に程度差はあっても、「在宅医療の求人はどんな感じですか?」…という質問が、転職のための面談の際に、必ずと言っていい程飛んでくるのです。

 

「近い将来無視できない分野だと思う。」
「ニーズは非常に高いそうだ。」
「今のうち進出しておいた方がいいのだろうか。」
「高給求人が多いらしい。」
「クリニック開業で大成功した医師がいるらしい。」
「行政の保護を多分に受け易いらしい。」

 

市場が変遷する以上、多くの医師に関係してくるだろう在宅医療ですが、実際にその実態を知る医師はまだまだ少なく、噂が先行しているという感は否めません。

 

そして、医師不足で悩む地方の医療機関が在宅医療の高給求人を出し、よくよく実態を知らぬままに安易な転職をした医師が、在宅医療の現場に馴染めずミスマッチに陥るケースが多発しているのです。外来や病棟管理などの在院医療から、在宅医療分野に転職するという事は、一筋縄でいかないものかもしれません。

 

「在宅医療の現場で医師に求められているものは何か?」…を、考えてみる事にしましょう。


在宅医療に求められる医師像とは?

在宅医師への転職時に求められる重要なこと

 

現代日本において、最初から「在宅医療」に携わっていた医師など殆どいません。昭和初期までは、患者の家に往診する診療スタイルが“当たり前”ではありましたが、戦後の医療は効率性を求めて転換し、いつしか患者の方が病院に行く事が、“当たり前”となってきました。

 

つまり、現代の多くの医師は、自らの常識を改革しなければ、在宅医療にはマッチングしない思考回路になっていると言えるでしょう。在宅医療に求められる最初かつ最大のポイントは、ドクター自身の価値観の改革に尽きるのです。

 

「病は診れども、人を見ず」…では、通用しない。

 

大学病院や市中の総合病院などに勤務していたドクターは、高度かつ最先端の診療スキルや手術スキルを以って、病を治療する事が使命とされています。もちろん、それは尊い事です。日々自己研鑽に励んで先進医療の知識と技術を磨き、診療や手術に追われ、病と向き合い、できるだけ多くの患者を救おうと、効率的な医療を提供してきたことでしょう。

 

多くの医師が、医療の中心は医者である事に疑いを持たずに診療に当るのは、自らが主体となって走り続けていなければ、病という日々進化し続ける怪物に、立ち向かう事が出来ないからかもしれません。

 

しかし、在宅医療の現場では、あくまで医療の中心は患者さんに他なりません。本来、どんな医療でも患者さんが中心であって然るべきですが、多くの大病院の医師は、その思考をややおざなりにせざるを得ない環境下で職務に当たらざるを得ないのかもしれません。従って、ドクターが在宅医療に転身する際は、先ずは発想の転換・原点回帰が重要なのです。

 

医療とは、患者さんの人生をサポートする存在に過ぎません。病気を治す事は大切ですし、医師の使命ではありますが、病気を治す処置を施さない事が、患者さんの命を輝かせ、健康寿命を延ばす事もあるでしょう。医学的観点ではNGな事も、看護学的観点ではOKなものも多々あります。例えば病院でどんな先進治療を施しても効果を見せなかった病が、患者さんが自宅に戻った事で治癒に向かうという不思議も珍しくないのです。

 

在宅医療では、これまでの常識を覆す決断を、医師が中心となって下さなければいけません。それは時に、医学的に正しくない選択が必要な場合もあるでしょう。あくまで判断基準は、「患者さんにとって何が幸せなのか?」…です。

 

在宅医療は医療技術だけが物を云う世界ではありません。「病を診れども、人を見ず」では通用しない世界なのです。

 

深い人的コミュニケーションが求められる在宅医療

 

現代医療において効率性を求めると、いかに医者が患者と共にいる時間を少なくするか?…という点にいきついてしいまします。医師不足の中、多くの患者さんに医療を提供し、なおかつ経営的に安定しなければならない訳ですから、仕方がない事かもしれません。しかし在宅医療では、時にこの効率性を無視したつきあいが必要になってきます。

 

考えてもみて下さい。在宅医療とは、患者さんのご自宅の寝室に上がり込み、医療サービスを提供する事です。また、日常的な介護サービスや、終末期医療、そして“看取り”とも密接に関わる医療ですから、患者さんの生と死、人生そのものに、家族の様な距離で対峙する事になるものです。

