求人増加の訪問看護ステーション。看護師はどんな働き方をするの?

■作成日 2018/2/27 ■更新日 2018/5/9

 

元看護師ライター 紅花子です。

 

新年度を控えて、転職や再就職はシーズン真っただ中。
当コラムではこれまで、各都道府県の「保健医療計画」をもとに全国の看護師確保状況をお伝えしていますが、今回は訪問看護ステーションの現状と働き方について、日本看護協会の資料などをもとに見ていきたいと思います。

 

需要が高い訪問看護ステーションのナース

 

この資料によると、平成28年度(2016年度)の訪問看護ステーションの求人倍率は3.69倍と高いことが目立ちます。
これは、100人の求職看護師(仕事を探している人)に対して、訪問看護ステーションに「369人分の仕事がある」と言っていることと同じです。

 

訪問看護ステーションの求人倍率は、2番目に高い200床までの病院(2.51倍)と比べても高いことがわかりますね。

 

さらに、前年度(2015年)の2.22倍からぐんと増えている点も目立ちます。これは、国の政策として、在院日数を減らして自宅療養を増やす方針へと大きく舵が切られた結果として、訪問看護ステーションのニーズがぐんと増えているためと推測できます。

 

訪問看護ステーションのお仕事とは?

 

さて、訪問看護ステーションではどのようなお仕事をするのでしょうか。
全国訪問看護事業協会によると、次の10の仕事がメインになるようです。

 

(1)療養上のお世話

身体の清拭、洗髪、入浴介助、食事や排泄などの介助・指導

 

(2)医師の指示による医療処置

かかりつけ医の指示に基づく医療処置

 

(3)病状の観察

病気や障害の状態、血圧・体温・脈拍などのチェック

 

(4)医療機器の管理

在宅酸素、人工呼吸器などの管理

 

(5)ターミナルケア

がん末期や終末期などでも、自宅で過ごせるよう適切なお手伝い

 

(6)床ずれ予防・処置

床ずれ防止の工夫や指導、床ずれの手当て

 

(7)在宅でのリハビリテーション

拘縮予防や機能の回復、嚥下機能訓練等

 

(8)認知症ケア

事故防止など、認知症介護の相談・工夫をアドバイス

 

(9)ご家族等への介護支援・相談

介護方法の指導ほか、さまざまな相談対応

 

(10)介護予防

低栄養や運動機能低下を防ぐアドバイス

 

訪問看護は、施設内での仕事と違って患者さんのご自宅に通わなければならないので、雨風や暑さ、寒さなど天候の影響が厳しいかもしれません。それでも、より患者さんの身近でQOLを支えられることに、看護師として魅力を感じる人も多い気がします。

 

給与が高い!?訪看ナース!

 

訪問看護ステーションの看護師は、実はお給料が高いことが魅力です。日本看護協会によると、施設が提示する給与(諸手当含む)の平均を比べると、訪問看護ステーションの上限値が331,098円と最も高くなっています

 

これは、給与の上限値が最も低い在宅介護支援センターの256,335円と比べて、75,000円近く上回っているのです。
しかも、その差は2015年よりも大きくなっています。
この差は大きいと思いませんか?

 

 

ますます増える訪看ナースのニーズ

 

こんなに給与がいいのに、訪問看護ステーションの求人倍率が高い(看護師を欲しがる施設が多い)のは、何か理由があるのでは?と思う人も多いと思います。

 

その背景には、患者さんからの「自宅で看護してほしい」という希望が潜在的に多く、訪問看護ステーションの需要が高まっていることがあります。

 

厚生労働省の資料によると、2005年に58,798名だった訪問看護利用者数は、2015年に170,823名へと約3倍に増えています。訪問看護の利用者は各年代で増えていますが、なかでも小児(0~9歳)の利用者が目立ちます。

 

2001年の842名から2015年の7,980名へと、約9.5倍に増えています。
そのため、2002年に4,550あった訪問看護ステーションの数は、2016年には8,613へと倍近く増えました。

 

同じ厚生労働省の資料では、男女問わず国民の約80%が「要介護の状態になったとしても、病院以外(自宅や高齢者住宅など)で介護を受けたい」と回答しています。

 

第一次ベビーブーム、いわゆる団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向けて、これからも訪問看護の求人はますます増えていくでしょう。

 

ますますニーズが高まり、やりがいや給与の高さが目立つ訪問看護ステーションでの勤務。これから人気が出てきそうです。

 

 

参考資料

 

日本看護協会「2016 年度ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人に関する分析」
http://www.nurse.or.jp/up_pdf/20180131175456_f.pdf

 

一般社団法人 全国訪問看護事業協会
https://www.zenhokan.or.jp/nursing/index.html

 

厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000155814.pdf

 

一般社団法人 訪問看護支援協会
http://www.kango.or.jp/presently/

 

この記事をかいた人


紅 花子 (べに はなこ)
正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在は当研究所所属ライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

【2018最新版】常勤登録高格付け企業 Best3

求人増加の訪問看護ステーション。看護師はどんな働き方をするの?
マイナビ看護師の特徴
保有する求人数が業界最大規模のマイナビ看護師。非公開求人を多く抱えていますが、その多くが「非常に良い就業条件で整ったレア求人」で占められていることから、非常に人気が高い看護師転職サイトです。登録は1分で簡単に済む上に、今の職場に知られることなく、極秘に転職活動ができてしまう点に注目です。
価格
登録無料 0
評価
評価5
備考
お試し登録OK

看護のお仕事の特徴
レバレジーズ運営の「看護のお仕事」は既に多くの看護師にとって、知っていて当たり前の定番看護師紹介会社となっています。それだけ多数の看護師に頼られる同社ですが、特徴としては「非常に高給与の求人を多数保有している」ということに他なりません。転職支援金が5万円もらえるのも魅力的ですが、とにかく高給与を目指したい看護師は、まずはじめに相談をしてみてほしい企業です。
価格
登録無料 0
評価
評価4.5
備考
お試し登録OK

ナース人材バンクの特徴
ナース人材バンクはマザーズ上場、全国15拠点の大手老舗看護師紹介会社です。上場していることで医療機関からのブランド力も高く保ち、利用者満足度が非常に高い企業であり、常勤転職を考える看護師ユーザーとしてはありがたい存在です。堂々の3位ランキング入り。
価格
登録無料 0
評価
評価4
備考
お試し登録OK