看護師のための保健医療計画のミカタ No.13 「栃木県での看護師就業事情と、看護師確保対策を知る」

栃木県の看護師求人事情と、看護師確保対策を知る

■作成日 2018/2/26 ■更新日 2018/5/9

 

元看護師のライター 紅花子です。
各都道府県の看護師確保状況をお伝えしているこのコラム、今回は北関東にある栃木県の看護師就業状況と、同県の看護師確保対策についてお伝えします。

 

栃木県の看護職員数の動向

 

北部には2000m級の山々、中央部から南部にかけて広大な平野を持つ栃木県。農業は全国9位・工業製品出荷額等は全国13位と産業の盛んな県です。健康寿命は男性70.73歳で17位、女性は74.86歳で5位と、元気な高齢者が多い県でもあります。

 

厚生労働省「衛生行政報告例」によると、平成22年12月末に県内で就業していた看護職員数は21,363人(保健師751人、助産師396人、看護師13,179人、准看護師7,037人)でした。人口10万人当たりで見ると、保健師が37.4人(全国35.2人)、助産師が19.7人(全国23.2人)、看護師が656.4人(全国744.0人)、准看護師が350.5人(全国287.5人)となり、助産師と看護師の人数が、全国平均を下回っています。

 

平成26年12月末には、就業看護職員数は22,966人(保健師837人、助産師462人、看護師15,019人、准看護師6,648人)でした。人口10万人当たりの就業者数で見ると、助産師は23.3人(全国26.7人)、看護師は758.5人(全国855.2人)で、どちらも増加しているものの、なお全国平均を下回っている状況が続いています。

 

 

人口10万人当たりの看護師数を見ると、全国平均が855.2人。それに対し、栃木県は758.5人と、以前として少ない状況が続いています。これは埼玉県、茨城県など関東一帯が同様の傾向にあり、看護師不足はこの地域の深刻な課題となっているようです。


栃木県の看護師需要

 

栃木県では、病院に勤務する看護師数が68.6%とやや少なく(全国平均72.8%)、診療所に勤務する看護師数は13.8%(全国12.4%)、介護保険施設等が8%(全国6.4%)と、全国平均よりやや多くなっています。

 

栃木県では、団塊の世代が75歳となる平成37年には、後期高齢者が32.2万人と大幅に増加すると予測されています。つまり、在宅医療の推進によって、訪問看護ステーションや介護保険施設等の拡充が必須課題となっており、訪問看護師など、在宅の療養患者への支援に関わる分野の知識を持つ看護師は、今後ますます必要とされます。一方の「病院」では、医療の高度化や専門化に伴い、急性期から慢性期まで幅広い看護師のニーズがあります。これは、他の都道府県と同様の傾向と課題と言えるでしょう。

 

さらに栃木県は、豊かで活力ある健康長寿社会“健康長寿とちぎ”を 目指して健康寿命の延伸と健康格差の縮小を基本目標に掲げ、その対策の1つとして生活習慣病の「発症予防と重症化予防の徹底」を掲げています。

 

栃木県では、30代から糖尿病、 40代から高血圧性疾患や脳血管疾患、50代から脂質異常症や虚血性心疾患の医療費が増え始めるなど、年齢が高くなるにつれて、医療費全体に占める生活習慣病の割合が、高くなっています。もちろん、こうした傾向は全国的にも見られるのですが、生活習慣病の予防と治療に関わる専門的な資格を持つ看護師は、住民視点から考えても、そのニーズは非常に高くなるでしょう。

 

 

二次保健医療圏別で見てみると、高齢化率が県全体では23.2%なのに対して、県西保健医療圏は26.5%、両毛保健医療圏は26.4%となっており、県西部で高齢化がより進んでいる傾向が見られます。医療資源の面で見ると、県西保健医療圏は観光地として有名な日光市と鹿沼市で構成されていますが、そのおよそ80%を山林が占め、医療施設はごく一部の市街地に偏在しています。また、両毛医療圏にはへき地診療所が存在し、どちらも医療資源に偏りがある状況が課題として挙げられています。

 

入院患者を見ると、県東、県西、県北の各医療圏から他の圏域への流出割合が高い一方、県南、宇都宮は他の圏域からの流入が多くなっています。特に県南医療圏は2つの大学病院があるため、医療資源は質・量ともに充実。病院に勤務する医師・看護師数が多く、高度な専門的機能を担っていることから、他圏域からの外来患者の流入割合は栃木県内の二次医療圏において唯一20%を超えています。入院患者に至っては、圏域外からの流入割合は43.9%という現状です。

 

現在、栃木県ではかかりつけ医を中心とした医療連携体制の構築、一部の患者に見られる大病院志向の是正などに取り組んでおり、将来的には大病院への患者集中が緩和され、各医療圏における地域医療へのニーズが高まってくるでしょう。


栃木県の看護師確保に向けての取り組み

 

看護師不足の栃木県。少しでも多くの看護師を確保するため、県では看護職員の養成のほか、県内への定着を促し、離職防止や、潜在看護師の再就業促進のために、次のような取り組みを行っています。

 

  1. 看護師等養成所の運営に対する助成
  2. 看護職員修学資金の貸与
  3. 院内保育所の運営に対する助成
  4. ナースセンターの運営
  5. 再就業支援研修の実施

 

その他にも、医療の高度化や県民の保健・医療・福祉分野におけるニーズの多様化に対応できるよう、各種の研修を行い、看護師の資質向上を目指しています。
更にユニークな試みとして、栃木県看護協会が「会員特典」として研修や賠償保険の割引を行うほか、温泉施設やエステ、スポーツ施設などの会員割引を用意して、看護師のプライベートの充実を支援しています。

 

世界的にも有名な日光国立公園の他に、8つの県立自然公園があり、鬼怒川、那須、塩原と日本有数の温泉地を有する栃木県。アウトドアスポーツも盛んで、アクティブ派にとってはプライベート充実させることができそうです。看護師数は慢性的に不足している状況にあるので、比較的就職しやすい県かもしれません。中でも県が力を入れている在宅医療や生活習慣病関連のスキルがあれば、就職に有利となりそうです。

 

 

参考資料

 

栃木県第6次保健医療計画
http://www.pref.tochigi.lg.jp/e02/pref/keikaku/bumon/hokeniryou.html

 

平成22年衛生行政報告例(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/10/dl/h22_toukeihyoitiran.pdf

 

平成26年衛生行政報告例(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/14/dl/gaikyo.pdf

 

栃木県看護協会ホームページ
http://www.t-kango.or.jp/

 

この記事をかいた人


紅 花子 (べに はなこ)
正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在は当研究所所属ライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

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