 

それゆえ在宅医療の医師には、深い人的コミュニケーションが求められます。つい先日まで他人であった患者さんを、医師として、家族的な視点も持ちながら、つきあう必要があるのです。

 

時には、患者さんの家族の問題に介入せざるを得ない事もあるでしょう。時には、患者さんにスキンシップを求められる事もあるでしょう。時には、上がり込む事を躊躇したくなるような、不衛生な独居老人の居宅を、衛生的に改善する指示を出す事もあるでしょう。

 

昔から、「医術は仁術なり」と言われていますが、在宅医療はこの言葉が如実に表れる現場です。医師として人が好きで、在宅医療の使命をよくよく理解し、博愛の心を持って、仁=思いやりや優しさを提供しなければ、在宅医療の医師は務まりません。このことを充分に承知していなければ、在宅医療に従事する医師として、適性だとは言えないでしょう。

 

笑顔とスキンシップも在宅医療の大切なツール

 

コミュニケーション学の大家であるアメリカの作家、デール・カーネギーは、その著書『人を動かす』の中で、笑顔の効能をこう述べています。

 

元手はいらないが、利益は莫大。
与えても減らず、与えた者は豊かになれる。
一瞬の間見せるだけで、その効能は永久に続いていく。
どんなにお金持ちでも、これ無しでは暮らせない。
どんなに貧乏でも、これによって豊かになれる。
家庭には幸福を、商売には善意をもたらす。
それは、友情の合言葉。
疲れた人には休養…
失意の人には希望の光…
悲しみを持つ人には太陽…
悩みを持つ人には解毒剤…
しかしそれは、
買う事も、借りる事も、強要する事も、盗む事もできない。

 

まさにこの「笑顔」は、人を診る事に尽きる在宅医療に必要な事ではないでしょうか?笑顔は、コミュニケーションを円滑にするツールです。在宅医療の医師には、他の医師よりももっともっと、この「笑顔」が求められると言えるでしょう。

 

そして、笑顔から一歩先を行く、スキンシップが求められる場合もあります。もちろん、患者さんが欲さなければ、医師からやり過ぎた行為をする必要はありません。しかし、手を握る、背中をさする、場合によってはハグをするなどの、親しい間柄では当たり前に行うスキンシップが、人を見る事に繋がる事も多いものです。

 

信頼できる相手とのスキンシップは、快感ホルモンと言われる“ドーパミン”、安心物質“セロトニン”や、愛情ホルモンと言われる“オキシトシン”が、大量に分泌されます。医師は、この事をしっかり座学で学んでいて、誰よりも知っているはずです。しかしながら、普段の医療現場でこれを取り入れている医師は稀有です。もちろん、患者さんがドクターを受け入れ、承認しなければ成り立たないコミュニケーションですが、人を見る事が根底にある在宅医療においては、無視できないものです。

 

在宅医療に従事しようとする医師は、愛情に満ちた笑顔やスキンシップをツールとしたコミュニケーションもできる医師である事を、理想とされているのかもしれません。

 

このようなコミュニケーションには、向き不向きも、メンタルブロックもあるでしょう。笑顔やスキンシップは、“在宅医療に求められる医師像”が、自らの適性と合致しているかどうか?…を考える、一つの判断材料になるのかもしれません。

 

2.5人称のコミュニケーション

 

在宅医療に従事する医師には、やや特殊なコミュニケーション感覚が求められます。それは、「2.5人称」と呼ばれるものです。

 

家族や親しい人が「あなた」と特定して行う2人称コミュニケーションと、他人として「彼や彼女」と客観的に行う3人称コミュニケーションの間である、2.5人称が丁度良いとされているのです。

 

在宅医療の医師と患者さんとの間には、家族的なコミュニケーションも必要でしょう。しかしそれはあくまで“家族的”であって、“家族”であってはならないのです。

 

医師が2人称のコミュニケーションをしては、特定の患者さんに感情移入をしすぎて、客観的かつ多角的な判断ができず、医師として間違った決断を下してしまうかもしれません。しかしながら、3人称のコミュニケーションをしていては、病だけしか目に入らず、科学的根拠に基づく判断しかできません。

