総評:MRT(株式会社メディカルリサーチアンドテクノロジー)
■ 記事作成日 2014/5/3 ■ 最終更新日 2016/6/1
この企業に関する下記事件について調査中のため、評価内容の事実確認と裏付け確認を各取材先に再度行っている最中です。
具体的な再調査が終了しました後、追加記事を再掲載いたします。今しばらくお待ちください。
また、本案件については逮捕された元MRT従業員が設立に関わった医師紹介会社である「iDoctor(アイドクター)」の評価ページについても目を通して頂けますよう、よろしくお願いいたします。
医師情報 持ち出し容疑 求人サイト 元従業員を逮捕 1万7000件か
勤務先から医師や看護師の情報を大量に持ち出したとして、警視庁は十四日、不正競争防止法違反(営業秘密の複製)の疑いで、医師向けの求人情報サイト運営会社「MRT(エム・アール・ティー)」(東京都新宿区)の元従業員、M氏(※容疑者不起訴により伏字としました)=東京都日野市豊田=を逮捕した。
警視庁によると、M氏はMRTを退社後、同様のサイトを運営する「iDoctor(アイドクター)」(渋谷区)の設立にかかわったという。同社が保有する情報と、不正入手した情報に重複があり、警視庁は新会社のために持ち出した可能性があるとみて調べている。
逮捕容疑では、二〇一二年五月、MRTのデータベース(DB)にアクセスし、営業秘密に当たる登録医師などの個人情報を不正に複製し、入手したとされる。持ち出した情報は一万七千件に上るとみられ、住所や氏名、生年月日、学歴、勤務先も含まれていた。
MRTは転職先や医療関係のアルバイトの紹介などのサービスをしており、関係者によると、M氏は同年一月から、システム管理の担当者として勤務。DBにアクセスできる権限を利用し、医師などの情報を引き出した後、同年七月に退職した。
◆同業転職者や外部業者 絶えない情報流出
企業情報の流出事件が後を絶たない。同業他社への転職者や外部業者による情報の持ち出しが目につく。専門家はDBの管理や従業員教育の徹底など、漏えい対策の必要性を訴える。
今年三月、半導体メモリーの技術を転職先の韓国企業に漏らしたとして、東芝の提携先の元技術者が不正競争防止法違反容疑で逮捕された。二カ月後、日産自動車でも、販売計画を持ち出して他社に転職した元社員が逮捕された。
七月には、ベネッセコーポレーションの子どもを含む顧客情報約一千万件の流出事件で、警視庁が外部業者のシステムエンジニア(SE)を逮捕した。
今回は医師の求人情報が狙われた。最新技術はもとより、少子化や医師・看護師不足の中で、特に地方での医師のニーズは高く転職は頻繁。個人情報も価値は高い。
=全文はソース元で確認=
(東京新聞 2014年10月14日 夕刊)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014101402000044.html
※2015/1/28追記 【重要】
当ページで紹介した不正競争防止法事件について、大きな進展があったことが確認できました。結果として、(元)容疑者M氏には不起訴という処分が下されました。警察としては十分勝算があった上で逮捕に踏み切った当事件でしょうが、一体何故このような結末に至ったのでしょうか。
当研究所ではこの事件について、詳細を取材中であり、元容疑者M氏から直接事の経緯についてお話を聞ける機会を得ました。
医師個人情報流出、逮捕と不起訴、MRT、iDoctor…一連の関連と事実についての取材は、後日、掲載予定です。
総評:東大出身医師による元互助会は「アルバイト案件」に強い
MRT(株式会社メディカルリサーチアンドテクノロジー)は1999年に東京大学出身の医師同士による互助会が発足の元となっています。現在でも経営層トップの冨田兵衛代表取締役社長は医師資格を持ち、顧客である医師のために、医師資格を持つ者の視点から転職支援アルバイト支援を行っています。老舗ということもあり、業界リーダーの1社といえるでしょう。
この姿勢に医師から大きな支持を得ているメディカルリサーチアンドテクノロジーの特徴は、1.「豊富な実績(過去の医師紹介実績は60万件以上)と利便性」、2.「保有求人募集の厳正選定とスクリーニング」、3.「東京都内のアルバイト、非常勤求人に強い」という点があげられます。
平成26年4月段階で、メディカルリサーチアンドテクノロジーの医師紹介実績は60万件を大きく越しているそうです(プレスリリース2014年4月10日)。1999年の創業以来、順調にこれまで実績を積み重ねてきたのは、誇るべき実績であるといえるでしょう。これだけの事例と経験値の蓄積があれば、大体の医師ニーズに対する応対が可能となっているのではないかと予想されます。