 

人を見る医療が重要な在宅医療に於いては、2人称でも3人称でも適性では無いのです。つまり丁度良いのは、その中間の2.5人称のコミュニケーションだという訳です。

 

医術を施す者として、科学的かつ客観的な判断を下しながら…
仁術を施す者として、患者さんの命や喜怒哀楽に寄り添う…

 

在宅医療には、このようなダブルスタンダードのバランスをとれる、優秀な医師が求められているのです。


在宅医療の医師にも求められる市場性と専門性

在宅医師への転職時に求められる重要なこと

 

往診という医療文化が一度衰退してしまった今、在宅医療分野の専門家はとても稀少です。また、かつてない高齢化社会の到来や難病指定疾病の出現などにより、新しいスタイルの診療ニーズも増えてきています。在宅医療の市場では、需要を供給がはるかに下回っており、医師にとっては売り手市場の環境が続いていると言えるでしょう。

 

そんな医師不足の在宅医療サービスですから、その求人も、在宅医療の専門家だけをターゲットにしたものは少ないようです。多くの場合、「汎用的に診療カバーができる、一般内科か一般外科の先生が来てくれたら…」といったような感覚が、在宅医療現場の温度感です。

 

しかしながら、在宅医療は在宅医療ならではの高度な専門性が問われるものです。それは、大学病院で行うような高度先進医療とは対極を成す、検査などの科学的データのみに頼らず、患者の感覚や症状や生活環境から総合的に判断する診療スキルです。

 

今はまだ、在宅医療の診療スタイルが一般化していませんが、国の政策で診療報酬が改訂された事からも、近い将来、多くの医療機関が在宅医療分野に本腰を入れるのは目に見えています。

 

そんな時代がくれば、当然ながら、医師の転職市場競争は激化します。在宅医療のスペシャリストとしてしっかりと研鑽を積んできた医師でなければ、良い職には就けなくなるでしょう。

 

もしもドクターが在宅医療分野に興味があるならば、今のうちからしっかりと専門性を深め、セミナーを受けたり、資格を取得するなどのアクションを起こしておくべきだと考えます。

在宅医療に求められるスキル

 

◆身近でトータルな診療

 

在宅医療の医師には、何かあったらいつでも気軽に診てくれ、どんな疾病や外傷でもトータルに対応してくれる、家庭医やプライマリ・ケア医のような存在である事が求められます。

 

もしもドクターが内科医ならば、これまで専門外だった分野の診療についても、一定のスキルを持っていなければなりません。小児科はもとより、整形外科や皮膚科や眼科や耳鼻科といった広範囲の診療科の知識を得ながら、ペインクリニックなどの造詣も必要でしょう。

 

◆専門的なチーム医療

 

在宅医は時に、難病指定疾病の通院が困難な患者さんに、専門的なチーム医療を施す役割を担う事もあります。もしもドクターが大学病院や市中の専門病院の専門医であっても、これからは在宅医療を無視できない時代となります。高度専門医療に携わるドクターも、在宅医療ならではのチーム医療の在り方を探り、地域のコメディカルスタッフと連携する事が求められています。

 

◆人と人との近く深いコミュニケーション

 

在宅医療は終末期医療や看取りといった、死と近いところにある医療です。病だけではなく、患者さんの人生や尊厳といったものと真正面から向き合わなければやり遂げられません。

 

医師と患者さんの距離感が非常に近く、時には、友人や身内と錯覚してしまうようなコミュニケーションも必要となってきます。また、患者さんだけではなく、その家族とも、密な関係を構築する事が求められるでしょう。いかに患者さんや家族の気持ちに寄り添い、彼らを幸せにする診療ができるか?…が、鍵となりますので、時には、治療をしない事が正解である事もあるものです。

 

◆地域包括医療としての在宅医療への理解

 

在宅医療は、何かあったら呼び出すといった、旧来型の往診とは根本的に異なります。もちろん、風邪を引いたから、発熱したからといった理由で診療する事もあるでしょうが、あくまで、計画的かつ定期的な医療行為なのです。ケアマネージャー・ホームヘルパー・看護師・薬剤師・理学療法士などのコメディカルスタッフとチームを組み、必要に応じて中枢病院と連携しながら、包括的な地域医療の一環として医療を提供する意識が必要です。

 

在宅医療への転職に有利な専門医資格

 

これまで在宅医療と言えば、平均して程度の低い医療サービスしか提供できていない状況でした。しかし、時代は進化し、在宅医のレベルは日々向上しており、その専門性も問われる日が近くなっていると言えます。在宅医療独自の専門性に長けた医師が増え、医療の一翼を担う日は、そう遠くはありません。もしもドクターが在宅医への転科をお考えならば、それに伴う専門医資格取得にも真剣に向き合う事が望まれます。

 

◆日本在宅医学会認定「在宅医療専門医」

 

在宅医療専門医は、2002年より始まった比較的新しい専門医制度ですが、今後益々ニーズが増えていく事は明白なため、今のうちに抑えておいて欲し認定医資格です。

 

<専門医制度の骨子>

  1. 専門医試験受験には、5年以上の医師としての経験を必要とする。
  2. 一年間以上の在宅研修プログラムを各在宅研修施設(施設群)が申請する。このプログラム修了者に試験を行うことを基本とする。ただし、自ら在宅医療を5年以上実践しているものは、実績に基づき専門医試験を受けることができるコース (実践者コース)も別途設ける。

 

既に在宅医療に従事しているドクターも、これから従事しようとしているドクターも、在宅医療専門医への門戸は様々な角度から拡げられて言えるでしょう。

 

在宅医療をきちんとした形で見聞きし、研修を受ける機会は少ないのが現状です。しかし、在宅医療に興味を持ち、将来的な転科や開業を考えているドクターには、在宅医療指導医の施設にて、往診に同行する形で現場を見学したり、在宅医療展開施設との交流を持つための機会が、プログラムとして設けられています。在宅医療に興味はあるものの、どういう方向性に進むべきかよくわからないドクターは、実際の在宅医療の現場に立ち会って、在宅医療認定指導医から話を聞くなどし、詳細のキャリアプランの参考にされたら良いでしょう。

 

◆日本プライマリ・ケア連合学会認定「プライマリ・ケア専門医」

 

高齢化社会や地方の医師不足の解決のために掲げられた在宅医療の現場では、トータルに何でも診てくれる一次医療の専門家、プライマリ・ケア医や家庭医といった専門医資格も非常に歓迎されます。(旧)日本プライマリ・ケア学会、(旧)日本家庭医療学会、(旧)日本総合診療医学会の三学会が合併して設立された日本プライマリ・ケア連合学会では、プライマリ・ケア専門医という制度に加え、今、国の政策を受けた新たな専門医制度の確立に力を注いでいます。これから益々注目度の上がる、プライマリ・ケアおよび在宅医療という分野に向けて、こちらの動向にも注視すべきだと考えられます。

 

在宅医療の医師に求められるマネジメントスキル

 

これからの在宅医は、患者さんの居宅を訪問する外出の多い環境ながらも、たくさんのスタッフを束ねるチームリーダーとしての
役割が求められています。

 

看護師や薬剤師や理学療法士といった医療サイドのほか、市役所や町役場などの行政サイド、ケアマネージャーや訪問ヘルパーといった介護サイドの全てのチームスタッフと連携し、計画的な治療を提供しなければなりません。もちろん、先頭を切って指揮を行うのは、まぎれもなく在宅医です。ドクターの判断や指示が、地域包括医療に直結するのです。

 

また、在宅医療では、多くのスタッフと医療情報を共有したり、訪問スケジュールやルートなどを効率的に管理するために、ICTの活用が推進されています。それゆえ、医師本人に高度なIT技術は必要ありませんが、ITユーザーとしての常識的なリテラシーは不可欠です。

 

在宅医療の医師には、リーダーシップ性はもとより、スタッフ全員を束ねて、情報を共有したり、効率よく業務を遂行したり、医療サービスの質を保ち、向上させていくといった、管理的・経営的能力=マネジメントスキルを磨く事が求められていると言えるでしょう。


在宅医療へ転科した医師の悲喜こもごも

在宅医師への転職時に求められる重要なこと

 

絶妙のタイミングで在宅医療に転科したA医師

 

A医師は、大学病院の医局に属し、市中の総合病院で働く40歳の一般内科医です。医局での頭打ち感は否めない今、数年前から転職を考え活動もしてきたそうですが、どの求人もピンとせず、自らの将来展望に不安を覚えていたと言います。