もし急用ができて応募したアルバイトにいけなくなっても、メディカルリサーチアンドテクノロジーが代理の医師を用意するシステムを持っていますので安心です。こういった登録医師にとって利便性が高い点も、メディカルリサーチアンドテクノロジーが長年厚い支持を受け続けている理由でしょう。ただし、友人の医療機関経営者に言わせると、あくまでも代理医師の派遣は「緊急措置」でしかないわけでして、このシステムを使ってしまった医師に再度仕事を与えることはないと断言していました。仕事に穴を開けるよりましの「保険」として考えておき、できるだけ使わないようにしておく事が肝要かと思います。
その他にも、医師からの電話連絡が24時間365日対応できると明言していることから、如何に医師の視点にたって医師紹介事業を運営しているかが理解できます(ただし、この電話連絡が自社対応なのか外部コールセンター受けなのかは不明)。
社内組織は事業部により分業体制が確立しており、例えばコンタクトレンズバイトを申し込むと「コンタクトレンズ事業部」から専門のスタッフが応対し、健診業務に申し込むと「健診事業部」のスタッフが応対てくれます。
多くの医師紹介会社が出来るだけ保有求人数を多く見せたいがために、過去の求人募集や詳細確認不明な空求人募集などを堂々とウェブサイトに掲載しています。そんななか、メディカルリサーチアンドテクノロジーのウェブ掲載求人は、情報のスクリーニング(過去の終了案件などを、ウェブサイトからきちんと除外すること)業務ができているように見えます。
健診アルバイト、コンタクトレンズアルバイトについても一定数以上豊富に保有している様子です。ただし、公開している医療機関の情報などは量的に少なめです。これは応募医療機関が簡単に登録できるように、という同社の配慮から生まれていると言われますが、医師側としてはもっと豊富な医療機関や求人内容の情報を得たいところですので、やや不満です。
当研究所のランキング調査でも、メディカルリサーチアンドテクノロジーは東京都内のアルバイト案件に強いことがわかっています(東京エリアスポット求人数ランキング1位、東京エリア非常勤求人数ランキング3位)。
しかしその反面、常勤転職案件の保有数は極めて少なくなっています。またアルバイト案件でも東京以外のエリアは極端に弱いといえるでしょう。MRT自身ももこの点については気付き始めているようで、専門エージェント(転職コンサルタント)を増員して常勤転職のサポートに厚みを増したり、東京以外のエリアや郊外の求人募集についても、医療機関への営業活動を盛んにボリュームアップしているそうです(社員は完全飛び込み営業で突撃していくとのこと。営業ノルマも相当キツイと聞いておりなかなか社員は大変そうです)。
社内をあげてIT化施策実施中?
同社の社員によると、社長音頭の号令一下、徹底的でゴリゴリのアナログ営業企業(飛び込み訪問営業なんのその)である同社を、先鋭的なIT系企業にフォームチェンジしようとしている節があります。社内ペーパーレス化を目論んだり、社員全員にツイッターアカウントを持たせて常時つぶやかせrなど、「医師紹介会社にそれは必要なのか?」と疑問を持たれてしまう施策も珍しくないようです。入社面接でも「当社はITに強い」と豪語していましたが、実際は思ったより全然だったという声も聞こえています。
コスト意識の高い会社
メディカルリサーチアンドテクノロジーは社内コスト意識が高く、社内でEメールを書く際もコスト意識を常に意識されられる教育をしています。例えば、1件Eメールを打つ際も、それにかかった時間(1分=10円と換算)をコスト化して、執筆者自身が告示しなければいけません(10分で書いたメールは『野村100円』として執筆にかかったコスト換算金額をメール文末に付け加えることがルール化されている)。
いいか悪いかは別問題として、色々な医師紹介会社を見てきましたが、ここまでストリクトにコスト換算ルールを社員に強要する会社はあまりみたことがありません。コスト意識の高さは経営者の能力としては必須で讃えられるべきことですが、医師紹介現場に対して無用なコスト削減意識から「(医師のため)余計な仕事はしない、したくない」というような雰囲気だけは生まれないようにしてほしいと思います。
IT化、ワークライフバランス、コスト意識…全ては上場を見越してのことか
メディカルリサーチアンドテクノロジーには常に上場の噂がつきまとっています。実際、上場しても良いかと思われるレベルまで事業も成長していることですから、あながち「火のないところに煙は立たぬ」という言葉のとおりではないでしょうか。もしそうだとすると、少々強引に思われるような社内IT化施策や、最近導入されたとされる「ワークライフバランス重視の残業ゼロ指示」にも合点がいきます。
このワークライフバランス重視の残業ゼロ施策ですが、社員が18時以降は完全帰宅して全く残業は許されないとのこと。さあ、クライアント医師の要望さえあれば昼夜問わずに駆けつけるのが出来る医師転職コンサルタントの条件である、と私は完全主観で個人的に考えていますが、この施策がどんな結果になるか注目しております。