 

そんな時、転職エージェントのコンサルタントに、「在宅医療分野への転科」を勧められます。その求人は、地方病院の在宅医療部門として開設するクリニックの院長職でした。給与は現状よりなんと3割増しの1,800万円。院長の居宅も準備してくれるという事です。多少田舎に行く事にはなりますが、車で30分ほどで街に行ける環境と、これからの医療の中心となるべく在宅医療分野での好条件な求人に、興味を持ったといいます。

 

しかしながら、A医師は在宅医療の経験が全くありませんでした。コンサルタントに「経験のない私でも大丈夫なのでしょうか?」…と尋ねたところ、「在宅医療はまだまだ未開の分野です。今、在宅医療だけを専門とした医師は少なく、総合的に診療できる一般内科の先生で、様々な病院で多角的な診療実績のあるA先生のような方に、マッチング性の高い求人なのです。」…という答えが返ってきました。

 

それでもA医師の答えは、「在宅医療の求人に興味はあるけど、経験が無さすぎるから、難しいだろう。」…という真っ当なもの。これを聞いたコンサルタントは、「ならば転職話を本格化させる前に、在宅医療専門指導医の医療施設で、実際の往診現場を見学されてみたらどうですか?」…との提案があったといいます。

 

在宅医療は、多くのドクターにとって、まだまだよく知られていない、やや距離のある未知の世界です。転職エージェントのコンサルタントは、求人元医療機関と話し合い、この求人に興味があるドクターがいた場合、日本在宅医学会による往診同行プログラムを準備しておこうと、段取りをつけていたのです。

 

A医師は、在宅医療専門指導医の下で、丸一日往診に同行する事になりました。コンサルタントの計らいで、今回の求人と似たような医療市場の現場を見学します。

 

そこは、車で30分も西に走れば大型ショッピングモールがあり、15分も東に走れば在来線の駅もあるという、田舎とはいえ、それほど不便だと思えない場所でした。しかしながら、日本の未来を先取りするような、高齢化率60%を超えるその山里は、買物難民ならぬ医療難民が多く、在宅医療に対応してくれる医療機関が無ければ、健全に暮らせない場所だったのです。

 

その日A医師は、看護師が運転する車で、在宅医療専門指導医と共に6件のお宅を回りました。介護保険制度で在宅診療を受ける高齢者のほか、神経系の難病を患う患者さんのお宅にも伺いました。

 

A医師が驚いた事は、医師と患者とその家族が、まるで友人か親戚のように近い存在でありながら、プロの医療を提供しているという点でした。会話の大半が医療と無関係の話で、子や孫の近況や庭に成った果実や競馬の話から、自らの死生観までを語り合いながら、滑らかに要所を抑えた診療を提供しています。その場でタブレット端末を取り出して、ICT管理されている検査データを照会したり、薬を処方したり、電子カルテを入力したり、理学療法士やケアマネージャーに指示報告をしたりと、見た事も無い多角的かつ立体的な診療を目の当たりにしました。

 

患者さんも、ご家族も、看護師も、そして医師も笑っている…後期高齢者も、難病患者も、日に日に衰える肉体とは反比例しながら、楽しそうに笑っているのです。

 

A医師は、「何かに導かれ、自分の使命を見つけたような気がした。」…と、振り返ります。もともと興味のあった在宅医療に、志と呼べるものを認める事ができました。あとの問題は、「経験」です。一般内科と消化器系内科の診療スキルには自信があったのですが、皮膚科や整形外科といった分野は門外漢です。さらに、設備の整っていない在宅医療の現場で、充分に能力を出せるかどうかという不安もありました。

 

しかし、転職エージェントは、ここでもプログラムを用意していました。転職後、在宅医療専門指導医の医療施設で、実際の現場に入職する前に、研修期間を予め設けていたのです。そして、入職後に、在宅医療の専門医資格を取得するためのプログラムも始まる予定です。

 

多くの医師にとって、未知の世界である在宅医療。A医師の転職の成功は、転職エージェントと求人元の、綿密な求人計画に基づくものでした。

 

先ず、転職エージェントが、在宅医療に適した診療スキルと、人間性を持ったドクターを見つけます。そして、そのドクターに、在宅医療を知る機会、在宅医療を学ぶ機会、在宅医療の専門医になる機会を、串刺しにして用意していたのです。この用意周到さに、転職ドクターは、安心して転職を決める事が出来たのでしょう。

 

また、在宅医療市場がまだまだ売り手市場であるこの時期は、A医師を経済的に満足させるにも、充分なタイミングでした。これからの医療市場において、在宅医療は益々注目を浴び、高いニーズが出る事でしょう。しかし、ある一定の供給体制が整った後は、他の診療科と同じように、競争率が高まり、専門性も問われる事になります。

 

A医師は、絶妙のタイミングで、厚遇される転職を果たせたと言えるでしょう。もし、ドクターが在宅医療分野に興味があるならば、出来るだけ早い時期に、優良な転職エージェントをパートナーにしながら、アクションを起こすべきでしょう。

 

 

リサーチ不足で辛酸を舐めたB医師

 

B医師は、救急対応もしている市中の病院で働く36歳の外科医です。尋常ではない忙しさにバーンアウト寸前だった彼は、「在宅医療はこれから注目の市場だし、転職すれば、今の忙しさからは解放されるだろう。」…と考え、転職エージェントを介して在宅医療部門のある病院に転職したのです。

 

しかし…在宅医療の現場でも、残業やオンコールや休日出勤が、当り前のように降りかかって来ました。…なぜか?…その医療区では、在宅医療に従事する医師が少なく、圧倒的に需要が供給を上回っていたのです。B医師が入職した病院も、在宅医療部門を立ち上げたばかりで、まだまだ人事制度が整っていない様子。オンコールの回数も前職と変わりなく、なかなか気が休まらない日々が続きます。年収は微増したものの、何のために転職したのか分からない状況に陥ってしまったそうです。

 

どんな事業でも、その立ち上げには困難がつきまといます。加えて、業態自体の一般化がこれから進むであろう「在宅医療」においては、まだまだ業態そのものが手探り状態です。

 

もしもドクターが在宅医療分野への転職を模索するならば、自身が使命感や志を持つ分野でない限り、希望通りの勤務態勢をとれるかどうかは、個別具体的に徹底的なリサーチをする必要があります。その地域の市場性は?勤務体制は?就業スタッフの内訳は?対象患者の特徴は?…在宅医療では、これらの差異が外来や病棟管理とは比べ物にならないほど、施設ごとに様々なのです。


在宅医療分野への転職に必要なこと

在宅医師への転職時に求められる重要なこと

 

市場のニーズと国の政策が相成り、在宅医療分野のサービスは、これから益々注目を浴び、一般化していく事でしょう。

 

しかし、在宅医療への転科・在宅医療分野での転職をお考えのドクターは、その将来的有望性のみに惑わされず、しっかりと転職候補先求人の現場を吟味する必要があります。在宅医療と一口に言っても、その医療区によって市場性は全く違いますし、その医療機関によってサービス内容も勤務体制も全く違うのです。

 

私、野村龍一が、医師転職コンサルタントの立場から、口を酸っぱくして言っている事があります。それは…良い転職は、転職エージェント選択時に決まっている…という事実です。

 

在宅医療分野の医療は、まだまだこれから形成されていく、誰にとっても未知の市場です。その将来性から、思い切った転科や転職に活路が見出しやすい分野ではありますが、くれぐれも用意周到に一歩を踏み出し、確かな方向へと進んで欲しいのです。

 

そのためには、ドクターの在宅医療分野の適性を見極めアドバイスをしたり、個別具体的に求人現場をリサーチし、ドクターの意向と本当にマッチングする医療機関をコーディネートできるなど、在宅医療の本質を見極める力のあるパートナーを見つける事が重要です。

 

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この記事を書いた人


野村龍一(医師紹介会社研究所 所長)

某医療人材紹介会社にて、10年以上コンサルタントとして従事。これまで700名を超える医師の転職をエスコートしてきた。担当フィールドは医療現場から企業、医薬品開発、在宅ドクターなど多岐にわたる。現在は医療経営専門の大学院に通いながら、医師紹介支援会社に関する評論、経営コンサルタントとして活動中。40代・東京出身・目下の悩みは息子の進路。

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