元々社員のモチベーションが高い会社でしたが、時短になったけれどもモチベーションと効率のさらなる向上さえ達成できれば、案外、医師紹介事業の現場でもよい結果と影響出るかもしれません。しかし、ただ単に上場のみを意識した施策(要は証券会社に『社員に残業させるな』と言われた等)、の場合はその限りではないでしょう。
会社概要:株式会社メディカルリサーチアンドテクノロジー
会社名 | 株式会社メディカルリサーチアンドテクノロジー |
---|---|
設立 | 2000年1月 |
代表者 | 代表取締役 馬場稔正 |
資本金 | 4900万円 |
年商 | 7億1千万円 |
従業員数 | 57名 |
コンサルタント数 | 非公開 |
所在地 | 〒160-0023 東京都新宿区西新宿1―26―2 新宿野村ビル36階 |
連絡先 | 03-3344-7511 |
営業拠点 | 1 |
厚生大臣認可 | 13-ユ-010403 |
医療従事者会員数 | 2万人 |
商業登記簿謄本(画像クリックで拡大)
商業登記簿謄本の公開について
商業登記簿謄本は、申請すれば全ての国民が閲覧することができるものであり、インターネット上に公開することに違法性がないことを、法務局・弁護士に確認済みです。ただし代表取締役の住所につきましては、プライバシー保護の観点から、自主的に非公開としています。
業績について
安定した市場のリーダー的ポジションから、メディカルリサーチアンドテクノロジーの業績は好調を維持しています。アルバイト求人でメディカルリサーチアンドテクノロジーから仕事を受けた医師のリピート率も高く維持されていると言われています(詳細データ入手できず)ので、尚更業績的には盤石なのでしょう。近年は新規事業にも積極的に打ち出しつつあると内部事情に精通している方の弁です。
売上高(H25) | 利益高(H25) | 売上高(H24) | 利益高(H24) |
---|---|---|---|
711百万円 |
76,708千円 |
608百万円 |
79,389千円 |
サービスサイトへのアクセス推移
アクセス状況の全体分析
同社運営サイトへの直近アクセス推移は上記のようになっております(2014年11月12日 SimilarWebにて調査。月間アクセス65000PVと、医師紹介会社業界ではトップクラスのアクセスを誇ります。実際、アルバイト希望医師の間でMRTを知らない方は少ないでしょうから(ダイレクトアクセス率も59.85%)、この結果もブランド力の勝利と言えそうです。
アクセス参照元サイト
同社サイトのアクセス流入元サイトはかなり多岐にわたっており、明確な統一性が見いだせません。「indeed」のような人材紹介キュレーション企業もあれば、「amazon.co.jp」やIT技術者の情報共有サイトである「Qiita」などからのアクセスも計測されています。また、当研究所からも一定のアクセスが流れこんでいる事が確認できます。
アクセス検索キーワード
同社サイトへのアクセス検索キーワードは、「MRT」「メディカルリサーチアンドテクノロジー」というブランド名でほとんど占めています。「医師アルバイト」といったようなビッグキーワードが無いこと、広告によるPaidKeywordが全く存在しないことが大きな特徴です。
MRT:企業トップの実像
取締役会長 冨田兵衛 氏(医師)
MRT(株式会社メディカルリサーチアンドテクノロジー)の創業者、冨田兵衛会長は相当ワンマンな人物で社内外では通っているようです。元社員によると、社内には幹部を始め相当数の「イエスマン」もおり、社長の意向に従わないと仕事そのものがやりづらくなる社風があったとのこと。もっとも、成功した創業期のベンチャー企業でトップダウンのワンマン企業でない組織などありえないので、ごくごく当たり前の人物評でしょう。
尚、東京都に「医療法人社団優人会 東西線メディカルクリニック」という人間ドック・乳がん健診クリニック/一般内科がありますが、ここの院長 冨田兵衛医師とは別人物ではなのでしょうか。どちらの冨田氏も東大医学部をでている点で一致しているのですが・・。
※追記:MRT会長の冨田医師と東西線メディカルクリニック院長冨田医師は同一人物である旨を、MRT元社員の方より情報提供頂きました。ありがとうございました。
代表取締役社長 馬場稔正 氏
メディカルリサーチアンドテクノロジー株式会社代表取締役社長 馬場稔正氏
現代表取締役社長の馬場稔正氏の詳細なプロフィールが見当たりませんが、馬場氏は医師資格は持たないものの、MBA(経営学修士)を持っている方のようです。ご自身でTwitterをされているようです。同社が気になる方はフォローをして同社動向をウォッチングしてみるのもよいでしょう。
馬場氏のTwitter: https://twitter.com/MRT_doctor
ちなみに余談ですが、メディカルリサーチアンドテクノロジーには、現在「iDoctor(株式会社iDoctor)」を運営している、医師、弁護士、政治家(日本維新の会所属)でもある米山隆一氏が過去に社長についていたことがあります。
この企業の100社ランキング結果
当研究所が独自で毎年調査している「日本の医師紹介会社TOP100社ランキング調査」において、株式会社エイムプレイス提供の「医師求人ガイド」はトップ3ランキング入りできたでのしょうか?結果はこのようになっております。
以上で見事トップ3ランキング入りを果たしております。
また、その他項目を含めたランキング結果一覧は下記のようになっております。
37位(101件) | |
10位(3161件) | |
2位(3359件) | |
ランキング圏外(不明) | |
34位(11件) | |
3位(725件) | |
1位(1084件) | |
37位(0件) | |
15位(116件) | |
8位(52件) | |
39位(0件) | |
10位(34件) | |
8位(11件) | |
40位(0件) | |
13位(101件) | |
2位(157件) | |
30位(1件) | |
10位(23件) | |
8位(17件) | |
56位(検索不可) | |
25位(72件) | |
57位(検索不可) | |
38位(0件) | |
55位(検索不可) |
=検索件数集計の注意事項=
- アクティブ求人数不明…これらの理由でランキング対象として集計できない
- 検索不可…条件自体がこの検索できない
- 0件…検索はできるが結果が0件
- ○○検索結果に含まれる…検索結果が別条件設定に含まれて表示されている
- 不明…サイト上に結果表示が存在せず
最終評価判定:都市部スポット案件オンリー活用を
株式会社メディカルリサーチアンドテクノロジーが運営する「MRT」は、都市部エリア、特に東京エリアの医師アルバイト求人募集、医師非常勤求人募集に特に強い医師紹介会社であることが、ランキング調査等を経て改めてわかりました。
近年は常勤求人や都市部以外の郊外エリア求人についても力を入れ始めていますが、登録にあたっては下記の点について注意をしておいたほうが良さそうです。
事業部制の分業体制がアダになる場合も
事業部制はコンタクト案件ならコンタクト専スタッフ部門、健診部門なら健診専門スタッフが応対するシステムであり、メディカルリサーチアンドテクノロジーの大きな特徴の1つとなっています。担当者の専門性が高いということは、紹介業務を信頼して託せる一方、時としては融通がきかないケースが出てきます。メディカルリサーチアンドテクノロジーの場合は、担当者の変更ができません。「専門性が高いので、最初から最後まで決められた担当で」といのが同社の考えです。
さて、能力の高いコンサルタントが最初から担当についてくれれば問題はないのですが、そういった属人的要素に「絶対」はありません。当研究所の周囲でも、メディカルリサーチアンドテクノロジーの求人募集に応募したが、担当コンサルタントとのソリが合わず、散々揉めた挙句、他社に結局は鞍替えをセざるを得なかった医師もいらっしゃいます。多かれ少なかれ、どの医師紹介会社でも同様のトラブルはありうるのですが、メディカルリサーチアンドテクノロジーの場合は、どうもこの事業部担当制から端緒を発していると思わざるをえない節が目立ちます。
どちらかと言えば、実直真面目系の従業員が多いので、尚更この融通の効きづらい傾向が強まってしまっているのかな?と思っています。
専用の常勤メルマガ「MRTレギュラー」を発行するなど、ようやく最近スポット以外の求人にも本腰を入れ始めたといえども、現状としては依然として、東京エリアのアルバイト以外(常勤求人募集、郊外アルバイト案件等)が極端に他社より弱いということも、対象エリアの利用者側としてはデメリットになりうる条件です。関西に居を置く「アネナビ!(株式会社アネステーション)」も同様ですが、質の高いサービスと高い専門性による絞込みで評判を得ている医師紹介会社でも、エリアマーケティングの全体を俯瞰してみると、必ずしも全ての医師にとって使いでが良いものということでは無いことがわかります。
東京アルバイト案件という強みと長年の信頼を持つ一方、上記のような弱点についても考慮して、メディカルリサーチアンドテクノロジーの最終評価判定は評価Aといたします。
【登録前にお読み下さい】
この会社の登録者の多数は、こちらの会社を同時登録することで優良求人を複数獲得する確率が大幅に向上することが当研究所の調査結果でわかっています。
何故、3社同時登録で優良求人が見つかるのか?
MCドクターズネット |
医師バイトドットコム |
【評価A(評価する)】の医師紹介会社
医師転職支援コンサルタント・野村龍一のアドバイス
「それなりに長所がある医師紹介会社です。ご自身の希望と紹介会社の強みがマッチした場合は登録することに意味があるでしょう。あなたが常勤希望ならば、初めての転職時よりもご自身の希望がよりはっきりした2回め3回めの転職時にご利用することをおすすめします」